開発許可と建築確認|二つの制度は独立している
開発許可と建築確認を、規制対象が土地か建築物かという分岐点から整理します。片方だけ要る場合、両方要る場合、どちらも要らない場合を条文で尽くし、37条・42条・43条という別レイヤーの制限まで扱います。
目次
本記事の役割 — 開発許可と建築確認が独立した二つの制度であるという一点に絞って整理します。それぞれの制度の詳細は宅建の開発許可制度と建築確認に、開発許可の面積要件は開発許可が必要な面積要件に、都市計画法まわりの数字は都市計画法の数字にあります。
ここでは二つを並べたときにだけ見える論点、すなわち「片方が不要でももう片方は必要になりうる」という関係を、組み合わせを尽くして扱います。
宅建試験で開発許可と建築確認が混同されるのは、名前が似ているからではありません。同じ土地について両方が問題になる場面があるのに、要否が別々に決まるからです。
先に結論を三つ述べます。
第一に、分岐点は「土地か建築物か」の一点です。開発許可は土地の区画形質の変更に対する許可(都市計画法29条)、建築確認は建築物の計画が基準に適合するかの確認(建築基準法6条)。根拠法も申請先も効果もここから導けます。
第二に、二つの要否は独立して決まります。開発許可だけ要る場合、建築確認だけ要る場合、両方要る場合、どちらも要らない場合の四通りがすべて現実に存在します。「開発許可が不要なら建築確認も不要」という推論は成り立ちません。
第三に、開発許可を受けた土地には、確認とは別のレイヤーの制限がかかります。工事完了公告前の37条、公告後の42条、そして市街化調整区域の43条。建築確認の要件を満たしていても、これらに触れる建築はできません。
なお、本記事の条文はすべて2026年4月1日時点で施行されている版によっています。都市計画法は 343AC0000000100_20250604_507AC0000000051、都市計画法施行令は 344CO0000000158_20260401_508CO0000000066、建築基準法は 325AC0000000201_20260401_507AC0000000068 です。両法とも2026年5月27日施行の改正がありますが、後述するとおり令和8年度試験の出題範囲には入りません。
分岐点は「土地か建築物か」
開発許可が見ているのは土地
都市計画法29条1項は、都市計画区域または準都市計画区域内において開発行為をしようとする者は、あらかじめ都道府県知事(指定都市等の区域内では当該指定都市等の長)の許可を受けなければならないと定めています。
そして開発行為の定義が4条12項にあります。「主として建築物の建築又は特定工作物の建設の用に供する目的で行なう土地の区画形質の変更」です。
この定義から二つのことが分かります。一つは、規制の対象が土地の造成であって、その上に建つ建築物ではないこと。もう一つは、「建築物の建築等の用に供する目的で」という限定があるため、目的を欠く造成は開発行為ではないことです。資材置場にするための造成は、建築物を建てる目的がないので開発行為に当たりません。
建築確認が見ているのは建築物の計画
建築基準法6条1項は、建築主が一定の建築物を建築しようとする場合等に、工事に着手する前に、その計画が建築基準関係規定に適合するものであることについて確認の申請書を提出し、建築主事等の確認を受け、確認済証の交付を受けなければならないと定めています。
審査の対象は「計画」です。土地をどう造成したかではなく、建物をどう建てるかを見ます。
建築基準関係規定という橋渡し
もっとも、二つが完全に無関係というわけではありません。6条1項の括弧書きが「建築基準関係規定」を、建築基準法令の規定と、その他建築物の敷地、構造又は建築設備に関する法律並びにこれに基づく命令及び条例の規定で政令で定めるものと定義しています。
つまり建築確認では、建築基準法以外の法律の規定も、政令で指定されている限り審査の対象になります。ただしこれは「開発許可を受けたかどうか」を確認するのとは違います。確認の対象はあくまで建築物の計画であり、造成そのものの適否を審査するものではありません。
ここから残りの違いが導ける
規制対象が違えば、判断する主体も違ってきます。土地利用のコントロールは都市計画の担い手である都道府県知事等が行い、建築物の技術基準への適合は建築の専門職である建築主事等が判断する。効果の名前も、前者が「許可」、後者が「確認」です。
許可は本来禁止されている行為を個別に解除するもの、確認は基準に適合していることを公権的に確かめるものです。6条4項が「建築基準関係規定に適合することを確認したときは、当該申請者に確認済証を交付しなければならない」と書いているとおり、確認は裁量の余地が乏しい行為です。開発許可も33条1項が「開発許可をしなければならない」としており羈束的ですが、34条の立地基準がかかる市街化調整区域では判断の幅が生じます。
