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住宅瑕疵担保履行法の供託額|戸数の数え方と算定

宅建業法 読了 約45分

住宅販売瑕疵担保保証金の供託額を、戸数の確定から政令の算定式まで手順で解説。床面積55平方メートル以下は2戸で1戸とする特例、基準日と届出、50日ルールまで条文根拠つきで整理します。

目次

    この記事は、住宅瑕疵担保履行法(正式名称は特定住宅瑕疵担保責任の履行の確保等に関する法律)にもとづく住宅販売瑕疵担保保証金の供託額を、どう算定するかに絞ったものです。制度の全体像、保険による資力確保の仕組み、保険法人や紛争処理体制については住宅瑕疵担保履行法で扱うので、ここでは数字を出すまでの手順を追います。計算問題全体に共通する考え方は宅建の計算問題にまとめてあります。

    結論を先に述べます。供託額の算定は3工程です。第一に、基準日前10年間に自ら売主として引き渡した新築住宅のうち、保険を締結していないものを拾う。第二に、そのうち床面積の合計が55平方メートル以下のものを2戸で1戸に換算して、合計戸数を確定する。第三に、政令が定める算定式に戸数を当てはめる。計算問題として問われるのは、ほぼ第二工程の換算です。第三工程の算定式は問題文に示されることが多く、暗記の負担は大きくありません。

    なお、以下の条文はすべて令和8年度試験の出題基準日である2026年4月1日時点で施行されているものです。住宅瑕疵担保履行法は令和5年法律第53号による改正が2025年10月1日に施行された版が、同法施行令は令和3年政令第242号による改正が2021年9月30日に施行された版が、それぞれ基準日時点の条文になります。

    なぜ資力を事前に確保させるのか

    品確法が定める10年間の責任

    住宅の品質確保の促進等に関する法律、いわゆる品確法は、新築住宅の売主に対して10年間の瑕疵担保責任を課しています。同法95条1項が、新築住宅の売買契約において、売主は買主に引き渡した時から10年間、住宅の構造耐力上主要な部分等の瑕疵について、民法415条、541条、542条、562条および563条に規定する担保の責任を負うと定めています。請負契約についての同様の規定が94条1項で、こちらは請負人が注文者に引き渡した時から10年間です。

    条文が民法の条番号を列挙している点に意味があります。品確法が新しい種類の責任を創設しているわけではなく、民法上の損害賠償請求権、催告解除、無催告解除、追完請求権、代金減額請求権という既存の権利について、10年という期間を保障しているという構造です。買主が使える手段そのものは民法のものだと理解しておくと、契約不適合責任の学習内容とそのままつながります。

    この責任は強行的なもので、94条2項および95条2項が、これに反する特約で注文者または買主に不利なものは無効とすると定めています。逆方向、すなわち買主に有利な方向への伸長は認められており、97条が、責任を負うべき期間を引き渡した時から20年以内とすることができると定めています。10年が下限で20年が上限、という枠だと捉えてください。

    起算点は「売主が買主に引き渡した時」だけではない

    95条1項には見落とされやすいかっこ書きがあります。「買主に引き渡した時(当該新築住宅が住宅新築請負契約に基づき請負人から当該売主に引き渡されたものである場合にあっては、その引渡しの時)から十年間」という部分です。

    分譲業者が工務店に建設工事を発注し、完成した住宅の引渡しを受けてから買主に売る、という流れは実務では普通です。この場合、10年の起算点は買主への引渡しではなく、請負人から売主への引渡しの時になります。売れ残った住宅を1年近く抱えていれば、買主が引渡しを受けた時点で責任期間はすでに目減りしているということです。

    もっとも、住宅瑕疵担保履行法の供託額を算定するときに数えるのは「買主に引き渡した」住宅であって、請負人から引渡しを受けた住宅ではありません。品確法の責任期間の起算点と、供託額算定の起算点は別の話です。混ぜないでください。

    対象は部位で絞られ、さらに影響の有無で絞られる

    10年責任の対象は「住宅の構造耐力上主要な部分等」で、その中身は品確法施行令5条1項(構造耐力上主要な部分)と同条2項(雨水の浸入を防止する部分)が列挙しています。どの部位が入りどの部位が外れるかは住宅瑕疵担保履行法で扱っているので、ここでは算定に効く読み方だけを確認します。

    見落とされやすいのは、部位のリストに当たればそれで終わりではないという点です。94条1項は対象を「瑕疵(構造耐力又は雨水の浸入に影響のないものを除く。次条において同じ。)」と書いており、この限定は文末の「次条において同じ」によって95条1項にも及びます。95条1項の側に同じかっこ書きが置かれているわけではなく、94条1項の限定を引き継いでいる形です。柱に生じたひび割れであっても、構造耐力に影響しないものであれば10年責任の対象にはなりません。

    もっとも、この絞り込みは供託額の算定には影響しません。11条1項が数えよと言っているのは「引き渡した新築住宅」の戸数であって、瑕疵が現に生じた住宅の戸数ではないからです。責任の対象部位の話は責任の側、戸数の話は資力の側と切り分けてください。瑕疵が1件も生じていなくても、引き渡していれば供託額は積み上がります。

    「瑕疵」という語は旧称の残存ではない

    民法は2020年の改正で瑕疵担保責任という枠組みを契約不適合責任に改めましたが、品確法も住宅瑕疵担保履行法も現在なお「瑕疵」という語を用いています。これは古い言葉が残っているのではありません。品確法2条5項が「この法律において『瑕疵』とは、種類又は品質に関して契約の内容に適合しない状態をいう」と定義し、住宅瑕疵担保履行法2条2項が「この法律において『瑕疵』とは、住宅品質確保法第二条第五項に規定する瑕疵をいう」としてこれを引いています。中身は民法の契約不適合と揃えたうえで、語だけを維持したということです。

    この定義の連鎖は、算定を離れた場面でも効いてきます。後述する還付の規定である法14条1項は、権利を持つ者を「住宅品質確保法第九十五条第一項に規定する瑕疵によって生じた損害を受けた」買主と書いています。定義が2条2項を経由して品確法につながっているので、供託金から還付を受けられる損害の範囲は、品確法の10年責任の範囲と自動的に一致します。用語をそろえておくことに実益がある、ということです。

    したがって、この分野の説明で「瑕疵」を「契約不適合」に置き換えるのは、条文の用語としては不正確です。なお、宅地建物取引業法40条が制限しているのは民法の契約不適合責任についての特約であり、そちらは契約不適合責任の特約制限で扱っています。品確法の10年責任と宅建業法40条の2年特約は、根拠法も対象部位も効果も別の制度です。

    責任があっても、履行されなければ意味がない

    問題は、売主に10年間の責任があっても、その売主が倒産していれば買主は救済されないという点です。実際、2005年に発覚した構造計算書の偽装をめぐる問題では、瑕疵のある住宅の売主が経営破綻し、買主が補修費用を回収できない事態が生じました。

    そこで作られたのが住宅瑕疵担保履行法です。責任の中身を新たに定める法律ではなく、品確法が定めた責任を確実に履行できるだけの資力を、あらかじめ確保させる法律です。供託額の算定方式が「引き渡した戸数」を基礎にしているのも、この目的から説明がつきます。引き渡した住宅が多いほど、将来の補修費用の総額が大きくなりうるからです。なお、中古住宅にはこの10年責任も資力確保義務も及びません。新築と中古で保護の厚みがどれだけ違うかは瑕疵(契約不適合)とはで整理しています。

