総合設計制度そうごうせっけいせいど
敷地内に政令で定める空地を有し、敷地面積が政令で定める規模以上の建築物について、特定行政庁の許可の範囲内で容積率と各部分の高さの限度を超えられる制度です(59条の2)。つまり、広場を公開する見返りに容積率と高さだけを緩め、建蔽率と日影規制は緩めません。
都心のオフィスビルの足元に、ベンチや植え込みのある広場が多いのに気づいたことはないでしょうか。あの広場の多くは、敷地の中に誰でも通れる空地を設ける見返りに、容積率や高さの限度を超えて建てる許可を受けたものです。建築基準法59条の2は、その敷地内に政令で定める空地を有し、敷地面積が政令で定める規模以上の建築物について、特定行政庁が市街地の環境の整備改善に資すると認めて許可すれば、許可の範囲内で容積率と各部分の高さの限度を超えられる、と定めています。条文の見出しは「敷地内に広い空地を有する建築物の容積率等の特例」で、建蔽率・容積率・各部分の高さを総合的に配慮した設計という言い回しから、総合設計制度と呼ばれます。緩むのは容積率と高さで、建蔽率と日影規制は緩みません。

要件は空地と敷地の規模と特定行政庁の許可の三つです
空地の割合は施行令136条1項が建蔽率の最高限度に応じて定め、建蔽率の限度が定められていない場合は敷地面積の10分の2以上です。敷地の規模は施行令136条3項が用途地域ごとに定め、低層住居専用地域と田園住居地域が3,000㎡、近隣商業地域と商業地域が1,000㎡、それ以外の用途地域と指定のない区域が2,000㎡で、特定行政庁は規則で引き下げられます。この二つを満たした建築物について、特定行政庁が交通上、安全上、防火上、衛生上支障がなく、市街地の環境の整備改善に資すると認めて許可します。許可の前には建築審査会の同意が要ります(59条の2第2項による44条2項の準用)。
超えられるのは容積率と、絶対高さと斜線の高さです
許可の範囲内で超えられるのは、52条1項から9項までの容積率、55条1項の低層住居専用地域等の高さの限度、56条の各部分の高さ、57条の2第6項の特例容積率適用地区の容積率です。56条は道路斜線、隣地斜線、北側斜線の三つをまとめて定めた条文なので、三つの斜線とも許可の範囲で超えられます。55条1項も入っているので、低層住居専用地域の10mや12mの限度も、許可があれば超えられます。空地を広く取って建物を細く高くする設計を認めるのが、この制度の狙いだからです。
建蔽率と日影規制は、許可を受けても緩みません
59条の2第1項が挙げる条文に、53条の建蔽率と56条の2の日影規制はありません。空地を広く取ることが要件の制度なので、敷地に対する建築面積の割合である建蔽率を緩める理由がそもそもありません。日影規制は隣の敷地に落ちる影の時間を守る決まりで、許可で建物が高くなっても、その影は日影規制の範囲に収めなければなりません。緩むのは建てる側の容積率と高さ、緩まないのは隣に影響する建蔽率と日影、と分けて覚えます。

建築基準法 59条の2第1項その敷地内に政令で定める空地を有し、かつ、その敷地面積が政令で定める規模以上である建築物で、特定行政庁が交通上、安全上、防火上及び衛生上支障がなく、かつ、その建蔽率、容積率及び各部分の高さについて総合的な配慮がなされていることにより市街地の環境の整備改善に資すると認めて許可したものの容積率又は各部分の高さは、その許可の範囲内において、第五十二条第一項から第九項まで、第五十五条第一項、第五十六条又は第五十七条の二第六項の規定による限度を超えるものとすることができる。
試験ではこう問われる
- 要件は、敷地内に政令で定める空地を有すること、敷地面積が政令で定める規模以上であること、特定行政庁の許可の三つ。許可にはあらかじめ建築審査会の同意が要る
- 許可の範囲内で超えられるのは、容積率(52条)と各部分の高さ(55条1項の絶対高さ、56条の斜線制限)
- 建蔽率(53条)は緩和されない。「建蔽率、容積率又は各部分の高さは、許可の範囲内で限度を超えることができる」は誤り
- 条文の前半に出てくる「建蔽率、容積率及び各部分の高さについて総合的な配慮」は許可の判断の要素で、緩和の対象は後半の「容積率又は各部分の高さ」だけ
- 日影規制(56条の2)も緩和されない
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