独立性その1 開発許可だけが要る場合
造成だけをして建築物を建てない場合
開発行為の定義には「主として建築物の建築又は特定工作物の建設の用に供する目的で」という限定がありますから、建てる目的があるのに、まだ建てていない段階では開発許可の問題だけが立ち上がります。
土地を造成して分譲する事業者を考えてください。造成の段階で開発許可を受け、工事完了の公告を経て土地を売る。建物を建てるのは購入者ですから、事業者の側で建築確認を受ける場面はありません。開発許可だけが必要な当事者が現実に存在するということです。
建築確認が不要な建築物を建てる場合
もう一つの型が、建てる建築物が建築基準法6条1項の各号に当たらない場合です。
6条1項は三つの号を掲げています。1号が別表第一(い)欄に掲げる用途に供する特殊建築物で、その用途に供する部分の床面積の合計が200平方メートルを超えるもの。2号が、1号を除くほか、2以上の階数を有し、又は延べ面積が200平方メートルを超える建築物。3号が、前二号を除くほか、都市計画区域もしくは準都市計画区域、準景観地区内、または都道府県知事が指定する区域内における建築物です。
したがって、都市計画区域等の外にある、平屋で延べ面積200平方メートル以下の非特殊建築物は、どの号にも当たらず建築確認が不要です。一方、都市計画区域および準都市計画区域の外であっても、29条2項により開発区域の面積が1万平方メートル以上であれば開発許可が必要になります。
つまり、区域外の広大な土地に小さな平屋を建てるために大規模な造成をする場合、開発許可は要るが建築確認は要らないという組み合わせが成立します。号の区分の詳細は建築確認にまとめています。
独立性その2 建築確認だけが要る場合
こちらのほうが日常的で、出題も多い型です。
造成を伴わずに建てる場合
すでに宅地になっている土地に建物を建てるなら、土地の区画形質の変更がありません。開発行為に当たらないので開発許可は不要ですが、建築物の規模と区域によっては建築確認が必要です。
造成を伴わない建築は、そもそも開発許可の土俵に上がらない。この一点を押さえておけば、「建築物を建てるのだから開発許可が必要ではないか」という誤りを避けられます。
面積要件に届かない場合
造成を伴っていても、規模が政令の定める規模に満たなければ、29条1項1号により開発許可は不要です。市街化区域なら1,000平方メートル未満、区域区分が定められていない都市計画区域および準都市計画区域なら3,000平方メートル未満です(都市計画法施行令19条1項)。
三大都市圏の指定区域を含む市町村の区域では、市街化区域の1,000平方メートルが500平方メートルと読み替えられます(同条2項)。また同条1項ただし書により、条例で区域を限り、市街化区域は300平方メートル以上1,000平方メートル未満、非線引き都市計画区域および準都市計画区域は300平方メートル以上3,000平方メートル未満の範囲で規模を別に定められます。面積要件の詳細は開発許可が必要な面積要件を参照してください。
市街化区域内の800平方メートルの土地を造成して二階建て住宅を建てる場合、開発許可は不要ですが、階数が2以上なので建築基準法6条1項2号に該当し、建築確認は必要です。「開発許可が不要だから建築確認も不要」という推論が成り立たないことを、この事案が示しています。
適用除外に当たる場合
面積要件を満たしていても、29条1項2号以下に該当すれば開発許可は不要です。2号が農林漁業用の一定の建築物とその業務を営む者の居住用建築物、3号が駅舎その他の鉄道の施設、図書館、公民館、変電所その他これらに類する公益上必要な建築物のうち政令で定めるものです。
こうした建築物であっても、建築基準法6条1項の号に該当すれば建築確認は必要です。開発許可の適用除外は、建築確認の適用除外ではありません。適用除外の全体像は開発許可が不要な場合にまとめています。
独立性その3 両方が要る場合と、その順序
典型的な場面
市街化区域内の1,500平方メートルの土地を造成して住宅を建てる場合を考えます。面積が1,000平方メートル以上なので開発許可が必要で、住宅は階数2以上または延べ面積200平方メートル超に当たることが多いので建築確認も必要です。
農地からの転用を伴うなら、市街化区域内なので農地法5条の許可ではなく農業委員会への届出になります(農地法5条1項7号)。造成の内容によっては宅地造成及び特定盛土等規制法の許可もかかります。手続の横断整理は法令上の制限の横断整理、農地法側は農地法、盛土規制法側は盛土規制法を参照してください。
順序は土地が先、建物が後
