価額についての意見の根拠かがくについてのいけんのこんきょ
宅地建物取引業者が、媒介契約の書面に記載する売買すべき価額又は評価額について意見を述べるときに、明らかにしなければならない根拠です(34条の2第2項)。つまり、「この家なら3,000万円で売れます」と言うなら、なぜその値段なのかを依頼者に示す義務です。
家の売却を相談すると、業者は「近所の似た家が3,100万円で売れているので、この家は3,000万円前後でしょう」と査定額を示します。業者がこのように売買すべき価額や評価額について意見を述べるときは、その根拠を明らかにしなければなりません(34条の2第2項)。条文に理由は書いていませんが、媒介契約を取りたいあまり相場より高い値段を言い、契約の後で値下げを迫る営業を防ぎ、依頼者が自分で売出し価格を決められるようにするためと考えられます。媒介契約の種類を問わない義務で、一般媒介でも専任媒介でも同じです。売買や交換の代理を頼まれたときも、34条の3で準用されます。

根拠は、取引事例や価格査定マニュアルなど合理的なものです
国土交通省の解釈は、意見の根拠を、公益財団法人不動産流通推進センターが作成した価格査定マニュアル(これに準じたものを含む)や、同種の取引事例など、ほかに合理的な説明がつくものとしています。根拠は業者の意見を説明するためのものなので、依頼者が納得するところまでは要りませんが、合理的でなければなりません。根拠に使う取引事例には他の客の秘密が含まれるので、業者は依頼者に、その事例をみだりに口外しないよう求めます(国土交通省の解釈)。
根拠の示し方は、口頭でも書面でもかまいません
34条の2第2項は「その根拠を明らかにしなければならない」と定めるだけで、示し方を限っていません。国土交通省の解釈も、根拠の明示は口頭でも書面を用いてもよいとしています。書面を渡すときは、他の目的にみだりに使わないよう依頼者に求めます。媒介契約の書面に記載するのは売買すべき価額そのもので、根拠まで書面に記載する定めはありません。

根拠を示すための査定の費用は、依頼者に請求できません
国土交通省の解釈は、根拠の明示が法律上の義務であることを理由に、そのために行った価額の査定などに要した費用は依頼者に請求できないとしています。周辺の取引事例を調べた費用も、根拠を明らかにするための調査であれば同じです。報酬のほかに受け取れるのは、依頼者の依頼による広告の料金や、依頼者が特別に頼んだ遠隔地の調査などの費用に限られ、根拠を示すための査定はこれに当たりません。

宅地建物取引業法 34条の2第2項宅地建物取引業者は、前項第二号の価額又は評価額について意見を述べるときは、その根拠を明らかにしなければならない。
試験ではこう問われる
- 売買すべき価額又は評価額について意見を述べるときは、根拠を明らかにしなければならない(34条の2第2項)。一般媒介でも同じ
- 根拠の明示は口頭でも書面でもよい。「口頭ではなく書面で明示しなければならない」は誤り
- 根拠を明らかにするための価額の査定や周辺の取引事例の調査に要した費用は、依頼者に請求できない。依頼者の承諾を得ていたかどうかにかかわらず請求できず、「承諾を得ていなくても請求できる」は誤り
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