用途制限ようとせいげん
用途地域ごとに、建築できる建築物の用途を建築基準法の別表第二で定める制限です。つまり、その土地に住宅を建ててよいか、店や工場を建ててよいかを、地域の種類で決めます。
静かな住宅街のまん中に、夜通し機械が動く工場や大きなパチンコ店が建ったら、住んでいる人は暮らしにくくなります。そこで都市計画法が街を13種類の用途地域に塗り分け、建築基準法48条がその地域ごとに「建ててよい建物」を別表第二という一枚の表で決めています。この二つを合わせた仕組みが用途制限です。建蔽率や容積率が「どれだけの大きさを建てられるか」を決めるのに対し、用途制限は「何を建てられるか」を決めます。

守る地域は許す建物を、他の地域は禁じる建物を並べます
別表第二は、地域ごとに書き方が変わります。第一種低層・第二種低層・第一種中高層の住居専用地域と田園住居地域は、住居の環境を強く守る地域なので、「建築することができる建築物」だけを並べ、表に無いものは建てられません。第二種中高層住居専用地域から工業専用地域までは、いろいろな建物が混じるのが前提なので、「建築してはならない建築物」だけを並べ、表に無いものは建てられます。守りたい度合いが強いほど、許す側を限定して書くという考え方です。
表の線は床面積で引かれ、住居系から工業系へ進むほどゆるみます
同じ用途でも、地域が進むにつれて建てられる規模が広がります。第一種低層住居専用地域では住宅、学校、神社、保育所、診療所などが建ち、病院と大学は第一種中高層住居専用地域から建てられます。第二種住居地域では床面積300㎡を超える自動車車庫、準住居地域では客席200㎡以上の劇場や映画館が禁じられ、近隣商業地域や商業地域ではそれらも建ちます。工業地域では学校と病院が禁じられ、工業専用地域ではさらに住宅や物販の店舗、飲食店も禁じられます。表を上から下へ読むと、住む場所を守る地域から、働く場所を守る地域へと性格が移り変わるのが分かります。
禁じられた建物も、特定行政庁の許可で建てられることがあります
表で禁じられた建物でも、特定行政庁が「その地域の環境を害するおそれがない」または「公益上やむを得ない」と認めて許可すれば建てられます(特例許可)。許可の前には、利害関係のある人の出頭を求めて公開で意見を聴き、建築審査会の同意を得なければなりません。周りの住民の暮らしに直接ひびく判断なので、役所だけで決めさせず、住民の声と第三者の目を通す仕組みです。すでに特例許可を受けた建物の増築、改築、移転(政令で定める場合に限ります)を再び許可するときは意見聴取も同意も要らず、住居系の地域で、日常生活に必要な建築物として政令で定めるもので騒音や振動への措置がとられているものは同意が要りません。

敷地が二つの地域にまたがるときは、過半の地域の制限に従います
一つの敷地が二つの用途地域にまたがるときは、敷地の過半が属する地域の用途制限を、敷地の全部に当てはめます(91条)。建物の用途は一棟で一つなので、面積で按分することができないからです。建蔽率や容積率は数字なので面積で加重平均しますが、用途制限は多いほうの地域で決めるという違いがあります。

建築基準法 48条1項第一種低層住居専用地域内においては、別表第二(い)項に掲げる建築物以外の建築物は、建築してはならない。ただし、特定行政庁が第一種低層住居専用地域における良好な住居の環境を害するおそれがないと認め、又は公益上やむを得ないと認めて許可した場合においては、この限りでない。
試験ではこう問われる
- 神社・寺院・教会、診療所、保育所、公衆浴場、巡査派出所は、すべての用途地域で建てられる。幼保連携型認定こども園も、学校が建てられない工業地域・工業専用地域を含めて建てられる。住宅、共同住宅、老人ホームは、工業専用地域だけ建てられない
- 第一種低層住居専用地域の兼用住宅は、延べ面積の2分の1以上が居住用で、店舗などの部分が50㎡以下のもの。飲食店は、第一種低層住居専用地域ではこの兼用住宅だけ、第二種低層住居専用地域と田園住居地域では2階以下で150㎡以下、第一種中高層住居専用地域では2階以下で500㎡以下。工業専用地域では建てられない
- 大学と病院は、低層住居専用地域・田園住居地域と、工業地域・工業専用地域では建てられない。敷地が第二種低層住居専用地域と第一種中高層住居専用地域にわたり、過半が後者なら大学を建てられる
- ホテル・旅館が建てられるのは第一種住居地域(床面積3,000㎡以下)から。低層住居専用地域、中高層住居専用地域、田園住居地域、工業地域、工業専用地域では建てられない
- 劇場・映画館は、客席の床面積が200㎡未満なら準住居地域でも建てられる。200㎡以上は近隣商業地域・商業地域・準工業地域に限られ、この三つの地域では規模を問わない
- 別表第二で建てられない建築物も、特定行政庁が許可すれば建てられる(48条各項ただし書)。許可には公開による意見聴取と建築審査会の同意が原則として要る
- 敷地が二つの用途地域にわたるときは、敷地の過半が属する地域の用途制限を敷地の全部に適用する(91条)。建蔽率・容積率の加重平均と混ぜた肢は誤り
用語で読んだ論点を、解説つきの肢別演習で確かめられます。無料プランは月300肢まで。