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法令上の制限の頻出論点|3層に分けて攻める

法令上の制限 読了 約23分

法令上の制限の8問を、趣旨から導ける論点・数字を覚える論点・許可権者を問う論点の3層に仕分け、層ごとに違う勉強の仕方と各論への道筋を示します。

目次

    この記事は、法令上の制限の論点を性質ごとに仕分けて、それぞれに違う勉強の仕方を割り当てるためのハブです。各法令で具体的に何が問われるかは法令上の制限の得点戦略、手続の横断整理は法令上の制限の横断整理、数字の記憶法は法令上の制限の暗記術がそれぞれ担当します。ここでは論点の仕分けと、個別記事への道筋に集中します。

    結論を先に述べます。法令上の制限は暗記科目と呼ばれますが、実際に問われている論点は性質の違う3つの層に分かれています。制度の趣旨から導ける論点、数字を覚えるしかない論点、そして制度の主体を問う論点です。この3層を混ぜて「全部暗記」と構えると、覚える量が実際の3倍近くに膨らみます。層を分けて、導ける論点は導き、覚えるべき数字だけを覚え、主体は一覧で持つ。この配分が8問を取りに行く現実的な設計になります。

    法令上の制限は8問、どこに置かれているか

    出題位置は固定されている

    宅建試験AIブートラボの過去問データで2016年度から2025年度までを確認すると、法令上の制限は10年度すべてで問15から問22までの8問です。位置が動いていません。

    直近の年度の並びは、問15と問16が都市計画法、問17と問18が建築基準法、問19が宅地造成及び特定盛土等規制法、問20が土地区画整理法、問21が農地法、問22が国土利用計画法です。都市計画法と建築基準法で4問を占め、残りの4法令が1問ずつという構成になっています。

    年度によって配置が入れ替わることはありますが、扱われる法令の顔ぶれはほぼ固定です。だからこそ、どの法令にどれだけ時間を割くかを最初に決められます。何問を取りに行くかという目標設定は法令上の制限の得点戦略で扱っています。

    主要6法と、その他の法令

    出題の中心にあるのは6つです。都市計画法、建築基準法、国土利用計画法、農地法、宅地造成及び特定盛土等規制法、土地区画整理法。

    これに加えて、その他の法令として、道路法、河川法、海岸法、港湾法、文化財保護法、自然公園法、森林法、生産緑地法などが、1問の一部や選択肢の1つとして顔を出します。これらは単独で1問になることは少なく、後で見るとおり許可権者を問う形で登場するのが典型です。個別の整理はその他の法令上の制限で扱っています。

    論点は3つの層に分かれる

    第1層は制度の趣旨から導ける

    覚えていなくても、その制度が何のためにあるかを知っていれば正誤を判断できる論点があります。

    たとえば市街化調整区域の開発許可に面積要件がないのはなぜか。都市計画法7条3項が市街化調整区域を「市街化を抑制すべき区域」と定義しているからです。市街化を抑えたい区域で、小規模だから自由にしてよいという理屈は成り立ちません。だから面積による例外がありません。この一行を理解していれば、「市街化調整区域では1,000平方メートル未満の開発行為に許可は不要」という選択肢を、数字を覚えていなくても切れます。

    第1層の論点は、暗記の対象ではなく理解の対象です。ここに暗記の労力を投じるのは無駄で、逆に理解を飛ばして丸暗記すると、少し形を変えられただけで対応できなくなります。

    第2層は数字を覚えるしかない

    一方で、趣旨から導けない論点もあります。開発許可が必要になる面積が1,000平方メートルなのか2,000平方メートルなのか、建築確認が必要になる規模が200平方メートル超なのか500平方メートル超なのかは、政令が決めた線引きであって、理屈からは出てきません。

    第2層は純粋に記憶の問題です。ただし数が限られているので、対象を絞り込めば負担は思ったほど大きくありません。数字を横断で並べて覚える方法は法令上の制限の暗記術に集めています。

