防火壁ぼうかへき
延べ面積が1,000平方メートルを超える建築物を、1,000平方メートル以内ごとに区画するために設ける耐火構造の壁です。つまり、大きな建物の中に火を止める仕切りを入れて、一度に燃える範囲を1,000平方メートル以内に抑えます。
木造の大きな体育館や工場で火が出ると、中に仕切りがなければ端から端まで一気に燃え広がります。そこで建築基準法は、延べ面積が1,000平方メートルを超える建築物を、耐火構造の防火壁または防火床で区切り、一つの区画の床面積の合計を1,000平方メートル以内に収めさせます(26条)。壁で横に区切るのが防火壁、床で上下に区切るのが防火床です。壁に通路の開口部を付けるときは幅も高さも2.5メートル以下にして、火のときに閉まる特定防火設備を入れます(施行令113条)。

建物そのものが耐火なら、壁で区切る必要はありません
26条1項のただし書は、耐火建築物と準耐火建築物を対象から外しています。壁や柱や床が火に耐える造りなら、建物の中にもう一枚の壁を入れなくても火は広がりにくいからです。卸売市場の上家や機械製作工場のように火災の発生のおそれが少ない用途で、主要構造部が不燃材料でできている建物も外れます。畜舎、堆肥舎、水産物の増殖場・養殖場の上家で、周りが農業に使われている土地にあり、大臣の基準に合うものも外れます(施行令115条の2第2項)。したがって、延べ面積が2,000平方メートルの建物でも、耐火建築物や準耐火建築物なら防火壁は要りません。

地域の境をまたぐ建物は、防火壁で受ける規定が分かれます
一つの建物が防火地域と準防火地域にまたがるときは、原則として建物の全部に厳しい防火地域の規定を適用します(65条2項)。ただし、防火地域の外にある部分で防火壁によって区画されていれば、その防火壁の外側の部分には準防火地域の規定で足ります。火が防火壁で止まるので、厳しい側の地域から見て壁の向こうは別の建物と同じに扱えるからです。防火地域や準防火地域と、どちらにも指定されていない区域にまたがるときも同じで、地域の外で防火壁により区画された部分には、その地域の規定を及ぼしません(65条1項)。

建築基準法 26条1項延べ面積が千平方メートルを超える建築物は、防火上有効な構造の防火壁又は防火床によつて有効に区画し、かつ、各区画における床面積の合計をそれぞれ千平方メートル以内としなければならない。ただし、次の各号のいずれかに該当する建築物については、この限りでない。一 耐火建築物又は準耐火建築物(以下略)
試験ではこう問われる
- 延べ面積1,000平方メートル超の建築物は、防火壁または防火床で区画し、各区画の床面積の合計を1,000平方メートル以内にする(26条1項)
- 耐火建築物と準耐火建築物は対象外(26条1項1号)。「延べ面積1,000平方メートル超の耐火建築物(準耐火建築物)は防火壁で区画しなければならない」は誤り
- 防火地域と準防火地域にまたがる建築物は全部に防火地域の規定。ただし防火地域の外で防火壁により区画されていれば、防火壁の外側は準防火地域の規定(65条2項)
- 防火地域・準防火地域と指定のない区域にまたがる建築物は、全部にその地域の規定。地域の外で防火壁により区画されていれば、防火壁の外側には及ばない(65条1項)
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