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その他の法令上の制限|許可権者と景観法・品確法

法令上の制限 読了 約24分

その他の法令上の制限を許可権者の切り分けから整理。道路法や河川法の管理者系、文化財保護法の文化庁長官、景観法の届出と認定、品確法の10年責任を解説します。

目次

    この記事は、法令上の制限のうち、都市計画法や建築基準法といった主要な法律以外の、いわゆる「その他の法令」をまとめて整理するものです。景観法と品確法を軸に、許可権者の考え方まで扱います。法令上の制限全体の地図は「法令上の制限の横断整理」、この分野の得点設計は「法令上の制限で点を取る」を先に見ておくと位置づけが掴めます。

    結論から書きます。その他の法令は、条文を一つずつ覚える対象ではありません。問われているのはほとんどの場合、誰の許可を受けるのか、許可なのか届出なのか、という二点だけです。そしてこの二点には筋があります。その土地や物を管理している主体が判断する、というのが原則で、道路なら道路管理者、河川なら河川管理者、文化財なら文化庁長官という具合に決まっています。この筋を掴めば、初めて見る法律名が出てきても答えを推測できます。逆に、法律名と権者の対応を丸暗記しようとすると、数が多すぎて崩れます。

    その他の法令上の制限とは何か

    主要な法律とそれ以外

    法令上の制限として本格的に問われるのは、都市計画法、建築基準法、国土利用計画法、農地法、宅地造成及び特定盛土等規制法、土地区画整理法です。この六つで、法令上の制限8問のうち大半を占めます。それぞれの中身は「都市計画法の全体像」「建築基準法の要点」「国土利用計画法」「農地法」「盛土規制法」「土地区画整理法」で扱っています。

    これに対して、景観法、文化財保護法、道路法、河川法、海岸法、港湾法、自然公園法、森林法、生産緑地法、都市緑地法、急傾斜地法、地すべり等防止法といった法律は、一つずつでは出題数が足りません。そこで、複数の法律から一肢ずつ集めた形の問題として、まとめて出題されるのが定着した形です。

    まとめて問われるということの意味

    一つの問題に四つの異なる法律が並ぶという形は、裏を返せば、どの法律も深くは問えないということです。四肢のそれぞれについて、その法律の細かい要件まで踏み込むと問題として成立しないため、問われるのは各法律の入口にある事項に限られます。すなわち、行為に許可が要るのか届出で足りるのか、そして誰に対して手続きをするのか。この二点です。

    したがって、この分野の学習は、法律ごとにテキストを読み込む形ではなく、権者と手続きの型を横断的に整理する形が効率的です。似た形式の横断論点は「法令上の制限の暗記法」でも扱っています。

    どこまでやるかを決めておく

    その他の法令に含まれる法律は数が多く、すべてを完璧にしようとすると時間がいくらあっても足りません。法令上の制限は8問しかなく、その他の法令から出るのはおおむね1問です。1問のために10本以上の法律を精密に覚えるのは、配分として合いません。

    現実的な線引きは、後述する許可権者の型を押さえ、景観法と品確法のように出題実績が積み上がっている法律だけを個別に固める、という形です。難問への向き合い方は「法令上の制限は何問出るか」で扱っています。

    許可権者は「誰が管理しているか」で決まる

    原則は都道府県知事

    その他の法令の多くは、都道府県知事を許可権者としています。開発や土地の形質変更を広域的に管理するのは都道府県だという発想が基礎にあるためです。

    森林法の開発許可がその例で、地域森林計画の対象となっている民有林において一定規模を超える開発行為をしようとする者は、都道府県知事の許可を受けなければなりません(森林法10条の2)。保安林において立木を伐採する場合も、都道府県知事の許可が必要です(同法34条1項)。急傾斜地の崩壊による災害の防止に関する法律では、急傾斜地崩壊危険区域内で水を放流したり工作物を設置したりする行為に都道府県知事の許可が要ります(同法7条)。地すべり等防止法でも、地すべり防止区域内の一定行為には都道府県知事の許可が必要です(同法18条)。

