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公正証書遺言とは|方式・証人・検認の要否を宅建向けに整理

宅建で問われる遺言の方式を整理。公正証書遺言の作成方法・証人2人以上・検認不要などの要件を自筆証書・秘密証書遺言と比較。2025年のオンライン化で変わる点と変わらない核心も解説。

宅建で問われるのは「遺言の方式とその要件」

遺言・相続は権利関係で出題されますが、出題頻度はそれほど高くありません。そのため、運用の細かい話に深入りするより、「どの方式に、どんな要件があるか」という骨格を正確に押さえることが得点に直結します。

具体的に問われるのは次の3点です。

  • 遺言にはどんな方式があるか(自筆証書・公正証書・秘密証書)
  • それぞれ証人が必要か、自書が必要か
  • 家庭裁判所の検認が必要か不要か

この記事では、宅建で狙われやすい公正証書遺言を中心に、3方式の違いを比較しながら整理します。最後に、2025年(令和7年)に進められている遺言手続のオンライン化についても、「制度として何が変わり、何が変わらないか」だけを簡潔に補足します。


遺言の3つの方式

民法が定める普通方式の遺言は、次の3種類です。

自筆証書遺言(民法968条)

遺言者が全文・日付・氏名を自書し、押印して作成する、最も手軽な方式です。

  • 証人は不要、費用もかからず一人で作成できる。
  • ただし方式不備で無効になりやすく、紛失・偽造のリスクもある。
  • 原則として家庭裁判所の検認が必要
  • 2019年(平成31年)の民法改正により、財産目録については自書が不要となり、パソコンで作成した目録や通帳のコピーを添付できるようになった(各ページに署名押印は必要)。本文は依然として自書が必要な点に注意。
  • 法務局の自筆証書遺言書保管制度を利用して保管した場合は、検認が不要になる。

公正証書遺言(民法969条)

公証人が、遺言者の口授(口頭で伝える内容)を筆記して作成する方式です。信頼性が高く、宅建でも最も問われやすい方式です。

  • 証人2人以上の立会いが必要。
  • 原本は公証役場に保管されるため、紛失・偽造のリスクが低い。
  • 公証人が関与して作成されるため、家庭裁判所の検認は不要
  • 公証人手数料などの費用がかかるが、方式不備で無効になりにくい。

秘密証書遺言(民法970条)

遺言の内容を秘密にしたまま、その存在のみを公証人と証人に証明してもらう方式です。

  • 証人2人以上の立会いが必要。
  • 遺言の存在は明らかにしつつ、内容は本人以外に知られない。
  • 公証人は内容を確認しないため、検認が必要
  • 実務での利用は少ないが、「証人が必要だが検認も必要」という位置づけが試験で問われる。

3方式の比較表(ここが試験の核心)

比較項目 自筆証書遺言 公正証書遺言 秘密証書遺言
作成方法 本人が全文を自書 公証人が口授を筆記 本人が作成し公証人が存在を証明
証人 不要 2人以上 2人以上
検認 必要(※) 不要 必要
保管 本人・保管制度 公証役場 本人
費用 かからない かかる かかる
メリット 手軽・無料 無効になりにくい・紛失偽造に強い 内容を秘密にできる
デメリット 方式不備・紛失のリスク 費用と手間がかかる 検認が必要・内容不備のリスク

※法務局の自筆証書遺言書保管制度を利用した場合は検認不要

覚え方のコツ

  • 証人が必要なのは「公正証書」と「秘密証書」(自筆証書だけ不要)。
  • 検認が不要なのは「公正証書」だけ(自筆証書は保管制度利用時のみ不要)。
  • 「公証人が筆記する=公正証書」「本人が自書する=自筆証書」「内容は秘密=秘密証書」と名称で区別する。

公正証書遺言の作成手続(民法969条)

公正証書遺言は、次の方式に従って作成されます。条文の流れを押さえておくと、ひっかけ問題に強くなります。

公正証書によって遺言をするには、次に掲げる方式に従わなければならない。
一 証人二人以上の立会いがあること。
二 遺言者が遺言の趣旨を公証人に口授すること。
三 公証人が、遺言者の口述を筆記し、これを遺言者及び証人に読み聞かせ、又は閲覧させること。
四 遺言者及び証人が、筆記の正確なことを承認した後、各自これに署名し、印を押すこと。
五 公証人が、その証書は前各号に掲げる方式に従って作ったものである旨を付記して、これに署名し、印を押すこと。
――民法第969条

ポイントは、①証人2人以上 → ②遺言者が口授 → ③公証人が筆記して読み聞かせ/閲覧 → ④承認・署名押印という順序です。「公証人が筆記する」のが特徴で、遺言者自身が全文を書く必要はありません。

