自己の所有に属しない物件の売買制限
宅建業法33条の2を、本文の禁止と2つの例外に分けて解説。予約は可・停止条件付きは不可の理由、施行規則15条の6が定める4つの場合、違反しても契約が無効にならない根拠まで条文で整理します。
目次
この記事は、宅地建物取引業法33条の2が定める、自己の所有に属しない宅地建物についての売買契約締結の制限を扱います。8種制限の全体像は8種制限の全体像、どういう場面で8種制限が外れるかは8種制限が適用されない場合にあります。この記事では33条の2そのものを、本文の禁止と2つの例外に分けて掘り下げます。
結論を先に述べます。33条の2は「他人物売買の禁止」という名前で覚えられがちですが、その理解では出題に対応できません。条文の構造は、本文で原則を禁じ、ただし書で2つの例外を置く、という三層になっています。そして出題されるのは、ほぼ例外の側です。1号の「取得する契約を締結しているとき」の括弧書きに何が含まれ何が除かれるか、2号の保全措置がどの範囲で働くか。ここを条文の文言で押さえていないと、正誤の判断ができません。
もう一つ、この制度を理解するうえで外せない前提があります。民法では他人の物を売る契約は有効です。民法561条が、他人の権利を売買の目的としたときは売主がその権利を取得して買主に移転する義務を負う、と定めています。契約自体は成立し、売主に義務が生じる。にもかかわらず、宅建業法は業者が自ら売主となる場面でだけ、この契約の締結そのものを禁じました。民法上有効な契約を、業法が行為規制として禁じている。この二層構造が、33条の2のすべての論点の出発点になります。
33条の2の条文構造
本文が禁じていること
条文を正確に読みます。
宅地建物取引業法33条の2(自己の所有に属しない宅地又は建物の売買契約締結の制限)
「宅地建物取引業者は、自己の所有に属しない宅地又は建物について、自ら売主となる売買契約(予約を含む。)を締結してはならない。ただし、次の各号のいずれかに該当する場合は、この限りでない。」
本文だけで四つの要素が決まっています。
第一に、対象は「自己の所有に属しない宅地又は建物」です。業者が所有権を持っていない物件、という意味です。所有権を持っていれば、抵当権が付いていようと賃借権が付着していようと、33条の2の問題は生じません。負担付きの所有権もまた所有権だからです。
第二に、禁じられているのは「自ら売主となる売買契約」の締結です。業者が売主の立場に立つ場面に限られます。媒介や代理として関与する場合は含まれません。
第三に、「予約を含む」と明記されています。本契約だけでなく、売買の予約を締結することも禁止の対象です。予約なら本契約ではないから許される、という抜け道は塞がれています。
第四に、ただし書が「次の各号のいずれかに該当する場合」としています。1号と2号は選択的な関係で、どちらか一方に該当すれば禁止は外れます。両方を満たす必要はありません。この「いずれか」という接続を「いずれにも」に書き換えてくる選択肢があります。
例外は2つ
1号は、業者がその物件を取得する契約を締結しているときなど、取得できることが明らかな場合です。2号は、その売買が41条1項に規定する売買(工事完了前の売買)に該当する場合で、保全措置が講じられているときです。
1号は「取得の確実性」を理由とする例外、2号は「金銭の保全」を理由とする例外です。性質がまったく違います。1号は業者が物件を手に入れられる見込みが確かだから許すという発想で、2号は物件を手に入れられなかったとしても買主の支払った金銭は戻ってくるから許すという発想です。この違いを押さえておくと、それぞれの例外がどこまで働くかを自分で導けます。
保護されているのは誰か
制度の趣旨を確認しておきます。業者が所有していない物件を売った場合、買主は代金を支払っても物件を取得できないおそれがあります。売主である業者が真の所有者から物件を取得できなければ、買主に引き渡すこともできません。
民法の世界では、この場合買主は債務不履行として救済を求めることになります。履行が不能であれば542条1項1号により催告なしに契約を解除でき、415条により損害賠償を請求できます。しかしこれらはいずれも事後的な救済であって、買主が本当に欲しかった物件そのものは手に入りません。代金を取り戻すために訴訟を起こす負担も、業者に資力がなければ回収できないリスクも、すべて買主が負います。
宅建業法は、この事後的な救済に頼らせない道を選びました。契約の入口で、業者にそもそもそういう契約をさせない。取引のプロである業者と、物件の権利関係を自力で調査できない一般の買主との情報格差を踏まえた規制です。だからこそ、買主も業者である場合には適用が外れます。プロ同士なら自分で判断できるからです。
民法の他人物売買との二層構造
民法561条は契約を有効とする
民法561条(他人の権利の売買における売主の義務)
「他人の権利(権利の一部が他人に属する場合におけるその権利の一部を含む。)を売買の目的としたときは、売主は、その権利を取得して買主に移転する義務を負う。」
条文は「売主は、その権利を取得して買主に移転する義務を負う」と書いています。義務を負うということは、契約が有効に成立していることを前提としています。無効な契約から義務は生じません。他人の物を売る契約は、民法上は完全に有効です。
