秘密を守る義務ひみつをまもるぎむ
宅地建物取引業者とその使用人その他の従業者が、正当な理由がある場合でなければ、業務上取り扱ったことについて知り得た秘密を他に漏らしてはならないという義務です(45条、75条の3)。つまり、取引で知った客の事情を外に話さない義務で、宅地建物取引業を営まなくなった後や従業者でなくなった後も続きます。
家を売る人は、借金の返済に困っている、離婚する、相続でもめているといった事情を不動産会社に打ち明けます。買う人は、年収や勤め先、借入れの状況を伝えます。こうした話が外に漏れるなら、誰も安心して相談できません。そこで宅地建物取引業法は、業者にも、そこで働く従業者にも、業務で知った秘密を漏らさない義務を課しています。会社が宅地建物取引業をやめた後や、従業者が辞めた後も、この義務は続きます。

業者にも従業者にも掛かり、辞めた後も続きます
45条は宅地建物取引業者に、75条の3は業者の使用人その他の従業者に、それぞれ秘密を守る義務を課しています。業者については「宅地建物取引業を営まなくなつた後であつても」、従業者については「従業者でなくなつた後であつても」同様とすると定められています。秘密を打ち明けた人にとっては、相手が今も業者や従業者であるかどうかは関係がないからです。
正当な理由があれば、秘密を告げても違反になりません
条文は「正当な理由がある場合でなければ」と書いていて、どんな場合も話してはならないという義務ではありません。国土交通省の「宅地建物取引業法の解釈・運用の考え方」は、正当な理由の例として、裁判の証人として証言を求められたときや税務署の職員から質問検査権の規定に基づく質問を受けたときのように法律上秘密事項を告げる義務がある場合、取引の相手方に真実を告げなければならない場合、依頼者本人の承諾があった場合などを挙げています。取引の相手方の判断に重要な影響を及ぼす事項は、依頼者の秘密であっても、故意に告げなければ47条1号の違反になります。秘密を守る義務は、告げるべきことを黙る理由にはなりません。

宅地建物取引業法 45条宅地建物取引業者は、正当な理由がある場合でなければ、その業務上取り扱つたことについて知り得た秘密を他に漏らしてはならない。宅地建物取引業を営まなくなつた後であつても、また同様とする。
試験ではこう問われる
- 「いかなる理由があっても漏らしてはならない」は誤り。正当な理由がある場合は漏らしても違反にならない
- 税務署の職員から質問検査権の規定に基づく質問を受けたときは、正当な理由があるので回答できる
- 従業者も、業務を補助したことについて知り得た秘密を漏らしてはならないと法に定められている(75条の3)
- 宅地建物取引業を営まなくなった後も、従業者でなくなった後も、義務は続く
- 従業者名簿の閲覧の請求を、秘密を守る義務を理由に拒むことはできない
- 業務上知り得た秘密が含まれることを理由に、帳簿を閉鎖後遅滞なく廃棄することはできない
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