順序が固定されているのは、後述する37条があるためです。開発許可を受けた開発区域内の土地では、工事完了の公告があるまで建築物を建築できません。したがって、造成の手続を先に済ませ、公告を経てから建築に入るという流れになります。
ただし、これは開発許可を受けた場合の順序であって、開発許可が不要な場面では建築確認だけが単独で進みます。順序が決まっているから二つが連動している、と考えないでください。
独立性その4 どちらも要らない場合
四つ目の組み合わせも存在します。
建築物を建てる目的のない造成、たとえば資材置場や青空駐車場にするための土地の区画形質の変更は、4条12項の定義に当たらないので開発行為ではありません。開発許可は不要です。そして建築物を建てないのですから、建築確認の問題も生じません。
もっとも、この場合でも他の規制がかかることはあります。宅地造成等工事規制区域内であれば盛土規制法の許可、農地であれば農地法の許可または届出、市街化調整区域であれば後述する43条の建築許可の検討が必要になる場面があります。開発許可と建築確認が両方不要であることは、何の規制もかからないことを意味しません。
「不要」の理由は制度ごとに階層が違う
要否が独立している理由をもう一段掘ると、そもそも「不要になる経路」の作りが二つの制度で違うことが見えてきます。
開発許可の側は三つの経路がある
第一が、そもそも開発行為に当たらない経路です。造成を伴わない、建築目的がない、第二種特定工作物の規模に達していない、といった場合です。4条11項・12項と施行令1条2項の1ヘクタールがここに関わります。
第二が、規模が基準に満たない経路です。29条1項1号と施行令19条による面積要件です。
第三が、規模にかかわらず適用除外になる経路です。29条1項2号以下の農林漁業用建築物、公益上必要な建築物、都市計画事業の施行として行うもの、非常災害の応急措置、通常の管理行為・軽易な行為などです。
三つの経路は独立していて、どれか一つに乗れば許可は不要になります。この整理は開発許可が不要な場合が詳しく扱っています。
建築確認の側は号に当たるかだけ
これに対し建築確認は、6条1項の1号から3号のどれかに該当するかどうかで決まります。判定は上から順に行い、どれにも当たらなければ確認は不要です。
これとは別に、6条2項が適用除外を置いています。防火地域及び準防火地域外において建築物を増築し、改築し、または移転しようとする場合で、その部分の床面積の合計が10平方メートル以内であるときは、1項の規定を適用しません。要件が二つあり、しかも対象が増築・改築・移転に限られる点に注意してください。新築には適用がありません。
構造が違うから、連動しない
開発許可は「行為の性質」「規模」「用途」という三つの軸で除外を作っているのに対し、建築確認は「建築物の規模・用途・所在区域」で該当性を決めています。判定に使う変数が重なっていないため、片方の結論がもう片方に影響しません。これが独立性の実質的な理由です。
開発許可を受けた土地には別レイヤーの制限がある
要否の話とは別に、開発許可を受けた土地では建築そのものに制限がかかります。ここが「建築確認さえ通ればよい」という誤解の生まれる場所です。
工事完了までの流れ
36条1項は、開発許可を受けた者が開発区域の全部について工事を完了したときに、その旨を都道府県知事に届け出なければならないとしています。2項が、知事は届出があったときは遅滞なく工事が開発許可の内容に適合しているかを検査し、適合していると認めたときは検査済証を交付しなければならないとしています。3項が、検査済証を交付したときは遅滞なく工事が完了した旨を公告しなければならないとしています。
届出、検査、検査済証、公告という四段階です。このうち次の制限の起点になるのが3項の公告です。
公告前は建築できない(37条)
37条は、開発許可を受けた開発区域内の土地においては、36条3項の公告があるまでの間は、建築物を建築し、または特定工作物を建設してはならないと定めています。
ただし書に二つの例外があります。1号が、当該開発行為に関する工事用の仮設建築物または特定工作物を建築・建設するとき、その他都道府県知事が支障がないと認めたとき。2号が、33条1項14号に規定する同意をしていない者が、その権利の行使として建築物を建築し、または特定工作物を建設するときです。
造成が終わっていない土地に建物を建てさせないための規定です。建築確認を受けていても、この制限には別に服します。
公告後は予定建築物等以外を建てられない(42条)
42条1項は、開発許可を受けた開発区域内において、36条3項の公告があった後は、当該開発許可に係る予定建築物等以外の建築物または特定工作物を新築・新設してはならず、また建築物を改築し、またはその用途を変更して予定建築物以外の建築物としてはならないと定めています。
