建築基準法の数字|意味から覚える整理法
建築基準法の数字を、接道の2メートル、道路の4メートル、容積率の10分の4と10分の6、絶対高さの10メートルと12メートルなど、規制の目的から説明して整理。取り違えやすい組み合わせを対にして条文根拠つきで解説します。
目次
この記事は、建築基準法に出てくる数字を、丸暗記ではなく「何を守るための数字か」から整理するためのものです。論点そのものの解説は建築基準法の主要論点まとめに、計算問題の解き方は建ぺい率と容積率の計算問題攻略にあります。ここでは数字だけを取り出し、意味と取り違えの防ぎ方に絞ります。
結論を先に述べます。建築基準法の数字が覚えられないのは量が多いからではなく、似た数字が意味の説明なしに並んでいるからです。接道の2メートルと道路の4メートル、採光の7分の1と換気の20分の1、絶対高さの10メートルと12メートル、容積率の10分の4と10分の6。どれも単体では簡単なのに、隣の数字と入れ替えられると判断がつきません。
建築基準法の数字は、その多くが規制の目的から説明できます。しかもその目的は、たいてい条文の見出しや要件の書きぶりに現れています。接道の2メートルなら43条3項の「避難又は通行の安全」、日影規制の時間なら56条の2の見出しにある「日影による中高層の建築物の高さの制限」という具合です。目的が分かれば、数字を入れ替えた選択肢を読んだときに「その数字ではこの目的を果たせない」という違和感が働きます。以下、数字のグループごとに、意味と取り違えの型を見ていきます。
なお、宅建試験は当該年度の4月1日現在施行の法令から出題されます。令和8年度(2026年10月18日実施)であれば2026年4月1日時点の条文です。この記事の数字はすべてその時点の建築基準法および同法施行令で確認しています。年度をまたぐ改正の全体像は令和8年度試験に影響する法改正まとめにあります。
道路と敷地の数字
接道の2メートル
建築基準法43条1項は、建築物の敷地は道路に2メートル以上接しなければならないと定めています。これが接道義務です。
2メートルという数字が何のためのものかは、条文自身が語っています。同条3項が、条例で制限を付加できる場合の要件として「第一項の規定によつては避難又は通行の安全の目的を十分に達成することが困難であると認めるとき」と書いており、1項の2メートルが避難と通行の安全を確保するための数字であることが読み取れます。人が出入りでき、火災や急病のときに外へ出られる最低限の幅、と押さえておけば足ります。逆に言えば、通路が1.8メートルしかない敷地には建物を建てられません。数字が微妙に足りない事例を出して正誤を問うのが定番の出題です。
接する長さが2メートル以上であることが要件であり、敷地が道路に接していても、接する部分が1.5メートルしかなければ義務を満たしません。同項は、自動車のみの交通の用に供する道路と、地区計画の区域のうち建築物その他の工作物の敷地として併せて利用すべき区域として定められた区域内の道路を、この「道路」から除いています。高速道路のように人が歩いて避難できない道に接していても、2メートルという数字が果たすべき役割を満たさないからです。接道義務の全体像は接道義務とセットバックで扱っています。
道路の4メートル
一方、42条1項が定める道路の幅員は4メートルです。こちらは道そのものが備えるべき幅で、車両の通行と建物どうしの間の空間を確保する趣旨のものと理解しておけば足ります。特定行政庁がその地方の気候もしくは風土の特殊性または土地の状況により必要と認めて、都道府県都市計画審議会の議を経て指定する区域内では6メートルとされます。要件が「気候若しくは風土の特殊性又は土地の状況」と書かれている以上、地域の事情によっては4メートルでは足りないことがある、という前提の規定です。この6メートルは42条2項の3メートル、42条4項の「幅員6メートル未満の道」の指定にも連動するので、6メートル指定区域という単語を見たら三か所を同時に思い出す必要があります。
ここで押さえるべきは、2メートルと4メートルが別の対象についての数字だということです。2メートルは敷地が道路に接する長さ、4メートルは道路そのものの幅員です。「敷地は幅員2メートル以上の道路に4メートル以上接しなければならない」という選択肢は、二つを入れ替えたものです。対象が違う数字だと意識していれば、一読して違和感が出ます。
42条1項は、道路を5つの号に分けています。1号が道路法による道路、2号が都市計画法や土地区画整理法などによる道路、3号がこの章の規定が適用されるに至った際に現に存在する道、4号が新設または変更の事業計画のある道路で2年以内にその事業が執行される予定のものとして特定行政庁が指定したもの、5号がいわゆる位置指定道路です。ここに出てくる2年という数字は、まだ存在しない道路を先取りして「道路」に含めるための期限です。2年以内に着工される見込みがあるなら、その計画線を前提に建築を認めてよい、という判断が背景にあります。5年でも10年でもなく2年なのは、それ以上先の計画を前提にすると、実現しない計画に建築が引きずられるからです。
2項道路の中心線から2メートル
42条2項は、この章の規定が適用されるに至った際に現に建築物が立ち並んでいる幅員4メートル未満の道で特定行政庁が指定したものについて、その中心線からの水平距離2メートルの線を道路の境界線とみなすと定めています。いわゆる2項道路、みなし道路です。
ここに出てくる2メートルは、接道義務の2メートルとは無関係です。中心線から2メートルずつ両側に取れば、合計で4メートルの幅員が確保されるという計算から来ています。つまりこの2メートルは、4メートルという原則を将来的に実現するための数字です。接道の2メートルと同じ数字ですが由来がまったく違う、と理解しておくと混ざりません。
この由来を押さえておくと、応用も効きます。42条1項の指定によって道路の幅員が6メートルとされている区域内では、2項道路の後退距離は中心線から3メートルになります。6メートルを両側に振り分ければ3メートルだからです。ただし、特定行政庁が周囲の状況により避難および通行の安全上支障がないと認める場合には2メートルでよいとされています。「6メートル区域でも中心線から2メートルでよい」という選択肢は、この例外だけを取り出したもので、原則としては誤りです。
なお、道の片側ががけ地、川、線路敷地などである場合には、中心線から振り分けることができないため、そのがけ地等の道の側の境界線から4メートルの線が道路の境界線とみなされます。片側だけで4メートルを確保する形です。ここでも、確保しようとしている幅員が4メートルだという一点は変わりません。この片側後退の考え方はセットバックとはで詳しく扱っています。
さらに42条3項は、土地の状況によりやむを得ない場合に、中心線からの水平距離については2メートル未満1.35メートル以上の範囲内で、がけ地等の境界線からの水平距離については4メートル未満2.7メートル以上の範囲内で、特定行政庁が別に水平距離を指定できるとしています。1.35は2の、2.7は4の、いずれも0.675倍にあたる数字です。原則が2メートルでも4メートルでも同じ比率まで削れる、と揃えて捉えると覚えやすくなります。3分の2(約0.667)に近い値ですが一致はしないので、割り算で導こうとせず条文の数字をそのまま押さえます。そして42条6項は、幅員1.8メートル未満の道を2項道路として指定する場合、または3項により別に水平距離を指定する場合には、あらかじめ建築審査会の同意を得なければならないと定めます。1.8メートルは2メートルよりさらに狭く、後退させても4メートルに届かない見込みが強いため、行政の裁量に第三者の審査を挟むわけです。
セットバック部分の扱いは、施行令2条1項1号に規定があります。42条2項などによって道路の境界線とみなされる線と道との間の部分の敷地は、敷地面積に算入しません。後退した部分は道路として扱われるのだから、建ぺい率や容積率の分母には入れられない、という一貫した処理です。数字ではありませんが、2項道路の2メートルとセットで問われます。
例外と条例による強化
43条2項は、接道義務の適用除外を二つ設けています。1号は、敷地が幅員4メートル以上の道(道路に該当するものを除き、避難および通行の安全上必要な国土交通省令で定める基準に適合するものに限る)に2メートル以上接する建築物のうち、利用者が少数であるものについて、特定行政庁が支障がないと認めるものです。2号は、敷地の周囲に広い空地を有する建築物などについて、特定行政庁が建築審査会の同意を得て許可したものです。ここでも4メートルと2メートルという二つの数字が並んで出てきますが、対象は変わっていません。4メートルは道の幅、2メートルは接する長さです。1号は認定、2号は建築審査会の同意を要する許可であり、手続の重さが違う点も併せて問われます。
43条3項は、地方公共団体が、特殊建築物、階数3以上の建築物、政令で定める窓その他の開口部を有しない居室を有する建築物、延べ面積が1,000平方メートルを超える建築物、そして袋路状道路にのみ接する建築物で延べ面積が150平方メートルを超えるもの(一戸建ての住宅を除く)について、条例で接道について必要な制限を付加できると定めています。つまり2メートルは最低限であって、条例により3メートル、4メートルと強化されることがあります。