    誰が、どの住宅について義務を負うか

    算定の第一歩は、数える対象を確定することです。ここを誤ると、その後の計算がすべて無意味になります。

    自ら売主であること

    住宅瑕疵担保履行法11条1項は、宅地建物取引業者は毎年、基準日から3週間を経過する日までの間において、当該基準日前10年間に自ら売主となる売買契約にもとづき買主に引き渡した新築住宅について、当該買主に対する特定住宅販売瑕疵担保責任の履行を確保するため、住宅販売瑕疵担保保証金の供託をしていなければならないと定めています。

    義務を負うのは自ら売主となった業者です。媒介や代理として関与しただけの業者には、この義務は生じません。売主が宅地建物取引業者でない個人であれば、そもそも法の適用外です。この構造は、宅地建物取引業法の8種制限が「自ら売主」を要件とするのと同じ発想で、両者をあわせて理解しておくと定着します。8種制限の枠組みは8種制限とはを参照してください。

    買主が宅地建物取引業者でないこと

    買主が宅地建物取引業者である場合、資力確保措置の義務は生じません。ここは「解釈上そうなる」のではなく、条文に根拠があります。同法2条7項2号ロが住宅販売瑕疵担保責任保険契約の要件を定める中で、「当該新築住宅の買主(宅地建物取引業者であるものを除く。第十九条第二号を除き、以下同じ。)」と書いており、この定義が19条2号を除いて以降のすべての「買主」に及びます。11条1項の「買主に引き渡した新築住宅」の買主も、この定義を引き継いだ買主です。

    したがって、業者間で引き渡した新築住宅は戸数から外れます。数える段階でここを見落とすと、供託額が過大になります。専門家どうしの取引では保護の必要が低いという理由づけは、8種制限が業者間取引に適用されないのと共通です。

    新築住宅であること

    新築住宅の定義は品確法2条2項にあり、新たに建設された住宅で、まだ人の居住の用に供したことのないもののうち、建設工事の完了の日から起算して1年を経過したものを除くとされています。

    要件は2つです。人が住んだことがないこと、そして工事完了から1年以内であること。どちらか一方でも欠ければ新築住宅ではありません。工事完了から1年を過ぎた未入居の住宅は、新築住宅に当たりません。誰かが一度でも居住していれば、完了から半年でも新築住宅ではありません。

    この2要件は、不動産広告で「新築」と表示できる条件とまったく同じ内容です。広告の側では不動産の表示に関する公正競争規約が同じ線を引いており、その体系は不動産広告の表示基準で扱っています。法令の定義と広告規制の用語が一致している数少ない例なので、片方を覚えれば両方に効きます。

    「住宅」であること

    住宅の定義は品確法2条1項です。人の居住の用に供する家屋または家屋の部分をいい、人の居住の用以外の用に供する家屋の部分との共用に供する部分を含む、とされています。

    事務所や店舗として建てられた建物は対象外です。一棟の建物の一部が住宅であるいわゆる併用住宅については、住宅部分が対象になり、さらに定義のかっこ書きにより、店舗部分と共用している廊下や階段のような部分も住宅の一部として扱われます。共用部分を切り捨てない書き方になっている点が、条文をよく読むと分かります。

    資力確保措置の2つの方法と、算定への影響

    住宅瑕疵担保履行法が求める資力確保措置には、住宅販売瑕疵担保保証金の供託と、住宅販売瑕疵担保責任保険契約の締結の2つがあります。どちらか一方を選ぶこともでき、住宅ごとに使い分けることもできます。

    保険を選んだ場合、その住宅について供託は不要です。法11条2項が、保証金の額を算定する際の戸数から、保険法人と保険契約を締結し、買主に保険証券またはこれに代わるべき書面を交付し、あるいはこれらに記載すべき事項を記録した電磁的記録を提供した場合における当該保険契約に係る新築住宅を除くと定めているからです。同項はこの除外後の住宅を「販売新築住宅」と呼び、以後の算定はすべてこの販売新築住宅の合計戸数を基礎に行われます。

    したがって、計算問題では次の順序になります。まず基準日前10年間に自ら売主として業者でない買主に引き渡した新築住宅を拾い、そこから保険を締結した住宅を差し引く。残った戸数、すなわち販売新築住宅の合計戸数が供託額算定の基礎です。

    除外の条件は「締結」だけではない

    「保険に入っていれば除外される」と大まかに覚えていると、要件をずらした選択肢に対応できません。11条2項のかっこ書きを分解すると、戸数から外れるための条件は3つあります。

    第一に、相手方が住宅瑕疵担保責任保険法人であることです。同項は「住宅瑕疵担保責任保険法人と」締結した契約と書いているので、国土交通大臣の指定を受けていない保険会社との契約では戸数から除外されません。第二に、その契約が2条7項の要件に適合する住宅販売瑕疵担保責任保険契約であることです。保険金額や有効期間といった契約内容の要件は同項が列挙しており、保険法人の指定や業務とあわせて住宅瑕疵担保履行法で扱っています。

    第三が見落とされやすいところです。11条2項は「住宅販売瑕疵担保責任保険契約を締結し、当該買主に、保険証券又はこれに代わるべき書面を交付し、又はこれらに記載すべき事項を記録した電磁的記録を提供した場合における当該住宅販売瑕疵担保責任保険契約に係る新築住宅を除く」と書いています。締結しただけでは足りず、買主への交付または提供まで済んでいることが除外の条件です。契約は結んだが証券を渡していないという住宅があれば、その住宅は販売新築住宅として数え、供託額に反映させることになります。「保険契約を締結していれば足りる」とする選択肢は、この交付・提供の要件を落としたものです。

    2つの方法は性質が違う

    計算という観点から見ると、両者は「額が何によって決まるか」が根本的に違います。供託は、11条2項が定めるとおり基準日時点の販売新築住宅の合計戸数から一つの数字を逆算する仕組みで、10年分の引渡しが累積するため、基準日ごとに額が動きます。保険は住宅一戸ごとに契約が成立して完結するので、そもそも合計を求めるという発想がありません。計算問題が供託の側でしか成立しないのは、このためです。両者の資金負担の違いや、買主から見た救済経路の違いは住宅瑕疵担保履行法で扱っています。

    もう一点、時間軸の違いがあります。法2条7項4号が「引渡しを受けた時から十年以上の期間にわたって有効であること」を要件としている以上、すでに引き渡した住宅について、あとから遡って有効期間を確保することは条文上想定されていません。基準日の直前に「供託額が大きいので保険に切り替える」という処理はできない、ということです。過去の引渡し分は供託でしか処理できず、だからこそ10年分を累積した戸数が毎年の算定の基礎になります。

    計算問題では、どの住宅に保険が付いているかが問題文に与えられるので、この実務上の制約が答えを左右することはありません。ただし、保険を締結した住宅を戸数から外すという処理の意味を理解しておくと、条件の読み取りが速くなります。

    基準日と、数える期間

    基準日は毎年3月31日の年1回

    資力確保の状況を確認する日が基準日です。定義は同じ法律の3条1項のかっこ書きにあり、「基準日(三月三十一日をいう。以下同じ。)」と書かれています。建設業者についての規定である3条で定義され、11条以降でもその定義が使われる形です。

    ここは注意が必要な箇所です。改正前の3条1項は「各基準日(毎年三月三十一日及び九月三十日をいう。以下同じ。)において」と定めており、基準日は年2回でした。令和3年法律第48号による改正が2021年9月30日に施行され、9月30日の基準日が廃止されて年1回になっています。古い教材や過去問の解説には年2回のまま記載されているものが残っているので、必ず現行の内容で覚え直してください。

    条文が変わったのは回数だけではない

    同じ改正で、義務を負う期間の書き方も変わりました。改正前は「各基準日において……供託をしていなければならない」でしたが、改正後は「毎年、基準日から三週間を経過する日までの間において……供託をしていなければならない」となっています。