そして561条は権利の一部が他人に属する場合も含めています。共有持分の一部だけが他人のものである場合も、同じ扱いです。売主はその一部を取得して移転する義務を負います。
取得できなければ債務不履行になる
売主が権利を取得できなかった場合、契約が無効になるのではなく、債務不履行の問題として処理されます。買主は542条1項1号(債務の全部の履行が不能であるとき)により催告なしに解除でき、415条1項により損害賠償を請求できます。415条1項ただし書により、債務者の責めに帰することができない事由による場合は損害賠償が制限されますが、他人物を売ると決めたのは売主自身ですから、この免責が働く場面は限られます。
移転された権利が契約の内容に適合しない場合、たとえば権利の一部を移転できなかった場合については、565条が562条から564条までの規定を準用しています。契約不適合責任の枠組みで処理されるということです。契約不適合責任の全体像は契約不適合責任で扱っています。
業法は民法の上に規制を重ねている
ここが33条の2を理解する核心です。宅建業法33条の2は、民法上有効な契約を無効にする規定ではありません。業者に対して「そういう契約を締結してはならない」と行為を禁じる規定です。
だから二層構造になります。第一層は民法で、他人物売買は有効。第二層は業法で、業者が自ら売主となり買主が業者でない場合には、その契約の締結が禁じられる。禁止に反して締結してしまった契約が民法上どうなるかは、第一層の問題として別に考える必要があります。この点は後の節で詳しく扱いますが、結論だけ先に言えば、33条の2に違反しても契約は無効になりません。
この二層構造を理解していないと、「33条の2に違反した契約は無効である」という選択肢に引っかかります。業法が禁じているのだから無効だろう、という直感は自然ですが、条文はそう書いていません。
1号の例外 — 取得する契約を締結しているとき
括弧書きが要件を決めている
1号の前半を正確に読みます。
宅地建物取引業法33条の2第1号(前半)
「宅地建物取引業者が当該宅地又は建物を取得する契約(予約を含み、その効力の発生が条件に係るものを除く。)を締結しているとき」
括弧書きに二つの指示が入っています。予約は含む。効力の発生が条件に係るものは除く。この一文が、1号の出題のほぼすべてを決めています。
予約は含まれる
売買の予約とは何かを確認しておきます。
民法556条1項(売買の一方の予約)
「売買の一方の予約は、相手方が売買を完結する意思を表示した時から、売買の効力を生ずる。」
予約完結権を持つ者が完結の意思を表示すれば、それだけで売買の効力が生じます。相手方の承諾も、追加の合意も要りません。一方的な意思表示だけで本契約が成立する状態にあるということです。
だから業者が真の所有者から取得する予約を締結していれば、業者は自分の判断だけで物件を取得できます。取得できるかどうかが業者自身の意思にかかっているのであって、他人の意思や外部の事情に左右されない。この確実性が、予約を1号に含める理由です。
停止条件付きは除かれる
これに対し、効力の発生が条件に係る取得契約は除かれます。停止条件付きの取得契約のことです。
民法127条1項(条件が成就した場合の効果)
「停止条件付法律行為は、停止条件が成就した時からその効力を生ずる。」
停止条件付きの契約は、条件が成就するまで効力を生じません。条件が成就しなければ、業者は永久に物件を取得できない。そして条件が成就するかどうかは、多くの場合、業者の意思では決められません。融資が下りたら、農地転用の許可が下りたら、隣地との境界確定ができたら、といった外部の事情に依存します。
ここが予約との決定的な違いです。予約は業者の意思だけで確定に持ち込める。停止条件付き契約は業者の意思では確定に持ち込めない。したがって停止条件付き契約しか結んでいない業者が買主と売買契約を締結してしまうと、条件不成就の場合に買主が宙に浮きます。それを避けるために、1号から除いたのです。
「予約は可、停止条件付きは不可」という結論だけを暗記するのではなく、この理由まで押さえてください。理由が言えれば、条件と期限を取り違えた選択肢や、解除条件を持ち出した選択肢にも対応できます。条件・期限の民法上の扱いは条件と期限で整理しています。
なお、条文が除いているのは「その効力の発生が条件に係るもの」です。効力の発生にかかる条件、つまり停止条件を指しています。解除条件付きの取得契約は、契約の効力がすでに発生していて条件成就によって失効するという構造ですから、この括弧書きの文言には当たりません。条文の文言を「条件付きのものを除く」と大雑把に記憶していると、この区別ができなくなります。
交渉中や申込みだけでは足りない
1号が求めているのは「契約」を締結していることです。したがって次のものはいずれも1号に当たりません。
購入の交渉をしているだけの場合。当然です。相手方が売らないと言えばそれまでで、取得の見込みはまったく担保されていません。
購入の申込みをしただけの場合。申込みは意思表示の一方にすぎず、相手方の承諾があって初めて契約になります。承諾がない段階では契約が成立していません。
買い取る意思を口頭で伝えただけの場合。同じく契約に至っていません。