5号の150平方メートルは、袋路状道路すなわち一端のみが他の道路に接続した行き止まりの道にのみ接する敷地を狙い撃ちにした数字です。条文自身が括弧書きで袋路状道路を「その一端のみが他の道路に接続したもの」と定義しています。行き止まりの道は通り抜けができないぶん避難と通行の安全を確保しにくいため、一戸建ての住宅を除いた150平方メートル超の建築物について、条例で上乗せできる余地を作っています。1,000平方メートルと150平方メートルという二つの面積が同じ条項に並ぶので、どちらがどの号かを取り違えないようにします。
「接道義務は常に2メートルであり、条例で加重することはできない」という選択肢は誤りです。緩和はできないが強化はできる、という方向性で覚えます。この「緩和は法律、強化は条例」という向きは、法令上の制限の他の分野でも繰り返し現れる型です。
道路の中と壁面線
44条1項は、建築物または敷地を造成するための擁壁を、道路内に、または道路に突き出して建築し、築造してはならないと定めます。例外は、地盤面下に設ける建築物、公衆便所や巡査派出所その他これらに類する公益上必要な建築物で特定行政庁が通行上支障がないと認めて建築審査会の同意を得て許可したもの、地区計画に適合する一定の建築物、そして公共用歩廊その他政令で定める建築物で特定行政庁が許可したものです。公衆便所と巡査派出所は、後で見る53条6項2号にも出てきます。道路内でも建てられ、建ぺい率の制限もかからない、という二重の特例が与えられている建築物だと覚えておくと、二か所で同時に思い出せます。
46条は壁面線の指定について定め、特定行政庁が建築審査会の同意を得て指定できること、あらかじめ公開による意見の聴取を行うこと、その期日および場所を期日の3日前までに公告することを求めています。3日という短い期間は、建築基準法のなかでは珍しい手続日数です。
- 2メートルは敷地が接する長さ(43条1項)、4メートルは道路の幅員(42条1項)
- 2項道路の中心線から2メートルは、合計4メートルを確保するための数字。6メートル区域では3メートル
- 条例による強化は可能、緩和は不可。袋路状道路は150平方メートル超が上乗せの対象
建ぺい率の加算の数字
角地の10分の1
53条3項2号は、街区の角にある敷地またはこれに準ずる敷地で特定行政庁が指定するものの内にある建築物について、建ぺい率の限度に10分の1を加算すると定めます。角地は二方向が道路に開いており、延焼の危険が小さく採光や通風も確保されるため、その分だけ建て詰まりを許してよい、という発想です。
注意点は、角地であれば当然に加算されるわけではなく、特定行政庁の指定が必要だという点です。「角地は当然に10分の1が加算される」という選択肢は誤りになります。条文が「特定行政庁が指定するもの」と書いている以上、地形として角地であることと、法律上の加算を受けられることは別だからです。
防火地域・準防火地域の10分の1
53条3項1号は、防火地域内にある耐火建築物等(建ぺい率の限度が10分の8とされている地域以外の地域内のもの)、および準防火地域内にある耐火建築物等または準耐火建築物等について、10分の1を加算します。
こちらの趣旨は、燃えにくい建物を建てるなら密度を上げても延焼の危険が増えないから、という点にあります。準防火地域では準耐火建築物等でも加算されるのに対し、防火地域では耐火建築物等でなければ加算されません。地域が厳しいほど求められる構造も厳しい、という対応関係です。
なお「耐火建築物等」「準耐火建築物等」という語は53条3項1号イ・ロが定義しており、耐火建築物そのものだけでなく、これと同等以上の延焼防止性能を有するものとして政令で定める建築物を含みます。現行法は構造の種類ではなく性能で線を引いているので、「耐火建築物でなければ加算されない」と言い切る選択肢には注意が要ります。
併用すれば10分の2
角地の指定と防火地域内の耐火建築物等の両方に当たる場合は、10分の1が二つ重なって10分の2が加算されます。53条3項柱書が「第一号及び第二号に該当する建築物にあつては同項各号に定める数値に十分の二を加えたもの」と明記しており、根拠が二つあるから足し合わせる、という単純な構造です。
10分の1という数字自体は覚えやすいのですが、「どちらか一方しか加算されない」「併用の場合は10分の3になる」といった変形が出るので、二つまでという上限を押さえます。加算の根拠は1号と2号の二つしかないため、10分の3という数字は条文上どこからも出てきません。
加算ではなく制限がなくなる場合
53条6項1号は、建ぺい率の限度が10分の8とされている地域内で、かつ防火地域内にある耐火建築物等について、建ぺい率の制限を適用しないと定めます。10分の9になるのではなく、制限そのものがなくなり、理論上は敷地いっぱいに建てられます。
これは加算とは別の仕組みです。10分の8という高い建ぺい率が指定されている地域は商業地であることが多く、そこで耐火建築物を建てるなら防火上の懸念がないため、割合による規制を外してしまうという考え方です。「10分の8の地域で防火地域内の耐火建築物なら10分の9になる」という選択肢は誤りで、正しくは制限が適用されません。
同じく53条6項により、巡査派出所や公衆便所、公共用歩廊などについても建ぺい率の制限は適用されません(2号)。さらに、公園、広場、道路、川その他これらに類するものの内にある建築物で特定行政庁が許可したものも適用除外です(3号)。加算の話ではなく適用除外の話だ、という区別が問われます。建ぺい率の基本は建ぺい率と容積率の基礎で確認できます。
敷地が地域をまたぐときのみなし
53条7項は、建築物の敷地が防火地域の内外にわたる場合において、その敷地内の建築物の全部が耐火建築物等であるときは、その敷地は全て防火地域内にあるものとみなして3項1号または6項1号を適用すると定めます。8項は、敷地が準防火地域と、防火地域および準防火地域以外の区域とにわたる場合に、建築物の全部が耐火建築物等または準耐火建築物等であるときは、全て準防火地域内にあるものとみなすと定めます。
ここでのみなしは、規制を厳しくする方向ではなく、加算や適用除外を受けやすくする方向に働きます。防火上の要求を全部の建物が満たしているのだから、敷地の一部しか防火地域にかかっていなくても、加算の恩恵は敷地全体に及ぶ。後で見る65条の「厳しいほうに揃える」とは逆向きの処理なので、二つを並べて覚えると混乱します。65条は建築物が地域をまたぐ場合の構造規制の話、53条7項・8項は敷地がまたぐ場合の建ぺい率の話だと、対象と効果の両方で切り分けます。
敷地面積の最低限度200平方メートル
53条の2第1項は、用途地域に関する都市計画で建築物の敷地面積の最低限度が定められたときは、敷地面積はその最低限度以上でなければならないと定めます。そして同条2項が、その最低限度は200平方メートルを超えてはならないとしています。
これは建ぺい率とは逆向きの規制です。建ぺい率は敷地に対して建物が大きくなりすぎることを防ぐ規定ですが、敷地面積の最低限度は敷地そのものが細分化されることを防ぐ規定です。ミニ開発によって狭小な敷地が並ぶと、建ぺい率を守っていても市街地環境が悪化する。そこで分母の側に下限を設けています。200平方メートルという上限は、これ以上厳しい最低限度を都市計画で定めると、既存の敷地の多くが建築不可能になってしまうという配慮から置かれた歯止めです。
適用除外として、53条6項1号の建築物(10分の8の地域の防火地域内の耐火建築物等)、公衆便所・巡査派出所等、周囲に広い空地を有する建築物で特定行政庁が許可したもの、用途上または構造上やむを得ないと特定行政庁が許可したものが並びます。ここでも公衆便所と巡査派出所が顔を出します。
- 角地の10分の1には特定行政庁の指定が必要
- 防火地域は耐火建築物等、準防火地域は準耐火建築物等でも10分の1
- 併用で10分の2。10分の8の地域かつ防火地域内の耐火建築物等は制限が適用されない
- 敷地面積の最低限度は200平方メートルを超えて定められない(53条の2第2項)
容積率の数字
なぜ前面道路の幅員で決まるのか
容積率は延べ面積の敷地面積に対する割合であり、その土地にどれだけの人や車が集まるかを左右します。集まった人や車は必ず前面道路に出るため、道路が狭ければ受け止めきれません。そこで52条2項は、前面道路の幅員が12メートル未満である場合に、幅員に応じた上限を課しています。
12メートルという境界は、それ以上の幅員があれば交通処理能力に余裕があり、道路による追加の制限を課す必要がないという判断です。12メートル以上であれば、都市計画で定められた指定容積率だけを見ればよいことになります。「未満」であることが要件なので、幅員がちょうど12メートルの道路には、この制限がかかりません。境界の数字は、そこに含まれるかどうかまでが要件です。
住居系は10分の4、その他は10分の6
