/ 宅建業法

従業者名簿と帳簿|宅建業者の備付け義務を整理

宅建試験で出題される従業者名簿・帳簿・従業者証明書の備付け義務を解説。記載事項・保存期間・閲覧義務の違いを比較表で整理。

宅建業者の備付け義務の全体像

宅建業者には、事業運営にあたって従業者名簿帳簿の備付け義務と、従業者証明書の携帯義務が課されています。

これらは宅建試験で毎年のように出題される重要テーマです。3つの制度の違いを正確に整理しましょう。


従業者名簿

基本事項

項目 内容
備付け場所 事務所ごとに備える
保存期間 最終の記載をした日から 10年間
閲覧義務 あり(取引関係者の請求があった場合)

記載事項

従業者名簿には、以下の事項を記載しなければなりません。

  • 従業者の氏名
  • 従業者証明書の番号
  • 生年月日
  • 主たる職務内容
  • 宅建士であるか否かの別
  • 当該事務所の従業者となった年月日
  • 当該事務所の従業者でなくなったときは、その年月日

試験ポイント: 従業者名簿には「住所」は記載事項に含まれません。これはひっかけ問題として頻出です。

閲覧義務

宅建業者は、取引の関係者から請求があったときは、従業者名簿を閲覧させなければなりません。

注意: 閲覧請求権を有するのは「取引の関係者」です。一般の第三者には閲覧させる義務はありません。


帳簿

基本事項

項目 内容
備付け場所 事務所ごとに備える
保存期間 各事業年度の末日に閉鎖し、閉鎖後 5年間保存
新築住宅の売主の場合 閉鎖後 10年間保存
閲覧義務 なし

記載事項

帳簿には、取引のあったつど、以下の事項を記載します。

  • 取引の年月日
  • 宅地・建物の所在・面積
  • 取引態様(売買・交換・貸借の別、代理・媒介の別)
  • 取引に関与した他の宅建業者の商号等
  • 報酬の額

試験ポイント: 帳簿には閲覧義務がありません。従業者名簿には閲覧義務があるのと対比して覚えましょう。

保存期間の違い

場合 保存期間
原則 閉鎖後 5年間
新築住宅の売主である場合 閉鎖後 10年間

新築住宅の売主の場合に保存期間が長いのは、住宅瑕疵担保履行法との関係です。新築住宅の売主は10年間の瑕疵担保責任を負うため、それに合わせて帳簿の保存期間も10年間となっています。


従業者証明書

基本事項

項目 内容
交付義務 宅建業者は従業者に証明書を携帯させなければならない
提示義務 取引の関係者の請求があったときは、従業者証明書を提示しなければならない
対象者 代表者を含むすべての従業者

従業者証明書と宅建士証の違い

比較項目 従業者証明書 宅建士証
携帯義務者 従業者全員 宅建士のみ
発行者 宅建業者が発行 都道府県知事が交付
提示の場面 取引関係者の請求があったとき 重要事項説明時に必ず提示
提示の要件 請求があれば提示 請求がなくても提示

最重要ポイント: 従業者証明書は「請求があったとき」に提示。宅建士証は重要事項説明時に「請求がなくても必ず」提示。この違いは試験で頻出です。


3つの制度の大比較表

比較項目 従業者名簿 帳簿 従業者証明書
性質 名簿の備付け 帳簿の備付け 証明書の携帯
備付け/携帯 事務所ごとに備付け 事務所ごとに備付け 従業者に携帯させる
保存期間 10年間 5年間(新築売主は10年)
閲覧義務 あり なし
提示義務 請求があれば提示
記載の住所 記載しない

覚え方のコツ:名簿は10年で閲覧あり、帳簿は5年で閲覧なし」と対比で覚えましょう。保存期間が長い方(名簿)に閲覧義務がある、と覚えると間違いにくくなります。


事務所に備えるもの一覧

宅建試験では、事務所に備えるべきものが問われることがあります。まとめて整理しましょう。

備えるもの 設置場所
従業者名簿 事務所ごと
帳簿 事務所ごと
標識 事務所・案内所等
報酬額の掲示 事務所ごと(見やすい場所)
専任の宅建士 事務所ごと(業務に従事する者5人に1人以上)

試験での出題パターン

よく出るひっかけ

  • 「従業者名簿には従業者の住所を記載しなければならない」→ 誤り(住所は記載事項ではない)
  • 「帳簿は取引の関係者の請求があれば閲覧させなければならない」→ 誤り(閲覧義務は従業者名簿のみ)
  • 「従業者名簿の保存期間は5年間である」→ 誤り10年間
  • 「従業者証明書は宅建士のみが携帯すればよい」→ 誤り(従業者全員が携帯)
  • 「従業者証明書は都道府県知事が交付する」→ 誤り宅建業者が交付)

まとめ

従業者名簿・帳簿・従業者証明書は、宅建業法の事務所規制の中で毎年出題される定番テーマです。

1. 従業者名簿
- 事務所ごとに備付け、保存期間10年
- 取引関係者への閲覧義務あり
- 住所は記載事項でない

2. 帳簿
- 事務所ごとに備付け、保存期間5年(新築売主は10年)
- 閲覧義務なし

3. 従業者証明書
- 宅建業者が従業者全員に携帯させる
- 取引関係者の請求があれば提示
- 宅建士証(知事交付・請求なくても提示)との違いに注意


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