抵当権消滅請求ていとうけんしょうめつせいきゅう
抵当不動産の第三取得者が、登記をした各債権者に書面を送付し、すべての債権者の承諾を得た代価又は金額を払い渡し又は供託することで、抵当権を消滅させる制度です(民法379条・386条)。つまり、抵当権の付いた不動産を買った人が、自分の側から金額を示して抵当権を消してもらう手続です。
抵当権が付いたままの土地を買ったDさんは、売主の返済が止まれば、競売で土地を失うかもしれません。債務の全額を代わりに払えば抵当権は消えますが、借金の額が土地の値段より大きいこともあります。そこで民法は、抵当不動産の所有権を取得した第三取得者が、自分の側から金額を示して抵当権を消してもらう手続を用意しました。これが抵当権消滅請求です(379条)。抵当権者の側から請求する代価弁済と対になっています。

第三取得者が書面を送り、全員の承諾と支払で消滅します
抵当権消滅請求をする第三取得者は、登記をした各債権者に対し、取得の原因や代価などを記載した書面、登記事項証明書、そして債権者が2箇月以内に競売の申立てをしないときは代価などを弁済又は供託する旨を記載した書面を送付します(383条)。書面を受け取った債権者が2箇月以内に抵当権を実行して競売の申立てをしないときは、示された代価又は金額を承諾したものとみなされます(384条)。登記をしたすべての債権者が承諾し、第三取得者がその代価又は金額を払い渡し又は供託したときに、抵当権は消滅します(386条)。金額に納得できない抵当権者は、競売を申し立てることになります。
主たる債務者や保証人は、消滅請求をすることができません
主たる債務者、保証人及びこれらの者の承継人は、抵当不動産を取得しても、抵当権消滅請求をすることができません(380条)。条文に理由は書いていませんが、これらの者は債務の全額を弁済する責任を負っているので、一部の金額で抵当権を消すことを認める理由がないためと考えられます。停止条件付きで取得した者も、条件の成否が未定である間は請求できません(381条)。請求は、抵当権の実行としての競売による差押えの効力が発生する前にしなければなりません(382条)。

代価弁済は、抵当権者の側から請求して代価を受け取ります
抵当不動産について所有権又は地上権を買い受けた第三者が、抵当権者の請求に応じてその代価を抵当権者に弁済したときは、抵当権はその第三者のために消滅します(378条)。これを代価弁済といいます。抵当権消滅請求は第三取得者が言い出し、代価弁済は抵当権者が言い出すという違いがあります。抵当権者にとっては、競売をしなくても売買の代金から回収できる方法です。
民法 379条・380条抵当不動産の第三取得者は、第三百八十三条の定めるところにより、抵当権消滅請求をすることができる。 主たる債務者、保証人及びこれらの者の承継人は、抵当権消滅請求をすることができない。
試験ではこう問われる
- 抵当不動産の第三取得者は、383条所定の書面を送付して抵当権消滅請求をすることができる
- 主たる債務者は、抵当不動産を買い受けても抵当権消滅請求をすることができない。保証人も同じ
- 抵当不動産を買い受けた第三者が、抵当権者の請求に応じて代価を弁済したときは、抵当権はその第三者のために消滅する(代価弁済)
- 抵当権消滅請求は、競売による差押えの効力が発生する前にしなければならない(382条)
- 書面の送付を受けた債権者が2箇月以内に競売の申立てをしないときは、承諾したものとみなされる(384条)
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