    つまり、特別な事情がない限り、答えは都道府県知事です。まずこれを基準に置き、そこから外れる法律だけを例外として覚えます。例外の数はそれほど多くありません。

    管理者が許可する法律

    例外の第一群が、管理者という言葉が権者になっている法律です。道路法では道路管理者、河川法では河川管理者、海岸法では海岸管理者、港湾法では港湾管理者が許可を与えます。

    道路法では、道路に工作物や物件を設けて継続して使用しようとする場合、道路管理者の許可が必要です(道路法32条)。道路の区域が決定された後、まだ道路の供用が始まっていない道路予定区域内で土地の形質を変更したり工作物を新築したりする場合も、道路管理者の許可を受けます(同法91条)。

    河川法では、河川区域内の土地を占用する場合、土石その他の河川産出物を採取する場合、工作物を新築・改築・除却する場合、土地の掘削や盛土などをする場合に、いずれも河川管理者の許可が必要です(河川法24条から27条)。河川区域に接する河川保全区域でも、土地の掘削や工作物の新築等には河川管理者の許可が要ります(同法55条)。

    海岸法では、海岸保全区域内で土地を占用したり、土石を採取したり、施設や工作物を新設・改築したりする場合に海岸管理者の許可が必要です(海岸法7条、8条)。港湾法では、港湾区域内の水域や公共空地の占用、土砂の採取などに港湾管理者の許可が必要です(港湾法37条)。

    なぜ管理者なのか

    この四つが管理者になっている理由は明快です。道路も河川も海岸も港湾も、それぞれ特定の主体が現に管理している施設や区域だからです。誰が管理しているかがはっきりしているものについて、その管理者が使用の可否を判断するのは筋が通っています。

    しかも、これらの管理者は必ずしも都道府県知事とは限りません。道路管理者は、国道なら国土交通大臣、都道府県道なら都道府県、市町村道なら市町村というように、道路の種類によって変わります。だからこそ、条文は「都道府県知事」ではなく「道路管理者」という書き方をしているのです。この理屈を理解しておくと、四つを個別に暗記する必要がなくなります。

    大臣が許可する法律

    例外の第二群が、大臣が権者になっている法律です。ここは数が限られているので、名指しで覚えます。

    文化財保護法では、重要文化財の現状を変更したり保存に影響を及ぼす行為をしたりする場合、文化庁長官の許可が必要です(文化財保護法43条)。史跡名勝天然記念物についても、現状変更等には文化庁長官の許可が要ります(同法125条)。文化財の指定は国が行うものであり、その価値の判断を地方に委ねる性質のものではないため、国の機関が権者になっています。

    自然公園法は、公園の種別によって権者が分かれます。国立公園の特別地域内で工作物を新築したり木竹を伐採したりする場合は環境大臣の許可、国定公園の特別地域内であれば都道府県知事の許可です。国が指定して国が管理するのが国立公園、国が指定して都道府県が管理するのが国定公園という違いが、そのまま権者の違いになっています。なお、特別地域ではない普通地域内での一定行為は、許可ではなく届出で足ります。

    森林法は、原則として都道府県知事ですが、国有林に関する事項など農林水産大臣が関わる場面があります。試験では都道府県知事の側が問われることが大半なので、まずそちらを固めてください。

    市町村長が関わる法律

    第三群として、市町村長が権者になる場面があります。生産緑地法では、生産緑地地区内で建築物を新築したり宅地を造成したりする場合、市町村長の許可が必要です(生産緑地法8条)。景観法の景観地区内における建築物の形態意匠についても、市町村長の認定を受けます(景観法63条)。

    市町村長が出てくるのは、その規制が市町村の都市計画によって定められているものである場合が中心です。都市計画として市町村が定めた区域の中身について、市町村長が判断するという整理になっています。

