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宅建に一発合格する|1年で通すための設計

試験対策・勉強法 読了 約23分

一発合格を意志ではなく設計の問題として扱います。試験日からの逆算、配点にもとづく優先順位、中断に強い単位での区切り方、崩れたときの戻し方までを整理します。

目次

    この記事は、宅建試験を一度の受験で通すために、日々の学習をどう組み立てるかを扱います。学習が続かないこと全般への対処は宅建の勉強が続かない|設計で乗り切る長期戦、月単位の計画表は宅建の勉強スケジュール表|6ヶ月・3ヶ月・1ヶ月の学習計画にあります。ここで扱うのは、その中間にある「1年で通すと決めたときに、何を優先し、何を捨て、どう区切るか」という判断です。

    先に結論を述べます。一発合格は、才能や意志の強さの問題ではなく、期限を固定したうえで、やることを減らす判断ができるかどうかの問題です。試験日は動きません。動かせないものを起点に据えると、限られた時間をどこに使うかが自動的に決まってきます。

    そしてもうひとつ。日々の学習が崩れる最大の原因は、中断に弱い学習を中断されやすい時間にあてていることです。ここを設計し直すだけで、同じ生活のまま進み方が変わります。

    なお、この記事では合格者を対象にした調査の結果を書きません。そうした調査は公表されていないからです。「合格者に共通する習慣」という形の主張は、出典を示せない以上、この記事では扱いません。代わりに、公表されている試験の数字と、試験の構造から説明できることだけを扱います。学習時間の相場も同じ理由で断定しません。

    「一発合格」を数字で捉える

    二つの関門がある

    一度で通すという目標を、まず数字で見ておきます。不動産適正取引推進機構「令和7年度宅地建物取引士資格試験結果の概要」(令和7年11月26日公表)によれば、令和7年度の申込者数は306,099人、受験者数は245,462人、受験率は80.2パーセントでした。合格者数は45,821人、合格率は18.7パーセント、合格判定基準は50問中33問以上です。

    注目してほしいのが受験率です。申し込んだ人のうち、およそ2割が試験当日に会場へ来ていません。人数にすると6万人を超えます。

    これは、一発合格の前に関門がもう一つあることを示しています。合格するかどうか以前に、そもそも受験にたどり着くかどうか。学習が途中で止まり、間に合わないと判断して受験を見送る。この段階で脱落する人が、申込者の2割いるということです。

    したがって一発合格の設計とは、まず「10月の試験日に受験する状態を保つこと」から始まります。難問を解けるようにすることよりも、学習を止めないことのほうが先にあります。

    合格点は動く

    もうひとつ押さえておきたいのが、合格点が固定されていないことです。令和7年度の合格判定基準は33点でしたが、令和6年度は37点でした。同じ試験でも年によって4点動いています。

    この仕組みの下では、「何点取れば受かる」という目標を先に立てることができません。目標は「上位グループに入ること」になります。合格ラインの推移と読み方は宅建試験の合格ライン予想|過去16年の合格点推移と傾向で扱っています。

    学習設計への影響は明確です。相対評価に近い運用である以上、多くの受験者が取る問題を落とさないことが最優先になります。難問を1問拾う練習より、頻出論点を確実にする練習のほうが合格に近い。一発合格を狙うなら、この優先順位を最初から徹底することになります。

    登録講習を使えるかを先に確認する

    同じ概要によれば、登録講習修了者の合格率は24.2パーセント、判定基準は45問中28問以上でした。宅建業に従事していて従業者証明書を持っている人であれば、登録講習を修了することで問46から問50までの5問が免除されます。

    該当する可能性があるなら、学習計画を立てる前に確認してください。免除が使えるかどうかで、仕上げる範囲そのものが変わります。詳しくは社会人の宅建学習|崩れる原因から設計するで扱っています。

    一発合格は意志ではなく期限の設計

    「頑張る」では範囲が減らない

    一度で通すと決めたときに起きる変化は、やる気が上がることではありません。使える期間が固定されることです。そして期間が固定されると、やれることの総量に上限がつきます。