前面道路の幅員が12メートル未満のときは、幅員のメートル数に一定の数値を乗じた値が上限になります。この乗数が、住居系の用途地域では10分の4、それ以外では10分の6です。前面道路が2以上あるときは幅員が最大のものを使います。
正確には、52条2項1号が第一種・第二種低層住居専用地域と田園住居地域について10分の4、2号が第一種・第二種中高層住居専用地域と第一種・第二種住居地域、準住居地域について10分の4(特定行政庁が都道府県都市計画審議会の議を経て指定する区域内では10分の6)、3号がその他の建築物について10分の6(指定区域内では10分の4または10分の8)としています。住居系8地域はすべて原則10分の4だと押さえたうえで、指定による例外がある点まで知っておけば十分です。
数字の大小には理由があります。住居系は静かな住環境を守るべき地域なので、同じ幅員の道路でも許される密度は低くなります。商業系や工業系は集積を前提とする地域なので、より高い密度が許されます。「規制が厳しい住居系のほうが乗数が小さい」と結びつけておけば、10分の4と10分の6が入れ替わりません。用途地域ごとの性格は用途地域13種類と建築制限で確認できます。
具体的には、前面道路の幅員が6メートルで第一種住居地域なら、6かける10分の4で10分の24、つまり240パーセントが道路による上限です。指定容積率が300パーセントであれば、小さいほうの240パーセントが実際の上限になります。指定容積率と計算値のどちらか小さいほうを取る、という手順まで含めて覚えます。この手順を含む解き方の全体は建ぺい率と容積率の計算問題攻略で扱っています。
なお52条1項は、用途地域ごとに都市計画で定めうる指定容積率の選択肢を列挙しています。低層住居専用地域と田園住居地域は10分の5から10分の20までの6段階、商業地域は10分の20から10分の130まで12段階です。この刻みを丸暗記する必要はありませんが、商業地域だけ極端に上まで伸びていること、低層系は10分の20で頭打ちであることは、地域の性格と一致するので知識として無理がありません。
特定道路の15メートルと70メートル
52条9項は、敷地が幅員15メートル以上の道路(特定道路)に接続する幅員6メートル以上12メートル未満の前面道路のうち、当該特定道路からの延長が70メートル以内の部分において接する場合に、前面道路の幅員に一定の数値を加えて計算できるとしています。
数字が三つ並ぶので混乱しやすいのですが、役割はそれぞれ違います。15メートルは太い道路であることの条件、6メートル以上12メートル未満は緩和を受ける側の前面道路の条件、70メートルは太い道路からの距離の条件です。太い道路のすぐそばなら、交通処理能力を借りられるから少し優遇する、という発想で、6メートル未満の道路が対象外なのは、そもそも太い道路まで車が出て行けないからです。計算式そのものは建ぺい率と容積率の計算問題攻略に譲ります。
延べ面積に算入しないもの
容積率には、分子である延べ面積から除外される部分についての分数もあります。建築物の地階でその天井が地盤面からの高さ1メートル以下にあるものの、住宅または老人ホーム等の用途に供する部分の床面積は、住宅および老人ホーム等の用途に供する部分の床面積の合計の3分の1を限度として延べ面積に算入しません(52条3項)。地下室は日照も通風も市街地環境に影響を与えないため、一定割合まで数えないという趣旨です。「住宅の地階」とだけ覚えていると、老人ホーム等が含まれる点を落とします。
52条6項は、政令で定める昇降機の昇降路の部分、共同住宅または老人ホーム等の共用の廊下または階段の用に供する部分、そして住宅または老人ホーム等に設ける機械室等で特定行政庁が認めるものについて、全部を不算入とします。3分の1のような限度がなく丸ごと除かれる点が3項との違いです。共用廊下や階段は居住のために使える面積ではないので、これを容積率に数えると廊下を削って住戸を詰め込む誘因になってしまう。それを避けるための規定だと理解できます。
施行令2条1項4号および3項は、用途ごとに限度を定めています。自動車車庫等部分は延べ面積の5分の1、備蓄倉庫部分と蓄電池設置部分は50分の1、自家発電設備設置部分と貯水槽設置部分と宅配ボックス設置部分は100分の1です。5分の1、50分の1、100分の1という三段階は、その用途がどれだけ面積を必要とするかに対応しています。車を停めるには広い面積が要るので5分の1、宅配ボックスは狭くて足りるので100分の1です。分母である敷地面積ではなく分子を減らす仕組みだ、という位置づけを押さえておくと、建ぺい率の加算と混ざりません。
- 12メートル未満のときだけ前面道路による制限がかかる
- 住居系10分の4、それ以外10分の6。厳しい地域ほど乗数が小さい
- 指定容積率と計算値の小さいほうが上限
- 地階は3分の1が限度、共用廊下・階段は全部不算入
高さの数字
絶対高さ制限の10メートルまたは12メートル
55条1項は、第一種低層住居専用地域、第二種低層住居専用地域、田園住居地域において、建築物の高さは10メートルまたは12メートルのうち都市計画で定められた限度を超えてはならないと定めます。
10メートルはおおむね3階建て、12メートルは4階建てに相当します。低層住宅の良好な環境を守るという地域の目的から、階数ではなく高さで頭を押さえる仕組みが採られています。適用されるのがこの三つの地域だけであることが、数字と同じくらい問われます。中高層住居専用地域には絶対高さ制限がありません。
「10メートルまたは15メートル」「12メートルまたは15メートル」といった数字の置き換えのほか、「第一種中高層住居専用地域では10メートルまたは12メートル」という地域の置き換えも出ます。
55条2項には、10メートルと定められた地域についての緩和があります。敷地内に政令で定める空地を有し、かつ敷地面積が政令で定める規模以上である建築物で、特定行政庁が低層住宅に係る良好な住居の環境を害するおそれがないと認めるものについては、限度が12メートルになります。10メートルと12メートルは無関係な二つの数字ではなく、条件を満たせば下から上へ移れる関係にあるわけです。さらに4項は、周囲に広い公園・広場・道路その他の空地を有する建築物で特定行政庁が許可したもの、学校その他の建築物でその用途によってやむを得ないと特定行政庁が許可したものについて、絶対高さ制限そのものを適用しないとしています。
屋上部分の8分の1と12メートル
高さの数字を扱うときに必ず絡んでくるのが、施行令2条1項6号ロです。階段室、昇降機塔、装飾塔、物見塔、屋窓その他これらに類する建築物の屋上部分の水平投影面積の合計が、当該建築物の建築面積の8分の1以内である場合には、その部分の高さは12メートルまで建築物の高さに算入しません。ただし、法55条1項から3項まで、法56条の2第4項、法59条の2第1項(法55条1項に係る部分)、および別表第4(ろ)欄の二の項・三の項・四の項ロの場合には、算入しない高さは5メートルまでとされます。絶対高さ制限と日影規制という、低い建物を前提とする制限では12メートルの塔屋を丸ごと見逃すわけにいかない、という切り分けです。
8分の1という数字は、同条1項8号にも出てきます。屋上部分や地階の倉庫・機械室等で、水平投影面積の合計が建築面積の8分の1以下のものは階数に算入しない、という規定です。同じ8分の1が高さと階数の両方で使われているので、まとめて覚えられます。
そして、避雷設備を求める33条の高さと、北側斜線制限を定める56条1項3号の高さについては、この不算入が適用されません。屋上の塔屋にも雷は落ちるし、北側の隣地から見れば塔屋も日照を遮る。目的から考えれば、なぜこれらが除かれているのかが説明できます。塔屋を高さに数えないという扱いは、どの制限についても一律に認められるものではない、という点が要点です。
外壁後退の1.5メートルまたは1メートル
54条1項は、同じ三つの地域について、都市計画で外壁の後退距離の限度が定められた場合に、外壁またはこれに代わる柱の面から敷地境界線までの距離をその限度以上としなければならないと定め、2項でその限度は1.5メートルまたは1メートルとすると定めます。
こちらは都市計画で定められた場合にのみかかる制限であり、常に適用されるわけではありません。「これらの地域では常に外壁を境界線から1.5メートル以上後退させなければならない」という選択肢は誤りです。数字だけでなく、条件つきの制限であることを押さえます。
54条1項には「政令で定める場合を除き」という留保もあり、施行令135条の22がその中身を定めています。限度に満たない距離にある建築物の部分でも、外壁またはこれに代わる柱の中心線の長さの合計が3メートル以下である場合と、物置その他これに類する用途に供し軒の高さが2.3メートル以下でかつ床面積の合計が5平方メートル以内である場合には、制限がかかりません。3メートル・2.3メートル・5平方メートルという三つの数字が並びますが、いずれも「隣家の日照や通風に実害を及ぼさない程度の小さな出っ張り」を除くための線引きです。同じ2.3メートルと5平方メートルは、道路斜線の後退距離の算定で除かれる部分を定めた施行令130条の12第1号イにも同じ組み合わせで出てきます。物置は小さければ数えない、という処理が二か所で共通している例です。