所有者との間で覚書や基本合意を交わしただけで、売買の内容が確定していない場合。売買契約としての効力を持たない文書であれば、1号の「取得する契約」には当たりません。
出題では、これらを「取得できる見込みが高い」「所有者は売却に応じる意向を示している」といった表現で示してきます。見込みや意向は契約ではありません。条文が要求しているのは契約の締結であって、蓋然性の高さではないという点を軸に判断してください。
1号の後半 — 施行規則15条の6が定める4つの場合
条文が省令に委任している
1号には後半があります。ここを読み飛ばしている受験者が多いところです。
宅地建物取引業法33条の2第1号(後半)
「その他宅地建物取引業者が当該宅地又は建物を取得できることが明らかな場合で国土交通省令・内閣府令で定めるとき。」
取得契約を締結していなくても、取得できることが明らかな場合として省令が定めるときは、例外に当たります。この省令が宅地建物取引業法施行規則15条の6で、4つの場合を列挙しています。
4つとも、共通する発想があります。業者はまだ所有権を持っていないが、法律の規定または契約の仕組みによって、将来取得することが制度上確定している。だから取得契約を個別に締結していなくても、1号の趣旨は満たされる、という整理です。以下、順に見ます。
1号 開発許可に伴う公共施設用地
施行規則15条の6第1号は、業者が開発許可を受けた開発行為またはその工事に係る宅地であって、公共施設の用に供されている土地で国または地方公共団体が所有するものについて、工事の進捗状況からみて都市計画法40条1項の適用を受けることが確実と認められるときを挙げています。
都市計画法40条1項は、開発許可を受けた開発行為により従前の公共施設に代えて新たな公共施設が設置されることとなる場合に、従前の公共施設の用に供していた土地で国または地方公共団体が所有するものは、工事完了の公告の日の翌日において開発許可を受けた者に帰属すると定めています。付け替えられる旧道路の敷地などが典型です。
つまり、いま所有しているのは国または地方公共団体ですが、工事が完了して公告がされれば、法律の規定によって自動的に業者へ帰属します。売買契約を結ぶ必要すらなく、当然に所有権が移る。取得契約がないのは、契約を要しない仕組みだからです。工事の進捗から見て確実だと認められるなら、取得契約を締結している場合と同等に扱ってよい、という判断になります。開発許可の制度は開発許可で扱っています。
2号 新住宅市街地開発事業
施行規則15条の6第2号は、業者が施行する新住宅市街地開発事業に係る宅地について、同じ構造の規定を置いています。新住宅市街地開発法29条1項の適用を受けることが確実と認められるとき、というものです。事業の進捗から見て法律上当然に帰属することが確実だという点で、1号とまったく同じ発想です。
3号 土地区画整理の保留地予定地
施行規則15条の6第3号は、土地区画整理法100条の2の規定により施行者が管理する土地、または大都市地域における住宅及び住宅地の供給の促進に関する特別措置法83条により同条が準用される住宅街区整備事業の施行者が管理する土地、すなわち保留地予定地について定めています。
要件は、業者が、換地処分の公告の日の翌日に施行者が取得することになるその保留地予定地を、施行者から取得する契約を締結しているときです。
ここは前の2つと構造が違います。施行者自身がまだ所有権を持っていないという点が特殊です。保留地は換地処分の公告の日の翌日に施行者が取得するものであって、それ以前は施行者が管理しているにすぎません。したがって業者が施行者と契約を結んでも、その時点では施行者も所有者ではない。通常の意味での「取得する契約」に当たるかが問題になりうるので、省令で明示的に救っているわけです。
将来施行者が取得することが法律上確定しており、かつ業者はその施行者から取得する契約を締結している。二段構えで確実性が担保されているので、例外として認められます。土地区画整理の仕組みは土地区画整理法で扱っています。
4号 業者が指定する者に所有権を移転する契約
施行規則15条の6第4号は、他の3つと毛色が違います。
その宅地建物について、業者が買主となる売買契約その他の契約であって、当該宅地建物の所有権を業者が指定する者(業者を含む場合に限る)に移転することを約するものを締結しているとき、というものです。
かみ砕くと、業者が真の所有者との間で「この物件の所有権は、私が指定する者に移転してください」という内容の契約を結んでいる場合です。括弧書きが「当該宅地建物取引業者を含む場合に限る」としているので、指定先の候補に業者自身が入っていなければなりません。
業者は所有権を自分で受け取ることもできるし、最終の買主を指定して直接そちらへ移転させることもできる。いずれにせよ、所有権の行き先を決める権限を業者が握っています。所有権が業者を経由するとは限りませんが、業者が売買契約の相手方に確実に所有権を移転させられる以上、買主が宙に浮くおそれはありません。だから1号の趣旨を満たすものとして省令が拾っています。
物件の権利がどう公示されるかという観点は不動産登記の基礎で扱っています。
4つに共通する見方
試験でこの4つの中身を細かく問われることは多くありません。しかし1号に「その他取得できることが明らかな場合で省令で定めるとき」という受け皿があること自体は、条文の読解として押さえておく価値があります。