    改正前は基準日という一時点で足りているかどうかを判定する建て付けでしたが、改正後は基準日から3週間の期間を通じて供託が維持されていることが求められます。この3週間は、後述する届出の期限と同じ長さです。届出をする時点で供託が済んでいなければ届出のしようがないので、期間の終わりを届出期限にそろえた、と読むのが素直です。

    改正で正誤が反転した論点は、改正から数年のあいだ繰り返し狙われます。同種の反転がどこで起きているかは宅建業法の改正ポイントで横断的に確認できます。

    数える期間は基準日前10年間

    法11条1項が定めるとおり、算定の基礎となるのは基準日前10年間に引き渡した新築住宅です。この10年という期間は、品確法95条1項が定める10年間の瑕疵担保責任と対応しています。責任が存続している住宅の全体について資力を確保させる、という設計です。

    したがって、基準日から10年より前に引き渡した住宅は戸数から外れます。時間の経過とともに古い住宅が抜けていくので、引渡しが止まれば必要な供託額は年々減っていきます。

    引渡日が基準

    数えるのは「引き渡した」新築住宅です。契約を締結した日でも、代金を受領した日でもなく、引渡しの日で判定します。基準日の直前に契約が成立していても、引渡しが基準日後であれば、その基準日の戸数には含まれません。

    供託が足りているかどうかは、各基準日について判定されます。基準日の直後に引き渡した住宅は、その基準日の算定には入らず、翌年の基準日から算定の対象になります。逆に、基準日の直前に大量の引渡しがあれば、その基準日の算定に一気に反映されます。引渡しの時期によって必要な供託額が段階的に動く、という構造を理解しておくと、問題文の日付を正しく処理できます。

    戸数の数え方 — 55平方メートルの特例

    ここが計算問題の中心です。

    2戸をもって1戸とする

    法11条3項は、前項の販売新築住宅の合計戸数の算定に当たっては、販売新築住宅のうち、その床面積の合計が政令で定める面積以下のものは、その2戸をもって1戸とすると定めています。政令が定める面積は、同法施行令6条により55平方メートルです。

    つまり、床面積の合計が55平方メートル以下の小規模な住宅は、2戸で1戸分としてカウントします。10戸あれば5戸として数えることになります。

    この特例が置かれているのは、供託額が住宅の規模を反映すべきだからです。同じ1戸でも、大きな戸建てと小さなワンルームでは、瑕疵が生じたときの補修費用の規模が違います。戸数だけで一律に算定すると、小規模住宅を多く供給する業者に過大な負担がかかります。そこで、小規模な住宅については戸数を半分に換算する形で調整しているわけです。

    「その床面積の合計」という書き方

    条文は「その床面積の合計が政令で定める面積以下のもの」と書いています。この「その」は販売新築住宅の1戸を指しているので、判定するのは1戸ごとの床面積の合計です。共同住宅であれば1住戸の各階の床面積を合計した値、戸建てであれば1棟の各階の床面積を合計した値で、それぞれ55平方メートル以下かどうかを見ます。

    複数戸の床面積を足し合わせて判定するのではありません。「合計」という語につられて棟全体の延べ面積で判定してしまうと、共同住宅の場合はまず55平方メートルを超えるので、特例が一切使えないことになります。文の主語が1戸であることを押さえてください。

    なお、床面積をどのように測るかについて、住宅瑕疵担保履行法にも同法施行令にも定義規定は置かれていません。試験問題では床面積の数値が与えられるので、測り方が答えを左右することはありません。

    境界の読み分け

    判定の基準は「床面積の合計が55平方メートル以下」です。ちょうど55平方メートルであれば「以下」に当たるので特例の対象になり、55.1平方メートルであれば対象外です。

    この「以下」と「超える」の読み分けは、後述する算定式の区分でも同じように効いてきます。宅建業法の計算問題は、数字そのものより境界の言い回しで差がつくことが多く、その類型は引っかけ表現のパターンで整理しています。

    割り切れない場合について

    床面積55平方メートル以下の住宅が奇数戸ある場合の端数の扱いについては、法にも政令にも明示の規定がなく、国土交通省の公表資料にも明確な記載を見つけられませんでした。したがって本記事では断定を避けます。試験問題で割り切れない設定が出た場合は、問題文の指示に従ってください。以下の例題は、いずれも割り切れる設定にしてあります。

    戸数から外れるもの

    ここまでを整理すると、戸数から外れるのは次のものです。媒介や代理として関与しただけの住宅、買主が宅地建物取引業者である住宅、新築住宅に当たらない住宅(工事完了から1年超、または居住歴あり)、住宅に当たらない建物、基準日前10年より前に引き渡した住宅、そして保険を締結した住宅です。

    そのうえで、残った住宅のうち床面積の合計が55平方メートル以下のものを2戸で1戸に換算します。

    複数の売主業者がいるときの数え方

    55平方メートルの特例と並んで、条文にはもう一つの戸数調整があります。試験での出題頻度は高くありませんが、条文の構造を理解しておくと11条全体の見通しがよくなります。

    11条4項が政令に委任している

    法11条4項は、新築住宅の買主と2以上の自ら売主となる宅地建物取引業者との間で締結された売買契約であって、宅地建物取引業法37条1項の規定により当該宅地建物取引業者が特定住宅販売瑕疵担保責任の履行に係るそれぞれの負担の割合を記載した書面を買主に交付したものに係る販売新築住宅その他の政令で定める販売新築住宅については、政令で合計戸数の算定の特例を定めることができるとしています。

    これを受けて同法施行令7条1項が対象を確定し、2項が算定方法を定めています。2項は、その1戸を、書面に記載された2以上の宅地建物取引業者それぞれの販売瑕疵負担割合の合計に対する当該宅地建物取引業者の販売瑕疵負担割合の割合で除して得た戸数をもって1戸とする、と規定しています。

    意味するところ

    言い回しが硬いので、割合に置き換えます。2社が共同で自ら売主となり、37条書面に負担割合を2分の1ずつと記載して買主に交付したとします。各社にとって、その住宅は「1÷2分の1=2戸をもって1戸」と扱われます。すなわち、その住宅を0.5戸として数えることになります。負担割合が5分の1の業者であれば、1÷5分の1=5戸をもって1戸、つまり0.2戸として数えます。

    結果として、共同売主の負担割合の合計は1戸分にそろいます。二重に供託させることも、責任の分担を無視して各社に丸1戸分を負わせることもしない、という調整です。55平方メートルの特例が「2戸をもって1戸」と書かれているのと同じ文型なので、ここを起点に読むと理解しやすくなります。

    なお、この特例が働くのは37条書面に負担割合が記載され、それが買主に交付された場合に限られます。記載も交付もなければ、各業者はそれぞれ1戸として数えることになります。37条書面の記載事項で扱っている必要的記載事項とは別に、当事者が定めた場合に記載する事項として負担割合が現れる、という位置づけです。

    供託額の算定式

    法律と政令の二段構造

    供託額の決まり方は、法律の別表と政令の別表の二段構えです。ここを分けておかないと、条文を問う選択肢に対応できません。

    法11条2項は、保証金の額を、販売新築住宅の合計戸数の別表の上欄に掲げる区分に応じ、それぞれ同表の下欄に掲げる金額の範囲内で、合計戸数を基礎として、政令で定めるところにより算定する額以上の額とすると定めています。法の別表が示しているのは金額の「範囲」です。たとえば1戸を超え10戸以下の場合は2,000万円を超え3,800万円以下、10戸を超え50戸以下の場合は3,800万円を超え7,000万円以下、というように上限と下限を示しています。