    第3層は制度の主体を問う

    3つ目が、誰の許可を受けるのか、誰に届け出るのかという主体の論点です。

    これは第1層でも第2層でもない、独立した層です。趣旨からある程度導けますが完全ではなく、数字のような単純な記憶とも違います。原則は都道府県知事で、そこから外れる例外を一覧で持つ、という覚え方になります。そして例外が得点に直結します。

    層ごとに勉強の仕方を変える

    3層を分けると、やるべきことが変わります。

    第1層は、条文の目的規定や定義規定を読んで、なぜその制度があるのかを一度理解する。理解できたら反復は要りません。

    第2層は、数字だけを抜き出して横断で並べ、短い間隔で繰り返す。理解しようとすると時間の無駄になります。

    第3層は、法令名と主体を対で並べた一覧を作り、法令名を見たら主体が出てくる状態にする。ここは連想の訓練です。

    同じ「法令上の制限を勉強する」でも、この3つは作業として別物です。混ぜると、覚えなくてよいものを覚えようとして時間を失います。

    第1層|趣旨から導ける論点

    市街化調整区域に面積要件がない理由

    都市計画法7条2項は市街化区域を「すでに市街地を形成している区域及びおおむね十年以内に優先的かつ計画的に市街化を図るべき区域」とし、同条3項は市街化調整区域を「市街化を抑制すべき区域」と定めています。区域区分の考え方は市街化区域と市街化調整区域で扱っています。

    この定義から、開発許可の扱いが導けます。市街化区域は市街化を進める区域なので、小規模な開発まで許可にかからせる必要がなく、政令が定める規模未満は許可が不要になります。市街化調整区域は市街化を抑制する区域なので、規模による例外を置きません。許可の要否そのものは開発許可で扱っています。

    市街化区域内の農地が届出で足りる理由

    農地法4条1項および5条1項は転用と転用目的の権利移動に許可を要求していますが、市街化区域内の農地については、あらかじめ農業委員会に届け出れば許可を要しないという特例が置かれています。

    理由は同じところから出ています。市街化区域は市街化を図る区域なので、そこにある農地はいずれ宅地等に転換される前提です。転用を個別に審査して抑える必要がありません。だから許可ではなく届出で足ります。

    そして3条の権利移動にはこの特例がありません。3条が守ろうとしているのは農地の効率的な利用であって、市街化の進み方とは関係がないからです。市街化区域だから3条も届出でよい、という誤りは、この違いを押さえていれば防げます。農地法の全体像は農地転用の基礎、許可権者の整理は農地法の3条・4条・5条と許可権者で扱っています。

    仮換地の指定で使用収益だけが移る理由

    土地区画整理事業で仮換地が指定されると、従前の宅地について使用収益ができなくなり、仮換地を使用収益できるようになります。しかし所有権は従前の宅地に残ったままです。

    換地処分の公告があるまでは、最終的な権利の割り振りが確定していないからです。工事を進めるために土地の使い方だけを先に動かし、権利の帰属は最後にまとめて動かす。この二段構えが、使用収益と処分が分かれる理由です。仮換地の効力と換地処分は土地区画整理法で扱っています。

    建蔽率の緩和が防火と角地に付く理由

    建築基準法53条3項が建蔽率に10分の1の加算を認めるのは、防火地域内の耐火建築物等など火災に強い建築物と、特定行政庁が指定する角地です。

    建蔽率は、敷地に空地を確保して延焼を防ぎ、日照や通風を保つための制限です。建物自体が燃えにくければ空地で延焼を防ぐ必要が薄れ、角地なら道路そのものが空地の役割を果たします。制限の目的が別の手段で達成されているから緩める、という構造です。緩和の詳細は建蔽率と容積率の基礎で扱っています。

    集団規定が区域を限って適用される理由

    建築基準法の規定は、単体規定と集団規定に分かれます。単体規定は全国どこでも適用され、集団規定は都市計画区域および準都市計画区域の内でのみ適用されます。この違いも趣旨から導けます。