    上限があるのにやることを減らさなければ、どこかで破綻します。全範囲を均等に、深く、完璧に仕上げるという計画は、期限のない世界でしか成立しません。一発合格の設計とは、要するに「何をやらないか」を先に決める作業です。

    「毎日頑張る」という決意は、この判断を何も助けません。頑張ることで1日の時間は増えないからです。増えないものを前提に、配分を決める。それが設計です。

    崩れる原因は三つに絞れる

    学習が続かなくなる原因は、意志の問題として扱うと打つ手がなくなります。構造として見ると、たいてい次の三つのどれかです。

    第一に、始めるまでの手数が多いこと。テキストを探す、机を片づける、どこから始めるか考える。着手前にこうした小さな判断が挟まると、その一つひとつが先送りの理由になります。

    第二に、今日どこから始めるかが決まっていないこと。前回どこで終わったかを思い出す作業から始まる設計は、疲れている日に必ず止まります。

    第三に、崩れたときの戻り方がないこと。数日空いたあと、どこから再開すればいいかわからないと、そのまま離れてしまいます。

    この三つはいずれも設計で潰せます。続けること全般の仕組みづくりは宅建の勉強が続かない|設計で乗り切る長期戦に詳しくまとめてあるので、この記事では一発合格の文脈で効く部分に絞って扱います。

    試験日から逆算して締め切りを置く

    動かないものを起点にする

    宅建試験は原則として毎年10月の第3日曜日に実施されます。試験時間は13時から15時までの2時間で、登録講習修了者は13時10分からの1時間50分です。

    この日付は動きません。動かないものを起点にすると、計画は「いつまでに何を終えるか」という形になります。逆に、今日から積み上げていく形で計画を立てると、間に合うかどうかが最後までわからないまま進むことになります。

    逆算の考え方そのものは宅建の勉強はいつから?試験日から逆算するで扱っています。ここでは、一発合格を狙う場合に置くべき締め切りの性質を述べます。

    締め切りは「終わらせる日」ではなく「移る日」

    計画に置く締め切りには二種類あります。「この範囲を完璧にする日」と、「完璧でなくても次に移る日」です。一発合格を狙うなら、後者で置いてください。

    理由は単純で、前者は守れないからです。完璧の基準は学習が進むほど上がるので、いつまでも終わりません。そして一つの範囲で止まっている間に、後ろの範囲が丸ごと未学習のまま残ります。

    「7月末には全科目を一周終える」という締め切りは、7月末時点の理解度がどうであっても8月から次の段階に移る、という約束です。理解が浅い箇所は二周目で拾います。一周目で完璧にしようとしないことが、一年で全範囲に触れるための条件になります。

    二周目以降を計画に入れておく

    一周目で完璧にしないという方針は、二周目があることを前提にしています。したがって計画の段階で、二周目・三周目の時期を先に確保しておく必要があります。

    ここを確保していないと、一周目が延びたときに二周目が消えます。そして一周しかしていない状態では、最初にやった科目の記憶がほとんど残っていません。期間別の具体的な区切り方は宅建の勉強スケジュール表|6ヶ月・3ヶ月・1ヶ月の学習計画を参照してください。

    一周目は「どこに何があるか」を掴む

    一周目で完璧にしないという方針を、具体的な動き方に落とします。

    一周目の目的は、範囲の地図を作ることです。この科目にはどういう論点があり、どのあたりが厚く、どこが数字の集まりなのか。それが掴めていれば、二周目以降で「あの話はここに書いてあった」と戻れるようになります。逆に、一周目で一つの論点を完璧にしようとして止まると、地図が半分しかできないまま時間が尽きます。

    進め方としては、章を読んだらその章の問題を解く、という単位で回すのが実際的です。テキストを全部読んでから問題に移ると、最初の章の内容を忘れた状態で解くことになります。章単位で読む・解くを交互にすれば、読んだ直後に確認できるので、理解の抜けをその場で拾えます。