    許可なのか届出なのか

    権者と並んで問われるのが、手続きの種類です。ここには三つの類型があります。

    許可を要する場合

    許可は、原則として禁止されている行為について、個別に禁止を解除する仕組みです。したがって、許可を受けずに行為をすれば違法になり、原状回復命令や罰則の対象になります。

    その他の法令で許可制が採られているのは、河川区域や海岸保全区域のように、行為が公共の安全や施設の機能に直接影響する場面です。文化財の現状変更も、失われれば取り返しがつかないため許可制です。

    届出で足りる場合

    届出は、行政に情報を伝えることが目的で、行政の応答を待たずに行為ができるのが原則です。ただし、届出を受けた行政が内容を審査し、必要に応じて勧告や命令を行う仕組みが組み合わされていることがあります。

    景観法の景観計画区域内における行為が、この典型です。届出をすれば足りるものの、景観計画に定める基準に適合しない場合には、勧告や変更命令が用意されています。都市緑地法の緑地保全地域内における行為も届出制です。同じ都市緑地法でも、規制が強い特別緑地保全地区では許可制になります。

    認定という類型

    三つ目が認定です。景観法の景観地区における建築物の形態意匠について、市町村長の認定を受けるという形が代表例です。認定を受けなければ工事に着手できないという点で、実質的には許可に近い効力を持ちます。

    試験では、この三つを入れ替える形の誤り肢が繰り返し作られます。景観計画区域は届出、景観地区は認定、という対応を取り違えないことが得点の分かれ目になります。

    景観法

    景観行政団体

    景観法に基づく施策を行う主体を景観行政団体といいます(景観法7条)。指定都市と中核市はそれぞれその区域について、それ以外の区域については都道府県が景観行政団体になります。そのうえで、それ以外の市町村も、都道府県知事と協議し、その同意を得れば、その区域について景観行政団体となることができます。

    指定都市と中核市は当然に景観行政団体になるのに対し、その他の市町村は協議と同意が必要である、という差が問われます。

    景観計画と景観計画区域

    景観行政団体は、良好な景観の形成に関する計画として景観計画を定めることができます。景観計画では、景観計画区域、良好な景観の形成に関する方針、行為の制限に関する事項などを定めます。

    ここで重要なのが区域の範囲です。景観計画区域は、都市計画区域の内外を問わず定めることができます。都市計画法上の地域地区が都市計画区域内にしか定められないのと対照的で、この違いがそのまま出題されます。都市計画区域と地域地区の関係は「都市計画の制限」で扱っています。

    景観計画区域内の届出と30日

    景観計画区域内で、建築物の新築、増築、改築、移転、外観を変更することとなる修繕や模様替、色彩の変更をしようとする者は、あらかじめ景観行政団体の長に届け出なければなりません(景観法16条1項)。工作物についても同様の行為が対象になります。

    そして、この届出は行為に着手する日の30日前までに行う必要があります。この30日という数字は繰り返し問われるので、確実に押さえてください。

    届出を受けた景観行政団体の長は、その行為が景観計画に定める制限に適合しないと認めるときは、設計の変更その他の必要な措置を取ることを勧告することができます(同条3項)。さらに、特定届出対象行為については、勧告にとどまらず、変更を命ずることができます(同法17条)。

    ここで注意すべきなのが、届出制であっても行政の関与がないわけではないという点です。届出を出しさえすれば何を建ててもよい、という理解は誤りです。ただし、権限の形式としてはあくまで届出であり、許可ではありません。

    景観地区と認定

    景観計画区域のうち、市街地の良好な景観の形成を図る必要がある区域については、都市計画で景観地区を定めることができます(景観法61条)。景観地区は都市計画法上の地域地区の一つなので、都市計画区域内に定められます。

    景観地区内で建築物の建築等をしようとする者は、その建築物の形態意匠が都市計画に定められた制限に適合するものであることについて、市町村長の認定を受けなければなりません(同法63条)。認定を受けなければ工事に着手できません。