絶対高さ制限(55条)が「これらの地域では必ずかかる」のに対し、外壁後退(54条)は「都市計画で定めた場合だけかかる」。同じ三地域を対象とする隣り合った条文なのに、適用のされ方が正反対です。この非対称が出題の的になります。
斜線制限の勾配と立ち上がり
56条1項は三つの斜線制限を定めています。道路斜線制限は、前面道路の反対側の境界線から一定の勾配で引いた線の内側に建物を収める制限で、別表第三により、住居系の地域では勾配1.25、近隣商業地域・商業地域・準工業地域・工業地域・工業専用地域では1.5です。あわせて、制限がかかる範囲(適用距離)が容積率の限度に応じて20メートルから35メートル、商業地域では最大50メートルまで定められています。
隣地斜線制限は、隣地境界線上の一定の高さから勾配を取ります。第一種・第二種中高層住居専用地域と第一種・第二種住居地域、準住居地域では立ち上がり20メートルに勾配1.25、近隣商業・商業・準工業・工業・工業専用地域では立ち上がり31メートルに勾配2.5です。ここで重要なのは、低層住居専用地域と田園住居地域には隣地斜線制限が適用されないという点です。これらの地域には55条の絶対高さ制限があり、10メートルまたは12メートルで既に頭が押さえられている以上、20メートルから立ち上がる斜線は働く場面がないからです。条文上も、56条1項2号のイからニまでに低層住居専用地域と田園住居地域は挙げられていません。
北側斜線制限は、北側の隣地の日照を守るための制限で、真北方向の水平距離に1.25を乗じたものに、低層住居専用地域と田園住居地域では5メートル、中高層住居専用地域では10メートルを加えます。北側の敷地の日照を確保するという趣旨から、住居系の一部にしか適用されません。5メートルと10メートルの差は、その地域に建つ建物の高さの差に対応しています。
なお56条3項には、中高層住居専用地域と住居系3地域で前面道路の幅員が12メートル以上である場合に、道路斜線の勾配を一定の区域で1.5に読み替える緩和があります。ここでも12メートルという数字が出てきますが、52条2項の12メートルとは働きが違います。52条2項の12メートルは容積率の制限がかかるかどうかの境界、56条3項の12メートルは道路斜線が緩むかどうかの境界です。同じ数字が別の役割で二度出るので、条文番号とセットにして区別します。斜線制限そのものの詳細は高さ制限と斜線制限にあります。
- 絶対高さ10メートルまたは12メートルは低層住居専用地域と田園住居地域のみ
- 隣地斜線は低層住居専用地域と田園住居地域に適用されない
- 屋上部分は建築面積の8分の1以内なら12メートル(低層系等では5メートル)まで高さに算入しない
日影規制の数字
対象となる建築物
56条の2および別表第4は、日影規制の対象建築物を用途地域ごとに定めています。第一種・第二種低層住居専用地域と田園住居地域では、軒の高さが7メートルを超える建築物または地階を除く階数が3以上の建築物が対象です。第一種・第二種中高層住居専用地域、第一種・第二種住居地域、準住居地域、近隣商業地域、準工業地域では、高さが10メートルを超える建築物が対象になります。用途地域の指定のない区域については、地方公共団体が条例で、軒高7メートル超・3階以上の基準と、高さ10メートル超の基準のどちらかを選んで指定します。
低層系の一の項で「軒高7メートル超または地階を除く階数3以上」と、高さではなく軒高と階数で捉えているのは、この地域の建物が総じて低く、10メートル超という基準では規制対象がほとんどなくなってしまうためです。絶対高さ制限が10メートルまたは12メートルなのですから、10メートル超で線を引けば、ほとんどの建物が網から漏れます。地域の実態に合わせて捕捉の網の目を細かくしている、と理解します。
ただし、軒高と階数で捉える基準が使えるのは低層系の三地域に限りません。四の項の用途地域の指定のない区域は、イ(軒高7メートル超または地階を除く階数3以上、測定面1.5メートル)とロ(高さ10メートル超、測定面4メートル)のどちらかを地方公共団体が条例で選ぶ形になっており、イが選ばれれば絶対高さ制限のない区域でも軒高7メートルの基準が働きます。「軒高で捉えるのは絶対高さ制限のある地域だけ」とまとめると、この四の項イで足をすくわれます。
商業地域、工業地域、工業専用地域は、別表第4の(い)欄に挙げられていません。したがって条例で対象区域として指定することができません。これらは住環境の保護を目的とする地域ではないためです。「商業地域内でも高さ10メートルを超える建築物には日影規制がかかる」という選択肢は、地域の置き換えによる誤りです。用途地域ごとの規制の違いは用途地域13種類と建築制限で確認できます。
測る日と時間帯
日影の測定は冬至日を基準とし、真太陽時による午前8時から午後4時まで(道の区域内では午前9時から午後3時まで)の間について行います。一年で最も日影が長くなる日を基準にすることで、最も条件の悪い日でも一定の日照を確保する仕組みです。
道の区域内で時間帯が短いのは、緯度が高く冬至日の日照時間そのものが短いからです。8時間ではなく6時間で切っているのは、それより外側の時間帯には太陽が十分に上がっていないためで、規制を緩めているのではなく実態に合わせています。ここで条文の表現に注意します。56条の2第1項も別表第4も「道の区域内」と書いており、「北海道」という語は使われていません。別表第4の(に)欄では、規制時間そのものも道の区域内では一段短い値になっており、たとえば一の項の(一)の号なら、10メートル以内が3時間のところ道の区域内では2時間、10メートル超が2時間のところ1.5時間です。時間帯と規制時間の両方で道の区域内の扱いが別立てになっている、という二段構えを押さえます。
測る場所の5メートルと10メートル
56条の2第1項は、敷地境界線からの水平距離が5メートルを超える範囲において、一定時間以上日影となる部分を生じさせてはならないとしています。5メートル以内の範囲は規制の対象外です。隣地に接した部分にまったく日影を落とさないことを求めるのは不可能なので、隣家の建物が建つであろう位置から規制する、という設計です。
そして別表第4の(に)欄は、規制時間を「敷地境界線からの水平距離が10メートル以内の範囲」と「10メートルを超える範囲」に分けています。近いところは長めの時間まで許され、遠いところはより短い時間しか許されません。たとえば低層住居専用地域で(一)の号が指定されていれば、5メートルを超え10メートル以内の範囲で3時間、10メートルを超える範囲で2時間が上限です。数字が5メートル、10メートル、そして時間の3時間・4時間・5時間と重なりますが、5メートルは規制が始まる線、10メートルは時間の区切りだと役割で分けます。
また、測定は地面ではなく一定の高さの水平面で行います。低層住居専用地域と田園住居地域では平均地盤面から1.5メートル、中高層住居専用地域や住居系・近隣商業・準工業では4メートルまたは6.5メートルのうち地方公共団体が条例で指定するものです。用途地域の指定のない区域は、四の項イが1.5メートル、ロが4メートルで、6.5メートルの選択肢がありません。測定面の高さは、その地域でどのくらいの階に人が住むかに対応しています。低層系なら1階、中高層系なら2階や3階の窓の位置で日照を測る、と結びつけておくと、1.5・4・6.5という数字の並び順が地域の並び順と一致します。低いほうを測るほど、地面近くまで日照を確保させることになるので規制としては厳しい、という向きも押さえます。斜線制限を含む高さ規制の全体像は高さ制限と斜線制限を参照してください。
対象区域外にある建築物
もう一つ重要なのが、対象区域外にある建築物であっても、高さが10メートルを超え、冬至日において対象区域内の土地に日影を生じさせる場合には、対象区域内にある建築物とみなして規制が及ぶという点です(56条の2第4項)。区域の外に建てれば規制を免れるという抜け道を塞ぐ規定で、頻出です。
ここで使われる10メートルという数字は、別表第4の二の項・三の項の対象建築物の基準と同じ高さですが、意味は違います。別表の10メートルは対象区域内の建物が規制を受けるかどうかの基準、56条の2第4項の10メートルは区域外の建物が引き込まれるかどうかの基準です。区域外の低い建物まで規制すると際限がないため、区域内で規制対象になる高さと同じところで線を引いた、と理解できます。
さらに同条2項は、同一の敷地内に2以上の建築物がある場合には、これらを一の建築物とみなして規制を適用すると定めます。建物を二つに割って一つずつは基準を下回るようにする、という回避を封じる規定です。
- 低層系は軒高7メートル超または地階を除く階数3以上、その他の対象区域は高さ10メートル超
- 冬至日の午前8時から午後4時まで(道の区域内は午前9時から午後3時まで)
- 敷地境界線から5メートル超が規制範囲。10メートルで時間の区分が変わる
- 対象区域外でも高さ10メートル超で区域内に日影を落とせば規制が及ぶ
単体規定の数字
採光の7分の1と換気の20分の1