    その範囲の中で具体的な額を算出するのが政令です。同法施行令5条が、販売新築住宅の合計戸数に別表の「乗ずる金額」を乗じて得た額に、同表の「加える金額」を加えて得た額とする、と定めています。同条は、その額が120億円を超える場合は120億円とする、という上限も置いています。

    二段構造は上限のところでも噛み合っています。法の別表の最終区分は「三十万を超える場合」で、その範囲は「四十五億九千万円を超え百二十億円以下」です。施行令5条が算定額の頭を120億円で止めているのは、政令の式が法の別表の枠をはみ出さないようにするためで、法と政令のどちらの別表も16区分でそろえられています。政令が法の委任の範囲内にとどまるよう設計されている、という条文の作りがここに出ています。

    そして法11条2項の末尾は「算定する額(第十三条において『基準額』という。)以上の額とする」です。政令で算出した額はあくまで下限であって、これを上回る額を供託することは差し支えありません。「基準額と同額でなければならない」とする選択肢は誤りです。

    政令別表の数値

    政令の別表が定める区分ごとの2つの数値は次のとおりです。戸数が1戸以下のときは、乗ずる金額が2,000万円、加える金額は0円です。1戸を超え10戸以下のときは、乗ずる金額が200万円、加える金額が1,800万円。10戸を超え50戸以下のときは、乗ずる金額が80万円、加える金額が3,000万円。50戸を超え100戸以下のときは、乗ずる金額が60万円、加える金額が4,000万円。100戸を超え500戸以下のときは、乗ずる金額が10万円、加える金額が9,000万円。500戸を超え1,000戸以下のときは、乗ずる金額が8万円、加える金額が1億円。1,000戸を超え5,000戸以下のときは、乗ずる金額が4万円、加える金額が1億4,000万円です。区分は5,000戸超、1万戸超と16区分まで続きますが、宅建試験で扱う規模ではありません。

    なぜこの形なのか

    区分が上がるほど、乗ずる金額は下がり、加える金額は上がります。これは、戸数が増えるほど1戸あたりの負担が逓減する累進的な設計になっているためです。すべての住宅に同時に瑕疵が生じる可能性は低いので、戸数に比例して積み上げる必要がない、という考え方です。

    区分の境界では金額が連続します。たとえば10戸ちょうどを1つ目の区分の式で計算すると、10×200万円+1,800万円で3,800万円。同じ10戸を2つ目の区分の式で計算すると、10×80万円+3,000万円でやはり3,800万円です。50戸、100戸、500戸の境界でも同じように一致します。この連続性を知っていると、どちらの区分を使うか迷ったときの検算になります。

    そして、この境界の値は法の別表が示す範囲の境界と一致しています。1戸を超え10戸以下の範囲が「2,000万円を超え3,800万円以下」であり、政令の式で10戸を計算した値が3,800万円であるのは偶然ではありません。政令は法の別表が示した範囲の上限にちょうど届くように設計されています。数字の整理そのものは宅建業法の数字まとめにまとめてあります。

    例題で手順を追う

    例題1 基本形

    基準日前10年間に、自ら売主として宅地建物取引業者でない買主に引き渡した新築住宅が8戸ある。いずれも床面積の合計は55平方メートルを超えており、保険は締結していない。供託すべき額はいくらか。

    1. 戸数を確定する。保険なし、55平方メートル超なので換算も不要。8戸。
    2. 区分を選ぶ。1戸を超え10戸以下なので、乗ずる金額200万円、加える金額1,800万円。
    3. 計算する。8×200万円+1,800万円=1,600万円+1,800万円=3,400万円。

    例題2 保険との併用

    同じ条件で、引き渡した新築住宅が20戸あり、うち12戸について住宅販売瑕疵担保責任保険契約を締結している。残り8戸はいずれも床面積55平方メートル超である。

    1. 保険を締結した住宅を除く。20−12=8戸。
    2. 換算は不要なので8戸。
    3. 8×200万円+1,800万円=3,400万円。

    保険を締結した12戸は、算定の基礎から完全に外れます。「20戸で算定してから12戸分を差し引く」という処理ではない点に注意してください。算定式が累進的なので、順序を変えると結果が変わります。実際、20戸で算定すると20×80万円+3,000万円=4,600万円、そこから12戸分に相当する何らかの額を引くという発想では、正解の3,400万円にたどり着きません。

    例題3 55平方メートルの特例

    基準日前10年間に引き渡した新築住宅が18戸あり、保険は締結していない。このうち6戸は床面積の合計が55平方メートル以下である。

    1. 床面積55平方メートル超が12戸、55平方メートル以下が6戸。
    2. 55平方メートル以下の6戸を2戸で1戸に換算する。6÷2=3戸。
    3. 合計戸数は12+3=15戸。
    4. 10戸を超え50戸以下の区分なので、15×80万円+3,000万円=1,200万円+3,000万円=4,200万円。

    ここで、換算せずに18戸のまま計算すると、18×80万円+3,000万円=4,440万円となり、240万円の差が出ます。選択肢にはこの誤答が用意されていると考えてください。

    例題4 保険と特例が両方かかる

    基準日前10年間に引き渡した新築住宅が60戸あり、うち20戸について保険を締結している。保険を締結していない40戸のうち、10戸は床面積の合計が55平方メートル以下である。

    1. 保険を締結した20戸を除く。残り40戸。
    2. 40戸のうち、55平方メートル超が30戸、55平方メートル以下が10戸。
    3. 55平方メートル以下の10戸を換算する。10÷2=5戸。
    4. 合計戸数は30+5=35戸。
    5. 10戸を超え50戸以下の区分なので、35×80万円+3,000万円=2,800万円+3,000万円=5,800万円。

    処理の順序は、保険による除外が先、床面積による換算が後です。逆にしても結果は同じになりますが、順序を固定しておくほうが取りこぼしがありません。

    例題5 区分の境界

    供託の対象となる合計戸数が10戸である場合と11戸である場合を比べてみます。

    10戸は「1戸を超え10戸以下」の区分なので、10×200万円+1,800万円=3,800万円。11戸は「10戸を超え50戸以下」の区分なので、11×80万円+3,000万円=880万円+3,000万円=3,880万円です。1戸増えても80万円しか増えません。

    ここで区分を誤り、11戸を1つ目の区分の式で計算すると、11×200万円+1,800万円=4,000万円となり、120万円ずれます。区分の境界は「10戸以下」と「10戸を超え」なので、ちょうど10戸は1つ目の区分に入ります。「以下」と「超える」の読み分けが、ここでも結論を左右します。

    例題6 除外要素が複数あるとき

    基準日前10年間に自ら売主として引き渡した新築住宅が25戸ある。このうち5戸は買主が宅地建物取引業者であった。残り20戸のうち4戸について保険を締結している。保険を締結していない16戸のうち、8戸は床面積の合計が55平方メートル以下である。

    1. 買主が宅地建物取引業者である5戸を除く。25−5=20戸。
    2. 保険を締結した4戸を除く。20−4=16戸。
    3. 16戸のうち、55平方メートル超が8戸、55平方メートル以下が8戸。
    4. 55平方メートル以下の8戸を換算する。8÷2=4戸。
    5. 合計戸数は8+4=12戸。
    6. 10戸を超え50戸以下の区分なので、12×80万円+3,000万円=960万円+3,000万円=3,960万円。

    除外の要素が重なるほど、どこかを飛ばす危険が増えます。問題文の条件を余白に列挙し、処理するたびに消していく方法が確実です。同じく除外と場合分けが重なる計算としては手付金等の保全措置があり、条件を消し込む解き方はそのまま流用できます。

