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住所変更登記の義務化|2026年4月施行の届出ルール

2026年4月1日施行の住所等変更登記の義務化を解説。届出期限2年以内、過料5万円以下、相続登記義務化との比較など宅建試験の出題ポイントを整理。

住所変更登記の義務化とは

2026年(令和8年)4月1日から、不動産の所有権の登記名義人は、住所や氏名に変更があった場合に変更登記を申請する義務を負うことになります。

これは所有者不明土地問題の解消を目的とした不動産登記法の改正の一環です。2024年4月に施行された相続登記の義務化に続く第2弾の施行として、宅建試験でも出題が予想される重要テーマです。


改正の背景:所有者不明土地問題

なぜ住所変更登記が義務化されるのか

不動産登記簿上の住所が古いまま放置されるケースが大量に発生しており、所有者の所在が不明な土地が全国に増加しています。国土交通省の調査では、所有者不明土地は全国の土地の約24%に上るとされています。

所有者不明土地が生じる主な原因は以下の2つです。

原因 割合 対応策
相続登記の未了 約66% 相続登記の義務化(2024年4月施行)
住所変更登記の未了 約34% 住所変更登記の義務化(2026年4月施行

相続登記の義務化だけでは問題の3分の1が残るため、住所変更登記の義務化が必要とされました。


義務化の具体的な内容

対象者と届出事項

所有権の登記名義人の氏名若しくは名称又は住所について変更があったときは、当該所有権の登記名義人は、その変更があった日から二年以内に、氏名若しくは名称又は住所についての変更の登記を申請しなければならない。
――改正不動産登記法 第76条の5

項目 内容
対象者 不動産の所有権の登記名義人(個人・法人とも)
届出事項 氏名・名称または住所の変更
届出期限 変更があった日から2年以内
届出先 管轄の法務局

相続登記義務化との比較

住所変更登記の義務化は、相続登記の義務化と対比して出題される可能性が高いため、比較表で整理しましょう。

比較項目 相続登記の義務化 住所変更登記の義務化
施行日 2024年4月1日 2026年4月1日
届出期限 相続を知った日から3年以内 変更があった日から2年以内
罰則 10万円以下の過料 5万円以下の過料
対象 相続で不動産を取得した者 所有権の登記名義人
根拠条文 不動産登記法 第76条の2 不動産登記法 第76条の5

試験での頻出ポイント:届出期限は「相続が3年、住所変更が2年」、過料は「相続が10万円、住所変更が5万円」。数字の対比を正確に覚えましょう。


罰則の内容

5万円以下の過料

正当な理由なく届出期限内に変更登記を申請しなかった場合は、5万円以下の過料に処せられます(改正不動産登記法第164条第2項)。

ただし、いきなり過料が科されるわけではありません。登記官からの催告を経て、なお相当期間内に対応しなかった場合に裁判所に過料の通知がなされる段階的な仕組みです。

「正当な理由」がある場合は過料なし

以下のような事情がある場合には「正当な理由」があるとされ、過料は科されません。

  1. DV被害者等で住所を公にすることにより生命・身体に危害が及ぶおそれがある場合
  2. 本人が重病などの事情がある場合
  3. 経済的困窮により登記費用を負担する能力がない場合

経過措置

施行日前の住所変更も対象

住所変更登記の義務化は、施行日前に住所変更があった場合にも適用されます。ただし、経過措置として施行日(2026年4月1日)から2年間の猶予期間が設けられています。

パターン 届出期限
施行日後に住所変更 変更日から2年以内
施行日前に住所変更(経過措置) 2028年3月31日まで

職権による変更登記(スマート変更登記)

個人の場合

改正法では、登記名義人が法務局に「検索用情報」(生年月日等)を申出しておくことで、住民基本台帳ネットワークの情報をもとに法務局が職権で変更登記を行う仕組みも導入されました(改正不動産登記法第76条の6)。

この申出をしておけば、住所変更のたびに自分で登記申請をする必要がなくなります。

法人の場合

法人については、会社法人等番号が登記されていれば、商業・法人登記システムとの連携により、法務局が自動的に職権で変更登記を行います。

区分 職権登記の仕組み
個人 「検索用情報」の申出が必要 → 住基ネット連携
法人 会社法人等番号の登記により自動連携

試験での出題ポイント

宅建試験では、以下のポイントが狙われます。

数字の正確な記憶

  • 届出期限:2年以内(相続登記の3年と混同しない)
  • 過料:5万円以下(相続登記の10万円と混同しない)

対象者の限定

  • 義務を負うのは「所有権の」登記名義人
  • 抵当権者や地上権者などの所有権以外の登記名義人は対象外

職権登記との関係

  • 個人は申出が必要(自動ではない)
  • 法人は会社法人等番号の登記により自動連携

経過措置

  • 施行日前の住所変更も義務化の対象となる
  • ただし施行日から2年間の猶予あり

理解度チェッククイズ

Q1. 住所変更登記の届出期限は、変更があった日から3年以内である。

答えを見る **× 誤り。** 届出期限は変更があった日から**2年以内**です(改正不動産登記法第76条の5)。3年以内は相続登記の義務化の期限です。

Q2. 正当な理由なく住所変更登記を怠った場合、10万円以下の過料に処せられる。

答えを見る **× 誤り。** 住所変更登記を怠った場合の過料は**5万円以下**です(改正不動産登記法第164条第2項)。10万円以下の過料は相続登記を怠った場合の金額です。

Q3. 住所変更登記の義務化は、施行日前に住所変更があった場合にも適用される。

答えを見る **○ 正しい。** 施行日前に住所変更があった場合にも適用されますが、経過措置として施行日(2026年4月1日)から2年間の猶予期間が設けられています。

Q4. 抵当権の登記名義人も、住所変更があった場合は2年以内に変更登記を申請する義務がある。

答えを見る **× 誤り。** 変更登記の申請義務を負うのは**「所有権の」登記名義人**に限られます。抵当権者や地上権者など、所有権以外の権利の登記名義人は義務化の対象外です。

Q5. 法人の場合、検索用情報の申出をしなければ職権による変更登記は行われない。

答えを見る **× 誤り。** 法人の場合は「検索用情報」の申出は不要です。**会社法人等番号**が登記されていれば、商業・法人登記システムとの連携により自動的に職権登記が行われます。検索用情報の申出が必要なのは**個人**の場合です。

まとめ

  1. 義務化の概要 → 所有権の登記名義人は、住所・氏名の変更があった日から2年以内に変更登記を申請する義務がある。正当な理由なく怠ると5万円以下の過料
  2. 相続登記との比較 → 相続登記は「3年以内・10万円以下」、住所変更登記は「2年以内・5万円以下」。数字の違いを正確に覚える。
  3. 対象と経過措置 → 対象は「所有権の」登記名義人に限定。施行日前の住所変更にも適用されるが、2年間の猶予あり。職権登記は個人は申出が必要、法人は自動。

不動産登記法の全体像は不動産登記法の基礎知識を、相続登記の義務化については相続登記の義務化を解説をあわせてご確認ください。

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