そして4つを貫く発想は一つです。所有権をいま持っていなくても、法律の規定または契約の仕組みによって取得または移転が制度的に確定しているなら、取得契約と同等に扱う。1号の前半が求めていた「確実性」を、契約以外の形で満たしている場合を集めたのが、この4つだということです。
2号の例外 — 工事完了前の売買と保全措置
条文の要件は二重になっている
2号を正確に読みます。
宅地建物取引業法33条の2第2号
「当該宅地又は建物の売買が第四十一条第一項に規定する売買に該当する場合で当該売買に関して同項第一号又は第二号に掲げる措置が講じられているとき。」
要件が二つあります。第一に、その売買が41条1項に規定する売買に該当すること。第二に、41条1項1号または2号に掲げる措置が講じられていること。両方を満たさなければ2号には当たりません。
41条1項に規定する売買とは
41条1項は「宅地の造成又は建築に関する工事の完了前において行う当該工事に係る宅地又は建物の売買で自ら売主となるもの」を対象としています。工事完了前の物件、すなわち未完成物件の売買です。
したがって2号は、未完成物件の売買にしか働きません。完成している他人の物件を、保全措置を講じたからといって売ることはできません。ここは2号の射程を問う定番の出題です。「完成した建物について手付金等の保全措置を講じれば、他人の所有する当該建物を自ら売主として売却できる」という選択肢は誤りになります。完成物件の他人物売買を救えるのは1号だけです。
「自己の所有に属しない」に未完成物件が含まれる根拠
ここで一つ、条文の読み方として押さえておくべきことがあります。33条の2の本文は「自己の所有に属しない宅地又は建物」としか書いておらず、未完成物件を名指ししていません。それなのになぜ、未完成物件の話が出てくるのか。
根拠は2号の存在そのものです。2号は工事完了前の売買を例外として掲げています。例外とは、本文の禁止に触れる場面があるからこそ置かれるものです。もし工事完了前の売買が本文の射程外なら、2号を置く必要がありません。したがって条文は、工事完了前の物件が「自己の所有に属しない」ものとなりうることを前提にしている、と読めます。
裏返せば、業者がすでに所有している物件であれば、工事が完了していなくても本文の禁止に触れません。33条の2が問題にしているのはあくまで所有権の帰属であって、物理的な完成度そのものではないからです。この点を混同して「未完成物件は常に33条の2の制限を受ける」と覚えてしまうと、応用の効かない知識になります。
なお、未完成物件については別途36条が働きます。工事に必要な許可や確認を受ける前は、そもそも契約を締結できません。この点は後の節で扱います。
41条1項1号・2号に限られる
2号が求める措置は「同項第一号又は第二号に掲げる措置」です。41条1項1号は銀行等による保証、2号は保険事業者による保証保険です。
41条の2が定める指定保管機関による保管は、2号に挙げられていません。41条の2は「前条第一項に規定する売買を除く」売買、つまり完成物件の売買を対象とする条文ですから、そもそも未完成物件では使えません。指定保管機関による保管を講じたから33条の2の2号に当たる、という筋道は成り立たないということです。
条文の指示を正確に追うと、2号で使える保全措置は保証と保証保険の2つだけという結論になります。保全措置の種類・要否の判定・計算手順は手付金等の保全措置で詳しく扱っているので、そちらを参照してください。
1号と2号はいずれか一方でよい
本文のただし書は「次の各号のいずれかに該当する場合」です。1号と2号の両方を満たす必要はありません。
未完成の他人物であっても、業者が取得する契約を締結していれば1号だけで足ります。保全措置を講じる必要はありません。逆に取得契約がなくても、工事完了前の売買で保全措置が講じられていれば2号だけで足ります。
出題では「未完成物件を自ら売主として売却するには、取得契約の締結と保全措置の両方が必要である」という形で、選択的な関係を累積的な関係に書き換えてきます。条文の「いずれか」を確認してください。8種制限の要件で接続詞がすり替えられる出題は各所にあるので、8種制限の横断整理とあわせて確認しておくと安全です。
適用範囲 — 8種制限としての位置づけ
78条2項が適用を外す
33条の2は8種制限の一つです。8種制限の根拠は各条文ではなく78条2項にあります。
宅地建物取引業法78条2項
「第三十三条の二及び第三十七条の二から第四十三条までの規定は、宅地建物取引業者相互間の取引については、適用しない。」
買主が宅建業者である場合、33条の2は適用されません。業者間であれば、取得契約を締結していない他人物を売ることも、保全措置を講じずに未完成物件を売ることも、宅建業法上は自由です。プロ同士なら権利関係を自分で調査でき、リスクを引き受けるかどうかも自分で判断できるからです。
78条2項が名指しで外しているのは33条の2と37条の2から43条までだけであり、それ以外の宅建業法の規定は業者間取引でも生きています。35条書面の交付も37条書面の交付も必要です。78条2項の射程は8種制限が適用されない場合で詳しく扱っています。
「自ら売主」でなければならない