    例題7 共同売主がいるとき

    基準日前10年間に自ら売主として引き渡した新築住宅のうち、単独で売主となったものが14戸ある。これに加えて、別の宅地建物取引業者と2社で自ら売主となった新築住宅が4戸あり、いずれも37条書面に販売瑕疵負担割合を2分の1ずつと記載して買主に交付している。18戸はいずれも床面積の合計が55平方メートルを超えており、保険は締結していない。

    1. 単独売主分は、そのまま14戸。
    2. 共同売主分の4戸は、37条書面に負担割合が記載され買主に交付されているので、施行令7条1項の販売新築住宅に当たる。
    3. 同条2項により、負担割合の合計(2分の1+2分の1=1)に対する自社の負担割合(2分の1)の割合は2分の1。1戸をこの2分の1で除すると2なので、「2戸をもって1戸」、すなわち1戸を0.5戸として数える。
    4. 4戸×0.5=2戸。
    5. 合計戸数は14+2=16戸。
    6. 10戸を超え50戸以下の区分なので、16×80万円+3,000万円=1,280万円+3,000万円=4,280万円。

    相手方の業者も、同じ4戸について自社の負担割合で按分した2戸を自分の合計戸数に算入します。両社を合わせてちょうど4戸分が確保される計算で、二重に供託させることも、負担割合を無視して各社に丸1戸ずつ負わせることもしない、という調整になっています。

    なお、この按分は55平方メートルの特例とは別の調整です。両方の要件を満たす住宅について特例がどう重なるかまでは条文に明示がないので、それぞれの文型を押さえておけば足ります。按分を無視して4戸をそのまま数えると合計18戸となり、18×80万円+3,000万円=4,440万円で160万円ずれます。

    供託の実行と、その後の手続

    どこに供託するか

    法11条6項により、供託は主たる事務所の最寄りの供託所にします。従たる事務所ごとに供託するのではありません。宅地建物取引業法25条1項の営業保証金が主たる事務所の最寄りの供託所に一括して供託するのと同じ形です。営業保証金との対比は営業保証金の仕組みで確認してください。

    有価証券で充てるときの評価

    法11条5項により、保証金は金銭のほか、国債証券、地方債証券その他の国土交通省令で定める有価証券をもって充てることができます。その評価額は同法施行規則15条1項が定めています。国債証券はその額面金額、地方債証券または政府がその債務について保証契約をした債券はその額面金額の100分の90、それ以外の債券はその額面金額の100分の80です。

    この100パーセント、90パーセント、80パーセントという三段階は、営業保証金に充てる有価証券の評価と同じ考え方です。国が発行したものは額面どおり、地方や政府保証が付いたものは1割引き、それ以外は2割引きという序列だと覚えておけば、どちらの制度で問われても対応できます。

    主たる事務所を移転したとき

    法16条が7条から9条までを供託宅地建物取引業者について準用しており、そのうち8条が保管替え等の規定です。金銭のみで供託している場合は、遅滞なく、供託している供託所に対し費用を予納して、移転後の主たる事務所の最寄りの供託所への保管替えを請求しなければなりません。有価証券、または有価証券と金銭で供託している場合は、保管替えという方法がとれないので、遅滞なく同額を移転後の最寄りの供託所に新たに供託し、そのうえで移転前の供託所から取り戻すことになります。

    これは宅地建物取引業法29条1項の営業保証金の保管替えと同じ構造です。金銭のみなら保管替え、有価証券が混じっていれば新たに供託してから取戻し、という分岐をひとつ覚えれば両方に効きます。

    不足が生じたとき

    法16条が準用する7条1項により、供託宅地建物取引業者は、還付その他の理由により保証金が基準額に不足することとなったときは、法務省令・国土交通省令で定める日から2週間以内にその不足額を供託しなければなりません。同条2項により、供託したときは免許権者に届け出る必要があります。

    宅地建物取引業法28条1項の営業保証金の追加供託も「法務省令・国土交通省令で定める日から2週間以内」で、期間の長さも起算点の書き方も同じです。

    届出は基準日から3週間以内

    法12条1項は、11条1項の新築住宅を引き渡した宅地建物取引業者は、基準日ごとに、当該基準日に係る住宅販売瑕疵担保保証金の供託および住宅販売瑕疵担保責任保険契約の締結の状況について、国土交通省令で定めるところにより、その宅地建物取引業法3条1項の免許を受けた国土交通大臣または都道府県知事に届け出なければならないと定めています。

    期限を定めているのは法律ではなく省令です。同法施行規則16条1項が、この届出は基準日から3週間以内に、別記第七号様式による届出書により行うものとすると定めています。基準日が3月31日なので、実際には毎年4月21日までということになります。

    届出先は免許権者です。供託所ではありません。ここも取り違えやすい点です。なお12条1項には「(信託会社等にあっては、国土交通大臣。次条において同じ。)」というかっこ書きが置かれており、信託会社等については国土交通大臣が届出先になります。ただし書ではなくかっこ書きによる指定で、しかも末尾が「次条において同じ」なので、この読替えは13条にも及びます。後述する13条ただし書の確認を受ける相手も、信託会社等であれば国土交通大臣です。

    届け出るのは1年分、供託しているのは10年分

    規則16条2項は、届出書に、当該基準日における11条1項の新築住宅のうち「当該基準日前一年間に引き渡した新築住宅」に関する事項を記載した一覧表を添付しなければならないとしています。

    供託額の算定は10年分の累積で行いますが、届出に添付する一覧表は直近1年分です。10年分を毎年出し直させる必要はなく、前年までの分は既に届出済みだからです。10年と1年が同じ条文群の中に出てくるので、どちらが何の期間かを取り違えないでください。

    届出をしないと50日で契約できなくなる

    法13条は、11条1項の新築住宅を引き渡した宅地建物取引業者は、同項の規定による供託をし、かつ12条1項の規定による届出をしなければ、当該基準日の翌日から起算して50日を経過した日以後においては、新たに自ら売主となる新築住宅の売買契約を締結してはならないと定めています。

    3週間という届出期限と、50日という契約締結の制限を混同しないでください。届出の期限が3週間、その後さらに時間が経過して50日を過ぎると契約締結ができなくなる、という二段構えです。また、制限されるのは新たに自ら売主となる新築住宅の売買契約であって、既存の契約が無効になるわけでも、媒介業務ができなくなるわけでもありません。中古住宅の売買や賃貸の媒介は、この制限を受けずに続けられます。

    13条にはただし書がある

    13条には見落とされやすいただし書が付いています。当該基準日後に、その基準日に係る保証金の基準額に不足する額の供託をし、かつその供託について、国土交通省令で定めるところにより免許権者の確認を受けたときは、その確認を受けた日以後においては制限を受けない、というものです。

    つまり50日の制限は一度かかったら永久に続くわけではなく、不足を埋めて確認を受ければ解除されます。「一度でも届出を怠れば、その年度は自ら売主となる新築住宅の売買契約を締結できない」とする選択肢は、このただし書を無視したものです。

    買主への説明義務

    法15条1項は、供託宅地建物取引業者は、自ら売主となる新築住宅の買主に対し、当該新築住宅の売買契約を締結するまでに、その住宅販売瑕疵担保保証金の供託をしている供託所の所在地その他住宅販売瑕疵担保保証金に関し国土交通省令で定める事項について、これらの事項を記載した書面を交付して説明しなければならないと定めています。

    義務を負うのは「供託宅地建物取引業者」、すなわち11条1項の規定により供託をしている業者です。保険だけで資力確保をしている業者には、この15条の説明義務は生じません。供託という方法を選んだ以上、買主に供託所の場所を知らせなければ還付を請求しようがない、というのが趣旨だからです。

