/ 法令上の制限

高さ制限と斜線制限|道路斜線・隣地斜線・北側斜線

建築基準法の高さ制限(絶対高さ・斜線制限・日影規制)を宅建試験対策として解説。道路斜線・隣地斜線・北側斜線の適用地域を表で比較し出題ポイントを整理。

建築基準法の高さ制限は、建ぺい率・容積率と並んで集団規定の重要テーマです。宅建試験では、絶対高さ制限の適用地域、3種類の斜線制限の違い、日影規制の対象建築物など、知識の正確さが問われます。本記事では、高さ制限の全体像を体系的に整理し、それぞれの制限がどの用途地域に適用されるかを一覧表で比較しながら解説します。

高さ制限の全体像

建築基準法における高さ制限は、大きく3つの種類に分けられます。

制限の種類 内容
絶対高さ制限 建築物の高さの上限を一律に定める
斜線制限 一定の斜線の内側に建築物を収める
日影規制 一定時間以上の日影を生じさせない

高さ制限の目的

高さ制限は、日照・通風・採光の確保や、良好な市街地環境の維持を目的としています。特に住居系の用途地域では厳しい制限がかかります。

絶対高さ制限(法55条)

適用される用途地域

絶対高さ制限は、以下の用途地域にのみ適用されます。

  • 第一種低層住居専用地域
  • 第二種低層住居専用地域
  • 田園住居地域

この3つの地域では、建築物の高さは10m又は12mのうち、都市計画で定めた高さを超えてはなりません。

絶対高さ制限の例外

以下の場合は、絶対高さ制限を超えることが認められます。

  • 特定行政庁が低層住宅の良好な住居の環境を害するおそれがないと認めて許可したもの
  • 敷地内に一定の空地を有し、特定行政庁が認めたもの

外壁の後退距離

第一種低層住居専用地域、第二種低層住居専用地域、田園住居地域では、都市計画で外壁の後退距離(1.5m又は1m)を定めることができます。

斜線制限の3種類

斜線制限は、以下の3種類があります。

斜線制限の概要

斜線制限 目的 適用地域
道路斜線制限 道路の日照・通風の確保 すべての用途地域+用途地域の指定のない区域
隣地斜線制限 隣地の日照・通風の確保 低層住居専用・田園住居地域を除く
北側斜線制限 北側の日照確保 低層住居専用・田園住居・中高層住居専用地域

道路斜線制限(法56条第1項第1号)

内容

道路斜線制限は、前面道路の反対側の境界線から一定の勾配で引いた斜線の内側に建築物を収めなければならないという制限です。

適用地域

すべての用途地域および用途地域の指定のない区域に適用されます。つまり、最も幅広く適用される斜線制限です。

斜線の勾配

用途地域 勾配
住居系用途地域 1.25
その他の用途地域(商業・工業系) 1.5

セットバックによる緩和

建築物が前面道路の境界線から後退(セットバック)している場合、後退した距離だけ道路の反対側の境界線が外側に移動したものとして斜線制限を適用します。これにより、より高い建築物を建てることができます。

隣地斜線制限(法56条第1項第2号)

内容

隣地斜線制限は、隣地境界線上の一定の高さから斜線を引き、その内側に建築物を収める制限です。

適用地域

隣地斜線制限は、以下の地域には適用されません

  • 第一種低層住居専用地域
  • 第二種低層住居専用地域
  • 田園住居地域

理由: これらの地域では絶対高さ制限(10m又は12m)が適用されるため、隣地斜線制限は不要です。

隣地斜線の立ち上がり高さと勾配

用途地域 立ち上がり高さ 勾配
住居系(低層・田園を除く) 20m 1.25
その他(商業・工業系) 31m 2.5

北側斜線制限(法56条第1項第3号)

内容

北側斜線制限は、北側の隣地境界線上の一定の高さから南に向かって斜線を引き、その内側に建築物を収める制限です。北側の隣地の日照を確保するための規制です。

適用地域

用途地域 適用
第一種低層住居専用地域 適用あり
第二種低層住居専用地域 適用あり
田園住居地域 適用あり
第一種中高層住居専用地域 適用あり
第二種中高層住居専用地域 適用あり
上記以外 適用なし