ただし書の例外が二つあります。都道府県知事が当該開発区域における利便の増進上もしくは環境の保全上支障がないと認めて許可したとき、または当該開発区域内の土地について用途地域等が定められているときです。
後者の理由は明快で、用途地域等が定められていれば建築基準法側の用途規制が働くため、都市計画法で重ねて縛る必要がないからです。ここは二つの法律が役割分担している箇所と言えます。
公告の前は「建てられない」、公告の後は「予定したもの以外は建てられない」。制限の内容が公告を境に切り替わります。
この制限は建築確認とは別に働く
37条にも42条にも、建築確認の要否は書かれていません。逆に建築基準法6条にも、開発許可を受けたかどうかは書かれていません。
したがって、建築確認が不要な小規模な建築物であっても、開発区域内で公告前に建てれば37条違反です。建築確認を受けた建築物であっても、公告後に予定建築物等以外のものを建てれば42条違反になります。二つの制度が別レイヤーで重なっているという理解が要ります。
市街化調整区域には第四の関門がある
43条1項の建築許可
市街化調整区域では、開発許可とも建築確認とも別に、もう一つの許可がかかります。
43条1項は、何人も、市街化調整区域のうち開発許可を受けた開発区域以外の区域内においては、都道府県知事の許可を受けなければ、29条1項2号もしくは3号に規定する建築物以外の建築物を新築し、または第一種特定工作物を新設してはならず、また建築物を改築し、またはその用途を変更して同項2号もしくは3号に規定する建築物以外の建築物としてはならない、と定めています。
読み取るべき点が三つあります。
第一に、対象区域が市街化調整区域に限られること。市街化区域や非線引き都市計画区域には、この許可はありません。
第二に、開発許可を受けた開発区域は対象外であること。そこは37条・42条の世界です。43条は、開発許可を経ていない土地をカバーする規定という位置づけになります。
第三に、29条1項2号・3号の建築物は除かれていること。農林漁業用建築物と公益上必要な建築物は、開発許可が不要であるのと同じく、43条の許可も不要です。二つの条文が連動している数少ない箇所です。
ただし書の除外
43条1項ただし書は五つの除外を挙げています。都市計画事業の施行として行うもの(1号)、非常災害のため必要な応急措置として行うもの(2号)、仮設建築物の新築(3号)、29条1項9号に掲げる開発行為その他政令で定める開発行為が行われた土地の区域内において行うもの(4号)、通常の管理行為・軽易な行為その他政令で定めるもの(5号)です。
なお3項により、国または都道府県等が行う場合は、当該国の機関または都道府県等と都道府県知事との協議が成立することをもって許可があったものとみなされます。
「開発許可が不要でも建築できるとは限らない」
43条の存在が意味するのは、市街化調整区域では開発許可が不要であることが建築の自由を意味しないということです。
市街化調整区域で、造成を伴わずに建物だけを建てる場合を考えてください。造成がないので開発行為に当たらず、開発許可は不要です。しかし43条1項により、29条1項2号・3号の建築物でない限り、知事の許可が必要になります。そして建築物の規模によっては建築確認も必要です。
開発許可、43条の建築許可、建築確認という三つが同時に問題になりうるのが市街化調整区域です。区域の性格は市街化調整区域の規制で扱っています。
なお43条2項は、この許可の基準を「33条及び34条に規定する開発許可の基準の例に準じて、政令で定める」としています。基準の中身が開発許可に寄せられている点は、制度としての近さを示していますが、手続としては別物です。
判断する主体が違う
開発許可は都道府県知事等
29条1項の柱書が、許可権者を都道府県知事とし、括弧書きで「地方自治法252条の19第1項の指定都市または同法252条の22第1項の中核市(以下「指定都市等」という)の区域内にあつては、当該指定都市等の長」としています。
政令指定都市と中核市では、知事ではなくその市の長が許可権者になります。「開発許可は常に都道府県知事が行う」という肢は、この括弧書きを落としています。
建築確認は建築主事等または指定確認検査機関
6条1項は、確認を受ける相手を「建築主事又は建築副主事(以下「建築主事等」という。)」としています。建築副主事の確認については、大規模建築物以外の建築物に係るものに限るという限定が付いています。
建築主事は行政庁の職員です。これとは別に、6条の2により指定確認検査機関の確認を受けることもでき、その場合は建築主事等の確認を受けたものとみなされます。民間機関が公的な確認を行える点が、開発許可にはない特徴です。
「行政庁か専門職か」で分ける