    説明すべき事項は同法施行規則21条が2つ挙げています。ひとつは保証金の供託をしている供託所の表示、もうひとつは施行令7条1項の販売新築住宅、すなわち複数の業者が自ら売主となった住宅については、それぞれの販売瑕疵負担割合の合計に対する当該業者の負担割合の割合です。共同売主の場合は自分の持ち分がどれだけかを示す必要がある、ということです。

    35条書面との違い

    これは宅地建物取引業法35条の重要事項説明とは別の義務です。根拠となる法律が違い、説明すべき内容も違います。また、35条が宅地建物取引士による説明を要求しているのに対し、この15条の説明について宅建士による説明を求める規定はありません。業者が説明すればよいことになります。

    なお、宅地建物取引業法35条1項13号にも、当該宅地または建物が種類または品質に関して契約の内容に適合しない場合におけるその不適合を担保すべき責任の履行に関し保証保険契約の締結その他の措置を講ずるかどうか、および講ずる場合におけるその措置の概要という説明事項があり、資力確保措置の内容がここで説明されます。したがって、実務では35条書面での説明と法15条の説明の両方が行われます。両者の関係は35条書面の記載事項とあわせて整理してください。営業保証金や保証協会に関する供託所等の説明との違いは供託所等の説明で扱っており、義務の名宛人が誰かという軸での整理は宅建業者の説明義務にまとめてあります。

    書面に代えて電磁的方法で提供できる

    法15条2項は、10条2項の規定を15条1項の書面の交付について準用しています。10条2項は、書面の交付に代えて、政令で定めるところにより相手方の承諾を得て、記載すべき事項を電磁的方法により提供することができ、この場合には書面を交付したものとみなす、という規定です。

    承諾の取り方は同法施行令4条が定めており、あらかじめ用いる電磁的方法の種類と内容を示したうえで、書面等によって承諾を得るものとされています。いったん承諾を得た後でも、買主から電磁的方法による提供を受けない旨の申出があったときは提供してはならず、その後に再び承諾を得た場合はこの限りでない、という往復の規定も置かれています。35条書面や37条書面の電子化と同じ設計で、そちらはIT重説と書面電子化で扱っています。

    供託額が過大になったとき

    法16条が準用する9条1項により、供託宅地建物取引業者または宅地建物取引業者であった者もしくはその承継人は、基準日において保証金の額が当該基準日に係る基準額を超えることとなったときは、その超過額を取り戻すことができます。判定は基準日ごとです。引渡しから10年が経過して住宅が算定の対象から外れれば、次の基準日で超過額が生じることになります。

    そして同条2項により、この取戻しは免許権者の承認を受けなければすることができません。承認を得ずに勝手に取り戻すことはできない、ということです。営業保証金の取戻しについて宅地建物取引業法30条2項が6か月を下らない一定期間の公告を要求しているのに対し、住宅販売瑕疵担保保証金について法律が要件として置いているのは免許権者の承認です。手続の作りが違う点に注意してください。

    違反したときに何が起きるか

    資力確保措置をめぐる違反には、宅地建物取引業法上の監督処分と、住宅瑕疵担保履行法上の罰則の両方が用意されています。どちらも条文で対象がきちんと絞られているので、対応関係を押さえておくと選択肢の正誤を判定できます。

    指示処分の対象は広い

    宅地建物取引業法65条1項の柱書は、免許を受けた宅地建物取引業者が同項各号のいずれかに該当する場合のほか、宅地建物取引業法の規定に違反した場合、そして「履行確保法第十一条第一項若しくは第六項、第十二条第一項、第十三条、第十五条第一項若しくは履行確保法第十六条において読み替えて準用する履行確保法第七条第一項若しくは第二項若しくは第八条第一項若しくは第二項の規定に違反した場合」に、必要な指示をすることができると定めています。

    条文が個別の条項名を並べているのが特徴です。供託義務(11条1項)、供託所の場所(11条6項)、届出(12条1項)、契約締結の制限(13条)、買主への説明(15条1項)、不足額の供託とその届出(7条1項・2項)、保管替え等(8条1項・2項)が名指しされています。

    さらに、同項3号は「業務に関し他の法令(履行確保法及びこれに基づく命令を除く。)に違反し、宅地建物取引業者として不適当であると認められるとき」と書いています。履行確保法違反は柱書で直接拾っているので、3号の「他の法令」からは明示的に除かれているわけです。条文の作りとして重複を避けている部分で、丁寧に読むと制度の意図が見えます。

    業務停止処分の対象は狭い

    同法65条2項2号は、業務停止処分の対象となる違反を列挙する中で、履行確保法については「第十一条第一項、第十三条若しくは履行確保法第十六条において読み替えて準用する履行確保法第七条第一項」だけを挙げています。処分の期間は1年以内です。

    つまり、供託義務そのものの違反、50日以後の契約締結の禁止に対する違反、不足額の供託の懈怠は業務停止まで進みますが、届出義務(12条1項)の違反と買主への説明義務(15条1項)の違反は、条文上は指示処分にとどまります。指示処分に従わなければ65条2項3号により業務停止に進む、という経路はありますが、直接には業務停止の対象ではありません。指示と業務停止で対象範囲がずれているという点が、この論点のいちばん細かいところです。

    そして同法66条1項9号は、65条2項各号のいずれかに該当し情状が特に重いとき、または業務停止処分に違反したときは、免許を取り消さなければならないと定めています。必要的取消しです。監督処分の全体の体系は監督処分の種類と手続で整理しています。

    刑事罰もある

    住宅瑕疵担保履行法40条2号は、13条の規定に違反して自ら売主となる新築住宅の売買契約の締結をしたときは、その違反行為をした者を1年以下の拘禁刑もしくは100万円以下の罰金に処し、またはこれを併科すると定めています。同条1号が建設業者について5条違反を同じ刑で処罰しており、売買と請負が対称に作られています。

    また同法42条は、12条1項の規定による届出をせず、または虚偽の届出をしたときは、その違反行為をした者を50万円以下の罰金に処すると定めています。届出の懈怠は業務停止の対象ではありませんが、罰金の対象ではあるということです。行政処分と刑事罰で射程が違う典型例なので、あわせて覚えてください。

    さらに44条が両罰規定を置いており、法人の代表者や法人・人の代理人、使用人その他の従業者が業務に関し40条または42条の違反行為をしたときは、行為者を罰するほか、その法人または人に対しても各本条の罰金刑を科すとしています。宅地建物取引業法の罰則との対比は宅建業法の罰則一覧で確認できます。

    責任そのものは消えない

    資力確保措置を怠ったからといって、品確法95条1項にもとづく10年間の瑕疵担保責任そのものが消えるわけではありません。責任は残り、それを履行する原資の確保だけが欠けている状態になります。買主の立場からすれば、これが最も困る事態であり、だからこそ制度が置かれているわけです。

    3つの供託制度を混同しない

    宅地建物取引業法とその周辺には、供託という言葉が出てくる制度が3つあります。営業保証金、保証協会の弁済業務保証金、そして住宅販売瑕疵担保保証金です。数字も手続も似ているので、軸を決めて対比しておきます。

    額の決まり方

    営業保証金は事務所の数で決まります。宅地建物取引業法25条2項を受けた同法施行令2条の4により、主たる事務所につき1,000万円、その他の事務所につき事務所ごとに500万円です。保証協会に加入する場合の弁済業務保証金分担金も事務所の数で決まり、同法64条の9第1項を受けた施行令7条により、主たる事務所につき60万円、その他の事務所につき事務所ごとに30万円です。