    さらに、景観地区に関する都市計画では、建築物の高さの最高限度または最低限度、壁面の位置の制限、建築物の敷地面積の最低限度を定めることができます。形態意匠は認定という手続きで担保され、高さや壁面位置は都市計画の内容として定められる、という二段構えになっています。

    準景観地区

    都市計画区域および準都市計画区域外の区域のうち、景観計画区域内の相当規模の一団の土地の区域については、市町村が準景観地区を指定することができます(景観法74条)。

    景観地区は都市計画区域内、準景観地区はその外側という対応です。都市計画区域外では都市計画としての地域地区を定められないため、別の枠組みが用意されている、という理解をしておくと混同しません。

    景観重要建造物と景観重要樹木

    景観行政団体の長は、景観計画区域内の良好な景観の形成に重要な建造物を景観重要建造物として指定することができます(景観法19条)。樹木についても、景観重要樹木として指定できます(同法28条)。

    いずれも、指定にあたっては所有者の意見を聴き、同意を得る必要があります。行政が一方的に指定できるわけではない、という点が問われます。

    指定された景観重要建造物については、増築、改築、移転、除却、外観を変更することとなる修繕等について、景観行政団体の長の許可が必要です(同法22条)。景観重要樹木についても、伐採や移植には許可が必要です(同法31条)。ここは届出でも認定でもなく、許可である点に注意してください。

    緑と農地に関わる法令

    生産緑地法

    生産緑地地区は、市街化区域内にある農地等について、都市計画で定められる地区です。農地としての機能を市街地の中に残すことを目的としています。

    生産緑地地区内において、建築物その他の工作物の新築、改築、増築、宅地の造成や土石の採取などの土地の形質の変更を行おうとする場合は、市町村長の許可が必要です(生産緑地法8条)。市街化区域内の農地は、農地法上は届出で転用できるのに対し、生産緑地地区に指定されていると市町村長の許可という別の規制がかかる、という重なりに注意してください。農地法の扱いは「農地法の要点」で扱っています。

    都市緑地法

    都市緑地法には、規制の強さが異なる二つの区域があります。緑地保全地域内で建築物の新築や土地の形質変更などをしようとする場合は、都道府県知事等への届出が必要です。これに対して、特別緑地保全地区内で同様の行為をする場合は、都道府県知事等の許可が必要になります。

    同じ法律の中で、届出と許可が区域によって分かれるという構造です。ここを入れ替えた肢が作られやすいので、規制が強い方が許可、という対応で覚えてください。

    森林法

    森林法では、地域森林計画の対象となっている民有林において開発行為をしようとする者は、都道府県知事の許可を受けなければなりません(森林法10条の2)。対象になるのは、土石や樹根の採掘、開墾その他の土地の形質を変更する行為で、一定規模を超えるものです。

    また、保安林においては、都道府県知事の許可を受けなければ立木を伐採できません(同法34条1項)。保安林は水源の涵養や土砂の流出防備などの目的で指定されるもので、伐採の可否がその目的に直結するため、許可制が採られています。

    災害と防災に関わる法令

    急傾斜地法と地すべり等防止法

    急傾斜地の崩壊による災害の防止に関する法律では、都道府県知事が指定した急傾斜地崩壊危険区域内において、水を放流したり、ため池や水路を設置したり、のり切や掘削をしたり、立木竹を伐採したりする行為に、都道府県知事の許可が必要です(同法7条)。

    地すべり等防止法でも、地すべり防止区域内で地下水を誘致する行為や、のり切、切土などをする場合に都道府県知事の許可が必要になります(同法18条)。

    どちらも、区域内の行為が斜面の安定に直接影響するため許可制が採られています。宅地造成等の規制との関係は「盛土規制法」で扱っています。

    密集市街地整備法

    密集市街地における防災街区の整備の促進に関する法律は、老朽化した木造建築物が密集し、延焼のおそれが高い市街地について、防災機能を確保するための枠組みを定めています。

    都市計画では特定防災街区整備地区を定めることができ、この地区内では建築物の耐火性能や敷地面積の最低限度などについて制限がかかります。地域地区の一つとして定められるものなので、都市計画区域内に限られます。