    そして一周目の正答率は気にしないでください。初めて触れる範囲の問題が解けないのは当然です。一周目に測るべきは正答率ではなく、範囲をどこまで通過したかです。

    進んでいる実感と、実際の進捗は違う

    一周目で起きやすい失敗が、進捗の錯覚です。テキストを読む作業はページ数で進み方が見えるので、進んでいる実感が得られます。しかし読んだ内容を正誤判定に使えるかどうかは、解いてみるまでわかりません。

    この錯覚を避ける方法は単純で、その日の進捗を「解いた問題数と正誤」で記録することです。読んだページ数を記録すると、読むほうに寄っていきます。何を記録するかが、何をやるかを決めます。

    週で管理すると1日の崩れが致命傷にならない

    日単位で計画を組むと、1日崩れた時点で計画全体がずれます。ずれを取り戻せないまま日々が過ぎ、やがて計画そのものを見なくなります。

    週単位で「今週やること」を決めておけば、平日に1日空いても週末に回収できます。回収できなければ翌週に繰り越し、繰り越しが二週続いたら計画の量そのものを見直す。この形なら、崩れが即座に破綻につながりません。週の型の具体的な組み方は社会人の宅建学習|崩れる原因から設計するにあります。

    何を優先し、何を捨てるか

    配点が優先順位を決めている

    やることを減らす判断の基準は、好みでも得意不得意でもなく、配点です。近年の本試験では、問1から問14が権利関係で14問、問15から問22が法令上の制限で8問、問23から問25が税で3問、問26から問45が宅建業法で20問、問46から問50が免除科目で5問という配分が続いています。

    最大は宅建業法の20問で、全体の4割です。そして宅建業法は、条文の要件と数字を覚えれば正解にたどり着ける問題が中心の科目です。覚えた量がそのまま得点になるという意味で、投じた時間がもっとも結果に結びつきます。全体像は宅建業法の全体像|20問の出題範囲と学習設計にまとめてあります。

    一発合格を狙うなら、ここを最優先に置きます。学習の順序としても、宅建業法から始めるのが合理的です。法律の読み方に慣れる練習にもなり、後から権利関係に入るときの負担が下がります。

    権利関係で満点を狙わない

    対照的なのが権利関係14問です。条文を覚えるだけでは解けず、事案を読んで当事者の関係を整理し、条文と判例をあてはめる作業が必要になります。時間をかけても得点が伸びにくい領域があり、しかも難易度の振れ幅が大きい。

    ここで満点を目指すと、宅建業法の精度が下がります。合計点で判定される試験である以上、どの科目で落とすかは問われません。権利関係の難問を捨てて宅建業法を固めるほうが、合計点は上がります。科目の構造は権利関係の全体像|14問の出題範囲と学習設計、科目別の目標の立て方は宅建の科目別攻略法を参照してください。

    読むより解く

    もうひとつの優先順位が、インプットとアウトプットの比率です。テキストを読んでいる時間は進んでいる実感が得やすく、そのぶん進捗の錯覚を生みます。

    しかし合格に必要なのは、問題を見て正誤を判断できることです。これは読むことでは身につきません。迷ったら解く側を選ぶ、という基準を最初に決めておくと、日々の判断が速くなります。過去問の回し方は宅建の過去問活用術|肢別・年度別と回転法にまとめてあります。

    捨てる範囲を先に書き出す

    捨てる判断は、直前期に慌てて行うと精度が落ちます。学習を始める段階で、深追いしない領域をあらかじめ書き出しておいてください。

    判断の基準は二つです。出題頻度が低いこと、そして理解に時間がかかること。この両方を満たす領域は、投じた時間が得点に結びつきにくい場所です。得点源と捨て問の見極め方は宅建の合格戦略|得点源と捨て問の見極め方で扱っています。

