建物買取請求権たてものかいとりせいきゅうけん
借地権の存続期間が満了し、契約の更新がないときに、借地権者が借地権設定者に対し、建物などを時価で買い取るよう請求できる権利です(13条1項)。つまり、土地を返すときに、まだ使える建物を壊さずに地主に引き取ってもらえます。
30年借りた土地の契約が更新されず、土地を返すことになりました。土地の上には、まだ十分に住める家が建っています。民法の原則では、借りた人が自分の費用で家を壊し、更地にして返さなければなりません。それでは借りた人の損失が大きく、使える建物を壊すのは社会にとっても無駄です。そこで借地借家法は、借地権者が地主に対して、建物を時価で買い取るよう請求できることにしました。

請求できるのは、期間が満了して更新がないときです
13条1項が定める場面は、借地権の存続期間が満了した場合において、契約の更新がないときです。借地権設定者の異議に正当の事由が認められて更新されなかった場合が、これに当たります。買取りの対象は、建物のほか、借地権者が権原により土地に附属させた物で、価格は時価です。請求をすると、借地権設定者が承諾しなくても、その建物について売買契約が成立したのと同じ関係になると解されています。
地代の不払いなどで解除されたときは、請求できません
借地権者が地代を支払わないなど、債務不履行(契約上の義務を果たさないこと)を理由に契約を解除された場合には、建物買取請求権は認められません(判例)。条文が定めるのは期間が満了して更新がない場合で、契約がどんな理由で終わっても請求できるわけではありません。この権利は、約束を守ってきた借地権者を守るためのものだからです。

買取りを請求しないという特約は、無効です
13条の規定に反する特約で借地権者に不利なものは無効です(16条)。契約書に「期間満了時に借地権者は建物の買取りを請求しない」と書いてあっても、借地権者は請求できます。これに対し、債務不履行で解除されたときは請求できないという特約は、もともと請求できない場面を確認しているだけなので、無効にはなりません。定期借地権や事業用定期借地権では、買取りの請求がない契約にすることを法律が認めています。
代金の支払まで建物を渡さなくてよく、地代相当額は払います
買取りを請求した借地権者は、代金が支払われるまで建物の引渡しを拒むことができます。建物の引渡しと代金の支払は、売買と同じく同時に行う関係(同時履行)にあるからです。建物を渡さない間は敷地も占有し続けることになりますが、その間の敷地の賃料に当たる額は、不当利得として借地権設定者に返さなければならないと解されています。建物を手元に置けることと、土地をただで使えることは別です。
借地借家法 13条1項借地権の存続期間が満了した場合において、契約の更新がないときは、借地権者は、借地権設定者に対し、建物その他借地権者が権原により土地に附属させた物を時価で買い取るべきことを請求することができる。
試験ではこう問われる
- 請求できるのは、存続期間が満了し、契約の更新がないとき。「終了事由のいかんにかかわらず請求できる」は誤り
- 地代の不払いを理由に契約を解除された借地権者は、建物の買取りを請求できない
- 「債務不履行により解除された場合は建物買取請求権を行使できない」旨の特約は有効。無効になるのは、期間満了のときにも請求させない特約(16条)
- 買取りを請求した者は、代金の支払があるまで建物の引渡しを拒める。ただし、その間の敷地の占有について賃料相当額を支払わなければならない
- 存続期間50年以上の定期借地権では、建物の買取りの請求をしないこととする旨を書面で定めることができる(22条)
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