    津波防災地域づくり法

    津波防災地域づくりに関する法律では、都道府県知事が津波災害警戒区域と津波災害特別警戒区域を指定できます。特別警戒区域内では、一定の建築物の建築や開発行為に都道府県知事の許可が必要になります。

    災害系の法令は近年増えており、いずれも都道府県知事が権者である点は共通しています。原則に戻って処理できる分野です。

    そのほかに問われる法令

    都市再開発法

    市街地再開発事業の施行地区内では、事業の妨げになる行為を制限する必要があります。そこで、施行地区内において土地の形質の変更や建築物その他の工作物の新築、改築、増築などをしようとする者は、都道府県知事等の許可を受けなければならないとされています。

    土地区画整理法において、施行地区内での建築等に都道府県知事等の許可が必要とされているのと同じ発想です。事業が進行している区域で勝手に建築されると、換地や再開発の計画が成り立たなくなるため、事業期間中の行為を止めておくという趣旨になります。土地区画整理法の建築制限は「土地区画整理法」で扱っています。

    自然環境保全法

    自然環境保全法にも、自然公園法と似た構造があります。原生自然環境保全地域内で工作物を新築したり木竹を伐採したりする行為には環境大臣の許可が必要で、自然環境保全地域の特別地区内でも環境大臣の許可が必要です。これに対し、都道府県が指定する都道府県自然環境保全地域については、都道府県知事が権者になります。

    国が指定して守る区域は国の機関が、都道府県が指定する区域は都道府県知事が判断する、という対応です。自然公園法における国立公園と国定公園の関係と同じ形なので、両者を並べて覚えると定着します。

    公有地の拡大の推進に関する法律

    いわゆる公拓法では、都市計画施設の区域内の土地など一定の土地を有償で譲り渡そうとする者は、あらかじめ都道府県知事に届け出なければならないとされています。届出を受けた行政が買取りを希望する場合には協議が行われ、その間は譲渡ができません。

    許可ではなく届出であること、そして届出先が都道府県知事であることが問われます。土地取引の届出という点で国土利用計画法と混同されやすいので、目的が違うことを押さえてください。国土利用計画法は地価の抑制と適正な土地利用が目的、公拓法は公共用地を先行して取得することが目的です。その他の法令をさらに横断して確認したい場合は「その他の法令上の制限」もあわせて読んでください。

    品確法

    住宅の品質確保の促進等に関する法律、通称品確法は、法令上の制限というより宅建業法や権利関係と接する位置にありますが、その他の法令の一部として問われることがあります。三つの柱で構成されています。

    第一の柱は住宅性能表示制度

    住宅の性能を共通の基準で評価し、等級などで表示する制度です。国土交通大臣が日本住宅性能表示基準を定め、登録住宅性能評価機関が評価を行います。

    最も重要なのは、この制度が任意である点です。すべての住宅に評価が義務づけられているわけではありません。利用するかどうかは当事者が決めます。試験では、この制度が強制されるかのように書いた誤り肢が繰り返し作られます。

    評価書には、設計段階の内容を評価した設計住宅性能評価書と、施工と完成時の検査を経た建設住宅性能評価書があります。前者は図面の上での評価であるのに対し、後者は現場での検査を経ているという違いがあります。

    なお、住宅性能表示制度は新築住宅だけのものではなく、既存住宅についても評価の仕組みが用意されています。中古住宅の取引で建物の状態をどう確認するかという論点は「中古住宅の瑕疵と調査」で扱っています。

    評価書のみなし効

    住宅性能評価書を交付し、あるいはその写しを契約書に添付した場合、その記載内容のとおりの性能を有する住宅の建設工事を行うこと、または引き渡すことを契約したものとみなされます(品確法6条)。設計住宅性能評価書についても建設住宅性能評価書についても、この扱いがあります。

    ただし、請負人または売主が反対の意思を表示していたときは、このみなしは適用されません。評価書を交付すれば無条件に契約内容になる、という理解は正確ではないので注意してください。

