防火地域ぼうかちいき
市街地における火災の危険を防除するため都市計画で定める地域のうち、厳しい方です。つまり、建築基準法61条と施行令136条の2により、建物の規模に応じて耐火建築物等か準耐火建築物等が求められ、延焼のおそれのある開口部には防火設備が要ります。
駅前の商店街や幹線道路沿いは、建物が隙間なく並び、一軒の火事が街区ごと燃え広がるおそれがあります。都市計画法は、こうした市街地における火災の危険を防除するために防火地域と準防火地域を定め、防火地域はその厳しい方です。建築基準法61条は、防火地域と準防火地域の中の建築物について、延焼のおそれのある部分の開口部に防火設備を設け、壁・柱・床を政令で定める技術的基準に適合させるよう求めます。防火地域では、3階以上か延べ面積100㎡を超える建築物は耐火建築物等、それより小さくても準耐火建築物等が必要で、木造の家は事実上建てにくくなります。その代わりに、建蔽率の割増しや境界線いっぱいの建築が認められます。

構造は規模で決まり、3階以上か100㎡超なら耐火建築物等です
61条1項は構造を直接書かず、防火地域と準防火地域の別と建築物の規模に応じた技術的基準を政令に委ねています。施行令136条の2は、防火地域内では階数が3以上または延べ面積が100㎡を超える建築物を耐火建築物またはこれと同等以上の延焼防止性能を持つ建築物(耐火建築物等)とし、階数が2以下かつ延べ面積100㎡以下の建築物を準耐火建築物等とします。どちらの場合も、外壁の開口部で延焼のおそれのある部分には防火戸などの防火設備が要ります。2階建て150㎡の住宅なら100㎡を超えるので、耐火建築物等です。61条ただし書により、高さ2m以下の門や塀には掛かりません。
耐火建築物等は建蔽率が1割増え、8割の地域では外れます
防火地域内の耐火建築物等は、建蔽率の限度に10分の1を加えます(53条3項1号)。燃えない建物なら隣との間に延焼を防ぐ隙間を空ける必要が薄いので、敷地を広く使わせる仕組みです。建蔽率の限度が10分の8とされている地域内で、かつ防火地域内にある耐火建築物等には、建蔽率の制限そのものを適用しません(53条6項1号)。敷地が防火地域の内外にわたるときは、敷地内の建築物の全部が耐火建築物等であれば、敷地の全部が防火地域内にあるものとみなしてこの二つを適用します(53条7項)。

耐火構造の外壁は境界線に接して建て、看板は不燃材料にします
63条は、防火地域または準防火地域内の建築物で外壁が耐火構造のものは、その外壁を隣地境界線に接して設けることができる、と定めています。火災が終わるまで耐える耐火構造だからこそ、隣との隙間を空けずに済みます。準耐火構造の外壁には、この扱いはありません。64条は、防火地域内の看板、広告塔、装飾塔などで、建築物の屋上に設けるものまたは高さ3mを超えるものは、主要な部分を不燃材料で造るか覆わなければならない、と定めています。高い所の看板が燃えると火の粉が街に降るからで、準防火地域にはない防火地域だけの規定です。
またがる建物には、全部に防火地域の規定が掛かります
65条2項は、建築物が防火地域と準防火地域にわたる場合、その全部について防火地域内の建築物の規定を適用する、と定めています。火は一棟の中を自由に走るので、境界線で建物を切って別々の規定を掛けても意味がないからです。ただし、建築物が防火地域の外で防火壁により区画されているときは、その防火壁の外側の部分には準防火地域の規定を適用します。防火壁が火を止める限り、外側は別の建物と同じに扱えるからです。指定のない区域にまたがる場合も同じ考え方です(65条1項)。

建築基準法 61条1項防火地域又は準防火地域内にある建築物は、その外壁の開口部で延焼のおそれのある部分に防火戸その他の政令で定める防火設備を設け、かつ、壁、柱、床その他の建築物の部分及び当該防火設備を通常の火災による周囲への延焼を防止するためにこれらに必要とされる性能に関して防火地域及び準防火地域の別並びに建築物の規模に応じて政令で定める技術的基準に適合するもので、国土交通大臣が定めた構造方法を用いるもの又は国土交通大臣の認定を受けたものとしなければならない。ただし、門又は塀で、高さ二メートル以下のもの又は準防火地域内にある建築物(木造建築物等を除く。)に附属するものについては、この限りでない。
試験ではこう問われる
- 建築物が防火地域と準防火地域にわたるときは、全部に防火地域の規定を適用する(65条2項)。「全部に準防火地域の規定」とする入れ替えは誤り。防火地域の外で防火壁により区画されていれば、その外側は準防火地域の規定
- 建蔽率の限度が10分の8の地域内で、かつ防火地域内にある耐火建築物等には、建蔽率の制限を適用しない(53条6項1号)。特定行政庁の許可は要らない
- それ以外の地域の防火地域内にある耐火建築物等は、建蔽率の限度に10分の1を加える(53条3項1号)。防火地域内の準耐火建築物は加算の対象にならない
- 外壁が耐火構造なら、その外壁を隣地境界線に接して設けられる(63条)。「防火構造」「準耐火構造」の外壁に置き換えると誤り
- 屋上に設ける看板と高さ3mを超える看板は、主要な部分を不燃材料で造るか覆う(64条)。防火地域だけの規定
- 防火地域では、3階以上または延べ面積100㎡超の建築物は耐火建築物等、それ以外は準耐火建築物等(61条・施行令136条の2)
- 防火地域・準防火地域の中では、床面積10㎡以内の増築・改築・移転でも建築確認が要る(6条2項)
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