延焼のおそれのある部分えんしょうのおそれのあるぶぶん
隣地境界線、道路中心線、または同じ敷地内の建築物の外壁間の中心線から、1階では3メートル以下、2階以上では5メートル以下の距離にある建築物の部分です。つまり、隣で火事が起きたときに火が移りやすい建物の外まわりの範囲で、ここに防火設備や防火構造が求められます。
木造の家が並ぶ街で隣の家から火が出ると、火は窓ガラスを割って中に入るか、外壁や軒裏に燃え移ります。危ないのは境界に近い側だけなので、建築基準法は建物全体ではなく、隣地境界線などに近い部分だけを「延焼のおそれのある部分」と名付け、そこに絞って防火戸や防火構造を求めます。範囲は、隣地境界線、道路中心線、同じ敷地内の別の建物との外壁間の中心線から測って、1階では3メートル以下、2階以上では5メートル以下の距離にある部分です。上の階ほど範囲が広いのは、炎は上へ立ち上るので、高い位置ほど遠くの火を受けやすいからです。

測る起点は三つあり、道路は中心線から測ります
距離を測る起点は、隣地境界線、道路中心線、同じ敷地内の二つ以上の建築物の外壁間の中心線の三つです。道路をはさんだ向かいの家から火が来る場合は道路の中心線から測るので、道路の幅の半分は距離に数えられます。幅8メートルの道路に面していれば、中心線から敷地の端まで4メートルあるので、1階の外壁は敷地の端に建っていても範囲に入らず、2階は5メートル以内なので範囲に入ります。同じ敷地に建物が二つあるときは外壁間の中心線から測りますが、延べ面積の合計が500平方メートル以内なら一つの建築物とみなすので、その間は測りません。

公園や川、耐火構造の壁に面する部分は除きます
距離の中に入っていても、火が移ってくる相手がなければ危なくありません。2条6号のただし書は、防火上有効な公園、広場、川などの空地や水面、耐火構造の壁などに面する部分を除いています。隣が広い公園なら、燃える建物が向かいにないからです。もう一つ、外壁の面と境界線との角度によって火熱で燃えるおそれがないと国土交通大臣が定める部分も除かれます。境界線に対して外壁が直角に近い角度で立っていれば、隣の火を正面から受けないからです。

この部分に、防火設備と防火構造が求められます
防火地域と準防火地域では、外壁の開口部で延焼のおそれのある部分に、防火戸やドレンチャーなど火炎を遮る防火設備を設けます(61条・施行令109条)。耐火建築物や準耐火建築物の定義でも、この部分の開口部に防火設備を持つことが条件です(2条9号の2・9号の3)。延べ面積が1,000平方メートルを超える木造建築物等は、外壁と軒裏のうち延焼のおそれのある部分を防火構造にします(25条)。特定行政庁が指定する22条区域の木造建築物等は、外壁のうち延焼のおそれのある部分を、準防火性能のある土塗壁などの構造にします(23条)。どの条文も対象を外壁の全部ではなくこの部分に絞っているのは、火を受ける場所だけ固めれば足りるからです。
建築基準法 2条6号延焼のおそれのある部分 隣地境界線、道路中心線又は同一敷地内の二以上の建築物(延べ面積の合計が五百平方メートル以内の建築物は、一の建築物とみなす。)相互の外壁間の中心線(ロにおいて「隣地境界線等」という。)から、一階にあつては三メートル以下、二階以上にあつては五メートル以下の距離にある建築物の部分をいう。ただし、次のイ又はロのいずれかに該当する部分を除く。
試験ではこう問われる
- 延べ面積1,000平方メートル超の木造建築物等は、外壁と軒裏の「延焼のおそれのある部分」を防火構造にする(25条)。外壁の全部ではない
- 防火地域・準防火地域内の建築物は、外壁の開口部で延焼のおそれのある部分に、防火戸その他の防火設備を設ける(61条1項)
- 範囲は、隣地境界線・道路中心線・同一敷地内の建築物相互の外壁間の中心線から、1階は3メートル以下、2階以上は5メートル以下(2条6号)
- 防火上有効な公園・広場・川などの空地や水面、耐火構造の壁などに面する部分は除く(2条6号イ)
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