    基準の当て方を具体的にしておきます。頻度が低くても理解が軽い論点は捨てません。数分で押さえられるなら、出題される年に拾えます。逆に、頻度が高くても理解が重い論点は捨てません。時間はかかりますが、投じた分は返ってきます。捨てるのは、めったに出ないうえに理解に何時間もかかる領域だけです。

    この線引きをしておくと、直前期に「まだやっていない範囲がある」という不安に振り回されずに済みます。やっていないのではなく、やらないと決めた領域だからです。決めていない状態で残っている未学習範囲と、決めて外した領域は、心理的にまったく別物です。

    そして、捨てた領域から出題されても動じないでください。50問のうち何問かを最初から落とす前提で組むのが、合計点で判定される試験の設計です。

    中断に強い単位で学習を区切る

    ここがこの記事の中心です。日々の学習が崩れる原因の多くは、時間が足りないことではなく、学習の種類と時間帯の組み合わせを誤っていることにあります。

    学習には中断耐性の差がある

    同じ勉強でも、途中で止められたときの損失はまったく違います。

    肢別の一問一答は、1問で完結します。3問解いたところで呼ばれても、失うのは解きかけの1問だけです。次に開いたとき、続きから始められます。宅建業法の数字の暗記も同じで、どこで切っても再開できます。

    一方、権利関係の判例を理解する作業はそうではありません。事案を読み、当事者を図に書き出し、時系列を並べ、条文をあてはめる。この途中で止まると、次に開いたときに事案の把握からやり直しになります。10分で切られると、実質的に何も進んでいないことになります。

    計算問題も同様です。報酬額の計算や建ぺい率・容積率の計算は、条件を読み取って手順を組み立てる作業なので、途中で切ると最初からになります。

    隙間時間に判例理解をあてない

    この違いを踏まえると、割り当ての原則が出てきます。中断されやすい時間には中断に強い学習を、まとまった時間には中断に弱い学習をあてる。

    通勤の電車、昼休み、寝る前の10分。これらはいつ切られてもおかしくない時間です。ここには肢別演習、数字の確認、用語の見直しをあてます。1問単位で完結するので、5分でも3問進みます。

    まとまって確保できる時間、たとえば休日の午前中や、平日の帰宅後の1時間。ここに権利関係の判例理解、事例問題の処理、計算問題の練習をあてます。

    多くの人がこの逆をやっています。まとまった時間があるときに、進んでいる実感の得やすい肢別演習を大量に回し、隙間時間に「難しいところをやろう」として権利関係を開く。そして隙間時間では終わらないので、毎回途中で止まり、いつまでも進みません。

    科目の中身で割り当てを決める

    科目単位ではなく、論点単位で見ると割り当てはさらに明確になります。同じ科目の中にも、切っても平気な論点と、切ると戻れない論点が混在しているからです。

    隙間時間に向くのは、次のような性質を持つ論点です。宅建業法なら、35条書面と37条書面の記載事項、8種制限の数字(代金の10分の2、10分の3、クーリング・オフの8日、担保責任の特約の2年)、営業保証金と分担金の金額、監督処分の種類。いずれも一つずつ独立して確認でき、1分あれば一項目進みます。法令上の制限なら、用途地域の名称と用途制限、開発許可の面積要件、農地法の3条・4条・5条の区別。税なら税率と特例の要件。これらは知識の粒が細かく、順番に依存しません。

    まとまった時間に向くのは、手順を組み立てる作業を含む論点です。報酬額の計算は、取引の形態を判定し、税抜価格に直し、速算式を当てはめ、代理か媒介かで倍率を変え、上限と比較する、という複数段階の処理を要します。建ぺい率・容積率の計算も、用途地域をまたぐ場合の按分や前面道路幅員による制限を順に処理します。権利関係の事例問題は、登場人物を書き出し、時系列を並べ、誰が誰に何を主張できるかを整理する作業です。抵当権と賃借権の優劣、時効と登記の関係、相続の計算。いずれも途中で切ると最初からになります。

    この区別ができていれば、電車の中で報酬計算を始めて中途半端に終わる、という無駄が消えます。逆に、休日の3時間を肢別演習だけで使い切ってしまうことも避けられます。まとまった時間は、まとまっていなければできない作業のために空けておく。これが配分の原則です。

