違反建築物いはんけんちくぶつ
建築基準法令の規定または許可に付した条件に違反した建築物や敷地です。特定行政庁は、工事の施工の停止を命じ、または相当の猶予期限を付けて除却・使用禁止などの是正措置をとることを命ずることができます(9条)。
確認を受けた図面は二階建てなのに三階を建てた、建蔽率を超えて増築した、といった建物が違反建築物です。建てたときに適法で後からルールが変わった既存不適格建築物とは違い、建てた時点から違法です。9条は、特定行政庁が建築主や工事の請負人、所有者などに是正を命ずる手続を定めています。命令の前に言い分を述べる機会を与えること、緊急のときは仮の命令ができること、命令したら標識で公示し、従わなければ代執行までできることが柱です。

命ずるのは特定行政庁で、相当の猶予期限を付けて命じます
特定行政庁は、建築基準法令の規定や許可の条件に違反した建築物や敷地について、建築主、工事の請負人(下請人を含む)、現場管理者、所有者、管理者、占有者に対し、工事の施工の停止を命じ、または相当の猶予期限を付けて、除却・移転・改築・増築・修繕・模様替・使用禁止・使用制限その他の是正に必要な措置を命ずることができます(9条1項)。相手が建築主だけでないのは、いま工事をしている人や、いま建物を持って使っている人でなければ直せないからです。猶予期限を付けるのは、直すには工事の時間が要るからです。命ずるかどうかは特定行政庁の裁量で、必ず命じなければならないわけではありません。
命令の前に、通知書を渡して言い分を述べる機会を与えます
特定行政庁は措置を命じようとするとき、あらかじめ、命じようとする措置とその事由、意見書の提出先と期限を書いた通知書を交付し、意見書と自分に有利な証拠を出す機会を与えなければなりません(9条2項)。通知書を受け取った人は、交付の日から3日以内に、意見書の代わりに公開の意見聴取を行うよう請求できます(9条3項)。除却や使用禁止は所有者の財産に直接響くので、いきなり命じるのではなく、まず言い分を聞くつくりです。この手続が行政手続法の聴聞や弁明の代わりになるので、行政手続法の第3章(12条と14条を除く)は適用されません(9条15項)。

緊急のときは手続なしで、仮の使用禁止・使用制限ができます
倒れそうな建物に人が出入りしているような緊急のときは、通知書や意見聴取の手続を踏まずに、仮に使用禁止または使用制限の命令ができます(9条7項)。仮にできるのはこの二つだけで、除却を仮に命ずることはできません。壊してしまったら取り返しがつかないからです。仮命令を受けた人は3日以内に公開の意見聴取を請求でき、意見聴取はその請求から5日以内に行い、命令が不当と分かれば直ちに取り消されます(9条8項・9項)。違反が明らかな工事中の建築物については、緊急で手続によれないときに限り、手続なしで工事の施工の停止を命じられます(9条10項)。

命令は標識で公示し、従わなければ代執行します
特定行政庁が命令をしたときは、標識の設置などの方法で公示しなければならず、標識は違反建築物やその敷地内に設置できます(9条13項・14項)。買おうとする人や借りようとする人が違反を知らずに取引しないためです。命令を受けた人が履行しないとき、履行が十分でないとき、期限までに完了する見込みがないときは、行政代執行法により特定行政庁が自ら行い、または第三者に行わせることができます(9条12項)。命令をしたときは、設計者、工事監理者、請負人、取引をした宅地建物取引業者などの氏名を、それぞれを監督する国土交通大臣や都道府県知事に通知します(9条の3)。国・都道府県・建築主事を置く市町村の建築物には9条は適用されず、通知と要請によります(18条)。
建築基準法 9条1項特定行政庁は、建築基準法令の規定又はこの法律の規定に基づく許可に付した条件に違反した建築物又は建築物の敷地については、当該建築物の建築主、当該建築物に関する工事の請負人(請負工事の下請人を含む。)若しくは現場管理者又は当該建築物若しくは建築物の敷地の所有者、管理者若しくは占有者に対して、当該工事の施工の停止を命じ、又は、相当の猶予期限を付けて、当該建築物の除却、移転、改築、増築、修繕、模様替、使用禁止、使用制限その他これらの規定又は条件に対する違反を是正するために必要な措置をとることを命ずることができる。
試験ではこう問われる
- 緊急の必要がある場合、特定行政庁は、通知書の交付や意見の聴取の手続によらないで、仮に、使用禁止または使用制限の命令ができる(9条7項)。「緊急の場合でも通知書の交付等の手続をとらなければならない」は誤り
- 仮に命ずることができるのは使用禁止と使用制限だけで、除却は含まない
- 原則の命令は、工事の施工の停止か、相当の猶予期限を付けた除却・移転・使用禁止などの措置。特定行政庁が命ずることが「できる」(9条1項)
- 命令の相手は、建築主、工事の請負人(下請人を含む)、現場管理者、建築物や敷地の所有者・管理者・占有者
- 命令の前に、命じようとする措置と事由、意見書の提出先と期限を書いた通知書を交付し、意見書と有利な証拠を出す機会を与える(9条2項)
- 法改正で規定に合わなくなった建築物は違反建築物ではなく、既存不適格建築物(3条2項)
- 国・都道府県・建築主事を置く市町村の建築物には9条を適用しない(18条1項)
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