議決権と決議要件ぎけつけんとけつぎようけん
議決権は、集会の決議に加わる各区分所有者の権利で、その割合は、規約に別段の定めがない限り専有部分の床面積の割合によります(区分所有法38条・14条)。集会の議事は、区分所有法又は規約に別段の定めがない限り、出席した区分所有者及びその議決権の各過半数で決します(39条1項)。
マンションの集会で管理費の値上げを決めるとき、手を挙げた人の数だけを数えるのではありません。区分所有法は、賛成した区分所有者の人数と、その人たちが持つ議決権の両方が多数になることを求めています。議決権は、広い住戸の持ち主ほど大きくなる、いわば票の重さです。何を決めるかによって、過半数で足りるもの、4分の3以上が要るもの、5分の4以上が要るものに分かれます。令和8年4月1日施行の改正で、多くの決議は、欠席者を数に入れず、出席した人の中の多数で決めるようになりました。

決議は、人数と議決権の両方の多数で決めます
各区分所有者の議決権は、規約に別段の定めがない限り、共用部分の持分の割合、つまり専有部分の床面積の割合によります(38条・14条)。集会の決議は、区分所有者の人数と議決権の両方で多数になって初めて成立します。広い住戸をいくつも持つ一人が議決権の過半を握っていても、人数で過半数にならなければ決められません。小さな住戸の持ち主が人数で多数を占めても、議決権で過半数にならなければ決められません。専有部分が数人の共有に属するときは、共有者は議決権を行使すべき者一人を定めなければならず、共有者がばらばらに行使することはできません(40条)。
普通の決議は、出席者の過半数で決めます
集会の議事は、区分所有法又は規約に別段の定めがない限り、出席した区分所有者及びその議決権の各過半数で決します(39条1項)。管理者の選任や共用部分の管理など、特別の定めのない事項はこの決め方です。改正の前は、欠席者も含めた区分所有者及び議決権の各過半数が必要でした。議決権は、書面又は代理人によっても行使することができ、そうして行使した区分所有者とその議決権は、出席した数に算入されます(39条2項)。規約又は集会の決議があれば、書面に代えて電磁的方法によって行使することもできます(39条3項)。普通の決議には、何人以上が出席しなければならないという条件は置かれていません。
重い事項は、過半数が出席して4分の3以上で決めます
規約の設定・変更・廃止、形状又は効用の著しい変更を伴う共用部分の変更、管理組合法人の設立と解散、義務に違反した者に対する専有部分の使用禁止や競売の請求などは、重い事項として特別の多数が求められます。これらは、区分所有者の過半数であって議決権の過半数を有するものが出席した集会で、出席した区分所有者及びその議決権の各4分の3以上の多数で決します(17条1項・31条1項・47条1項・55条2項・58条2項・59条2項)。建物の価格の2分の1を超える部分が滅失したときの共用部分の復旧は、同じ出席の条件のもとで各3分の2以上です(61条5項)。出席の条件である過半数は、規約で上回る割合にすることができます。これに対し、建替え決議は、出席者ではなく区分所有者全体及び議決権全体の各5分の4以上が必要です(62条1項)。住まいそのものを失う人が出る決議なので、欠席者も数に入れた多数を求めていると考えられます。

所在が分からない区分所有者は、裁判で決議から外せます
相続の後に誰が持ち主か分からなくなった住戸や、持ち主の行方が分からない住戸があると、その分だけ賛成が集まりにくくなります。裁判所は、区分所有者を知ることができず、又はその所在を知ることができないときは、他の区分所有者又は管理者の請求により、その区分所有者以外の区分所有者による集会の決議をすることができる旨の裁判をすることができます(38条の2第1項)。この裁判で所在等不明区分所有者とされた者は、集会における議決権を有しません(38条の2第2項)。条文の「区分所有者(議決権を有しないものを除く。)」という書き方は、この裁判を受けた者のように議決権を有しない者を数えないという意味で、建替え決議のように全体で数える決議でも分母から外れます。令和8年4月1日施行の改正で設けられた制度です。
建物の区分所有等に関する法律 39条1項集会の議事は、この法律又は規約に別段の定めがない限り、出席した区分所有者(議決権を有しないものを除く。)及びその議決権の各過半数で決する。
試験ではこう問われる
- 集会の議事は、区分所有法又は規約に別段の定めがない限り、出席した区分所有者及びその議決権の各過半数で決する(39条1項)。「各4分の3以上」は誤り
- 管理者の選任は、規約に別段の定めがない限り、出席した区分所有者及びその議決権の各過半数で決する(25条1項・39条1項)
- 規約の設定・変更・廃止、管理組合法人の設立、形状又は効用の著しい変更を伴う共用部分の変更は、区分所有者の過半数であって議決権の過半数を有するものが出席した集会で、出席した区分所有者及びその議決権の各4分の3以上の多数で決する(31条1項・47条1項・17条1項)
- 4分の3は賛成の割合で、出席しなければならないのは過半数。「4分の3以上が出席した集会」ではない
- 専有部分が数人の共有に属するときは、議決権を行使すべき者一人を定める。共有者がそれぞれ議決権を行使することはできない(40条)
- 区分所有者の承諾を得て専有部分を占有する者は、会議の目的たる事項につき利害関係を有する場合には、集会に出席して意見を述べることができるが、議決権は行使できない(44条1項)
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