    単体規定が守ろうとしているのは、その建築物を使う人の安全と衛生です。構造の耐力、防火、採光、換気。これらは建物が建つ場所と関係なく必要になります。山中に一軒だけ建てる家でも、構造が弱ければ住む人が危険です。だから区域を限りません。

    集団規定が守ろうとしているのは、建築物どうしの関係です。接道義務、用途制限、建蔽率、容積率、高さ制限、防火地域の制限。いずれも隣の建物や道路との関係を規律しています。建物が密集していない区域では、この調整の必要が薄くなります。だから都市計画区域および準都市計画区域に限って適用されます。

    この区別を押さえておくと、「都市計画区域外の建築物には建蔽率の制限がかからない」という趣旨の記述が原則として正しいことも、「都市計画区域外の建築物にも構造耐力の規定は適用される」ことも、条文を覚えずに判断できます。接道義務の内容はセットバックで扱っています。

    用途制限が住居系ほど厳しい理由

    用途地域ごとの建築制限は、住居専用地域でもっとも厳しく、工業専用地域では住宅そのものが建てられません。

    用途地域は、性質の合わない用途を分離して環境を守るための仕組みです。住環境を守る地域には騒音や交通量を生む施設を入れず、工場のための地域には住宅を入れない。どちらも「混ぜない」という同じ発想の裏表です。13種類を丸暗記する前に、この方向性を押さえると、個々の制限が思い出しやすくなります。用途地域の整理は用途地域、覚え方は用途地域の覚え方で扱っています。

    第2層|数字を覚えるしかない論点

    開発許可の面積

    都市計画法29条1項1号は、市街化区域、区域区分が定められていない都市計画区域および準都市計画区域について、政令で定める規模未満の開発行為を許可不要としています。規模は施行令19条にあり、市街化区域は1,000平方メートル、区域区分が定められていない都市計画区域と準都市計画区域は3,000平方メートルです。

    そして29条2項が、都市計画区域および準都市計画区域の外について、政令で定める規模以上の開発行為に許可を要求しています。規模は施行令22条の2の10,000平方メートルです。

    市街化調整区域については、前述のとおり面積による例外がありません。面積要件の詳細は開発許可の面積要件、面積にかかわらず許可が不要になる場合は開発許可が不要な場合で扱っています。

    建築確認の規模

    建築基準法6条1項は、確認が必要な建築物を号ごとに定めています。1号が別表第一に掲げる特殊建築物でその用途に供する部分の床面積の合計が200平方メートルを超えるもの、2号が階数2以上または延べ面積200平方メートル超の建築物、3号がこれら以外で都市計画区域や準都市計画区域などの内にある建築物です。

    ここは改正が入った箇所です。かつては木造について3階以上、延べ面積500平方メートル超、高さ13メートル超、軒の高さ9メートル超という基準があり、木造以外とは別の号で扱われていました。現在は木造と非木造の区別がなくなり、階数2以上または延べ面積200平方メートル超という共通の基準に整理されています。古い教材や過去問の解説には旧区分が残っているので、数字を覚え直す際に注意が必要です。

    6条2項の増改築についても数字があります。防火地域および準防火地域外で増築、改築、移転をする場合で、その部分の床面積の合計が10平方メートル以内であれば確認は不要です。裏返せば、防火地域または準防火地域の内であれば面積の大小を問わず確認が要ります。手続の流れは建築確認の手続き、開発許可との違いは開発許可と建築確認の違いで扱っています。

    国土利用計画法の届出面積

    国土利用計画法23条の事後届出は、市街化区域が2,000平方メートル以上、市街化区域以外の都市計画区域が5,000平方メートル以上、都市計画区域外が10,000平方メートル以上の土地について必要になります。

    届出義務者は権利取得者、すなわち買主です。届出は契約を締結した日から起算して2週間以内に、市町村長を経由して都道府県知事に対して行います。詳細は国土利用計画法で扱っています。