    一回分の単位を決めておく

    もうひとつ、学習の単位を「時間」ではなく「量」で決めておくと、着手が軽くなります。

    「30分やる」という決め方は、終わりが時間で決まるので、途中で切られると中途半端に終わります。「肢別を20問」「判例を3件」という決め方なら、終わりが内容で決まるので、達成したかどうかがはっきりします。

    そして単位を小さくしておくと、疲れている日でも一つは消化できます。ゼロの日を作らないための仕組みとしても機能します。

    暗記は分散させる

    数字や要件の暗記は、まとめて詰め込むより、間隔を空けて繰り返すほうが定着します。これは中断耐性の高い学習なので、隙間時間に分散して置くのに向いています。

    具体的な復習の間隔の設計は宅建の暗記術|忘却と復習の設計で扱っています。ここで押さえておきたいのは、暗記を「まとまった時間にやる作業」だと思わないことです。まとまった時間は、暗記では代替できない作業のために空けておきます。

    一日の型を固定する

    時間帯と場所をセットで決める

    着手までの手数を減らす最も簡単な方法は、いつ、どこで学習するかを固定することです。

    時間帯だけを決めても、場所が毎回変わると環境を整える手間が発生します。場所だけを決めても、時間が決まっていなければ「あとでやる」が可能になります。両方を固定すると、その時間にその場所にいる状態そのものが着手の合図になります。

    場所の選び方は宅建の勉強場所おすすめ7選|集中できる環境の見つけ方で扱っています。重要なのは最適な場所を探すことではなく、決めた場所を変えないことです。

    前回の続きから始まる状態にしておく

    終わるときに、次に何をやるかを決めてから閉じてください。教材を閉じる前に付箋を貼る、次に解く問題番号をメモに書く。この一手間があるだけで、次の着手から「どこから始めるか考える」という判断が消えます。

    判断が一つ減ることの効果は、思っているより大きいものです。疲れている日に着手を止めるのは、たいてい内容の難しさではなく、始める前の段取りの重さです。

    同じ発想で、物理的な段取りも減らしておきます。教材を毎回しまうと、次回は出すところから始まります。決めた場所に開いたまま置いておければ、座った瞬間に始まります。持ち歩く教材も、その日に使うものだけに絞っておくと、鞄から探す手間が消えます。

    アプリを使う場合も同じです。開いてから「今日はどの範囲を解こうか」と選ぶ設計だと、そこで手が止まります。前回の続きから自動的に始まる状態にしておくと、選ぶという判断そのものが不要になります。

    平日と休日で違うことをやる

    平日に確保できる時間と休日に確保できる時間が違うなら、やることも変えます。平日は隙間時間中心なので肢別と暗記、休日はまとまった時間が取れるので事例問題と計算、そして週の遅れの回収。

    この振り分けを固定しておくと、日々「今日は何をやろう」と考える必要がなくなります。平日と休日の組み方は社会人の宅建学習|崩れる原因から設計するに具体例があります。

    記録と、崩れたときの戻し方

    時間ではなく到達度を記録する

    学習時間を記録すると、時間が積み上がること自体が目的になりやすくなります。3時間机に向かったが理解は進んでいない、という日でも記録上は前進して見えます。

    記録するのは、何をどこまで終えたかです。肢別のどの範囲を何周したか、正誤の判定を間違えた論点は何か。この形で記録すると、残りの範囲と、繰り返すべき箇所が同時に見えます。

    もうひとつ、正解した問題も記録の対象にしてください。二択で迷って当たった問題は、次に外す可能性が高い箇所です。まぐれ当たりの拾い方は宅建の弱点克服法|まぐれ当たりまで拾って潰すで扱っています。