開発許可は都市計画のコントロールなので、都市計画の担い手である知事等が判断します。建築確認は技術基準への適合という専門的判断なので、建築の専門職である建築主事等が行い、民間の指定確認検査機関にも開かれています。
申請先を入れ替える肢は最も基本的な出題型です。「開発許可の申請先は建築主事」「建築確認の申請先は都道府県知事」はいずれも誤りになります。
期間と効果の違い
建築確認には審査期間の定めがある
6条4項は、建築主事等が申請書を受理した場合の期限を定めています。1項1号または2号に係るものは受理した日から35日以内、1項3号に係るものは受理した日から7日以内に、建築基準関係規定に適合するかどうかを審査し、適合することを確認したときは確認済証を交付しなければなりません。
規模が大きく審査項目が多いものに長い期間、小規模なものに短い期間という割り振りです。6項により、一定の場合には35日の範囲内で期間を延長できます。
開発許可には、これに相当する審査期間の定めが法にありません。この非対称は覚えておく価値があります。
着工できる時点が違う
6条8項は、確認済証の交付を受けた後でなければ、建築物の建築、大規模の修繕等の工事はできないとしています。建築確認は工事着手の前提条件です。
開発許可の側では、許可を受ければ造成工事に着手できます。しかし前述のとおり、その土地に建築物を建てられるのは36条3項の公告の後です。開発許可は造成の解禁、公告は建築の解禁という二段階になっています。
終わり方も違う
建築確認は、工事が完了すると建築基準法7条の完了検査を経て検査済証が交付されます。開発許可は、36条の工事完了検査を経て検査済証が交付され、さらに公告が行われます。
同じ「検査済証」という語が両方に出てくる点に注意してください。都市計画法36条2項の検査済証と、建築基準法7条5項の検査済証は別物です。前者は造成工事について、後者は建築工事について交付されます。語が同じで対象が違う、という混同しやすい箇所です。建築確認側の手続は建築確認にまとめています。
法令の基準日と、この記事の条文
都市計画法と建築基準法には範囲外の改正がある
宅建試験は、その年度の4月1日現在施行されている法令から出題されます。令和8年度であれば2026年4月1日時点の条文が基準です。
都市計画法と建築基準法は、令和8年法律第23号(都市再生特別措置法等の一部を改正する法律)により2026年5月27日に施行された改正があります。5月27日は4月1日より後なので、この改正は令和8年度試験の出題範囲に入りません。
したがって、いまe-Gov法令検索で両法を引くと5月27日改正後の条文が返りますが、令和8年度を受験するならそれは基準ではありません。本記事は2026年4月1日時点で施行されていた版によっています。
なお、本記事で扱った条文について、基準日版と5月27日施行版を条単位で照合した結果、都市計画法の本則にも建築基準法の本則にも差分はありませんでした。したがって本記事の内容は、どちらの版で読んでも変わりません。改正法の実体部分は別の施行日に係るものと考えられます。
施行令の側は基準日より前に動いている
一方で、都市計画法施行令は基準日より前に二度改正されています。令和7年政令第205号が2025年7月1日に、令和8年政令第66号が2026年4月1日に施行されており、どちらも令和8年度の出題範囲に入ります。
内容を確認すると、いずれも変更されたのは施行令21条の1条のみでした。21条は法29条1項3号の「公益上必要な建築物」を定める条文で、その26号が、国・都道府県等・市町村等が設置する研究所、試験所その他直接その事務または事業の用に供する建築物のうち、イからホに掲げるもの以外のものを対象としています。
このイからホが除外リストで、イが学校教育法1条の学校・専修学校・各種学校、ロが児童福祉法による家庭的保育事業等・社会福祉事業・更生保護事業、ハが病院・診療所・助産所、ニが多数の者の利用に供する庁舎、ホが宿舎です。
令和7年政令第205号はロに「乳児等通園支援事業」を追加し、令和8年政令第66号はハに「オンライン診療受診施設」を追加しました。いずれも除外リストへの項目追加であり、開発許可の面積要件(施行令19条、22条の2)はどちらの改正でも変わっていません。
学校と病院が「公益上必要な建築物」から外れている意味
この26号の構造から、重要な帰結が出ます。学校、病院、診療所、社会福祉施設は、公共団体が設置するものであっても29条1項3号の適用除外に当たりません。したがって、これらを建てるための開発行為には、規模要件を満たす限り開発許可が必要です。
一方、29条1項3号の適用除外に当たるのは、施行令21条が挙げる駅舎その他の鉄道の施設、図書館、公民館、変電所、道路、河川、都市公園の公園施設などです。「公益的な施設なら許可が要らない」という一般化はできません。条文が挙げているものに限られます。