証人になれない者(民法974条)

次の者は、公正証書遺言・秘密証書遺言の証人になることができません。利害関係者を排除する趣旨です。

  1. 未成年者
  2. 推定相続人および受遺者ならびにこれらの配偶者および直系血族
  3. 公証人の配偶者、四親等内の親族、書記および使用人

「推定相続人の配偶者は証人になれるか」といった形でよく問われます。なれません(2号)。


補足:遺言手続のオンライン化(2025年の動き)

ここからは試験の核心からは外れますが、近年のトピックとして触れておきます。

2025年(令和7年)には、公正証書の作成手続全般についてデジタル化・オンライン化を進める制度改正が行われています。遺言を含む公正証書を、ウェブ会議等を用いて遺言者・公証人・証人がオンラインで作成したり、電子データで作成・保存したりすることが可能になる方向です。

制度として変わること

  • 公証役場に出向かず、ウェブ会議を通じて遺言者・証人・公証人が手続を行える場面が出てくる。
  • 原本を紙ではなく電子データで作成・保存できるようになる。

変わらない核心(試験で問われるのはこちら)

オンライン化されても、公正証書遺言の本質的な要件は変わりません。ここが最も重要です。

  • 証人2人以上の立会いは引き続き必要(オンラインでも証人は不要にならない)。
  • 遺言者による口授は引き続き必要。
  • 家庭裁判所の検認は引き続き不要

陳腐化に注意:使用するウェブ会議ソフトの名称、パソコン・スマートフォンの可否、電子サインの入力方法といった運用上の細目は、制度の施行状況や公証実務の運用によって変わり得ます。これらは試験で直接問われるものではなく、「現時点の運用上の参考」程度にとどめてください。試験対策として覚えるべきは、上記の変わらない核心(証人2人・口授・検認不要)です。


試験でのひっかけパターン

ひっかけ1:「公正証書遺言には証人は不要」

誤り。公正証書遺言は証人2人以上の立会いが必要です(969条1号)。証人が不要なのは自筆証書遺言です。

ひっかけ2:「公正証書遺言にも検認が必要」

誤り。公正証書遺言は公証人が関与して作成されるため、検認は不要です。オンライン化されてもこの点は変わりません。

ひっかけ3:「推定相続人の配偶者も証人になれる」

誤り。推定相続人および受遺者、ならびにこれらの配偶者・直系血族は証人になれません(974条2号)。

ひっかけ4:「自筆証書遺言は財産目録もすべて自書しなければならない」

誤り。2019年改正で、財産目録はパソコン作成や通帳コピー添付が可能になりました(各ページに署名押印は必要)。本文は自書が必要です。


理解度チェッククイズ

Q1. 公正証書遺言を作成するには、証人2人以上の立会いが必要である。

答えを見る **○ 正しい。** 公正証書遺言は証人2人以上の立会いが必要です(民法969条1号)。これは作成方法が対面でもオンラインでも変わりません。

Q2. 推定相続人の配偶者は、公正証書遺言の証人になることができる。

答えを見る **× 誤り。** 推定相続人および受遺者ならびにこれらの**配偶者および直系血族**は証人になることができません(民法974条2号)。

Q3. 公正証書遺言には、家庭裁判所の検認が必要である。

答えを見る **× 誤り。** 公正証書遺言は公証人が作成し原本が公証役場に保管されるため、**検認は不要**です。検認が必要なのは原則として自筆証書遺言と秘密証書遺言です(自筆証書は保管制度利用時を除く)。

Q4. 自筆証書遺言は、添付する財産目録についても全文を自書しなければならない。

答えを見る **× 誤り。** 2019年の民法改正により、**財産目録**はパソコンで作成したものや通帳コピーの添付が認められています(各ページへの署名押印は必要)。本文は自書が必要です。

まとめ

  1. 3方式の骨格 → 自筆証書(証人不要・原則検認必要)、公正証書(証人2人以上・検認不要)、秘密証書(証人2人以上・検認必要)。
  2. 公正証書遺言の核心 → 公証人が口授を筆記し、証人2人以上が立ち会う。原本は公証役場保管で検認不要、方式不備で無効になりにくい。
  3. オンライン化の扱い → 2025年の制度改正でウェブ会議や電子データでの作成が可能になる方向だが、証人2人・口授・検認不要という核心は不変。使用ソフトや端末の可否は運用細目であり試験には出ない。

遺言の方式の全体像は遺言の方式|自筆証書遺言・公正証書遺言の違いを、相続全体の基礎は相続の基礎知識、遺留分や相続放棄については相続放棄と限定承認もあわせてご確認ください。

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