専任の宅地建物取引士の設置せんにんのたくちたてものとりひきしのせっち
宅地建物取引業者が、事務所ごとに業務に従事する者の5分の1以上、契約の締結や申込みの受付をする案内所などには1人以上の、成年者である専任の宅地建物取引士を置かなければならない義務です(31条の3、施行規則15条の5の3)。つまり、契約が行われる場所には、その場所に常勤する取引士が必ずいるようにする決まりです。
従業者が10人いる店舗なら、そのうち2人以上は、その店に常勤する宅地建物取引士でなければなりません。11人になれば3人が必要です。重要事項の説明や書面への記名は取引士にしかできないので、取引士のいない店で契約が進むことのないよう、法律が人数の下限を決めています。この人数に数えられる取引士を「専任の宅地建物取引士」と呼びます。足りない状態で事務所を開くことはできず、途中で欠けたら2週間以内に補わなければなりません。

事務所は5分の1以上、契約をする案内所などは1人以上です
事務所では、その事務所で宅地建物取引業者の業務に従事する者の数に対して、専任の宅地建物取引士の数が5分の1以上になるようにします(施行規則15条の5の3)。従事する者には、営業担当だけでなく、代表者、常勤の役員、受付や秘書、運転手なども含まれると扱われています。事務所以外では、契約を締結し、又は契約の申込みを受ける案内所、展示会場、継続的に業務を行える施設などに、従事者の数にかかわらず1人以上を置きます(施行規則15条の5の2)。案内や広告の配布だけをして、契約の締結も申込みの受付もしない場所には、置く必要がありません。同じ物件について売主の業者と代理・媒介の業者が同じ案内所で業務を行うときは、どちらかの業者が1人以上置けば足ります。

専任とは、その事務所に常勤して専ら従事することです
条文は「専任」の意味を定めていませんが、国土交通省の「宅地建物取引業法の解釈・運用の考え方」は、原則として、その事務所に常勤して、専らその事務所の宅地建物取引業の業務に従事する状態をいうとしています。常勤には、ITの活用などで適切に業務ができる体制を確保したうえで、事務所以外の場所で通常の勤務時間を勤務する場合も含まれます。一人の取引士が二つの事務所の専任を兼ねることはできません。専任の宅地建物取引士は成年者でなければなりません(31条の3第1項)。ただし、業者本人や法人の役員が宅地建物取引士であるときは、その者が自ら主として業務に従事する事務所については、成年者である専任の宅地建物取引士とみなされます(同条2項)。
足りなくなったら、2週間以内に必要な措置を執ります
業者は、人数の要件を満たさない事務所や案内所を開設してはなりません(31条の3第3項)。既存の事務所で専任の宅地建物取引士が退職するなどして数が足りなくなったときは、2週間以内に、新たに取引士を置くなどして要件に適合させるための必要な措置を執らなければなりません。専任の取引士が取引士証の更新を受けずに取引士でなくなった場合も、同じく2週間以内です。新たに置いた取引士の氏名は、30日以内に免許権者へ変更の届出をします(9条)。2週間は人を補う期限、30日は届け出る期限で、別々に数えます。
宅地建物取引業法 31条の3第1項・3項宅地建物取引業者は、その事務所その他国土交通省令で定める場所(以下この条及び第五十条第一項において「事務所等」という。)ごとに、事務所等の規模、業務内容等を考慮して国土交通省令で定める数の成年者である専任の宅地建物取引士を置かなければならない。/宅地建物取引業者は、第一項の規定に抵触する事務所等を開設してはならず、既存の事務所等が同項の規定に抵触するに至つたときは、二週間以内に、同項の規定に適合させるため必要な措置を執らなければならない。
試験ではこう問われる
- 事務所ごとに、業務に従事する者の5分の1以上の数の成年者である専任の宅地建物取引士を置く
- 契約を締結し又は申込みを受ける案内所等には、1人以上の成年者である専任の宅地建物取引士を置く。契約の締結も申込みの受付もしない場所には要らない
- 既存の事務所が要件を満たさなくなったときは、2週間以内に必要な措置を執る。30日以内ではない。5月15日に退職して6月10日に補充したのでは違反になる
- 唯一の専任の宅地建物取引士が取引士証の有効期間の経過で取引士でなくなったときも、2週間以内に措置を執る
- 専任の宅地建物取引士を新たに置いたときは、30日以内に免許権者に変更の届出をする
- 重要事項の説明をする取引士も、重要事項説明書や37条書面に記名する取引士も、専任である必要はない
用語で読んだ論点を、解説つきの肢別演習で確かめられます。無料プランは月300肢まで。