    記録の粒度は、問題単位ではなく論点単位にすると使いやすくなります。「問12を間違えた」という記録は次に活かせませんが、「抵当権の効力が及ぶ範囲を外した」という記録なら、戻る先が特定できます。間違えた理由も一言添えてください。知識がなかったのか、知っていたが数字を取り違えたのか、問題文の指示を読み違えたのか。原因が違えば対処も違います。

    記録を増やしすぎないことも大事です。記録すること自体が作業になると、記録のために学習時間を削ることになります。外した論点と、その一言の理由。この二つだけで十分に機能します。

    遅れを取り戻そうとしない

    数日空いてしまったときにやってはいけないのが、遅れた分をまとめて消化しようとすることです。3日空いたから今日は3日分やる、という発想は、まず実行できませんし、実行できても翌日の反動で再び止まります。

    空白のあとにやるべきことは、遅れの回収ではなく、再開そのものです。今日の分だけをやる。それだけで習慣は戻ります。

    空いた日数に応じて戻る範囲を決めておく

    とはいえ、数日空くと前の内容を忘れています。そこで、空白の長さに応じて「どこまで戻るか」をあらかじめ決めておきます。

    1日か2日空いた程度なら、戻らずにそのまま続きから。1週間空いたら、直前にやった範囲を軽く一周してから続きへ。1か月空いたら、その科目の最初から一周し直す。

    こう決めておく利点は、再開時に「どこから始めるか」を考えずに済むことです。考える必要があると、その判断自体が再開を遅らせます。復帰の手順は宅建の勉強が続かない|設計で乗り切る長期戦でも扱っています。

    直前期には型を変える

    同じ型を最後まで続ける必要はありません。試験が近づけば、やるべきことは変わります。

    新しい範囲に手を出さない、時間を計って本番と同じ形式で解く、数字と期限を集中的に回す、法改正と統計を確認する。直前期には直前期の型があります。具体的な中身は宅建の直前期の過ごし方|残り1ヶ月でやることにまとめてあります。

    ここで言いたいのは、型を変えるタイミングも計画に入れておく、ということです。いつから直前期の動き方に切り替えるかを先に決めておかないと、切り替えそびれたまま本番を迎えることになります。

    一度で届かなかったときの扱い

    一発合格を目標にすることと、続けることは矛盾しない

    一発合格を掲げる記事は、しばしば「一度で受からなければ意味がない」という含みを持ちます。しかしそれは事実に反します。令和7年度の合格率は18.7パーセントで、受験者のうち8割以上は合格していません。複数回の受験を経て合格する人は多数います。

    一度で通す設計をすることと、通らなかったときに続けることは、まったく矛盾しません。むしろ、期限を切って全範囲に触れた経験があるほうが、二年目の立て直しは速くなります。

    二年目はゼロからではない

    不合格だった場合、前年の学習をすべてやり直す必要はありません。何点足りなかったか、どの科目で落としたか、誤答の原因は知識の欠落なのか読み違いなのかによって、やるべきことは変わります。

    また、法改正があった箇所と統計は年ごとに更新が必要ですが、それ以外の土台は流用できます。立て直しの具体的な手順は宅建の再受験戦略|不合格後の立て直し方にまとめてあります。

    「受験しない」だけは避ける

    冒頭で触れた受験率80.2パーセントに戻ります。申し込んだのに受験しなかった人が2割いるということは、学習が間に合わないと感じたときに、多くの人が受験そのものをやめているということです。

    仕上がっていなくても受験する意味は小さくありません。本番の形式と時間感覚を経験できること、自分がどこで落としたかが具体的にわかること。この二つは、模試では完全には代替できません。そして翌年に向けた出発点が、まったく違うものになります。

    一発合格を狙う設計の最後の一手は、「間に合わなくても受験する」と先に決めておくことです。

    試験の構造が習慣設計に効くところ

    宅建業法20問は最後まで伸びる

    宅建業法は暗記と演習で得点が動く科目なので、直前期の追い込みが効きます。裏を返せば、ここを固めきらないまま本番を迎えるのは最ももったいない失点になります。日々の学習でも、直前期でも、優先度を落とさないでください。