    盛土規制法の規模

    宅地造成及び特定盛土等規制法では、宅地造成等工事規制区域内の宅地造成について、盛土で高さ1メートルを超える崖を生じるもの、切土で高さ2メートルを超える崖を生じるもの、盛土と切土を同時に行い高さ2メートルを超える崖を生じるもの、崖を生じない盛土で高さ2メートルを超えるもの、そして面積500平方メートルを超えるものが許可の対象になります。

    4つ目の「崖を生じない盛土でも高さ2メートル超なら許可が要る」は落としやすい要件です。特定盛土等規制区域については別の規模が定められています。区域の区別と規模は宅地造成と盛土規制法で扱っています。

    期間の数字は面積とは別に束ねる

    第2層の数字は面積だけではありません。期間の数字も、法令をまたいで散らばっています。

    都市計画法17条1項は、都市計画の案を公告し、2週間公衆の縦覧に供することを定めています。国土利用計画法23条1項の事後届出は、契約を締結した日から起算して2週間以内です。同じ2週間でも、一方は縦覧の期間、他方は届出の期限で、意味がまったく違います。

    建築基準法にも期間が集まっています。6条4項は確認済証の交付期限を定め、6条1項1号および2号に係るものは受理した日から35日以内、3号に係るものは7日以内としています。7条1項は工事が完了した日から4日以内に到達するように完了検査を申請することを求め、7条4項は申請を受理した日から7日以内に検査をすることを定めています。

    面積の数字と期間の数字を同じ束に入れると混線します。面積は面積で縦に並べ、期間は期間で縦に並べる。そのうえで、同じ数値が別の意味で出てくる箇所に印を付けておくと、選択肢の言い換えに気づけます。

    「以上」「超」「未満」を数字とセットで持つ

    第2層でもっとも失点を生むのが、数値そのものではなく境界の表現です。

    開発許可の市街化区域は1,000平方メートル「以上」で許可が必要、つまり1,000平方メートルちょうどは許可が要ります。建築確認の特殊建築物は200平方メートル「を超える」ものなので、200平方メートルちょうどは対象外です。国土法の事後届出は2,000平方メートル「以上」なので、ちょうどでも届出が要ります。

    数字だけを覚えて境界の語を落とすと、ちょうどの数値を出された瞬間に判断できなくなります。数字は必ず「以上」か「超」かとセットで記憶する必要があります。

    第3層|制度の主体を問う論点

    原則は都道府県知事

    法令上の制限で登場する許可の多くは、都道府県知事が権者です。開発許可(都市計画法29条)、都市計画施設等の区域内の建築の許可(同法53条)、農地の転用の許可(農地法4条・5条、指定市町村の区域内では指定市町村の長)、盛土規制法の許可、森林法の林地開発許可。まずこの原則を土台に置きます。

    そのうえで、原則から外れるものを例外として持ちます。出題は例外の側から作られます。

    農地法3条は農業委員会

    農地法でもっとも問われるのが、条ごとに権者が違うことです。3条の権利移動は農業委員会の許可、4条の転用と5条の転用目的の権利移動は都道府県知事等の許可です。

    3条だけが農業委員会である理由は、判断の内容にあります。3条が審査するのは、その人が農地を適切に耕作できるかという地域の実情に関わる事柄です。地域の農業事情を把握している農業委員会が判断する仕組みになっています。これに対し4条・5条は農地を農地でなくす場面なので、土地利用全体の観点から知事等が判断します。

    土地区画整理法76条の許可権者

    もっとも取り違えやすいのがここです。土地区画整理法76条1項は、施行地区内で土地の形質の変更、建築物その他の工作物の新築・改築・増築、政令で定める移動の容易でない物件の設置または堆積をしようとする者に、許可を受けることを求めています。

    許可権者は、国土交通大臣が施行する事業では国土交通大臣、その他の者が施行する事業では都道府県知事です。ただし市の区域内において個人施行者、組合、区画整理会社、市または機構等が施行する事業については、その市の長になります。

    つまり組合が施行者であっても、許可を出すのは組合ではありません。施行者と許可権者は別だという点が、この条文の要です。「組合施行の土地区画整理事業では組合の許可を受ける」という形の記述は誤りになります。施行者の種類は土地区画整理事業の施行者で扱っています。