そして前述のとおり、43条1項が「29条1項2号もしくは3号に規定する建築物以外の建築物」を許可の対象としているため、この帰結は市街化調整区域の建築許可にも連動します。学校や病院は3号に当たらないので、市街化調整区域で建てるなら43条の許可が必要になります。
教材の対応年度を確認する習慣
この記事で確認したことは二つの型に分かれます。ひとつは「施行日が基準日より後だから範囲外」という形式的な判定、もうひとつは「範囲外でも本則が変わっていないので結論は同じ」という実質的な判定です。
施行日だけを見て慌てる必要はなく、逆に施行日を見ずに最新の条文を使うのも危険だということになります。数字や要件が問われる論点では、施行日と条文の両方を確認する価値があります。手元の教材が受験年度に対応した版かをまず見て、対応していれば基本的に信頼し、条文の文言がそのまま答えになる論点だけを自分で確認する、という運用が現実的です。
試験での出題ポイント
「一方が不要なら他方も不要」と書く
最も本質的な誤りの型です。「開発許可が不要な場合には建築確認も不要である」「建築確認を受ければ開発許可は不要となる」といった肢は、二つの制度の独立性を否定しており誤りになります。判定に使う変数が重なっていないことを思い出してください。
根拠法・申請先・対象を入れ替える
開発許可は都市計画法29条・都道府県知事等・土地の区画形質の変更。建築確認は建築基準法6条・建築主事等または指定確認検査機関・建築物の計画。三つのうちどれかを入れ替える肢は定番です。指定都市等の区域では市の長が許可権者になる点も、あわせて確認しておいてください。
造成を伴わない建築に開発許可を要求する
開発行為は「土地の区画形質の変更」であり(4条12項)、造成を伴わない建築は開発行為ではありません。「建築物を建築するには開発許可が必要である」と一般化した肢は誤りです。逆に、建築目的のない造成も開発行為ではないため、資材置場のための造成に開発許可を要求する肢も誤りになります。
公告の前後を入れ替える
37条が公告前の建築禁止、42条が公告後の予定建築物等以外の建築禁止です。これを逆にする肢、あるいは42条の例外(知事の許可、用途地域等が定められているとき)を落とす肢が作られます。起点がいずれも36条3項の公告である点も押さえてください。
43条の対象区域を広げる
43条1項の対象は市街化調整区域のうち開発許可を受けた開発区域以外の区域です。市街化区域や非線引き都市計画区域には及びません。「市街化区域内で建築物を新築するには知事の許可が必要」という肢は、対象区域を広げた誤りです。
二つの検査済証を混ぜる
都市計画法36条2項の検査済証は造成工事について、建築基準法7条5項の検査済証は建築工事について交付されます。語が同じなので、どちらの手続の話かをすり替える肢が作れます。
審査期間を開発許可にも当てはめる
35日と7日は建築基準法6条4項の数字で、開発許可の審査期間ではありません。「開発許可の申請があった場合、知事は35日以内に処分しなければならない」という肢は、条文にない期間を持ち込んでいます。
「公益上必要な建築物」を一般化する
29条1項3号の対象は施行令21条が列挙するものに限られ、学校・病院・診療所・社会福祉施設は26号の除外リストに入っています。「公共団体が設置する学校であれば開発許可は不要」という肢は誤りです。
覚え方・整理の仕方
最初の質問を「土地か建物か」に固定する
事案を読んだら、まず行われる行為が土地の造成なのか建築物の建築なのかを分けます。造成があれば開発許可の検討、建築があれば建築確認の検討。両方あれば両方を別々に検討する。この分岐を最初に置くだけで、混同のほとんどが消えます。
四つの組み合わせを口に出せるようにする
開発許可だけ、建築確認だけ、両方、どちらも不要。それぞれに具体例を一つずつ持っておきます。造成して分譲するだけなら開発許可だけ。既存宅地に住宅を建てるなら建築確認だけ。1,500平方メートルを造成して住宅を建てるなら両方。資材置場のための造成ならどちらも不要。四つとも存在するという事実自体が、独立性の証明になります。
開発許可の「不要」は三経路、建築確認は「号」
開発許可が不要になるのは、開発行為に当たらない、規模に満たない、適用除外に当たる、の三経路。建築確認が不要になるのは、6条1項の号に当たらないか、6条2項の10平方メートル以内の増改築移転に当たる場合。経路の数と作りが違うことを覚えておくと、片方の理屈をもう片方に持ち込む誤りを防げます。
公告を軸に三つの時期を並べる
開発許可を受けてから造成工事、36条3項の公告、そして建築。公告より前は37条で建築が禁止、公告より後は42条で予定建築物等以外が禁止。公告が真ん中にあり、その前後で制限の内容が変わるという図式で持ちます。