条文が「自ら売主となる売買契約」と書いているので、業者が売主の立場に立つ場合に限られます。
媒介として関与する場合は適用されません。他人物の売買を媒介すること自体は、33条の2の禁止に触れません。売主は真の所有者ではない誰かであって、業者ではないからです。
代理として関与する場合も適用されません。業者が売主の代理人として契約を締結しても、契約の当事者は本人である売主であって業者ではありません。「自ら売主」ではないので、33条の2の対象外です。
ただし、媒介や代理であっても宅建業法の他の規定は当然に適用されます。重要事項説明では、その物件が売主の所有に属していない事実や権利関係を正確に説明しなければなりません。代理の基本的な仕組みは代理制度で扱っています。
「売買」でなければならない
条文は「売買契約(予約を含む。)」を対象としています。
貸借は対象外です。業者が他人の所有する物件を自ら貸主として賃貸することは、33条の2の問題になりません。そもそも8種制限は売買を前提とする制度です。
交換も条文の文言には含まれていません。33条の2は「売買契約」としか書いておらず、交換を明示していません。ここは隣接する36条が「売買若しくは交換の契約」と交換を明記しているのと対照的で、条文の文言の違いとして押さえておく価値があります。
3要件をまとめると
33条の2が適用されるのは、次の3つがすべて揃った場合です。
第一に、宅建業者が自ら売主であること。媒介・代理は外れます。
第二に、売買契約(予約を含む)であること。貸借は外れます。
第三に、買主が宅建業者でないこと。78条2項による帰結です。
この3要件は8種制限に共通する枠組みです。個別の条文を検討する前に、まずこの3つを確認する習慣をつけてください。3つのうち1つでも欠ければ、条文の中身を検討するまでもなく適用されません。
違反しても契約は無効にならない
無効とする規定がない
33条の2に違反して他人物売買契約を締結してしまった場合、その契約はどうなるか。
条文には、契約を無効とする規定がありません。33条の2は本文で「締結してはならない」と定め、ただし書で例外を置くだけです。無効についても、取消しについても、一言も触れていません。
8種制限の中には、特約を無効とする規定を持つ条文があります。37条の2第4項は申込者等に不利な特約を無効とし、38条2項は10分の2を超える部分を無効とし、40条2項は買主に不利な特約を無効とします。これらと比べると、33条の2に無効規定がないことがはっきりします。条文が無効と書いている場合と書いていない場合があり、33条の2は書いていない側です。
なぜ無効にしないのか
理由を考えると納得できます。33条の2は買主を保護するための規定です。ここで契約を当然に無効としてしまうと、買主は物件を取得する道を失います。業者がその後に真の所有者から物件を取得して、買主に引き渡せる状態になったとしても、契約が無効なら引渡しを請求できません。
保護されるはずの買主が、保護規定によって不利益を受ける。これでは本末転倒です。だから契約の効力はそのまま維持したうえで、業者の側に行政上の責任を負わせる、という設計になっています。規制の名宛人は業者であって、契約の効力ではない。この整理を持っておいてください。
監督処分の対象になる
では違反した業者はどうなるか。65条が監督処分の根拠です。
65条2項2号は、業務停止処分の対象となる違反行為を列挙しており、その中に33条の2が入っています。免許権者は、33条の2に違反した業者に対し、1年以内の期間を定めて業務の全部または一部の停止を命ずることができます。
さらに65条4項2号にも33条の2が挙げられています。こちらは、国土交通大臣または他の都道府県知事の免許を受けた業者が当該都道府県の区域内で業務を行う場合に、その都道府県知事が業務停止を命じられるとする規定です。免許権者でない知事も、自分の区域内の業務については処分を打てるということです。
指示処分については、65条1項が「この法律の規定に違反した場合」を広く拾っているので、33条の2違反もその対象になります。
そして66条1項9号が、65条2項各号のいずれかに該当し情状が特に重いとき、または業務停止処分に違反したときを必要的免許取消事由としています。33条の2違反は65条2項2号に該当しますから、情状が特に重ければ免許そのものを失います。監督処分の全体像は監督処分で扱っています。
罰則規定はない
もう一点、押さえておくべき事実があります。宅建業法の罰則条文(79条から83条まで)に、33条の2は一切列挙されていません。
79条は不正手段による免許取得や名義貸し、業務停止命令違反などを対象とし、79条の2と80条と81条は47条違反や32条違反などを対象とし、82条は免許申請書の虚偽記載などを、83条は9条の届出義務違反などを対象としています。この中に33条の2は登場しません。
つまり33条の2に違反しても、契約は無効にならず、刑事罰も科されず、行政上の監督処分だけが用意されているということです。制裁の形がこの一種類だけだという点は、条文を横断して確認しないと気づきにくいところです。宅建業法の罰則の全体像は宅建業法の罰則一覧にあります。
なお、無効規定がないという点は33条の2に固有の話ではなく、41条・41条の2・43条にも共通します。これらはいずれも行為そのものを禁じる規定で、特約の効力を問題にしていないからです。この対比は8種制限の横断整理で扱っています。