    その他の法令は名称に主体が入っている

    その他の法令の許可権者は、法令名を見れば見当がつく作りになっています。

    道路法は道路管理者、河川法は河川管理者、海岸法は海岸管理者、港湾法は港湾管理者の長。法令名に含まれる語がそのまま管理者の名前になっています。「都道府県知事」と書かれていたら誤りを疑う、という反応を作っておくと処理が速くなります。

    これとは別系統なのが、文化財保護法と自然公園法です。文化財保護法で史跡名勝天然記念物の現状変更等の許可を出すのは文化庁長官です。自然公園法では、国立公園に関する許可が環境大臣、国定公園に関する許可が都道府県知事と、公園の種類で分かれます。生産緑地法の行為の許可は市町村長です。

    これらは名称から導けないので、第3層のなかでも純粋に覚える部分になります。一覧はその他の法令上の制限に集めています。

    届出先は許可権者とずれることがある

    主体の論点は許可だけではありません。国土利用計画法の事後届出は、都道府県知事に対して行いますが、提出は市町村長を経由します。農地法の市街化区域内の特例は、4条・5条の許可が知事等であるのに対し、届出先は農業委員会です。

    許可権者と届出先が一致しない場面があるということ自体が、出題の材料になります。手続の主体を軸にした横断整理は法令上の制限の横断整理で扱っています。

    3層に収まらない論点|計算問題は手順で扱う

    建蔽率と容積率の計算は第4の性質を持つ

    3層の分類に収まらない論点が1つあります。建蔽率と容積率の計算問題です。

    これは理解の対象でも、記憶の対象でも、連想の対象でもありません。決まった手順を順番どおりに実行できるかが問われる、作業の論点です。ピアノの運指に近く、知っているだけでは手が動かず、繰り返して身体に入れる必要があります。

    手順のどこでつまずくかは決まっている

    計算そのものは四則演算です。つまずくのは、条件の適用順序と、条件の見落としです。

    容積率では、都市計画で定められた数値と、前面道路の幅員から導かれる数値の小さいほうを採る必要があります。建築基準法52条2項は、前面道路の幅員が12メートル未満である建築物の容積率について、幅員のメートル数に住居系の用途地域は10分の4、その他の地域は10分の6を乗じた数値以下でなければならないとしています。この比較を飛ばすと、指定容積率をそのまま使ってしまいます。

    建蔽率では、53条3項の加算と53条6項の適用除外を取り違えると答えが変わります。加算は数値に10分の1または10分の2を足す処理、適用除外はそもそも制限がかからない処理で、条文の作りが違います。

    敷地が2以上の用途地域にわたる場合は、それぞれの地域の割合を面積で按分して計算します。建蔽率は53条2項、容積率は52条7項がこの処理を定めています。計算の手順は建蔽率・容積率の計算で扱っています。

    手順は書き出して固定する

    作業の論点は、頭のなかで処理しようとすると順序が飛びます。用紙の余白に、敷地面積、用途地域、指定建蔽率、指定容積率、前面道路の幅員、防火地域か、角地か、という項目を毎回同じ順で書き出す型を決めておきます。

    型が固定されていれば、条件を1つ落としても書き出しの段階で気づけます。計算問題は、解法を覚える科目ではなく、型を反復する科目です。

    学習の順序をどう決めるか

    第1層から入る

    3層のうち、最初に着手すべきなのは第1層です。理解が土台にあると、第2層の数字が「何のための線引きか」として位置づけられ、記憶に残りやすくなります。

    逆に数字から入ると、意味のない数列を覚えることになり、覚えたそばから崩れます。法令上の制限が苦手になる典型が、この順序の逆転です。

    第3層は早い段階で一覧を作る

    第3層の主体は、分量が限られているうえに得点への効き方が直接的です。1つの選択肢が主体だけで切れることがあるので、学習の早い段階で一覧を作っておく価値があります。