北側斜線の立ち上がり高さ

用途地域 立ち上がり高さ
低層住居専用・田園住居地域 5m
中高層住居専用地域 10m

斜線制限の適用一覧表

各斜線制限がどの用途地域に適用されるかをまとめます。

用途地域 道路斜線 隣地斜線 北側斜線
第一種低層住居専用 適用 不適用 適用
第二種低層住居専用 適用 不適用 適用
田園住居 適用 不適用 適用
第一種中高層住居専用 適用 適用 適用
第二種中高層住居専用 適用 適用 適用
第一種住居 適用 適用 不適用
第二種住居 適用 適用 不適用
準住居 適用 適用 不適用
近隣商業 適用 適用 不適用
商業 適用 適用 不適用
準工業 適用 適用 不適用
工業 適用 適用 不適用
工業専用 適用 適用 不適用

日影規制(法56条の2)

日影規制とは

日影規制は、建築物が一定時間以上の日影を周辺に生じさせないようにする規制です。

対象区域

日影規制は以下の区域で適用されます(地方公共団体が条例で指定)。

  • 住居系用途地域(8地域すべて)
  • 近隣商業地域
  • 準工業地域

商業地域・工業地域・工業専用地域では日影規制は適用されません。

対象建築物

用途地域 対象建築物
低層住居専用・田園住居地域 軒の高さが7m超又は3階以上
その他の対象地域 高さが10m超

日影規制と北側斜線の関係

日影規制が適用される場合、中高層住居専用地域では北側斜線制限は適用されません(日影規制が優先)。ただし、低層住居専用地域・田園住居地域では両方が適用されます。

試験での出題ポイント

数字の覚え方

  • 絶対高さ「10m又は12m」: 「低層は10(いちまる)12(いちに)
  • 北側斜線の立ち上がり: 「低層は5m、中高層は10m
  • 日影規制の対象: 「低層は7m超・3階以上、その他は10m超

ひっかけパターン

  1. 「道路斜線制限は住居系用途地域にのみ適用」 → 誤り。すべての用途地域に適用
  2. 「隣地斜線制限はすべての用途地域に適用」 → 誤り。低層住居専用・田園住居地域には不適用
  3. 「北側斜線制限は第一種住居地域にも適用」 → 誤り。中高層住居専用地域までが対象
  4. 「商業地域でも日影規制が適用される」 → 誤り。商業・工業・工業専用には不適用
  5. 「絶対高さ制限は中高層住居専用地域にも適用」 → 誤り。低層住居専用と田園住居のみ

理解度チェッククイズ

Q1. 道路斜線制限はすべての用途地域に適用される。

答えを見る **○ 正しい** 道路斜線制限はすべての用途地域および用途地域の指定のない区域に適用されます。最も幅広く適用される斜線制限です。

Q2. 第一種低層住居専用地域では、隣地斜線制限が適用される。

答えを見る **× 誤り** 第一種低層住居専用地域では、絶対高さ制限(10m又は12m)が適用されるため、隣地斜線制限は適用されません。

Q3. 商業地域では日影規制が適用されることがある。

答えを見る **× 誤り** 日影規制は商業地域・工業地域・工業専用地域には適用されません。ただし、対象区域外にある高さ10m超の建築物が対象区域に日影を生じさせる場合は、日影規制の規定が適用されることがあります。

Q4. 絶対高さ制限の上限は10m又は15mのうち都市計画で定める値である。

答えを見る **× 誤り** 絶対高さ制限は「10m又は12m」です。15mではありません。

まとめ

高さ制限と斜線制限について、以下の3点を押さえましょう。

  1. 絶対高さ制限は低層住居専用・田園住居の3地域のみ: 10m又は12mの上限があり、隣地斜線は不適用
  2. 斜線制限は適用地域の違いを正確に覚える: 道路斜線は全地域、隣地斜線は低層・田園を除く、北側斜線は低層・田園・中高層のみ
  3. 日影規制は商業・工業・工業専用に不適用: 住居系+近隣商業+準工業が対象

よくある質問(FAQ)

Q. 道路斜線と北側斜線が両方適用される地域はどこですか?

A. 第一種低層住居専用地域、第二種低層住居専用地域、田園住居地域、第一種中高層住居専用地域、第二種中高層住居専用地域の5つです。これらの地域では道路斜線と北側斜線の両方を満たす必要があります。

Q. 天空率とは何ですか?

A. 天空率は、斜線制限の緩和措置として用いられる指標です。天空率の基準を満たす場合、道路斜線・隣地斜線・北側斜線の各制限を超えて建築することが認められます。

Q. 高度地区と高さ制限は違うものですか?

A. はい、異なります。高度地区は都市計画法に基づき都市計画で定められるもので、建築物の高さの最高限度又は最低限度を定めます。一方、建築基準法の高さ制限(絶対高さ・斜線制限等)は建築基準法に基づく規制です。

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