28条1項は、住宅、学校、病院、診療所、寄宿舎、下宿その他これらに類する建築物で政令で定めるものの居室について、採光に有効な部分の面積を、床面積に対して5分の1から10分の1までの間において居室の種類に応じ政令で定める割合以上とすることを求めます。これを受けた施行令19条3項が、住宅の居住のための居室について7分の1と定めています。
つまり、住宅の採光は7分の1で正しいのですが、その7分の1は法律ではなく政令に書かれています。法律の側は5分の1から10分の1までという幅を示しているだけです。同じ表では、幼稚園・小学校・中学校・高等学校などの教室が5分の1、それ以外の学校の教室が10分の1とされています。子どもが長時間過ごす教室ほど大きな開口部を要求する、という並びです。さらに同項ただし書により、国土交通大臣が定める基準に従って照明設備の設置などの措置が講じられているものについては、10分の1までの範囲で別の割合が定められます。人工照明で補えるなら開口部を減らしてよい、という考え方です。
28条2項は、居室の換気に有効な開口部の面積を床面積の20分の1以上とすることを求めます。こちらは法律に直接20分の1と書かれており、居室の種類による区別もありません。
この二つは同じ条文にあり、同じく開口部の割合を定めるため、最も入れ替えられやすい組み合わせです。区別の手がかりは、必要とされる面積の大きさです。採光は部屋の奥まで光を届ける必要があるため大きな開口部が要り、7分の1という大きめの割合になります。換気は空気が入れ替わればよいので小さな開口部で足り、20分の1で済みます。「光は大きく、風は小さく」と結びつけると入れ替わりません。
なお換気については、政令で定める技術的基準に従って換気設備を設けた場合には、この割合による制限は適用されません。機械換気で目的を達成できるなら開口部の大きさを問う必要がない、という趣旨です。採光の側にも照明設備による緩和がありますが、こちらは制限そのものが外れるのではなく、割合が10分の1まで下がるにとどまる点が違います。また28条4項は、ふすま、障子その他随時開放することができるもので仕切られた2室を、採光・換気の規定の適用については1室とみなすと定めています。和室と居間が続いている住宅を想定した規定で、割合の分母をどう取るかに関わります。
天井の高さ2.1メートル
施行令21条1項は、居室の天井の高さを2.1メートル以上としなければならないと定めます。人が立って生活する空間として必要な最低限の高さです。同条2項は、この高さは室の床面から測り、一室で天井の高さの異なる部分がある場合にはその平均の高さによるとしています。勾配天井の部屋で最も低いところが2.1メートルを下回っていても、平均が2.1メートル以上なら適法です。「居室の天井は最も低い部分でも2.1メートル以上でなければならない」という選択肢は、この2項を無視したものになります。
なお施行令23条には階段の蹴上げと踏面の寸法が用途別に定められていますが、宅建試験で具体的な寸法まで問われることはほとんどありません。単体規定は範囲が広いので、出題実績のある数字に絞るのが効率的です。単体規定と集団規定の区別そのものは建築基準法の全体像で扱っています。
20メートル超と31メートル超
33条は、高さ20メートルをこえる建築物に避雷設備を設けることを求めます。ただし、周囲の状況によって安全上支障がない場合はこの限りでないとされています。34条2項は、高さ31メートルをこえる建築物に非常用の昇降機を設けることを求めます。
条文の書きぶりが二つとも「こえる」である点をまず押さえます。ちょうど20メートル、ちょうど31メートルの建築物には、どちらの義務もかかりません。義務の外し方にも違いがあり、33条は「周囲の状況によつて安全上支障がない場合」というただし書で個別に外れるのに対し、34条2項は「政令で定めるものを除く」という形で用途や構造の類型ごとにあらかじめ外す仕組みです。同じ高さの規定でも、例外の作り方が個別判断か類型指定かで分かれます。
どちらがどちらかを取り違えないための手がかりは、設備の置かれる場所です。避雷設備は建物の頂部で雷を受けるための設備、非常用昇降機は建物の内部に用意して消防隊が上がっていくための設備です。外から届かなくなるほど高い建物にだけ内部の昇降機を求める、という順序で考えれば、低いほうの20メートルが避雷設備、高いほうの31メートルが非常用昇降機だと出てきます。
そして31メートルという数字は、56条1項2号ロの隣地斜線制限の立ち上がりにも同じ形で出てきます。31メートルを見たら非常用昇降機と隣地斜線の二つを思い出す、という結びつけをしておくと、片方から他方を引き出せます。20メートルも同様で、避雷設備の33条と、隣地斜線の立ち上がり20メートル(56条1項2号イ)の二つに出てきます。20と31が対になって二度現れる、という構造で覚えるのが確実です。
防火壁の1,000平方メートル超
26条は、延べ面積が1,000平方メートルを超える建築物について、防火上有効な構造の防火壁または防火床によって有効に区画し、各区画における床面積の合計をそれぞれ1,000平方メートル以内としなければならないと定めます。耐火建築物または準耐火建築物、卸売市場の上家や機械製作工場など火災の発生のおそれが少ない一定の建築物、そして畜舎等で一定の要件を満たすものは除かれます。
大きな建物を一つの空間のまま放置すると火災が全体に回るため、一定面積ごとに区切って延焼を止めるという発想です。1,000平方メートルという数字が二度出てくる点に注意します。区画が必要になる規模の基準としての1,000平方メートル超と、区画の大きさの上限としての1,000平方メートル以内です。同じ数字ですが「超」と「以内」で向きが逆になっており、ここを入れ替えた選択肢が作られます。次に見る防火地域の100平方メートルとは桁が一つ違うだけなので、対象が違うことも意識して覚えます。
- 採光の割合は法28条1項が5分の1から10分の1までの幅を示し、住宅の居室は施行令19条3項で7分の1
- 換気は法律に直接20分の1。換気設備を設ければ適用されない
- 天井の高さは2.1メートル以上、平均で測る(施行令21条)
- 避雷設備は20メートル超、非常用昇降機は31メートル超
防火地域・準防火地域の数字
防火地域の3階以上または100平方メートル超
61条1項は性能規定の形を採っており、具体的な規模の区分は施行令136条の2に置かれています。同条1号は、防火地域内にある建築物で階数が3以上のものまたは延べ面積が100平方メートルを超えるもの、および準防火地域内にある建築物で地階を除く階数が4以上のものまたは延べ面積が1,500平方メートルを超えるものについて、耐火建築物等に相当する技術的基準を求めます。
100平方メートルという小さな数字が使われているのは、防火地域が市街地の中心部など火災の危険が特に大きい区域に指定されるためです。小さな建物であっても燃えれば周囲に燃え移るので、規制の網が細かくなっています。防火地域の階数は「階数が3以上」と地階を含めて数えるのに対し、準防火地域は「地階を除く階数が4以上」と地階を除いて数える点も、細かいですが条文どおりの違いです。
準防火地域の1,500平方メートル超と500平方メートル超
施行令136条の2第2号は、準耐火建築物等に相当する基準を求める区分です。ここに三つの類型が入ります。防火地域内にある建築物のうち階数が2以下で延べ面積が100平方メートル以下のもの、準防火地域内で地階を除く階数が3で延べ面積1,500平方メートル以下のもの、そして準防火地域内で地階を除く階数が2以下で延べ面積が500平方メートルを超え1,500平方メートル以下のものです。1号の裏返しにあたる防火地域の小規模建築物がここに入っている点は落としやすいところで、防火地域内であれば階数2以下の100平方メートル以下の建物でも準耐火建築物等に相当する基準がかかります。防火地域に無規制の帯はありません。同条3号・4号は、準防火地域内で地階を除く階数が2以下・延べ面積500平方メートル以下のものについて、木造建築物等かどうかで分けたうえで、外壁・軒裏や開口部についての基準を求めます。
防火地域の100平方メートルに対して準防火地域が1,500平方メートルと大きく開いているのは、準防火地域が防火地域の外側に指定される、危険度の一段低い区域だからです。数字の大小は危険度の大小に対応している、と押さえます。階数の基準も、防火地域が3階以上であるのに対し準防火地域は4階以上と一段緩くなっています。同じ方向に緩くなっているので、片方を覚えればもう片方も推測できます。防火規制の全体像は防火地域・準防火地域を参照してください。
なお61条1項ただし書は、門または塀で高さ2メートル以下のもの、および準防火地域内にある建築物(木造建築物等を除く)に附属する門・塀を、この規制から外しています。施行令136条の2第5号は逆に、高さが2メートルを超える門または塀で、防火地域内にある建築物に附属するものまたは準防火地域内にある木造建築物等に附属するものについて、延焼防止上支障のない構造であることを求めます。2メートルという高さは、それを超えると門や塀が延焼の経路になりうる、という線引きです。
地域をまたぐ場合と、看板の3メートル