    権利関係は早く始めて長く寝かせる

    権利関係は理解に時間がかかり、短期の詰め込みが効きにくい科目です。したがって、学習の早い段階で一周し、その後は繰り返し触れて定着させる形が合います。直前期に集中投下しても伸びにくい、という性質を前提に配置してください。

    数字は直前に固める

    法令上の制限や宅建業法の数字は、覚えても時間が経てば薄れます。早い段階で完璧にしても本番までに抜けるので、直前期にまとめて回す前提で扱います。日々の学習では「どこに数字があるか」を把握しておき、精度を上げるのは後半、という配分が現実的です。

    統計と法改正は年度で変わる

    統計問題と法改正関連は、前年の教材が使えない領域です。ここだけは新しい情報を直前に入れる必要があります。逆に言えば、早い時期に手を出しても無駄になります。この領域を計画の最後に置くこと自体が、時間配分の判断です。

    税・その他は範囲が狭いぶん取りこぼさない

    問23から問25の3問は、税と地価公示・不動産鑑定評価基準から出題されます。出題数が少ないので後回しにされがちですが、範囲が狭く、出る論点も限られています。範囲が閉じている領域は、投じた時間が結果に結びつきやすい場所です。

    とくに地価公示法と不動産鑑定評価基準からの1問は、条文と基準の用語を押さえれば取れる性質があります。登録講習修了者の5問免除は問46から問50が対象で、この3問は免除されません。免除を使う人も必ず解くことになります。

    免除科目の扱いを先に決める

    登録講習が使えるなら問46から問50は解きません。使えないなら5問分の対策が要ります。どちらなのかで仕上げる範囲が変わるので、学習開始時に確定させておきます。

    免除が使えない場合、この5問は土地・建物の知識と住宅金融支援機構、景品表示法、統計から出題されます。統計は年度で数字が変わるため直前に詰める領域で、それ以外は範囲が限られています。ここも「早く手を出しても薄れる」領域なので、配置は後半になります。

    覚え方・整理の仕方

    「動かないもの」から順に決める

    試験日は動かない。配点も動かない。動かないものを先に置き、動かせるもの、つまり自分の時間の使い方を後から合わせる。この順序で考えると、計画が現実的になります。

    締め切りは「移る日」

    完璧にする日ではなく、完璧でなくても次に移る日。この一言で、一周目が延びて二周目が消える事故を防げます。

    割り当ては「切られても平気か」で決める

    隙間時間には切られても平気な学習、まとまった時間には切られると困る学習。肢別と暗記は前者、判例理解と計算は後者。この二分法だけで、日々の割り当ての迷いが減ります。

    単位は時間ではなく量で

    「30分やる」ではなく「肢別20問」。終わりが内容で決まるので、達成が明確になり、疲れている日でも一つは消化できます。

    戻る範囲は空白の長さで決める

    数日なら戻らない、1週間なら直前の範囲、1か月ならその科目の最初から。先に決めておけば、再開時に迷いません。

    一周目は地図、二周目から精度

    一周目は範囲の地図を作る作業で、正答率を測る段階ではありません。精度を上げるのは二周目以降だと決めておけば、一周目で止まって全体に触れられないまま終わる事故を防げます。

    記録は「終えた範囲」と「外した論点」

    時間を記録しても残りが見えません。何をどこまで終えたか、どこを外したか。この二つを記録すれば、次に何をやるかが自動的に決まります。

    「やらないと決めた領域」は未学習ではない

    捨てる判断を先にしておくと、残りの範囲が確定します。確定した範囲を回している状態と、際限なく広がる範囲を追いかけている状態では、同じ時間でも進み方が違います。

    型を変える日も先に決めておく

    日々の型は、直前期には別の型に切り替わります。いつ切り替えるかを計画に書いておかないと、切り替えそびれたまま本番を迎えます。切り替えの日付も、動かないものの一つとして先に置いてください。