    新築住宅の定義

    品確法にいう新築住宅とは、新たに建設された住宅で、まだ人の居住の用に供したことのないもののうち、建設工事の完了の日から起算して1年を経過していないものをいいます(品確法2条2項)。

    要件が二つあることが重要です。誰も住んでいないことと、完成から1年以内であることの両方が必要です。したがって、完成から1年を超えた未入居の住宅は、品確法上の新築住宅にはあたりません。この点を入れ替えた肢は定番です。

    瑕疵担保責任の特例

    新築住宅の建設工事の請負契約においては、請負人は、注文者に引き渡した時から10年間、住宅の構造耐力上主要な部分等の瑕疵について担保の責任を負います(品確法94条1項)。新築住宅の売買契約においても、売主は買主に引き渡した時から10年間、同様の責任を負います(同法95条1項)。

    対象となるのは、構造耐力上主要な部分と、雨水の浸入を防止する部分です。基礎、柱、梁、壁、床版、屋根版といった建物を支える部分と、屋根、外壁、開口部といった雨を防ぐ部分が該当します。逆に、内装の仕上げや設備の不具合は、この特例の対象ではありません。骨組みと雨仕舞いに限られる、という範囲を押さえてください。

    そして、これらの規定に反する特約で注文者または買主に不利なものは無効とされています(同法94条2項、95条2項)。10年を5年に短縮する特約は無効になります。一方、期間を延長する方向には20年まで伸長することができます(同法97条)。短縮は不可、延長は20年まで可、という非対称を覚えてください。

    品確法は「瑕疵」の語を使う

    民法の改正により、売買や請負における売主・請負人の責任は契約不適合責任として整理されました。しかし、品確法は現在も瑕疵という語を用いています。品確法では、瑕疵とは種類または品質に関して契約の内容に適合しない状態をいうと定義されています。

    したがって、品確法の条文を扱うときに、瑕疵担保責任を契約不適合責任という語に置き換えて理解するのは、法律の書きぶりとして正確ではありません。民法側の契約不適合責任については「契約不適合責任」で扱っています。

    住宅紛争処理体制

    品確法は、住宅に関する紛争を迅速に解決するための体制も整えています。指定住宅紛争処理機関が紛争処理を行い、住宅紛争処理支援センターがこれを支援します。

    ここで問われるのは対象の範囲です。指定住宅紛争処理機関による紛争処理の対象は、建設住宅性能評価書が交付された住宅に関する紛争です。性能評価を受けていない住宅は、この制度を利用できません。任意の制度である住宅性能表示を利用したことが、紛争処理の入口につながっている、という構造になっています。

    品確法と住宅瑕疵担保履行法の役割分担

    品確法と混同されやすいのが、特定住宅瑕疵担保責任の履行の確保等に関する法律、いわゆる住宅瑕疵担保履行法です。両者は目的が違います。

    品確法が定めているのは、何について、どれだけの期間、責任を負うかという責任の内容です。これに対し、住宅瑕疵担保履行法が定めているのは、その責任を実際に果たせるだけの資力をどう確保するかという担保の仕組みです。責任があっても、売主が倒産すれば買主は救済されません。その事態に備えるのが履行法です。

    資力確保の方法は、保証金の供託と保険への加入の二つです。義務を負うのは、新築住宅の売主である宅地建物取引業者と、新築住宅の請負人である建設業者です。したがって、個人が売主となる新築住宅の売買では、品確法の10年の責任は生じても、履行法による供託や保険の義務は生じません。ここが両法の適用範囲の違いです。供託と保険の詳しい仕組みは「住宅瑕疵担保履行法」で扱っています。

    試験での出題ポイント

    許可権者の入れ替え

    最も多い作り方が、権者のすり替えです。河川法の許可を都道府県知事とする、文化財保護法の許可を都道府県知事とする、国立公園の特別地域内の行為について都道府県知事の許可とする。いずれも、原則である都道府県知事に寄せることで誤り肢を作っています。

