田園住居地域でんえんじゅうきょちいき
農業の利便の増進を図りつつ、これと調和した低層住宅に係る良好な住居の環境を保護するため定める用途地域です。つまり、住宅地の中に残る畑と低い家並みを、一緒に守るための地域です。
駅から少し離れた住宅街を歩くと、家々の間に畑が残り、朝どりの野菜を売る直売所が並んでいる場所があります。市街化区域の中の農地は、長らく「いずれ宅地になる土地」と扱われてきましたが、畑と低層住宅が混ざった環境そのものに価値があると考えが変わり、平成30年に13番目の用途地域として田園住居地域ができました。用途地域の一つなので、容積率や建蔽率を都市計画に定め、住居系の地域として義務教育施設も定めます。地域内の農地で土地の形質の変更や建築をするには市町村長の許可が要り、宅地への転換にブレーキが掛かる点が、ほかの住居系の地域と違います。

目的は、農業の利便の増進と、低層住宅の環境の保護の両立です
条文は「農業の利便の増進を図りつつ、これと調和した低層住宅に係る良好な住居の環境を保護する」と、二つの目的を一文に並べています。低層住宅の環境を守る点は第一種低層住居専用地域と同じですが、そこでは建てられない農産物の直売所や農家レストランのような、農業の利便を増進する店舗を建てられる点が違います。「農業のため」と「住まいのため」のどちらか一方ではなく、両方を同時に立てるのがこの地域です。
都市計画に定めるのは容積率、建蔽率、高さの限度です
用途地域にはどこでも容積率を定めます。加えて、第一種低層住居専用地域、第二種低層住居専用地域、田園住居地域の三つには、建蔽率と建築物の高さの限度を定めます。外壁の後退距離の限度と敷地面積の最低限度は、必要な場合に限って定めます。低い家並みを保つ地域だから高さの限度まで都市計画で決める、という組立てで、田園住居地域は低層住居専用地域と同じ組に入っています。

住居系の用途地域なので、義務教育施設をも定めます
市街化区域と、区域区分が定められていない都市計画区域には、少なくとも道路・公園・下水道を定めます。そのうえで、第一種低層住居専用地域から準住居地域までの住居系7種と田園住居地域には、義務教育施設をも定めます。人が住む以上、通う小中学校を都市計画に位置づけておく、という考えで、田園住居地域も住居系の仲間として同じ扱いを受けます。
用途地域の一つなので、高度地区も地区計画も重ねられます
用途地域は準都市計画区域にも定めることができ、高度地区は用途地域内に定める地区で、地区計画は用途地域が定められている土地の区域に定めることができます。田園住居地域は用途地域の一つなので、この三つはどれも当てはまります。一方、特例容積率適用地区は、第一種・第二種低層住居専用地域、田園住居地域、工業専用地域を除いた用途地域に定める地区なので、田園住居地域には定められません。未利用の容積を集めて高く使う仕組みは、低い家並みを守る地域とは相いれないからです。

都市計画法 9条8項田園住居地域は、農業の利便の増進を図りつつ、これと調和した低層住宅に係る良好な住居の環境を保護するため定める地域とする。
試験ではこう問われる
- 農地の区域内で土地の形質の変更、建築物の建築、工作物の建設、土石などの堆積をするには、市町村長の許可が要る(52条1項)。「都道府県知事の許可」「市町村長への届出」は誤り。通常の管理行為・軽易な行為、非常災害の応急措置、都市計画事業の施行は許可不要
- 300平方メートル未満の土地の形質の変更などは、市町村長が許可しなければならない(52条2項・施行令36条の6)
- 建築物の高さは、10メートルまたは12メートルのうち都市計画で定めた限度を超えられない(建築基準法55条1項)。第一種・第二種低層住居専用地域と同じ扱い
- 用途制限は低層住居専用地域に近く、広い飲食店や店舗は建てられない。2階建て・床面積1,000平方メートルの飲食店は田園住居地域に建築できない
- 定義は「農業の利便の増進を図りつつ、これと調和した低層住宅に係る良好な住居の環境を保護」(9条8項)。「中高層住宅」に変えた文は誤り
- 用途地域の一つなので、準都市計画区域にも定められ、高度地区や地区計画も重ねられる
用語で読んだ論点を、解説つきの肢別演習で確かめられます。無料プランは月300肢まで。