隣接する33条・36条との区別
3つの条文はどれも「まだ売れる状態にない物件」を扱う
33条、33条の2、36条は、いずれも物件が完全な状態に至っていない段階での業者の行為を規制します。条番号が近く、扱う場面も似ているため混同されやすいところです。規制される行為が何か、という一点で切り分けてください。
33条は広告を規制する
宅地建物取引業法33条(広告の開始時期の制限)
「宅地建物取引業者は、宅地の造成又は建物の建築に関する工事の完了前においては、当該工事に関し必要とされる都市計画法第二十九条第一項又は第二項の許可、建築基準法第六条第一項の確認その他法令に基づく許可等の処分で政令で定めるものがあつた後でなければ、当該工事に係る宅地又は建物の売買その他の業務に関する広告をしてはならない。」
規制対象は広告です。そして「売買その他の業務に関する広告」と書かれているので、貸借の広告も含みます。さらに33条は8種制限ではないので、業者間取引でも適用されます。自ら売主かどうかも問いません。3つの条文の中で最も射程が広い規定です。広告に関する規制は広告に関する規制で扱っています。
36条は契約締結の時期を規制する
宅地建物取引業法36条(契約締結等の時期の制限)
「宅地建物取引業者は、宅地の造成又は建物の建築に関する工事の完了前においては、当該工事に関し必要とされる都市計画法第二十九条第一項又は第二項の許可、建築基準法第六条第一項の確認その他法令に基づく許可等の処分があつた後でなければ、当該工事に係る宅地又は建物につき、自ら当事者として、若しくは当事者を代理してその売買若しくは交換の契約を締結し、又はその売買若しくは交換の媒介をしてはならない。」
規制対象は契約の締結と媒介です。ここで文言を精査してください。「その売買若しくは交換の契約を締結し、又はその売買若しくは交換の媒介をしてはならない」。売買と交換だけで、貸借が入っていません。
つまり36条は貸借の契約締結・媒介を禁じていません。33条が貸借の広告まで禁じているのと対照的です。広告は貸借も規制、契約は貸借を規制しない。この非対称が繰り返し問われます。
また36条は「自ら当事者として、若しくは当事者を代理して」「又は媒介を」と書いているので、自ら売主に限らず、代理・媒介も規制されます。そして8種制限ではないので業者間でも適用されます。建築確認の制度は建築確認で扱っています。
33条の2は所有権の有無を問題にする
これに対し33条の2は、工事の完了・未完了そのものを直接の基準にしていません。基準は所有権が業者に属しているかどうかです。完成している他人の物件も規制の対象になりますし、未完成でも業者が所有していれば対象外です。
そして自ら売主の場合に限られ、売買のみを対象とし、業者間には適用されません。3つの条文の中で最も射程が狭い規定です。
3つを並べて整理する
行為で切ると、33条は広告、36条は契約の締結と媒介、33条の2は自ら売主となる売買契約の締結です。
貸借を含むかで切ると、33条は含む、36条は含まない、33条の2は含まない。
業者間で適用されるかで切ると、33条は適用される、36条は適用される、33条の2は適用されない。
基準で切ると、33条と36条は許可・確認の有無、33条の2は所有権の帰属です。
この4つの軸で整理しておけば、条番号が近いことによる混同は起きません。売買契約全体の流れの中での位置づけは売買契約の流れを参照してください。
試験での出題ポイント
停止条件付きの取得契約
最も出題されるのがここです。「宅建業者が当該物件を取得する停止条件付きの売買契約を締結している場合、自ら売主として売買契約を締結できる」は誤りです。1号の括弧書きが「その効力の発生が条件に係るものを除く」と明記しています。
派生形として、条件の内容を具体的に書いてくることがあります。「農地転用の許可を停止条件とする売買契約を締結している場合」「融資の実行を停止条件とする売買契約を締結している場合」など。条件の中身が何であれ、効力の発生が条件にかかっている以上、1号には当たりません。
予約の扱いを二方向で問う
予約は二か所に出てきます。本文の「自ら売主となる売買契約(予約を含む。)」と、1号の「取得する契約(予約を含み……)」です。
本文の予約は禁止される側です。業者が買主と売買の予約を締結することも禁じられます。「予約であれば本契約ではないので制限を受けない」は誤りです。
1号の予約は許される側です。業者が所有者から取得する予約を締結していれば例外に当たります。
同じ「予約」という言葉が、片方では禁止対象、もう片方では例外要件になっている。この二面性を意識して選択肢を読んでください。どちらの話をしているのかを取り違えると、正誤が逆になります。
完成物件を2号で救えるか
「完成している他人所有の建物について、手付金等の保全措置を講じれば自ら売主として売買契約を締結できる」は誤りです。2号は41条1項に規定する売買、すなわち工事完了前の売買に該当する場合に限られます。
1号と2号の関係
「未完成物件を自ら売主として売却するには、取得契約と保全措置の両方が必要である」は誤りです。ただし書は「いずれかに該当する場合」としています。
適用範囲のすり替え