市街化調整区域だけ関門が一つ多い
市街化区域や非線引き都市計画区域では、開発許可と建築確認の二つを検討すれば足ります。市街化調整区域では、これに43条の建築許可が加わります。しかも29条1項2号・3号に当たる建築物は43条でも許可不要という連動があります。調整区域は関門が三つ、しかも二つが連動していると覚えます。
数字は建築確認側に寄っている
200平方メートル(6条1項1号・2号)、10平方メートル(6条2項)、35日と7日(6条4項)。開発許可側の数字は面積要件(1,000・3,000・10,000、三大都市圏500、条例300)に集中しています。数字が出てきたらどちらの制度のものかを先に判定する習慣が、そのまま得点につながります。都市計画法まわりの数字の階層は都市計画法の数字で整理しています。
条番号を組で持つ
開発行為の定義は都市計画法4条12項、開発許可は29条、工事完了は36条、公告前の制限は37条、公告後の制限は42条、市街化調整区域の建築許可は43条。建築確認は建築基準法6条、指定確認検査機関は6条の2、完了検査は7条。この九つを言えるようにしておくと、条文に当たり直すときに迷いません。法令上の制限全体の頻出論点は法令上の制限の頻出論点にまとめてあります。
理解度チェッククイズ
次の記述の正誤を判定してください。
問1. 市街化区域内において、800平方メートルの土地の区画形質の変更を行い、その土地に木造2階建ての住宅を新築する場合、開発許可も建築確認も不要である。
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答えは誤りです。開発許可は不要ですが、建築確認は必要です。市街化区域内の面積要件は都市計画法施行令19条1項により1,000平方メートルですから、800平方メートルの開発行為は29条1項1号により許可が不要になります。しかし建築基準法6条1項2号は「二以上の階数を有し、又は延べ面積が二百平方メートルを超える建築物」を確認の対象としており、木造2階建ては階数が2以上である以上これに該当します。延べ面積が200平方メートル以下であっても、階数だけで該当する点に注意してください。開発許可の要否と建築確認の要否は判定に使う変数が違うため、片方が不要でももう片方は必要になりえます。問2. 開発許可を受けた開発区域内の土地においては、工事完了の公告があった後は、予定建築物等以外の建築物を新築することが一切できない。
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答えは誤りです。「一切」が誤りで、都市計画法42条1項ただし書に二つの例外があります。ひとつは**都道府県知事が**当該開発区域における利便の増進上もしくは開発区域およびその周辺の地域における環境の保全上支障がないと認めて**許可したとき**、もうひとつは当該開発区域内の土地について**用途地域等が定められているとき**です。後者は、用途地域等が定められていれば建築基準法側の用途規制が働くため、都市計画法で重ねて規制する必要がないという趣旨です。なお、公告があるまでの間の制限は37条にあり、こちらは原則として建築物の建築および特定工作物の建設が禁止されます(工事用の仮設建築物等の例外があります)。公告の前後で制限の内容が切り替わる点を押さえてください。問3. 市街化調整区域において、土地の区画形質の変更を伴わずに建築物を新築する場合、開発行為に当たらないため、都道府県知事の許可を受ける必要はない。
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答えは誤りです。開発許可が不要である点は正しいのですが、別の許可が必要になります。都市計画法43条1項は、市街化調整区域のうち開発許可を受けた開発区域**以外**の区域内において、29条1項2号もしくは3号に規定する建築物以外の建築物を新築する場合等に、都道府県知事の許可を受けなければならないと定めています。造成を伴わないため開発行為に当たらず開発許可は不要ですが、この43条の建築許可は別に必要です。ただし農林漁業用建築物(29条1項2号)や施行令21条が列挙する公益上必要な建築物(同項3号)に当たる場合、仮設建築物の新築の場合などは除かれます。市街化調整区域では関門が一つ多い点を押さえてください。問4. 都市計画法29条1項3号により開発許可が不要となる公益上必要な建築物には、地方公共団体が設置する学校や病院が含まれる。