    最後は「間に合わなくても受験する」

    申込者の2割が受験に至っていません。仕上がりに関係なく会場に行くと先に決めておくことが、一年を無駄にしないための最低条件です。

    理解度チェッククイズ

    次の記述の正誤を判定してください。

    Q1. 令和7年度の宅地建物取引士資格試験では、申込者のうちおよそ8割が実際に受験した。

    答えは正しい記述です。不動産適正取引推進機構「令和7年度宅地建物取引士資格試験結果の概要」(令和7年11月26日公表)によれば、申込者数306,099人に対して受験者数は245,462人で、受験率は80.2パーセントでした。申し込んだ人のうち6万人以上が試験当日に受験していないことになります。合格するかどうか以前に、受験にたどり着くかどうかという関門が存在する、というのがこの数字の意味です。

    Q2. 宅建試験の合格判定基準は毎年33点で固定されている。

    答えは誤りです。合格判定基準は年によって変わります。同じ概要によれば令和7年度は50問中33問以上でしたが、令和6年度は37点でした。同じ試験でも4点動いています。あらかじめ定められた合格点がなく、その年の受験者全体の成績分布を踏まえて決定されるためです。したがって「何点取れば受かる」という形の目標は立てられず、多くの受験者が取る問題を落とさないことが優先順位の基準になります。

    Q3. 一発合格を狙うなら、権利関係14問も満点を目指して仕上げるべきである。

    答えは誤りです。宅建試験は50問の合計点で判定され、どの科目で落としたかは問われません。権利関係は事案の処理が必要で時間をかけても得点が伸びにくい領域があり、難易度の振れ幅も大きい科目です。ここで満点を目指すと、条文の要件と数字を覚えれば得点になる宅建業法20問の精度が下がります。配点の最大は宅建業法の20問で全体の4割を占めるため、こちらを優先するほうが合計点は上がります。

    Q4. 通勤時間などの隙間時間には権利関係の判例理解をあて、まとまった時間には肢別演習を大量に回すのが効率的である。

    答えは誤りです。割り当てが逆になっています。判断の基準は中断耐性です。肢別の一問一答は1問で完結するため、途中で切られても失うのは解きかけの1問だけで、次に開けば続きから始められます。一方、権利関係の判例理解は、事案を読んで当事者を整理し条文をあてはめる作業なので、途中で止まると次回に把握からやり直しになります。計算問題も同様です。中断されやすい時間には中断に強い学習を、まとまった時間には中断に弱い学習をあててください。

    Q5. 一度で合格できなかった場合、翌年は前年の学習をすべてやり直す必要がある。

    答えは誤りです。何点足りなかったか、どの科目で落としたか、誤答の原因が知識の欠落なのか読み違いなのかによって、やるべきことは変わります。法改正があった箇所と統計は年ごとに更新が必要ですが、それ以外の土台は流用できます。なお令和7年度の合格率は18.7パーセントで、受験者の8割以上は合格していません。一度で通す設計をすることと、通らなかったときに続けることは矛盾しません。

    まとめ

    • 一発合格は意志ではなく期限の設計の問題です。試験日と配点という動かないものを先に置き、やることを減らす判断を最初に行います。令和7年度の合格判定基準は33点、令和6年度は37点と年により動くため、目標は点数ではなく「多くの受験者が取る問題を落とさないこと」になります。
    • 日々の学習では、中断耐性で割り当てを決めてください。隙間時間には肢別演習と数字の暗記、まとまった時間には権利関係の判例理解と計算問題。この逆をやると、毎回途中で止まって進みません。単位は時間ではなく量で決め、記録は終えた範囲と外した論点で取ります。
    • 令和7年度は申込者306,099人に対し受験者245,462人、受験率80.2パーセントでした。申込者の2割が受験に至っていません。仕上がりに関係なく受験すると先に決めておくこと、そして届かなかった場合も土台は流用できることを、設計の最初から織り込んでおいてください。

    宅建試験AIブートラボのアプリでは、隙間時間に向く肢別トレーニングと、まとまった時間に向く年度別演習を使い分けられます。

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