    一覧といっても、原則が都道府県知事であることを土台に、例外を10個程度並べるだけです。作るのに時間はかかりません。

    第2層は最後まで反復を続ける

    第2層の数字は、いちばん最後まで残る作業です。理解でも連想でもないので、間隔を空けた反復以外に定着させる方法がありません。

    そのかわり、直前期にもっとも伸びるのがここです。第1層と第3層を先に固めておけば、直前期の時間を第2層の反復に集中できます。8問を取りに行く設計としては、この配分がもっとも無理がありません。

    都市計画法と建築基準法で問われること

    都市計画法の2問

    都市計画法からの出題は、都市計画の内容に関するものと、開発許可に関するものに分かれる傾向があります。

    前者では、区域区分、用途地域、用途地域以外の地域地区、地区計画、都市計画施設等の区域内の建築制限、都市計画の決定手続が問われます。地域地区の種類は都市計画の種類、地区計画は地区計画、区域内の制限は都市計画法の制限で扱っています。全体像は都市計画法に集約しています。

    後者の開発許可は、開発行為の定義、許可が必要な規模、面積にかかわらず許可が不要になる場合、許可後の手続という順で構成されています。ここは第1層と第2層が混在する論点で、趣旨で導ける部分と数字で覚える部分を切り分けて学ぶと効率が上がります。

    建築基準法の2問

    建築基準法は範囲が広いので、単体規定と集団規定という枠で分けると見通しが立ちます。

    単体規定は建築物そのものの安全や衛生に関する規定で、全国どこでも適用されます。集団規定は都市計画区域および準都市計画区域の内で適用される規定で、接道義務、用途制限、建蔽率、容積率、高さ制限、防火地域・準防火地域がここに入ります。集団規定が区域を限って適用されるのは、周囲との関係を規律する規定だからです。

    接道義務と敷地面積の考え方はセットバック、建蔽率と容積率の計算は建蔽率・容積率の計算、高さ制限は高さ制限、防火地域と準防火地域は防火地域と準防火地域で扱っています。数字だけを横断で確認したい場合は建築基準法の数字が使えます。

    なお防火地域および準防火地域内の建築物の制限は、建築基準法61条が規模に応じた技術的基準への適合を求め、具体的な区分は施行令136条の2に置かれています。ここは2018年の改正で条文の建て付けが変わった箇所なので、古い解説の枠組みのまま覚えていないか確認が必要です。建築物が防火地域と準防火地域にわたる場合の扱いは65条にあります。

    各1問の4法令

    国土利用計画法、農地法、盛土規制法、土地区画整理法は、それぞれ1問ずつです。1問しかないので、問われる論点も絞られます。

    国土利用計画法は事後届出の面積要件と手続が中心で、事前届出(注視区域・監視区域)は補助的です。農地法は3条・4条・5条の比較と市街化区域内の特例が中心です。盛土規制法は2つの規制区域と許可を要する規模、造成宅地防災区域が中心です。土地区画整理法は仮換地の指定、76条の建築制限、換地処分の効果が中心です。

    いずれも出題される論点の幅が狭いので、投じた時間が得点になりやすい領域です。景観法や風致地区のような周辺の制度は景観地区と風致地区で扱っています。

    試験での出題ポイント

    第1層の論点は数字を混ぜて崩される

    趣旨から導ける論点は、そのままでは易しいので、第2層の数字を混ぜて作られます。

    たとえば市街化調整区域について、面積要件があるかのような選択肢を作る。市街化区域内の農地について、3条まで届出で足りるとする。いずれも趣旨を理解していれば数字を知らなくても切れますが、数字が書いてあると数字の記憶を探しに行ってしまい、判断が止まります。

