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借賃増減請求権しゃくちんぞうげんせいきゅうけん

権利関係 借地借家法 過去問で8肢

建物の借賃が、租税などの負担の増減、経済事情の変動、近傍同種の建物の借賃との比較によって不相当となったときに、当事者が将来に向かって借賃の増額や減額を請求できる権利です(32条1項)。借地の地代についても、同じ内容の地代等増減請求権があります(11条1項)。

10年前に月10万円で借りた店舗の周りに大型店が次々とでき、同じような店舗の家賃が月15万円になりました。反対に、景気が悪くなって周りの家賃が月7万円に下がることもあります。賃貸借は長く続く契約なので、最初に決めた家賃が時とともに実情と合わなくなります。そこで借地借家法は、家賃や地代が不相当になったときは、貸主からは増額を、借主からは減額を請求できることにしました。契約書に何と書いてあっても、原則としてこの請求ができます。

借賃が不相当になれば、貸主は増額を、借主は減額を請求できる。
借賃が不相当になれば、貸主は増額を、借主は減額を請求できる。

請求できるのは、借賃が不相当になったときです

32条1項は、借賃が不相当となる事情として、土地や建物に対する租税その他の負担の増減、土地や建物の価格の上昇や低下その他の経済事情の変動、近傍同種の建物の借賃との比較の三つを挙げています。請求の効力は「将来に向かって」生じ、過去の分にさかのぼって増減することはできません。条文は、前回の改定から一定の期間が経過していることを要件にしていません。現行の借賃を決めてから間もない時期でも、不相当になっていれば請求できます。

増額しない特約は有効で、減額しない特約では請求を止められません

32条1項は、請求を「契約の条件にかかわらず」できるとした上で、ただし書で、一定の期間借賃を増額しない旨の特約がある場合にはその定めに従う、と定めています。増額しない特約は賃借人に有利なので、その期間は賃貸人から増額を請求できません。減額しない旨の特約については、ただし書のような定めがなく、特約があっても賃借人は減額を請求できます。3年ごとに一定の割合で増額するといった自動改定の特約があっても、経済事情が変わってその特約による額が不相当になれば、増減を請求できます(判例)。

増額しない特約は有効、減額しない特約があっても減額請求はできる。
増額しない特約は有効、減額しない特約があっても減額請求はできる。

話がまとまるまでは、相当と認める額を支払えば足ります

増額を請求されても、すぐに請求どおりの額を支払う義務が生じるわけではありません。当事者の協議が調わないときは、請求を受けた賃借人は、増額を正当とする裁判が確定するまで、自分が相当と認める額を支払えば足ります(32条2項)。裁判で増額が認められ、支払った額に不足があったときは、不足額に年1割の利息を付けて支払います。減額を請求された賃貸人も、裁判が確定するまで相当と認める額を請求でき、受け取りすぎた分は年1割の利息を付けて返します(32条3項)。

定期建物賃貸借では、特約で増減請求を外すことができます

定期建物賃貸借で借賃の改定に係る特約があるときは、32条の規定は適用されません(38条9項)。期間中は借賃を改定しないと定めておけば、賃貸人は増額を、賃借人は減額を請求できなくなります。特約がなければ、定期建物賃貸借でも32条が適用され、不相当になったときは増減を請求できます。借地にはこのような例外がなく、定期借地権であっても、地代を減額しない特約によって減額請求を止めることはできません。

借地借家法 32条1項

建物の借賃が、土地若しくは建物に対する租税その他の負担の増減により、土地若しくは建物の価格の上昇若しくは低下その他の経済事情の変動により、又は近傍同種の建物の借賃に比較して不相当となったときは、契約の条件にかかわらず、当事者は、将来に向かって建物の借賃の額の増減を請求することができる。ただし、一定の期間建物の借賃を増額しない旨の特約がある場合には、その定めに従う。

試験ではこう問われる

  1. 一定の期間は建物の借賃を減額しない旨の特約があっても、借賃が不相当になれば賃借人は減額を請求できる
  2. 借地でも同じ。当初の10年間は地代を減額しない旨の特約があっても、その期間内に借地権者は地代の減額を請求できる(11条1項)
  3. 「一定期間は借賃の額の増減を行わない」旨を定めた場合、増額の請求はできなくなるが、減額の請求はできる
  4. 賃料を3年ごとに1%ずつ増額する旨を公正証書で定めていても、賃料が不相当となったときは増減額請求ができる
  5. 現行の賃料が定められた時から一定の期間が経過していなくても、賃料の増額請求は認められうる
  6. 定期建物賃貸借で賃料を改定しない旨の特約があれば、賃借人は減額請求ができない(38条9項)。特約がなければ、定期建物賃貸借でも賃貸人は増額請求ができる
  7. 存続期間50年の定期借地権でも、地代を減額しない旨の特約によって減額請求を封じることはできない
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