    これに対して住宅販売瑕疵担保保証金は、事務所の数とはまったく関係なく、引き渡した新築住宅の戸数で決まります。事務所が1つでも、10年間に多数の新築住宅を引き渡していれば、供託額は大きくなります。逆に、事務所を何十も構えていても、自ら売主として新築住宅を引き渡していなければ供託額は生じません。ここが最も本質的な違いです。事務所の数が何を決めるかという横断整理は宅建業の事務所にまとめてあります。

    どこへ納めるか

    営業保証金と住宅販売瑕疵担保保証金は、いずれも主たる事務所の最寄りの供託所に供託します。従たる事務所の分も含めて一括です。

    弁済業務保証金分担金だけは扱いが違い、業者は保証協会に金銭で納付し、協会がまとめて供託所に供託します。業者が直接供託所へ行くわけではありません。分担金は金銭に限られ、有価証券を充てることはできない点も、他の2つと異なります。保証協会の仕組みは保証協会と弁済業務で扱っています。

    誰が、何について還付を受けられるか

    営業保証金については、宅地建物取引業法27条1項が、宅地建物取引業者と宅地建物取引業に関し取引をした者(宅地建物取引業者に該当する者を除く)は、その取引により生じた債権に関し弁済を受ける権利を有すると定めています。取引により生じた債権であればよく、瑕疵に限られません。

    住宅販売瑕疵担保保証金については、住宅瑕疵担保履行法14条1項が権利者と債権を絞り込んでいます。権利を有するのは、供託宅地建物取引業者が特定住宅販売瑕疵担保責任を負う期間内に、品確法95条1項に規定する瑕疵によって生じた損害を受けた新築住宅の買主です。そして対象となる債権も、その瑕疵を理由とする代金の返還請求権または損害賠償請求権に限られます。他の債権者に先立って弁済を受ける権利、という書き方をしている点も特徴です。

    さらに同条2項は、還付を請求できる場合を3つに限定しています。当該代金返還請求権等について債務名義を取得したとき、その存在および内容について供託業者と合意した旨が記載または記録された公正証書を作成したときなど国土交通省令で定めるとき、そして供託業者が死亡した場合その他義務の履行が不能または著しく困難である場合として国土交通省令で定める場合において、権利を有することについて国土交通大臣の確認を受けたときです。買主が主張しただけで供託所から払い出されるわけではありません。

    いつ届け出るか

    営業保証金は、供託したうえで免許権者に届け出た後でなければ事業を開始できません。開業の前提としての届出です。

    住宅販売瑕疵担保保証金の届出は、基準日ごとに繰り返し行うものです。開業の要件ではなく、継続的な報告義務という性格を持ちます。この違いを押さえておくと、「届出をしないと事業を開始できない」という選択肢が住宅瑕疵担保履行法の文脈で出たときに、誤りだと判断できます。

    取戻しの手続

    3つに共通するのは、供託した金銭を取り戻すには免許権者や協会の関与が必要だという点です。ただし手続の作りは違います。営業保証金の取戻しは、宅地建物取引業法30条2項により、原則として6か月を下らない一定期間内に申し出るべき旨を公告し、その期間内に申出がなかった場合でなければすることができません。住宅販売瑕疵担保保証金の取戻しについて法律が定めているのは、免許権者の承認です。

    試験での出題ポイント

    基準日が年1回であること

    前述のとおり、令和3年法律第48号による改正が2021年9月30日に施行され、基準日は毎年3月31日の年1回になりました。古い情報にもとづいて「3月31日と9月30日の年2回」とする選択肢は誤りです。あわせて、11条1項が「毎年、基準日から三週間を経過する日までの間において」供託をしていなければならないと定めている点も、改正で書き換わった部分です。

    55平方メートルの換算を落とさせる

    計算問題の中心はここです。問題文に「うち何戸は床面積の合計が55平方メートル以下である」という一文が紛れ込んでおり、これを読み飛ばすと換算せずに計算してしまいます。選択肢には換算しなかった場合の値が必ず用意されています。

    また、換算するのは「2戸をもって1戸」であって、面積を半分にするのでも、供託額を半分にするのでもありません。戸数の段階で処理する点を押さえてください。

    基準額「以上」を「同額」にすり替える

    法11条2項は、政令で算定した額を基準額と呼び、供託すべきは「基準額以上の額」だと定めています。「政令で算定した額をちょうど供託しなければならない」「基準額を超える供託は認められない」といった選択肢は誤りです。範囲を示す法の別表と、具体額を算出する政令の別表という二段構造も、条文の作りを問う形で出ます。

    3週間と50日を入れ替える

    届出の期限が基準日から3週間以内、契約締結の制限が基準日の翌日から起算して50日を経過した日以後です。この2つを入れ替えた選択肢や、「届出をしないと直ちに契約できなくなる」とする選択肢が出ます。また、13条のただし書を無視して「一度制限がかかると解除されない」とする選択肢も誤りです。数字の整理は宅建業法の数字まとめで横断的に確認できます。

    対象の要件をずらす

    買主が宅地建物取引業者である場合に義務が生じるとする選択肢、媒介をした業者にも義務があるとする選択肢、工事完了から1年を過ぎた未入居の住宅を新築住宅とする選択肢。いずれも対象の要件をずらしたもので、計算に入る前に判定できます。この種の判定を先に済ませる訓練は宅建業法の頻出論点の考え方とそろえておくと効率がよくなります。

    供託所と届出先を混同させる

    供託するのは主たる事務所の最寄りの供託所、届け出るのは免許権者です。「供託所に届け出る」「免許権者に供託する」といった選択肢は誤りです。従たる事務所ごとに供託するとする選択肢も同様に誤りになります。

    法15条の説明を35条書面と混同させる

    法15条の説明は宅地建物取引業法35条の重要事項説明とは別の義務で、宅建士による説明は要求されていません。「宅地建物取引士をして説明させなければならない」とする選択肢は誤りです。義務を負うのが供託宅地建物取引業者に限られ、保険だけで資力確保をしている業者には生じないという点も、ずらしどころになります。主体で切り分ける発想は宅建業者と宅建士の義務で整理しています。

    指示と業務停止の射程をずらす

    宅地建物取引業法65条1項の柱書は履行確保法の7条・8条・11条1項・11条6項・12条1項・13条・15条1項を指示処分の対象として名指しし、65条2項2号は業務停止の対象として11条1項・13条・準用7条1項だけを挙げています。細かい論点ですが、「届出を怠れば直ちに業務停止処分を受ける」といった形で出題される余地があります。

    覚え方・整理の仕方

    3工程で固定する

    算定は「拾う、換算する、当てはめる」の3工程です。第一に対象となる住宅を拾い、保険を締結したものを除く。第二に55平方メートル以下のものを2戸で1戸に換算する。第三に算定式に当てはめる。この順序を毎回同じようにたどれば、取りこぼしが減ります。

    10年という数字は品確法から来ている

    基準日前10年間という期間は、品確法95条1項が定める10年間の瑕疵担保責任と対応しています。責任が生きている住宅について資力を確保させる制度なのだから、責任期間と数える期間が一致するのは当然です。理由から思い出せば、「5年間」「20年間」といった選択肢に迷いません。20年は97条の伸長の上限であって、資力確保の期間ではありません。

    数字を3群に分ける

    制度に登場する数字は、住宅そのものに関するもの、手続に関するもの、金額に関するものの3群に分かれます。住宅に関するのは10年、1年、55平方メートル。手続に関するのは3週間と50日、そして不足額供託の2週間。金額に関するのは保険金額2,000万円以上と、算定式の各区分の値です。どの群の話をしているかで探す範囲が3分の1になります。