    対処は、例外を名指しで持っておくことです。管理者が出てくる四つ、大臣が出てくる二つ、市町村長が出てくる場面。これだけを覚えて、残りは都道府県知事と判断します。

    許可と届出の取り違え

    第二の型が、手続きの種類の入れ替えです。景観計画区域内の行為を許可制と書く、都市緑地法の特別緑地保全地区内の行為を届出制と書く、自然公園法の普通地域内の行為を許可制と書く。

    対処は、規制の強さと手続きの重さが対応していることを使うことです。より強く守るべき区域ほど許可、緩やかな区域は届出、という関係になっています。緑地保全地域は届出で特別緑地保全地区は許可、というのはこの対応の典型です。

    期間と数字の誤り

    景観計画区域内の届出は行為に着手する日の30日前まで。品確法の担保責任は引渡しから10年、伸長は20年まで。これらの数字を別の数字に置き換える肢が作られます。

    数字が問われる法律は限られているので、その他の法令については、この二つを軸にしておけば足ります。数字の覚え方は「法令上の制限の暗記法」にまとめています。

    区域の範囲を入れ替える

    景観計画区域は都市計画区域外にも定められる、景観地区は都市計画区域内に限られる、準景観地区は都市計画区域および準都市計画区域外に定められる。この三つの範囲を入れ替える肢も定番です。

    景観地区が都市計画の地域地区であるという性質から範囲が決まっていることを理解しておけば、暗記せずに判断できます。

    例外の要件を外す

    品確法の新築住宅について、未入居であることだけを述べて1年の要件を落とす、あるいは1年の要件だけを述べて未入居の要件を落とす。景観重要建造物の指定について、所有者の同意を不要とする。いずれも、要件の一部を落として作られる誤り肢です。

    要件が二つ以上ある制度は、その数を覚えておいてください。数を知っていれば、一つしか書かれていない肢に気づけます。

    覚え方・整理の仕方

    権者は三つの群に分けて覚える

    法律名と権者の対応を一対一で覚えると、十数組を暗記することになり、崩れます。群に分けてください。

    第一群は都道府県知事で、これが原則です。森林法、急傾斜地法、地すべり等防止法など、大半がここに入ります。第二群は管理者で、道路法、河川法、海岸法、港湾法の四つです。「道・川・海・港」と並べれば、いずれも管理する主体がはっきりしている施設だと分かります。第三群は大臣等で、文化財保護法の文化庁長官と、自然公園法の国立公園における環境大臣です。

    覚えるのは第二群と第三群だけで、それ以外は第一群だと判断します。覚える対象を六つに減らせます。

    「管理しているのは誰か」で復元する

    権者を忘れた場合も、その対象を管理しているのは誰かを考えれば復元できます。道路を管理しているのは道路管理者、河川を管理しているのは河川管理者、重要文化財を指定して管理しているのは国。この筋で考えれば、ほとんどの場合に正しい答えに行き着きます。

    丸暗記した知識は忘れると復元できませんが、理由から導ける知識は忘れても取り戻せます。その他の法令のように項目数が多い分野ほど、この差が効きます。

    景観法は三段で整理する

    景観法は、区域の広い順に、景観計画区域、景観地区、景観重要建造物・樹木と並べます。景観計画区域は届出、景観地区は認定、景観重要建造物等は許可です。区域が絞られ、守る対象が具体的になるほど手続きが重くなる、という並びになっています。

    この順序で覚えておけば、どれが届出でどれが許可かを個別に思い出す必要がありません。

    品確法は骨組みと傘で覚える

    品確法の対象部分は、構造耐力上主要な部分と、雨水の浸入を防止する部分です。建物の骨組みと、雨をしのぐ傘の部分だけが対象で、内装や設備は含まれない、という形で覚えると範囲がずれません。