65条は、建築物が二つの地域にまたがる場合の処理を定めます。厳しいほうに揃えるのが原則で、防火壁で区画すればその外側は別扱いになる、という構造です。ここで数字の観点から押さえておきたいのは、主語が「建築物」であって「敷地」ではない点だけです。敷地がまたぐ場合の処理は先に見た53条7項・8項で、あちらは加算や適用除外を受けやすくする方向、つまり有利なほうに揃います。65条1項と2項のただし書の効果の違いを含め、構造規制の中身は防火地域・準防火地域に譲ります。
64条は、防火地域内にある看板、広告塔、装飾塔その他これらに類する工作物で、建築物の屋上に設けるものまたは高さ3メートルを超えるものについて、その主要な部分を不燃材料で造り、または覆わなければならないと定めます。この3メートルという数字と、対象が防火地域内に限られ準防火地域を含まないことの両方が問われます。屋上に設けるものは高さを問わず対象になる点も落としやすいところです。看板が燃えて火の粉が飛ぶことを防ぐ規定なので、高い位置にあるものほど危険だという理屈で、屋上なら高さ不問、地上なら3メートル超という線引きになっています。
なお63条は、防火地域または準防火地域内にある建築物で、外壁が耐火構造のものについて、その外壁を隣地境界線に接して設けることができると定めています。民法234条1項が建物を築造するには境界線から50センチメートル以上の距離を保たなければならないと定めているのに対する特則で、最高裁も、建築基準法63条(当時の65条)は防火地域または準防火地域内にある外壁が耐火構造の建築物について民法234条1項の規定の適用を排除する趣旨であると判断しています(最判平成元年9月19日)。50センチメートルという数字は民法側のものだ、という切り分けまで含めて押さえます。
- 防火地域は階数3以上または100平方メートル超で耐火建築物等。階数2以下かつ100平方メートル以下でも準耐火建築物等(施行令136条の2第2号)
- 準防火地域は地階を除く階数4以上または1,500平方メートル超で耐火建築物等
- またぐ場合は厳しいほうに揃える。看板の3メートルは防火地域のみ(64条)
- 63条は民法234条1項の50センチメートルに対する特則
建築確認と検査の数字
対象となる規模
6条1項は建築確認が必要な建築物を号ごとに定めています。第1号は、別表第一(い)欄に掲げる用途に供する特殊建築物で、その用途に供する部分の床面積の合計が200平方メートルを超えるもの。第2号は、第1号に掲げる建築物を除くほか、2以上の階数を有し、または延べ面積が200平方メートルを超える建築物。第3号は、これら以外で都市計画区域、準都市計画区域などの内における建築物です。
この区分は改正されており、かつては木造について「3階以上、延べ面積500平方メートル超、高さ13メートル超、軒の高さ9メートル超」という基準があり、非木造とは別の号で扱われていました。現在は木造と非木造の区別がなくなり、階数2以上または200平方メートル超という共通の基準に整理されています。古い教材や過去問の解説には旧区分が残っているので、数字を覚え直す際は注意が必要です。200平方メートルという数字が1号と2号の両方に出てきますが、1号は「その用途に供する部分の床面積の合計」、2号は「延べ面積」であり、測る対象が違います。特殊建築物では、建物全体ではなく特殊建築物としての用途に使われている部分だけを足す点が要注意です。建築確認の手続全体は建築確認の手続き、開発許可との違いは開発許可と建築確認の違いで扱っています。
増改築の10平方メートル以内
6条2項は、防火地域および準防火地域外において建築物を増築、改築、移転しようとする場合で、その部分の床面積の合計が10平方メートル以内であるときは、確認を要しないと定めます。
ここで重要なのは、防火地域または準防火地域「内」であれば、面積の大小にかかわらず確認が必要になるという点です。1平方メートルの増築でも確認が要ります。防火地域内は小さな増築でも延焼の危険に関わるため、面積による適用除外を認めていないわけです。「防火地域内でも10平方メートル以内なら確認不要」という選択肢は誤りです。
もう一つ、6条1項柱書の括弧書きにも注意します。第1号または第2号の建築物を増築しようとする場合には、増築後において第1号または第2号に規定する規模のものとなる場合が含まれます。もともと150平方メートルの建物に60平方メートルを増築して210平方メートルになるなら、増築後の規模で2号に当たるので確認が要る、という読み方です。増築部分だけを見て判断しない、という点が問われます。
確認済証の35日と7日
6条4項は、建築主事等が申請書を受理した場合の確認済証の交付期限を定めています。第1号および第2号に係るものは受理した日から35日以内、第3号に係るものは7日以内です。
規模が大きく審査項目が多いものに長い期間、小規模なものに短い期間が割り当てられている、という対応関係です。35日と7日という数字自体より、どちらがどちらに対応するかを取り違えないことが大事です。
さらに6条6項は、一定の場合に、35日の範囲内で4項の期間を延長できると定めています。延長の幅も35日なので、最長で70日になる計算です。この場合、その旨と延長する期間、理由を記載した通知書を4項の期間内に交付しなければなりません。「35日」が原則の期間としても延長の幅としても出てくる、という重複を知っておくと、選択肢の読み違いを防げます。
完了検査の4日以内と7日以内、中間検査の4日以内
7条1項は工事を完了したときの完了検査の申請を求め、2項がその申請は工事が完了した日から4日以内に建築主事等に到達するようにしなければならないと定めます。7条4項は、申請を受理した日から7日以内に検査をしなければならないと定めます。
中間検査については7条の3が定めており、2項で特定工程に係る工事を終えた日から4日以内に到達するように申請すること、4項で申請を受理した日から4日以内に検査をすることを求めています。つまり、申請側はどちらも4日ですが、検査側は完了検査が7日、中間検査が4日で違います。「申請する側が4日、検査する側が7日」という覚え方は完了検査には当てはまりますが、中間検査には当てはまりません。中間検査は工事の途中で行うもので、検査を待つ間は次の工程に進めないため、行政の側にも短い期限が課されている、と理解すると混乱しません。
なお7条2項ただし書は、申請をしなかったことについて国土交通省令で定めるやむを得ない理由があるときの例外を置き、3項でその理由がやんだ日から4日以内に到達するようにすればよいとしています。起算点がずれるだけで4日という長さは変わりません。
検査済証と使用開始
7条の6第1項は、6条1項1号または2号に掲げる建築物を新築する場合、およびこれらの建築物(共同住宅以外の住宅と居室を有しない建築物を除く)の増築・改築・移転・大規模の修繕・大規模の模様替の工事で避難施設等に関する工事を含むものをする場合について、検査済証の交付を受けた後でなければ使用し、または使用させてはならないと定めます。ただし、特定行政庁が支障がないと認めたとき、建築主事等または指定確認検査機関が国土交通大臣の定める基準に適合していると認めたとき、または完了検査の申請が受理された日から7日を経過したときは、検査済証の交付前でも仮に使用できます。
7日という数字は、7条4項の検査期限と同じ長さです。行政が7日以内に検査しなければならないのだから、7日経っても検査が終わらないなら使わせてよい、という対応関係になっています。制度が7日という期限を自分に課しているからこそ、7日で使用を認められる。数字の一致には理由があります。
小規模な第3号建築物には、この使用制限がありません。ここでも、規模が大きいものほど手続が重いという一貫した設計になっています。
用途変更の200平方メートル超
87条1項は、建築物の用途を変更して6条1項1号の特殊建築物、つまり用途部分の床面積が200平方メートルを超える特殊建築物とする場合について、建築確認の規定を準用します。ただし、政令で定める類似の用途相互間の変更は除かれます。
用途変更については7条1項が読み替えて準用され、工事が完了したときは建築主事等に「届け出なければならない」とされています。確認は要るが完了検査は要らない、という非対称が問われます。工事の中身が用途の変更に伴うものにとどまり、構造や設備が新築同様に問われるわけではないため、検査ではなく届出で足りるという整理です。
- 第1号は特殊建築物の用途部分200平方メートル超、第2号は階数2以上または延べ面積200平方メートル超
- 増改築10平方メートル以内の例外は防火地域・準防火地域外に限られる
- 確認済証は35日と7日、35日の範囲で延長可。完了検査は申請4日・検査7日、中間検査は申請4日・検査4日
一時的なものと、建築物でないものの数字
仮設建築物の1月・3月・1年・2年
85条は仮設建築物についての緩和を定めており、期間の数字が集中しています。1項は、非常災害があった場合に、非常災害区域等の内において、災害により破損した建築物の応急の修繕、または一定の応急仮設建築物の建築でその災害が発生した日から1月以内に工事に着手するものについて、建築基準法令の規定を適用しないとします。ただし防火地域内に建築する場合は除かれます。この応急仮設建築物には、国・地方公共団体・日本赤十字社が災害救助のために建築するものと、被災者が自ら使用するために建築するもので延べ面積が30平方メートル以内のものが挙げられています。