    期間の数字は「短い順に何が起きるか」で並べる

    基準日を起点に、時間の流れで並べ直すと混乱しません。まず「基準日から三週間を経過する日」までが、11条1項により供託を維持していなければならない期間で、同じ日が規則16条1項の届出期限でもあります。次に来るのが13条の制限で、こちらは「当該基準日の翌日から起算して五十日を経過した日以後」です。起算点の書き方が、11条は「基準日から」、13条は「基準日の翌日から起算して」と揃っていない点にも注意してください。3週間が先、50日が後という順序さえ間違えなければ、入れ替えの選択肢に引っかかりません。

    算定式は「連続する」ことを覚える

    区分ごとの2つの数値を丸暗記する必要はありません。試験では算定式が問題文に示されることが多いためです。覚えておくとよいのは、区分の境界で金額が連続するという性質です。10戸なら3,800万円、50戸なら7,000万円、100戸なら1億円というように、どちらの区分の式で計算しても同じ値になります。区分の選択を誤ったかどうかを確かめる材料になります。

    8種制限と同じ枠で捉える

    「自ら売主」で「買主が宅地建物取引業者でない」という適用要件は、8種制限とまったく同じです。別々の制度として覚えるより、買主が素人であるときに売主業者へ課される規律という同じ枠に入れておくほうが、要件を取り違えません。横断的な整理は8種制限の横断整理にあります。

    営業保証金と対にして覚える

    主たる事務所の最寄りの供託所への供託、有価証券の評価が100・90・80パーセント、保管替えは金銭のみのときだけ、不足額の供託は2週間以内。これらはすべて営業保証金と共通です。共通部分を1セットとして覚え、違う部分(額の決まり方、届出の性格、還付の権利者と債権、取戻しの手続)だけを差分として覚えるほうが、記憶の総量が減ります。

    理解度チェッククイズ

    Q1. 住宅瑕疵担保履行法の基準日は、毎年3月31日と9月30日の年2回である。(○か×か)

    答えを見る×:基準日は毎年3月31日の年1回です。同法3条1項のかっこ書きが「基準日(三月三十一日をいう。以下同じ。)」と定義しています。制度の開始当初は「各基準日(毎年三月三十一日及び九月三十日をいう。)」とされていましたが、令和3年法律第48号による改正が2021年9月30日に施行され、9月30日の基準日が廃止されました。同じ改正で11条1項の書き方も「各基準日において」から「毎年、基準日から三週間を経過する日までの間において」に変わっています。古い教材には年2回のまま記載されているものがあるので、現行の内容で覚え直してください。

    Q2. 基準日前10年間に自ら売主として引き渡した新築住宅が18戸あり、保険は締結していない。このうち6戸は床面積の合計が55平方メートル以下である。この場合、供託額の算定の基礎となる合計戸数は15戸である。(○か×か)

    答えを見る○:住宅瑕疵担保履行法11条3項により、床面積の合計が政令で定める面積以下である新築住宅は、その2戸をもって1戸とします。政令で定める面積は同法施行令6条により55平方メートルです。55平方メートル超が12戸、55平方メートル以下の6戸を換算すると3戸となり、合計12+3=15戸です。政令の別表では10戸を超え50戸以下の区分に当たるので、15×80万円+3,000万円=4,200万円が基準額になります。換算せずに18戸で計算すると4,440万円となり、誤りです。なお、この18戸を拾う段階で、媒介や代理として関与しただけの住宅と、買主が宅地建物取引業者である住宅は落ちています。前者は11条1項が「自ら売主となる売買契約に基づき」と書いているため、後者は同法2条7項2号ロが「買主(宅地建物取引業者であるものを除く。第十九条第二号を除き、以下同じ。)」と定義し、その定義が11条以降にも及ぶためです。

    Q3. 宅地建物取引業者は、基準日に係る資力確保措置の状況を、基準日から3週間以内に、供託所に届け出なければならない。(○か×か)

    答えを見る×:期限は基準日から3週間以内で正しいのですが、届出先が誤りです。住宅瑕疵担保履行法12条1項により、届出先は免許を受けた国土交通大臣または都道府県知事、すなわち免許権者です。3週間という期限自体は法律ではなく同法施行規則16条1項が定めています。供託そのものは主たる事務所の最寄りの供託所に行いますが(同法11条6項)、届出は免許権者に対して行います。供託先と届出先を入れ替える出題が典型です。なお、届出をせず、または虚偽の届出をしたときは、同法42条により50万円以下の罰金に処せられます。

    Q4. 保証金の供託をしている宅地建物取引業者は、自ら売主となる新築住宅の売買契約を締結するまでに、宅地建物取引士をして、供託所の所在地等を記載した書面を交付して説明させなければならない。(○か×か)

    答えを見る×:住宅瑕疵担保履行法15条1項は、供託宅地建物取引業者が、売買契約を締結するまでに買主に対し、供託所の所在地等を記載した書面を交付して説明しなければならないと定めていますが、宅地建物取引士による説明までは求めていません。宅建士による説明が要求されているのは、宅地建物取引業法35条の重要事項説明です。根拠となる法律も義務の内容も別のものである点を押さえてください。なお同法15条2項が10条2項を準用しており、買主の承諾を得れば、書面の交付に代えて電磁的方法により提供することもできます。

    Q5. 供託すべき住宅販売瑕疵担保保証金の額は、政令の定めにより算定した額と同額でなければならず、これを超える額を供託することはできない。(○か×か)

    答えを見る×:住宅瑕疵担保履行法11条2項は、保証金の額を、法の別表が示す金額の範囲内で政令の定めにより算定する額を「基準額」と呼んだうえで、「基準額以上の額とする」と定めています。政令で算出される額は下限であって、これを上回る供託は差し支えありません。逆に基準額に不足することとなったときは、16条が準用する7条1項により、法務省令・国土交通省令で定める日から2週間以内に不足額を供託しなければならず、供託したときは同条2項により免許権者への届出も必要になります。

    まとめ

    住宅販売瑕疵担保保証金の供託額は、3つの工程で求めます。基準日前10年間に自ら売主として業者でない買主に引き渡した新築住宅を拾い、保険を締結したものを除く。残った販売新築住宅のうち床面積の合計が55平方メートル以下のものを2戸で1戸に換算し、合計戸数を確定する。そして政令が定める「戸数×乗ずる金額+加える金額」の式に当てはめる。算出された額は基準額であり、供託すべきはその基準額以上の額です。

    計算問題として問われるのは、ほぼ2番目の換算です。問題文に紛れ込んだ「うち何戸は床面積の合計が55平方メートル以下」という条件を拾えるかどうかで結果が変わり、換算しなかった場合の値は選択肢に用意されています。

    手続については、基準日が毎年3月31日の年1回であること、供託は基準日から3週間を経過する日までの間において維持されていなければならないこと、届出は基準日から3週間以内に免許権者へ行うこと、届出をしないと基準日の翌日から起算して50日を経過した日以後は新たに自ら売主となる新築住宅の売買契約を締結できなくなること。この4点を押さえてください。制度の全体像、とりわけ保険による資力確保の仕組みは住宅瑕疵担保履行法で、宅建業法全体の中での位置づけは宅建業法の全体像で確認できます。

    宅建試験AIブートラボのアプリでは、住宅瑕疵担保履行法の過去問を条文根拠つきの解説で演習でき、戸数の換算や届出期限といったつまずきやすい箇所を繰り返し確認できます。

    読んだ内容を、宅建業法の肢で確かめる

    宅建業法は20問と配点が最も大きく、確実に得点したい科目です。免許制度・重要事項説明・8種制限を肢別で固めましょう。

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