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委任いにん

権利関係 民法(売買・賃貸借・不法行為) 過去問で7肢

当事者の一方が法律行為をすることを相手方に委託し、相手方がこれを承諾することによって効力を生ずる契約です(民法643条)。つまり、契約を結ぶなどの事務を、信頼できる人に任せる契約です。

土地を売りたいAが、知人のBに「私の代わりに買主と売買契約を結んでほしい」と頼み、Bが引き受けました。頼んだAを委任者、引き受けたBを受任者といいます。請負が仕事の完成を約束するのに対して、委任は、任された事務を処理すること自体を引き受けます。建物の管理や清掃のように、法律行為でない事務を任せる契約は準委任と呼ばれ、委任の決まりがそのまま使われます(656条)。

契約を結ぶなどの事務を、信頼できる人に任せるのが委任。
契約を結ぶなどの事務を、信頼できる人に任せるのが委任。

無償でも、善良な管理者の注意で事務を処理します

受任者は、委任の本旨に従い、善良な管理者の注意をもって事務を処理する義務を負います(644条)。善良な管理者の注意とは、その立場にある人に普通に期待される水準の注意のことで、自分の財産を扱うときと同じ程度の注意より重いものです。報酬をもらわない委任でも、この義務は軽くなりません。受任者は、委任者から請求があればいつでも事務の状況を報告し、委任が終わったときは遅滞なく経過と結果を報告します(645条)。任された事務をさらに他人に任せる復受任者の選任は、委任者の許諾を得たとき、又はやむを得ない事由があるときに限られます(644条の2)。

報酬は特約がなければ請求できず、後払いが原則です

受任者は、特約がなければ報酬を請求できません(648条1項)。報酬を受ける約束があるときも、請求できるのは委任事務を履行した後です。委任者の責めに帰することができない事由で事務を履行できなくなったときや、委任が履行の途中で終了したときは、受任者は、すでにした履行の割合に応じて報酬を請求できます(648条3項)。受任者の側に原因があって途中で終了した場合も、すでにした分の報酬は請求できます。委任者の責めに帰すべき事由で履行できなくなったときは、受任者は報酬の全額を請求でき、事務をしなくて済んだことで得た利益を委任者に返します(536条2項)。

各当事者はいつでも解除でき、死亡などで終了します

委任は、各当事者がいつでも解除できます(651条1項)。信頼関係の上に成り立つ契約なので、信頼がなくなった相手に任せ続けることも、引き受け続けることも求めないという考え方です。相手方に不利な時期に解除したときなどは、やむを得ない事由がある場合を除いて、相手方の損害を賠償します。委任は、委任者又は受任者の死亡、委任者又は受任者が破産手続開始の決定を受けたこと、受任者が後見開始の審判を受けたことによって終了します(653条)。委任が終了しても、急迫の事情があるときは、受任者やその相続人は、委任者の側が事務を処理できるようになるまで必要な処分をしなければなりません(654条)。

委任は、委任者か受任者が死亡すると終了する。
委任は、委任者か受任者が死亡すると終了する。
民法 644条

受任者は、委任の本旨に従い、善良な管理者の注意をもって、委任事務を処理する義務を負う。

試験ではこう問われる

  1. 委任は、法律行為をすることの委託と承諾で成立する。「仕事の完成と報酬の支払を約さなければ効力を生じない」は請負の説明で、誤り
  2. 受任者は、報酬の有無にかかわらず、善良な管理者の注意をもって事務を処理する。「自己の財産に対するのと同一の注意」は誤り
  3. 受任者は、委任者の許諾を得たとき、又はやむを得ない事由があるときでなければ、復受任者を選任できない
  4. 受任者の責めに帰すべき事由で履行の途中で終了しても、すでにした履行の割合に応じた報酬は請求できる。委任者の責めに帰すべき事由によるときは全額を請求でき、免れた利益を償還する
  5. 受任者は、報酬を受ける約束があっても、いつでも委任契約を解除できる
  6. 受任者が死亡すると委任は終了し、相続人は受任者の地位を承継しない。急迫の事情があるときに限り、必要な処分をする義務を負う
  7. 委任者が死亡しても委任が終了しない旨の合意は有効と解されており、その合意をして代理権を与えたときは、委任者が死亡しても代理権は消滅しない
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