防火構造ぼうかこうぞう
建築物の外壁又は軒裏の構造のうち、建築物の周囲で発生する通常の火災による延焼を抑制するために外壁や軒裏に必要とされる性能(防火性能)について、政令の技術的基準に適合する鉄網モルタル塗、しっくい塗などの構造です。つまり、隣の火事をもらわないための建物の外側の備えで、建物が燃え落ちないことまでは求めません。
隣の家が燃えたとき、火は外壁と、屋根の裏側にあたる軒裏から移ってきます。木の壁を金網の上からモルタルで塗り固めたり、しっくいで覆ったりしておくと、30分ほど火にあぶられても内側まで熱が届きません。このように、外壁又は軒裏の作りで周囲の火災による延焼を抑える性能(防火性能)を持つものが防火構造です。守るのは建物の外側だけで、建物の中で起きた火事に耐えることや、柱や床が燃え落ちないことまでは求めていません。その分、主要構造部そのものが火災に耐える耐火構造や準耐火構造より一段軽い構造です。

防火構造は外壁と軒裏の作りで、周囲の火災に30分もちこたえます
2条8号は、防火構造の対象を外壁又は軒裏に限り、性能を「周囲において発生する通常の火災による延焼の抑制」と定めています。施行令108条はその中身を数字にして、耐力壁である外壁は加熱を始めてから30分間、構造耐力上支障のある変形や破壊を生じないこと、外壁と軒裏は30分間、屋内側の面の温度が可燃物の燃える温度まで上がらないことを求めます。これに対して耐火構造は、壁だけでなく柱や床などの主要構造部が、外の火事にも建物の中の火事にも、火災が終わるまで耐える構造です。守る部位と、想定する火事の場所が違うので、二つの定義は入れ替えられません。
大きな木造建築物等は、延焼のおそれのある部分を防火構造にします
25条は、延べ面積が1,000平方メートルを超える木造建築物等について、外壁と軒裏のうち延焼のおそれのある部分を防火構造にし、屋根を22条1項の構造(火の粉で燃え出さない構造)にするよう求めています。同じ敷地に二つ以上の木造建築物等があるときは、延べ面積を合計して判定します。木造建築物等とは、主要構造部のうち自重や積載荷重を支える部分などが木材やプラスチックのような可燃材料で造られた建築物のことです。延焼のおそれのある部分は、隣地境界線や道路の中心線から1階では3メートル以内、2階以上では5メートル以内にある部分で、ここが隣の火事を最初に受けます。

22条区域では、外壁だけに一段軽い準防火性能を求めます
23条は、特定行政庁が防火地域と準防火地域以外の市街地について指定した区域(22条区域)の木造建築物等について、外壁のうち延焼のおそれのある部分を、準防火性能を持つ土塗壁などの構造にするよう求めています。準防火性能とは、周囲の火災による延焼の抑制に「一定の効果を発揮する」性能で、延焼を「抑制する」防火性能より一段軽い基準です。対象も外壁だけで、軒裏は含みません。防火地域や準防火地域ほど密集していない市街地なので、要求もその分ゆるやかです。
準防火地域の小さな木造にも、外壁と軒裏に防火性能を求めます
61条は防火地域と準防火地域の建築物に、延焼のおそれのある開口部への防火設備と、地域と規模に応じた壁や柱などの性能を求めています。これを受けた施行令136条の2第3号は、準防火地域内で地階を除く階数が2以下、延べ面積500平方メートル以下の木造建築物等について、外壁と軒裏の延焼のおそれのある部分を施行令108条の防火性能の基準に適合させ、窓などの外壁開口部設備を20分間火炎を出さないものにするよう定めています。準防火地域の木造2階建ての住宅の外壁がモルタル塗や窯業系サイディングなのは、この要求のためです。なお、特定防災街区整備地区では、延べ面積50平方メートル以内の平家建ての附属建築物で外壁と軒裏が防火構造のものは、耐火建築物等や準耐火建築物等にしなくてよいとされています(67条1項1号)。

建築基準法 2条8号防火構造 建築物の外壁又は軒裏の構造のうち、防火性能(建築物の周囲において発生する通常の火災による延焼を抑制するために当該外壁又は軒裏に必要とされる性能をいう。)に関して政令で定める技術的基準に適合する鉄網モルタル塗、しつくい塗その他の構造で、国土交通大臣が定めた構造方法を用いるもの又は国土交通大臣の認定を受けたものをいう。
試験ではこう問われる
- 延べ面積1,000平方メートル超(同一敷地内の木造建築物等は合計)の木造建築物等は、外壁と軒裏の延焼のおそれのある部分を防火構造にし、屋根は22条1項の構造にする(25条)
- 外壁を隣地境界線に接して設けられるのは、防火地域・準防火地域内の建築物で外壁が耐火構造のもの(63条)。「外壁が防火構造のもの」とした肢は誤り
- 防火構造の対象は外壁と軒裏、性能は周囲の火災による延焼の抑制(2条8号)。主要構造部が火災に耐える耐火構造の定義と入れ替えた肢は誤り
- 22条区域の木造建築物等は、外壁の延焼のおそれのある部分を準防火性能のある構造にする(23条)。対象は外壁だけで、軒裏は含まない
- 準防火地域内の2階以下・延べ面積500平方メートル以下の木造建築物等は、外壁と軒裏の延焼のおそれのある部分に防火性能が要る(61条・施行令136条の2)
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