特例許可とくれいきょか
用途地域ごとに建ててはならないとされている建築物を、特定行政庁が48条各項のただし書に基づいて例外的に認める許可です。つまり、その地域の環境や利便を害するおそれがない、または公益上やむを得ないと特定行政庁が認めた建物だけを、地域の決まりの例外として建てられるようにする許可です。
静かな住宅街の中に、通勤の人が困らないように小さな日用品の店を建てたい、という相談があるとします。用途地域の表のとおりなら、その地域に店は建てられません。それでも、特定行政庁が「良好な住居の環境を害するおそれがない」と認めれば、例外として許可できます。これが特例許可で、用途地域の決まりを一件だけ外す重い判断なので、近隣の人が意見を言える公開の場と、建築審査会という第三者機関の同意を通してから許可します。用途を変える場合にも同じ許可が要ります。

許可の要件は、用途地域ごとに条文の言葉が違います
48条の各項のただし書は、その地域が守ろうとしているものに合わせて要件を書き分けています。住居系の地域では「良好な住居の環境を害するおそれがない」か「公益上やむを得ない」と認めたときに許可します。近隣商業地域では日用品を供給する商業の利便と住宅地の環境、商業地域では「商業の利便を害するおそれがない」こと、準工業地域では安全上・防火上の危険の度や衛生上の有害の度が低いこと、工業地域では「工業の利便上又は公益上必要」なこと、工業専用地域では「工業の利便を害するおそれがない」ことが要件です。住宅街で守るのは住む人の環境、商業地域で守るのは商売のしやすさなので、同じ「特例許可」でも見るところが変わります。

原則は、公開の意見聴取と建築審査会の同意の両方を経ます
特定行政庁が特例許可をするときは、あらかじめ、その許可に利害関係を有する者の出頭を求めて公開により意見を聴取し、かつ、建築審査会の同意を得なければなりません(48条15項)。意見聴取の期日と場所は、建築の計画とともに期日の3日前までに公告します(48条17項)。近隣の住民に発言の機会を与え、第三者機関が点検してから許可する、という二段構えの手続です。地域全体に効く決まりを一つの敷地だけ外すのですから、まわりの人と専門家の両方に見てもらってから決めます。

建築基準法 48条15項特定行政庁は、前各項のただし書の規定による許可(次項において「特例許可」という。)をする場合においては、あらかじめ、その許可に利害関係を有する者の出頭を求めて公開により意見を聴取し、かつ、建築審査会の同意を得なければならない。
試験ではこう問われる
- 別表第二で建てられない建築物でも、特定行政庁が許可すれば建築できる(48条各項ただし書)。「特定行政庁が許可した場合、第一種低層住居専用地域内でも飲食店を建築できる」は正しい
- 許可するのは特定行政庁。都道府県知事や建築審査会が許可するのではない
- 住居系の地域の要件は「良好な住居の環境を害するおそれがない」または「公益上やむを得ない」。要件の言葉は用途地域ごとに書き分けられている
- 許可の前に、利害関係者の出頭を求めて公開により意見を聴取し、かつ建築審査会の同意を得るのが原則(48条15項)
- 用途変更にも用途制限が準用されるので、変更後の用途がその地域で建てられないものなら特例許可が要る(87条2項)
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