2項は、災害があった場合に建築する停車場・官公署などの応急仮設建築物と、工事現場に設ける事務所・下小屋・材料置場などの仮設建築物について、建築確認から完了検査までの規定(6条から7条の6まで)や、防火壁の26条、避雷設備の33条、非常用昇降機の34条2項、そして集団規定である第3章の規定を適用しないとしています。ただし書に数字が一つ入っており、防火地域または準防火地域内にある延べ面積が50平方メートルを超えるものについては、屋根の構造を定める62条の適用があります。工事現場の仮設事務所であっても、市街地の防火地域で一定の規模を超えれば屋根だけは規制される、という線引きです。1項の30平方メートルが被災者の自用の応急仮設建築物の上限であるのに対し、2項の50平方メートルは屋根の規制が復活する下限で、向きが逆である点に注意します。
3項は、応急仮設建築物を建築した者が、工事を完了した後3月を超えて存続させようとする場合に、その超えることとなる日前に特定行政庁の許可を受けなければならないとし、4項でその許可は2年以内の期間を限って行うとしています。5項は、特別の必要がある場合にさらに1年を超えない範囲で延長できるとします。6項は、仮設興行場、博覧会建築物、仮設店舗その他これらに類する仮設建築物について、特定行政庁が1年以内の期間を定めて建築を許可できるとしています。
1月は着手までの期限、3月は許可なしで存続できる期間、2年は許可による存続期間、1年は延長と仮設興行場等の期間。長さの順に並べると意味の順にもなっている、という点を手がかりにします。宅建試験での出題頻度は高くありませんが、他の法令の期間と混ざりやすい数字です。
工作物の6メートル・15メートル・4メートル・8メートル・2メートル
88条1項は、煙突、広告塔、高架水槽、擁壁その他これらに類する工作物で政令で指定するものについて、建築確認などの規定を準用します。その指定が施行令138条1項にあり、高さが6メートルを超える煙突、高さが15メートルを超える鉄筋コンクリート造の柱・鉄柱・木柱等(旗ざおを除く)、高さが4メートルを超える広告塔・広告板・装飾塔・記念塔等、高さが8メートルを超える高架水槽・サイロ・物見塔等、高さが2メートルを超える擁壁が挙げられています。
数字が5つ並びますが、倒れたときにどこまで届くか、と考えると順序に意味が出ます。細長くて倒れやすい煙突は6メートル、太くて丈夫な柱は15メートル、面で風を受ける広告塔は4メートル、水を貯めて重い高架水槽は8メートル、崩れれば土砂を出す擁壁は2メートルです。
擁壁の2メートルは、盛土規制法の規制対象となる崖の高さと同じ数字なので、混同しやすいところです。盛土規制法側の数字の整理は盛土規制法と造成宅地防災区域と特定盛土等規制区域にあります。ただし88条4項により、盛土規制法や都市計画法などの規定による許可を受けなければならない場合の擁壁については、建築確認等の準用は適用されません。二重に手続をさせない、という調整規定です。
建築協定の3年と過半数
建築協定は数字の少ない分野ですが、二つだけ押さえます。70条3項により、建築協定書については土地の所有者等の全員の合意が必要です。これに対し76条1項は、認可を受けた建築協定を廃止する場合には、その過半数の合意をもって足りるとします。作るときは全員、やめるときは過半数、という非対称です。協定は所有者の権利を縛るものなので、縛りを作るには全員の同意が要るが、縛りを外すのは多数決でよい、という理屈です。
もう一つが76条の3の一人協定です。一の所有者以外に土地の所有者等が存しない土地について定められた建築協定は、認可の日から起算して3年以内に当該建築協定区域内の土地に2以上の土地の所有者等が存することとなった時から、通常の建築協定と同一の効力を有するとされます。分譲前の土地に開発業者があらかじめ協定を定めておく仕組みで、3年という期限は、いつまでも効力が宙に浮いた協定が残らないようにするためのものです。建築協定の制度そのものは建築基準法の全体像で扱っています。
- 仮設建築物は着手1月以内、存続3月まで、許可で2年以内、延長1年以内
- 工作物は煙突6メートル、柱15メートル、広告塔4メートル、高架水槽8メートル、擁壁2メートル
- 建築協定は締結が全員の合意、廃止が過半数。一人協定の効力発生は3年以内
試験での出題ポイント
数字の入れ替え
最も多いのが、隣接する数字をそのまま入れ替える形です。接道の2メートルと道路の4メートル、採光の7分の1と換気の20分の1、容積率の10分の4と10分の6、避雷設備の20メートルと非常用昇降機の31メートル。いずれも、対象が何かを言えれば防げます。数字だけを覚えず、必ず対象とセットで記憶します。
境界の向きの反転
「以上」「超」「未満」「以下」の入れ替えも定番です。接道は2メートル「以上」、道路は4メートル「以上」、前面道路による容積率制限は12メートル「未満」、防火地域の耐火義務は100平方メートル「超」、増改築の確認不要は10平方メートル「以内」、日影規制の対象は軒高7メートル「超」。特に容積率の12メートルは「未満」で制限がかかるという向きなので、12メートルちょうどの道路には制限がかからない点まで確認しておきます。26条の防火壁のように、同じ1,000平方メートルが「超」と「以内」の両方で使われる条文もあります。こうした表現の操作は建築基準法に限らず出るので、型としては引っかけ表現のパターンにまとめてあります。
適用地域の置き換え
数字は合っているのに地域が違う、という形です。絶対高さ制限を中高層住居専用地域に適用させる形、隣地斜線制限を低層住居専用地域に適用させる形、日影規制を商業地域に適用させる形が代表です。数字を覚えるときに、どの地域で働く数字かを一緒に覚えます。地域名そのものの整理は用途地域13種の覚え方が使えます。
常に適用されるかどうか
角地の10分の1加算には特定行政庁の指定が必要であり、外壁後退の1.5メートルまたは1メートルは都市計画で定められた場合にのみかかります。日影規制も、別表第4の(い)欄の地域について地方公共団体が条例で区域を指定して初めて働きます。「常に」「当然に」という言葉が入った選択肢は、この条件の有無を疑ってかかります。
逆に、55条の絶対高さ制限は都市計画で10メートルか12メートルかが選ばれるだけで、制限そのものは三つの地域に必ずかかります。「都市計画で定められた場合に限り高さの限度がかかる」という選択肢は誤りになります。54条と55条は隣り合っているのに、この点が正反対です。
加算と適用除外の混同
建ぺい率が10分の8の地域で防火地域内の耐火建築物等を建てる場合、10分の9になるのではなく制限が適用されません。加算の話と適用除外の話を混ぜる出題は繰り返し出ます。53条3項(加算)、53条6項(適用除外)、53条7項・8項(敷地がまたぐ場合のみなし)の三つが同じ条文に同居しているため、項番号まで意識して読む習慣をつけます。
同じ数字が別の役割で出る型
12メートルは、容積率の前面道路制限がかかるかどうかの境界(52条2項)でもあり、道路斜線の勾配が緩和されるかどうかの境界(56条3項)でもあり、屋上部分の高さ不算入の限度(施行令2条1項6号ロ)でもあります。10メートルは、絶対高さ制限の限度(55条1項)でもあり、日影規制の対象建築物の基準(別表第4)でもあり、北側斜線の中高層住居専用地域における立ち上がり(56条1項3号)でもあります。200平方メートルは、建築確認の規模(6条1項1号・2号)でもあり、敷地面積の最低限度の上限(53条の2第2項)でもあります。
同じ数字を見たときに「どの制度の話か」を確認する癖がついていないと、正しい選択肢を誤りだと判断してしまいます。数字を覚える単位を「数字」ではなく「条文番号+数字+対象」に変えるのが対策です。
旧基準による出題対策
建築確認の対象規模は改正されており、木造について3階以上や500平方メートル超といった旧基準を前提とする記述は現行法に合いません。古い数字を覚えたままだと、正しい選択肢を誤りだと判断してしまいます。数字を確認するときは、必ず出題年度の基準日時点の条文に当たります。法令上の制限全体の頻出度は法令上の制限の頻出論点ランキングで確認できます。
覚え方・整理の仕方
似た数字を対にして意味の差を言う
数字を単独で覚えるのではなく、混ざりやすい相手とペアにして、両者の違いを一文で言えるようにします。