    期間については、10年が基準、短縮は無効、延長は20年まで、と三点をまとめて持っておきます。単独で10年だけを覚えていると、短縮特約に関する肢で迷います。

    届出は「先に知らせる」、許可は「待つ」

    手続きの種類を判断に迷ったときは、行政の応答を待つ必要があるかどうかで考えます。待たなければならないのが許可と認定、知らせれば進めるのが届出です。景観計画区域の届出が30日前とされているのは、行政に検討の時間を与えるためで、それでも許可ではないという位置づけです。

    理解度チェッククイズ

    Q1. 河川区域内の土地において工作物を新築しようとする者は、都道府県知事の許可を受けなければならない(○か×か)


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    ×:河川法では、河川区域内における工作物の新築等には河川管理者の許可が必要です(河川法26条)。道路法は道路管理者、海岸法は海岸管理者、港湾法は港湾管理者というように、管理する主体がはっきりしている法律では、その管理者が許可権者になります。管理者は必ずしも都道府県知事とは限りません。

    Q2. 重要文化財の現状を変更しようとする場合、都道府県知事の許可を受けなければならない(○か×か)


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    ×:重要文化財の現状変更や保存に影響を及ぼす行為には、文化庁長官の許可が必要です(文化財保護法43条)。文化財の指定と保護は国の判断によるものであるため、権者も国の機関になっています。自然公園法の国立公園の特別地域内における行為が環境大臣の許可であるのと同じ発想です。

    Q3. 景観計画区域内で建築物を新築しようとする者は、行為に着手する日の30日前までに景観行政団体の長に届け出なければならない(○か×か)


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    ○:景観法16条により、景観計画区域内における建築物の新築等は、あらかじめ景観行政団体の長への届出が必要で、行為に着手する日の30日前までに行います。これは許可ではなく届出ですが、景観計画の基準に適合しない場合には勧告が、特定届出対象行為については変更命令が用意されています(同法17条)。

    Q4. 景観地区内で建築物を建築しようとする者は、その形態意匠について市町村長の認定を受けなければならない(○か×か)


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    ○:景観法63条により、景観地区内の建築物の形態意匠については市町村長の認定が必要です。景観計画区域が届出制であるのに対し、景観地区は認定制であるという違いが繰り返し問われます。なお景観地区は都市計画で定める地域地区なので都市計画区域内に限られ、その外側では市町村が準景観地区を指定します(同法74条)。

    Q5. 新築住宅の売買契約において、構造耐力上主要な部分の瑕疵についての担保責任の期間を、当事者の合意により引渡しから5年に短縮することができる(○か×か)


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    ×:品確法95条により、新築住宅の売主は引渡しから10年間、構造耐力上主要な部分等の瑕疵について担保責任を負い、これに反する買主に不利な特約は無効です。短縮はできませんが、伸長する方向には20年まで認められています(同法97条)。なお品確法上の新築住宅は、未入居であることに加えて建設工事の完了から1年を経過していないことが要件です(同法2条2項)。

    まとめ

    その他の法令上の制限について、押さえるべき点を三つに整理します。

    第一に、許可権者は三つの群で覚えます。原則は都道府県知事、道路・河川・海岸・港湾は管理者、文化財保護法は文化庁長官で国立公園の特別地域は環境大臣です。覚える例外は六つで足り、残りは原則に戻して判断できます。

    第二に、手続きの種類は規制の強さと対応しています。景観計画区域は届出、景観地区は認定、景観重要建造物等は許可という並びも、都市緑地法の緑地保全地域が届出で特別緑地保全地区が許可であるのも、同じ考え方です。

    第三に、品確法は対象部分と期間で押さえます。構造耐力上主要な部分と雨水の浸入を防止する部分について引渡しから10年、短縮特約は無効、伸長は20年まで。そして新築住宅の要件は未入居と完成から1年以内の二つです。この分野の得点の組み立て方は「法令上の制限の頻出論点」も参考にしてください。

    宅建試験AIブートラボでは肢別トレーニングと年度別過去問演習を用意しています。その他の法令は肢ごとに権者と手続きを判定する練習が最も効くので、演習で判断の速さを作ってください。

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