    数字が出てきたときに、まずその論点が第1層なのか第2層なのかを見分ける。第1層なら数字は飾りです。

    境界の語を入れ替える

    第2層では、数値ではなく「以上」「超」「未満」「以下」を入れ替える形が定番です。数値が正しいので、境界の語だけを読み飛ばすと正しく見えてしまいます。

    面積が条文の数値ちょうどで書かれている選択肢は、この形を疑う合図です。ちょうどの数値が出てきたら、境界の語を確認します。

    主体をそれらしい役所に置き換える

    第3層では、正しい主体をもっともらしい別の役所に置き換えます。農地法3条を都道府県知事にする。土地区画整理法76条を組合にする。河川法を都道府県知事にする。文化財保護法を都道府県教育委員会にする。

    いずれも一見すると自然に読めるので、法令名と主体の対応を連想として持っていないと気づけません。逆に対応を持っていれば、内容を読まなくても主体だけで切れる選択肢があります。

    改正が入った箇所は狙われる

    建築確認の規模区分、建蔽率の緩和の対象、防火地域・準防火地域の規定の建て付け、宅地造成等規制法から盛土規制法への改組。いずれも近年に改正が入っています。

    改正のあった箇所は、旧制度の知識で解ける選択肢として出題されることがあります。手元の教材が改正前のものでないかを確認しておく必要があります。

    覚え方・整理の仕方

    論点に出会ったら層を判定する

    新しい論点を学ぶとき、最初に「これはどの層か」を判定する習慣をつけます。

    その制度が何のためにあるかで説明できるなら第1層。政令が決めた線引きなら第2層。誰が出すかの話なら第3層。判定してから、それぞれに合った覚え方を選びます。

    この一手が入るだけで、覚えなくてよいものを覚える無駄がなくなります。法令上の制限を重く感じる原因の多くは、第1層を第2層として扱っていることにあります。

    第1層は「区域の性格」に還元する

    都市計画法の論点の多くは、区域の性格に還元できます。市街化区域は進める区域、市街化調整区域は抑える区域。この2語で、開発許可の面積要件の有無も、農地転用の特例の有無も説明がつきます。

    条文の定義規定を1回読んでおけば、以降は導けます。7条2項と3項は、暗記ではなく理解の対象です。

    第2層は面積と規模を縦に並べる

    数字は法令ごとに覚えるのではなく、種類ごとに縦に並べます。開発許可の1,000・3,000・10,000。国土法の2,000・5,000・10,000。建築確認の200。盛土規制法の500。

    並べると、同じ10,000でも開発許可は区域外の下限、国土法は都市計画区域外の下限、というように意味が違うことが見えます。数字の横断整理は法令上の制限の暗記術に集めています。

    第3層は「原則知事、例外を名前で」

    主体は、原則を都道府県知事に固定し、そこから外れるものだけを名前で覚えます。

    • 農地法3条は農業委員会
    • 土地区画整理法76条は都道府県知事、市の区域内の一定の施行者なら市長
    • 道路法、河川法、海岸法、港湾法は法令名と同じ管理者
    • 文化財保護法は文化庁長官
    • 自然公園法は国立公園が環境大臣、国定公園が都道府県知事
    • 生産緑地法は市町村長

    外れるものだけを並べれば、この程度の分量です。全部を覚えようとするより負担が軽くなります。

    迷ったら「誰を守る制度か」に戻る

    正誤に迷ったときは、その制度が誰の何を守るために置かれているかに戻ります。開発許可は無秩序な市街化を防ぐため。建築確認は建築物の安全を確保するため。農地法は農地を守るため。国土利用計画法は土地の投機的取引を抑え適正な利用を図るため。

    制度の目的を思い出すと、その場面で規制を緩める方向が正しいのか、厳しくする方向が正しいのかの見当がつきます。第1層の論点であれば、これだけで結論に届くことがあります。

    理解度チェッククイズ

    Q1. 市街化調整区域内において行う開発行為であっても、その規模が1,000平方メートル未満であれば、開発許可を受ける必要はない。

    答えを見る 誤り。都市計画法29条1項1号が規模による適用除外を置いているのは、市街化区域、区域区分が定められていない都市計画区域および準都市計画区域です。市街化調整区域は含まれていません。都市計画法7条3項が市街化調整区域を「市街化を抑制すべき区域」と定めている以上、規模が小さいことを理由に許可を不要とする理屈が成り立たないためです。面積にかかわらず原則として許可が必要になります。