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答えは誤りです。都市計画法施行令21条26号は、国・都道府県等・市町村等が設置する研究所、試験所その他直接その事務または事業の用に供する建築物を挙げていますが、イからホに掲げるもの**以外**のものに限っています。そのイが学校教育法1条に規定する学校・専修学校・各種学校、ハが病院・診療所・助産所です。したがって学校や病院は、地方公共団体が設置するものであっても3号の適用除外に当たらず、規模要件を満たせば開発許可が必要です。施行令21条が挙げる駅舎その他の鉄道の施設、図書館、公民館、変電所などとは扱いが分かれます。「公益的な施設なら許可不要」という一般化はできません。問5. 建築確認の申請を受けた建築主事等は、申請に係る建築物が建築基準法6条1項1号に該当する場合、申請書を受理した日から7日以内に確認済証を交付しなければならない。
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答えは誤りです。期間が逆です。建築基準法6条4項は、1項1号または2号に係るものは受理した日から**35日以内**、1項3号に係るものは受理した日から**7日以内**と定めています。1号は特殊建築物でその用途に供する部分の床面積の合計が200平方メートルを超えるもの、3号は前二号を除くほか都市計画区域等内における建築物ですから、規模が大きく審査項目の多い1号・2号に長い期間、小規模な3号に短い期間が割り当てられています。なお6条6項により、一定の場合には35日の範囲内で期間を延長できます。この審査期間は建築基準法の規定であり、開発許可には対応する期間の定めがない点もあわせて押さえてください。問6. 開発許可を受けた造成工事が完了した場合、都道府県知事は検査を行い検査済証を交付するが、この検査済証は建築基準法7条の完了検査による検査済証と同じものである。
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答えは誤りです。名称は同じでも別の制度に基づく別の書面です。都市計画法36条は、開発許可を受けた者が工事を完了したときに知事へ届け出て、知事が工事が開発許可の内容に適合しているかを検査し、適合すると認めたときに検査済証を交付し、さらに遅滞なく工事が完了した旨を公告すると定めています。対象は**造成工事**です。これに対し建築基準法7条の完了検査は**建築工事**について行われ、建築基準関係規定に適合していると認められたときに検査済証が交付されます。都市計画法側にだけ「公告」という手続があり、その公告が37条・42条の制限の起点になる点も違いです。まとめ
分岐点は規制対象です。開発許可は「主として建築物の建築又は特定工作物の建設の用に供する目的で行なう土地の区画形質の変更」を対象とし(都市計画法4条12項、29条)、建築確認は「建築物の計画が建築基準関係規定に適合するか」を対象とします(建築基準法6条1項)。根拠法、申請先(都道府県知事等/建築主事等または指定確認検査機関)、効果(許可/確認)は、すべてこの違いから導けます。指定都市等の区域では開発許可の権者が市の長になる点も条文にあります。
要否は独立して決まります。開発許可だけ必要な場合、建築確認だけ必要な場合、両方必要な場合、どちらも不要な場合の四通りがすべて存在します。開発許可が不要になる経路は、開発行為に当たらない・規模に満たない・適用除外に当たるの三つ。建築確認は6条1項の号に該当するかと、6条2項の防火地域および準防火地域外での10平方メートル以内の増築・改築・移転かで決まります。判定に使う変数が重なっていないため、片方の結論がもう片方に及びません。
開発許可を受けた土地には別レイヤーの制限が重なります。36条3項の工事完了公告を境に、公告前は37条で建築物の建築が原則禁止、公告後は42条で予定建築物等以外の建築が禁止されます。42条には知事の許可と用途地域等が定められている場合という例外があります。さらに市街化調整区域では、開発許可を受けた開発区域以外の区域について43条1項の建築許可がかかり、29条1項2号・3号に当たる建築物はここでも許可不要という連動があります。
令和8年度の基準日は2026年4月1日です。都市計画法と建築基準法には2026年5月27日施行の改正(令和8年法律第23号)がありますが、範囲外です。ただし本記事で扱った条文について基準日版と照合したところ、両法とも本則に差分はありませんでした。一方、都市計画法施行令は2025年7月1日と2026年4月1日に改正されており、こちらは範囲内です。変更されたのはいずれも21条26号の除外リストへの項目追加で、開発許可の面積要件は変わっていません。
宅建試験AIブートラボのアプリでは、開発許可と建築確認の肢を制度別に絞って演習でき、どちらの制度の話かを取り違えた箇所だけを繰り返せます。
都市計画法・建築基準法・農地法は数字の暗記が中心です。繰り返しの肢別トレーニングが一番効きます。