媒介・代理を自ら売主にすり替える形。「宅建業者が他人所有の物件の売買を媒介する場合、33条の2の制限を受ける」は誤りです。
買主が業者である場合。「買主が宅建業者であっても、取得契約がなければ他人物を売却できない」は誤りです。78条2項により適用が外れます。
所有権に負担がある場合。「抵当権が設定されている物件は自己の所有に属しないものとして扱われる」は誤りです。業者が所有権を持っている以上、33条の2の問題は生じません。
違反の効果
「33条の2に違反して締結された売買契約は無効である」は誤りです。無効とする規定はありません。監督処分の対象になるにとどまります。
「33条の2に違反した業者は懲役または罰金に処せられる」も誤りです。罰則条文に33条の2は列挙されていません。
民法との関係
「他人の権利を売買の目的とする契約は民法上も無効である」は誤りです。民法561条は売主に取得移転義務を負わせており、契約が有効であることを前提としています。
覚え方・整理の仕方
条文を三層で読む
33条の2は、本文・1号・2号の三層で理解してください。
本文は「所有していないなら売るな」。対象は自ら売主となる売買契約で、予約も含む。
1号は「取れることが確実なら売ってよい」。取得契約を締結しているとき、予約は含み、停止条件付きは除く。加えて省令が定める4つの場合。
2号は「金が守られているなら売ってよい」。工事完了前の売買で、保証または保証保険が講じられているとき。
1号は物件が来る確実性、2号は金が戻る確実性。守っているものが違う、という形で覚えると、それぞれの射程を自分で導けます。1号は完成・未完成を問いませんが、2号は未完成に限られる。これも、41条1項が未完成物件の条文だという一点から出てきます。
予約と停止条件は「誰が決められるか」で分ける
予約完結権を持っていれば、業者は自分の意思だけで本契約に持ち込めます。停止条件付き契約では、条件が成就するかどうかを業者が決められません。
自分で決められるなら確実、他人や外部の事情に委ねられているなら不確実。この基準で分けると、条文の括弧書きが自然に思い出せます。
3要件のチェックリストを先に回す
33条の2の選択肢を読んだら、条文の中身を検討する前に3つを確認してください。
業者は自ら売主か。媒介・代理なら適用なし。
売買か。貸借なら適用なし。
買主は業者でないか。業者なら適用なし。
この3つを通過して初めて、所有権の有無と例外の該当を検討します。先に適用範囲を切る習慣をつけると、条文の中身を思い出せなくても正誤を判断できる場面が増えます。
33条・36条・33条の2は「何を止めるか」で覚える
33条は広告を止める。36条は契約を止める。33条の2は自ら売主となる売買を止める。
そして33条だけが貸借を含む。広告は誰の目にも触れるので貸借まで規制する、契約締結の制限は売買と交換に限る、という形で理解しておくと、貸借が入るかどうかで迷いません。
違反の効果は「無効ではない」から入る
8種制限のうち、特約を無効とする規定を持つのは37条の2、38条、39条、40条、42条の側で、33条の2、41条、41条の2、43条には無効規定がありません。
後者に共通するのは、行為そのものを禁じる規定だという点です。契約を締結してはならない、金銭を受領してはならない、所有権を留保してはならない。行為規範なので、特約の効力を問題にする余地がありません。所有権留保の禁止は所有権留保等の禁止で扱っています。
行為を禁じる条文には無効規定がない。この一つの見方で4つが説明できます。
理解度チェッククイズ
Q1. 宅地建物取引業者Aは、Bが所有する宅地について、Bとの間で当該宅地を取得する停止条件付きの売買契約を締結した。この場合、Aは宅地建物取引業者でないCとの間で、当該宅地の売買契約を自ら売主として締結することができる。(○か×か)
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×:33条の2第1号は「取得する契約(予約を含み、その効力の発生が条件に係るものを除く。)」と定めており、停止条件付きの取得契約は括弧書きによって明文で除かれています。停止条件付法律行為は条件が成就した時から効力を生じるので(民法127条1項)、条件が成就しなければAは宅地を取得できません。そして条件の成就はAの意思では決められないのが通常です。取得できないまま買主Cが宙に浮くことを防ぐため、例外から外されています。これに対し予約は、予約完結権を行使すればそれだけで売買の効力が生じるので(民法556条1項)、Aの意思だけで取得を確定させられます。この違いが、予約が含まれ停止条件付きが除かれる理由です。Q2. 宅地建物取引業者Aが、自ら売主として、宅地建物取引業者でないBとの間で、Cが所有する完成済みの建物について売買契約を締結しようとする場合、Aは手付金等の保全措置を講じれば当該契約を締結することができる。(○か×か)