    Q2. 市街化区域内にある農地について、耕作の目的で所有権を移転する場合は、あらかじめ農業委員会に届け出れば農地法3条の許可を受ける必要はない。

    答えを見る 誤り。市街化区域内の農地について届出で足りる特例が置かれているのは、4条の転用と5条の転用目的の権利移動です。3条の権利移動、すなわち農地を農地のまま移転する場合には特例がなく、市街化区域内であっても農業委員会の許可が必要です。3条が守ろうとしているのは農地の効率的な利用であり、市街化の進み方とは関係がないためです。

    Q3. 組合が施行する土地区画整理事業の施行地区内において建築物の新築を行おうとする者は、当該組合の許可を受けなければならない。

    答えを見る 誤り。土地区画整理法76条1項の許可権者は、国土交通大臣が施行する事業では国土交通大臣、その他の者が施行する事業では都道府県知事です。ただし市の区域内において個人施行者、組合、区画整理会社、市または機構等が施行する事業については、その市の長が許可権者になります。組合が施行者であっても、許可を出すのは組合ではありません。施行者と許可権者が別であることが、この条文の要点です。

    Q4. 建築基準法6条1項により建築確認が必要となるのは、木造の建築物については階数が3以上または延べ面積が500平方メートルを超えるものである。

    答えを見る 誤り。改正前は木造について階数3以上、延べ面積500平方メートル超などの基準が置かれ、木造以外とは別の号で扱われていましたが、現在は木造と非木造の区別がなくなっています。6条1項2号は、階数が2以上または延べ面積が200平方メートルを超える建築物としています。古い教材や過去問の解説には旧区分が残っているので注意が必要です。

    Q5. 河川法に基づく河川区域内の土地において工作物を新築しようとする場合、都道府県知事の許可を受けなければならない。

    答えを見る 誤り。河川法の許可権者は河川管理者です。河川管理者は一級河川が国土交通大臣、二級河川が都道府県知事ですが、条文上の主体はあくまで河川管理者であり、選択肢が「都道府県知事」と書いていれば誤りになります。道路法は道路管理者、海岸法は海岸管理者、港湾法は港湾管理者の長というように、法令名に含まれる語がそのまま主体になる型を押さえておきます。

    まとめ

    法令上の制限を3層に分けて整理します。

    出題は問15から問22までの8問で、都市計画法と建築基準法で4問、国土利用計画法、農地法、盛土規制法、土地区画整理法が1問ずつという構成です。この枠が動かないので、時間配分を先に決められます。

    第1層は制度の趣旨から導ける論点です。市街化調整区域に面積要件がないこと、市街化区域内の農地の転用が届出で足りること、仮換地で使用収益だけが移ること、建蔽率の緩和が防火と角地に付くこと。いずれも条文の定義や制度の目的から説明でき、暗記の対象ではありません。

    第2層は数字を覚えるしかない論点です。開発許可の1,000・3,000・10,000平方メートル、建築確認の200平方メートル、国土法の2,000・5,000・10,000平方メートル、盛土規制法の1メートル・2メートル・500平方メートル。数字は必ず「以上」か「超」かとセットで持ちます。

    第3層は制度の主体を問う論点です。原則は都道府県知事で、農地法3条の農業委員会、土地区画整理法76条の都道府県知事または市長、道路法・河川法・海岸法・港湾法の各管理者、文化財保護法の文化庁長官、自然公園法の環境大臣または都道府県知事、生産緑地法の市町村長が例外にあたります。

    宅建試験AIブートラボの肢別トレーニングでは、法令上の制限の問15から問22にあたる肢を法令別・単元別に演習できます。論点に出会ったらどの層かを判定しながら進めてください。

    読んだ内容を、法令上の制限の肢で確かめる

    都市計画法・建築基準法・農地法は数字の暗記が中心です。繰り返しの肢別トレーニングが一番効きます。

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