2メートルと4メートルは、敷地が接する長さと道路の幅員という対象の違いです。7分の1と20分の1は、採光と換気という目的の違いで、光は大きく風は小さくと結びつけます。10メートルと12メートルは、どちらも絶対高さの選択肢であり対立するものではなく、都市計画でどちらかが選ばれ、条件を満たせば10メートルから12メートルへ移れるという関係です。10分の4と10分の6は、住居系と非住居系の規制の厳しさの違いで、厳しいほうが小さい数字です。20メートルと31メートルは、建物の頂部に置く避雷設備(33条)と、建物の内部に置く非常用昇降機(34条2項)という設備の置き場所の違いです。100平方メートルと1,500平方メートルは、防火地域と準防火地域の危険度の違いです。7メートルと10メートルは、日影規制の対象を軒高と階数で捉えるか高さで捉えるかの違いで、別表第4の一の項(低層住居専用地域2つと田園住居地域)と、四の項イが選ばれた用途地域の指定のない区域が前者、二の項・三の項と四の項ロが後者です。用途地域の指定のない区域には絶対高さ制限がないのに軒高7メートル超の基準を選べるので、「絶対高さ制限のある地域だけが軒高で捉えられる」とまとめると誤ります。
ペアで言えるようになると、片方を思い出せばもう片方も出てきます。
数字を「何を守るためか」に還元する
建築基準法の数字は、避難、消防、採光、通風、日照、延焼防止といった目的のどれかに結びついています。接道の2メートルは避難と消防、道路の4メートルは緊急車両、絶対高さと北側斜線は日照、日影規制は冬至日の日照、防火地域の100平方メートルは延焼防止、防火壁の1,000平方メートルは延焼の遮断です。
思い出せない数字が出てきたら、まず何を守る規制かを考えます。目的が分かれば、極端に大きい数字や小さい数字は候補から外せます。避難のための幅が10メートルであるはずがなく、延焼防止のための面積が10平方メートルであるはずもありません。この絞り込みは正解を一発で当てるためのものではなく、明らかにおかしい選択肢を消して二択にするためのものです。二択まで持ち込めれば、他の知識で決着がつく場面が増えます。
数字の出どころが法律か政令かを分ける
建築基準法の数字は、法律本体に書かれているものと、施行令に委ねられているものがあります。採光の7分の1は施行令19条3項、天井の高さ2.1メートルは施行令21条1項、防火地域の100平方メートルは施行令136条の2、延べ面積不算入の5分の1や100分の1は施行令2条です。一方、接道の2メートル、道路の4メートル、容積率の10分の4と10分の6、絶対高さの10メートルと12メートル、避雷設備の20メートル、非常用昇降機の31メートルは法律本体です。
この区別を知っておくと、条文を確認するときに探す場所が分かるだけでなく、「法28条1項が7分の1と定めている」という書き方の選択肢に引っかからずに済みます。法律が幅を示し政令が具体的な割合を定める、という構造そのものが問われることもあります。
手続の日数は行為ごとに分ける
建築確認まわりの日数は、誰がする行為かで分けたうえで、検査の種類でもう一段分けます。申請する側の期限は完了検査も中間検査も4日以内。検査する側の期限は完了検査が7日以内、中間検査が4日以内。確認済証の交付が35日または7日で、35日は延長の幅としても出てきます。仮使用が認められる7日経過は、完了検査の7日と対応しています。行為の主体と検査の種類の二軸で区切ると、4日と7日の取り違えが減ります。
数字を書き出して空欄を見つける
紙の左に「接道」「道路幅員」「2項道路」「建ぺい率の加算」「敷地面積の最低限度」「容積率の乗数」「延べ面積の不算入」「絶対高さ」「外壁後退」「隣地斜線」「北側斜線」「日影規制」「採光」「換気」「天井高」「避雷設備」「非常用昇降機」「防火壁」「防火地域」「準防火地域」「看板」「建築確認」「完了検査」「中間検査」「用途変更」と縦に書き、右に数字と適用地域と条文番号を埋めていきます。埋まらない欄が、次に読むべき箇所です。この訓練は法令上の制限の他の法律にも使えます。数字全般の覚え方は法令上の制限の暗記法、都市計画法側の数字は都市計画法の数字まとめにまとめてあります。
語呂は最後の呼び出しに使う
語呂合わせは記憶の引き金としては有効ですが、語呂だけが残って中身が出てこない状態になりがちです。語呂で数字を呼び出したら、必ず「どの条文の、何についての、どちら向きの数字か」まで文の形に戻す。この一手間を習慣にすると、問われ方が変わっても崩れません。どういう数字に語呂が向き、どういう数字には向かないかは宅建の語呂合わせで整理しています。
理解度チェッククイズ
Q1. 建築物の敷地は、幅員2メートル以上の道路に4メートル以上接しなければならない。○か×か。
答えを見る
×。数字が入れ替わっています。43条1項が求めるのは、敷地が道路に2メートル以上接することです。そして42条1項の道路は原則として幅員4メートル以上(特定行政庁が都道府県都市計画審議会の議を経て指定する区域内では6メートル以上)のものを指します。2メートルは敷地が接する長さ、4メートルは道路そのものの幅員であり、対象が異なります。接する長さの2メートルは担架や消防隊が通れる幅、道路の4メートルは緊急車両が通行できる幅という趣旨から来ています。Q2. 前面道路の幅員が6メートルである第一種住居地域内の敷地について、都市計画で定められた容積率が10分の30である場合、この敷地の容積率の上限は10分の30である。○か×か。
答えを見る
×。前面道路の幅員が12メートル未満であるため、52条2項による制限がかかります。第一種住居地域は同項2号に当たり乗数は10分の4なので、6かける10分の4で10分の24、つまり240パーセントが道路による上限です。指定容積率の10分の30すなわち300パーセントと比べて小さいほうを取るため、上限は240パーセントになります。前面道路が12メートル以上であれば道路による制限はかからず、指定容積率がそのまま上限になります。12メートル未満かどうかを最初に確認する手順を省くと、この設問を落とします。Q3. 第一種低層住居専用地域内の建築物には、絶対高さ制限に加えて隣地斜線制限も適用される。○か×か。
答えを見る
×。隣地斜線制限(56条1項2号)は、第一種・第二種低層住居専用地域および田園住居地域には適用されません。同号のイからニまでに、これらの地域が挙げられていないためです。実質的な理由は、これらの地域では55条1項の絶対高さ制限により10メートルまたは12メートルという上限がすでにかかっており、立ち上がり20メートルから始まる隣地斜線が働く場面がないことにあります。数字を暗記していなくても、絶対高さ制限の存在から導けます。なお北側斜線制限はこれらの地域にも適用され、立ち上がりは5メートルです。Q4. 防火地域内において、延べ面積が8平方メートルの物置を増築する場合、建築確認を受ける必要はない。○か×か。
答えを見る
×。6条2項が定める10平方メートル以内の増改築についての適用除外は、防火地域および準防火地域「外」において行う場合に限られます。防火地域内または準防火地域内であれば、面積の大小にかかわらず建築確認が必要です。小規模な増築であっても延焼の危険に関わるため、面積による例外を認めていません。「10平方メートル以内なら確認不要」という部分だけを覚えていると、この場所の要件で誤ります。なお防火地域外であっても、増築後の規模が6条1項1号または2号に当たることとなる場合は、同項柱書の括弧書きにより確認の対象になります。Q5. 住宅の居室には、床面積に対して20分の1以上の採光に有効な開口部を設けなければならない。○か×か。
答えを見る
×。住宅の居住のための居室の採光に有効な開口部は、床面積の7分の1以上です。条文の構造としては、28条1項が5分の1から10分の1までの間で居室の種類に応じ政令で定める割合以上とし、これを受けた施行令19条3項が住宅の居住のための居室について7分の1と定めています。20分の1は28条2項が定める換気に有効な開口部の割合であり、二つが入れ替えられています。採光は部屋の奥まで光を届ける必要があるため大きな開口部を要し、換気は空気が入れ替わればよいため小さくて済む、という違いから区別します。なお換気については、政令で定める技術的基準に従った換気設備を設けた場合には、この割合による制限は適用されません。まとめ
建築基準法の数字は、量が多いこと自体が難しさの本体ではありません。似た数字が意味の説明なしに並んでいることが、取り違えを生んでいます。したがって覚える単位は数字ではなく、「どの条文の、何についての、どの地域で働く、どちら向きの数字か」という一組にします。
優先して固めるべきは、接道の2メートルと道路の4メートル、容積率の10分の4と10分の6、絶対高さの10メートルと12メートル、防火地域の階数3以上または100平方メートル超の四つです。この四組は出題頻度が高く、判断も一瞬で終わります。次に、採光の7分の1と換気の20分の1、日影規制の軒高7メートル超と高さ10メートル超、建築確認の200平方メートルと期間の数字を加えます。ここまでで、建築基準法の数字を問う選択肢の大半は処理できます。
そして、数字が思い出せないときは規制の目的に戻ってください。避難のための幅、緊急車両のための幅、日照のための高さ、延焼防止のための面積。目的から考えれば、少なくとも桁を間違えることはなくなります。目的から出発して条文に戻る往復を繰り返すうちに、数字は覚えるものではなく導けるものに変わっていきます。
宅建試験AIブートラボのアプリでは、法令上の制限の肢別トレーニングと年度別過去問演習に取り組めます。
都市計画法・建築基準法・農地法は数字の暗記が中心です。繰り返しの肢別トレーニングが一番効きます。