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×:33条の2第2号は「当該宅地又は建物の売買が第四十一条第一項に規定する売買に該当する場合」という要件を置いています。41条1項が対象とするのは工事完了前の宅地建物の売買ですから、2号は未完成物件の売買にしか働きません。完成済みの他人所有の建物について、保全措置を講じても2号には当たらないということです。この場合に禁止を外せるのは1号だけで、AがCとの間で当該建物を取得する契約(予約を含み、停止条件付きを除く)を締結していることが必要になります。なお2号が求める措置は41条1項1号(銀行等による保証)または2号(保証保険)に限られ、41条の2の指定保管機関による保管は含まれません。Q3. 宅地建物取引業者Aが、宅地建物取引業者でないBとの間で、他人が所有する宅地について自ら売主として売買契約を締結した場合、当該売買契約は無効となる。(○か×か)
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×:33条の2には契約を無効とする規定がありません。同条は本文で契約の締結を禁じ、ただし書で例外を置くだけの行為規範です。契約を当然に無効としてしまうと、業者がその後に真の所有者から宅地を取得して引き渡せる状態になっても買主が引渡しを請求できなくなり、買主保護という趣旨に反します。違反した業者には行政上の責任が生じ、65条2項2号により1年以内の業務停止処分の対象となり、情状が特に重いときは66条1項9号により必要的に免許が取り消されます。なお、宅建業法の罰則条文(79条から83条まで)に33条の2は列挙されておらず、刑事罰は科されません。Q4. 宅地建物取引業者Aが、他人が所有する宅地について、宅地建物取引業者でないBを買主とする売買の予約を締結することは、本契約の締結ではないため33条の2の制限を受けない。(○か×か)
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×:33条の2本文は「自ら売主となる売買契約(予約を含む。)を締結してはならない」と定めており、予約も明文で禁止の対象に含まれています。予約という形式をとることで規制を回避する余地は残されていません。ここで注意すべきなのは、同じ「予約」という語が1号にも出てくることです。1号の括弧書き「予約を含み」は、業者が所有者から物件を取得する契約についての話で、こちらの予約は例外を認める側の要件です。本文の予約は禁止される側、1号の予約は許される側という二面性があるので、選択肢がどちらの契約について述べているのかを必ず確認してください。Q5. 宅地建物取引業者Aが、他人が所有する宅地について、宅地建物取引業者Bを買主として自ら売主となる売買契約を締結する場合、Aが当該宅地を取得する契約を締結していないときは、33条の2に違反する。(○か×か)
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×:78条2項は「第三十三条の二及び第三十七条の二から第四十三条までの規定は、宅地建物取引業者相互間の取引については、適用しない」と定めています。買主Bが宅地建物取引業者である以上、33条の2の適用がありません。取得契約の有無を問わず、他人物を売却しても宅建業法上の問題は生じないということです。業者どうしであれば権利関係を自ら調査でき、リスクを引き受けるかどうかも自分で判断できるからです。ただし78条2項が外しているのは33条の2と37条の2から43条までだけであり、35条書面の交付や37条書面の交付といった他の義務は業者間取引でも当然に生じます。まとめ
33条の2は条文が短い分、文言のひとつひとつが要件として効いています。最後に骨格を確認します。
本文が禁じるのは、自己の所有に属しない宅地建物について、自ら売主となる売買契約(予約を含む)を締結することです。基準は所有権の帰属であって、物件の完成度ではありません。
1号の例外は取得の確実性を根拠とします。取得する契約を締結しているとき。予約は含まれ、効力の発生が条件に係るものは除かれます。加えて施行規則15条の6が、開発許可に伴う公共施設用地、新住宅市街地開発事業、区画整理の保留地予定地、業者が指定する者への所有権移転を約する契約という4つの場合を定めています。
2号の例外は金銭の保全を根拠とします。41条1項に規定する売買、すなわち工事完了前の売買に該当し、かつ41条1項1号または2号の措置が講じられているとき。完成物件には働かず、指定保管機関による保管も使えません。
1号と2号はいずれか一方に該当すれば足ります。
適用されるのは、業者が自ら売主で、売買で、買主が業者でない場合だけです。媒介・代理・貸借・業者間取引はいずれも対象外になります。
違反しても契約は無効になりません。無効規定がなく、罰則もなく、65条2項2号による業務停止処分と、情状が特に重い場合の66条1項9号による免許取消しが用意されているだけです。
民法561条が他人物売買を有効としていることを前提に、業法がその上に行為規制を重ねている。この二層構造を押さえておけば、違反の効果を問う選択肢で迷いません。宅建業法全体の中での位置づけは宅建業法の全体像で確認できます。
宅建試験AIブートラボのアプリでは、33条の2の例外要件を軸にした肢別トレーニングを収録しています。条文の括弧書きを読んだあとに肢を回して、予約と停止条件の区別が反射で出るまで固めてください。
宅建業法は20問と配点が最も大きく、確実に得点したい科目です。免許制度・重要事項説明・8種制限を肢別で固めましょう。