登録の移転とうろくのいてん
宅地建物取引士の登録を受けている者が、登録をしている都道府県以外の都道府県にある宅地建物取引業者の事務所の業務に従事し、又は従事しようとするときに、その事務所の所在地を管轄する知事へ登録を移すことです(19条の2)。申請は義務ではなく、してもよいという任意の手続です。
甲県で登録を受けた取引士が、乙県の不動産会社に転職しました。登録が甲県のままでも、取引士の仕事は全国どこでもできます。ただ、取引士証の交付や更新の申請、変更の登録の申請は、登録先である甲県知事にしなければなりません。そこで法律は、勤務先のある乙県の知事に登録を移せる道を用意しました。条文に理由は書いていませんが、本人の便宜のための手続と考えられ、移すかどうかは本人が決めます。

移転できるのは、他県の事務所の業務に従事するときだけです
登録の移転を申請できるのは、登録をしている知事の管轄する都道府県以外の都道府県に所在する宅地建物取引業者の事務所の業務に従事し、又は従事しようとするときです(19条の2本文)。きっかけになるのは勤務先の事務所の場所で、本人の住所ではありません。自宅を他県に移しただけでは登録の移転はできず、住所についての変更の登録を申請することになります。条文は「申請をすることができる」と定めていて、他県の業者の専任の宅地建物取引士になる場合でも、移転は義務ではありません。

申請は、今の登録先の知事を経由して移転先の知事にします
申請の相手は移転先の知事ですが、申請書は現に登録をしている知事を経由して提出します(19条の2本文)。条文に理由は書いていませんが、移転元の知事が持っている登録簿の内容を移転先の知事に引き継ぐためと考えられます。事務の禁止の処分を受け、その禁止の期間が満了していないときは、登録の移転を申請できません(同条ただし書)。禁止の期間が満了すれば、申請できるようになります。
移転すると取引士証は失効し、残りの期間の新しい証が交付されます
登録の移転があると、それまでの宅地建物取引士証は効力を失います(22条の2第4項)。そこで、登録の移転の申請とともに宅地建物取引士証の交付を申請すると、移転先の知事は、従前の取引士証の有効期間が経過するまでの期間を有効期間とする新しい取引士証を交付します(同条5項)。新たに5年が始まるわけではなく、残りの期間を引き継ぎます。この交付には知事の指定する講習の受講は要らず(同条2項ただし書)、新しい取引士証は従前の取引士証と引換えに交付されます(施行規則14条の14)。
宅地建物取引業法 19条の2第十八条第一項の登録を受けている者は、当該登録をしている都道府県知事の管轄する都道府県以外の都道府県に所在する宅地建物取引業者の事務所の業務に従事し、又は従事しようとするときは、当該事務所の所在地を管轄する都道府県知事に対し、当該登録をしている都道府県知事を経由して、登録の移転の申請をすることができる。ただし、その者が第六十八条第二項又は第四項の規定による禁止の処分を受け、その禁止の期間が満了していないときは、この限りでない。
試験ではこう問われる
- 登録の移転は「申請をすることができる」任意の手続。他県の業者の専任の宅地建物取引士になる場合でも、移転しなければならないわけではない
- 住所を他県に変更しただけでは、登録の移転の申請はできない。勤務する事務所が他県にあることが要る
- 申請は、現に登録をしている知事を経由して移転先の知事に対して行う。経由せずに直接申請するのではない
- 事務の禁止の処分を受け、その期間が満了していないときは、登録の移転を申請できない
- 移転の申請とともに取引士証の交付を申請すると、従前の取引士証の有効期間の残りを有効期間とする取引士証が交付される。新たに5年ではない。この交付を受けるのに、移転先の知事が指定する講習の受講は要らない
- すでに他県の事務所の業務に従事しているときも、これから従事しようとするときも、申請できる
用語で読んだ論点を、解説つきの肢別演習で確かめられます。無料プランは月300肢まで。