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契約の解除けいやくのかいじょ

権利関係 民法(債権・保証) 過去問で8肢

契約が成立した後に、当事者の一方の意思表示によって契約の効力を消滅させ、互いを契約前の状態に戻すことです(540条・545条)。つまり、相手方が債務を履行しないときに、契約の拘束から抜け出すための手段です。

土地を買う契約を結び、代金の用意もしたのに、売主がいつまでも引き渡さない。買主は待ち続ける必要はなく、契約を解除して、別の土地を探すことができます。解除は、契約が成立した後に、当事者の一方の意思表示によって契約の効力を消滅させることです。解除すれば、買主は代金を支払う債務から解放され、既に支払った手付金や内金は返してもらえます。解除は相手方に対する意思表示によってし、いったんした解除の意思表示は撤回できません(540条)。

相手が履行しないとき、解除の意思表示で契約の拘束から抜け出せる。
相手が履行しないとき、解除の意思表示で契約の拘束から抜け出せる。

原則は、相当の期間を定めて催告してから解除します

当事者の一方が債務を履行しないとき、相手方は、相当の期間を定めて履行の催告(履行するよう求めること)をし、その期間内に履行がなければ、契約を解除できます(541条本文)。いきなり解除させず、債務者にもう一度履行の機会を与える決まりです。ただし、期間を経過した時の不履行が、その契約及び取引上の社会通念に照らして軽微であるときは、解除できません(541条ただし書)。判例も、契約の主な目的の達成に必須でない付随的な義務を怠っただけでは、特段の事情がない限り、相手方は解除できないとしてきました。

まず相当の期間を定めて催告し、それでも履行がなければ解除できる。
まず相当の期間を定めて催告し、それでも履行がなければ解除できる。

履行が不能なときや拒絶が明確なときは、催告が要りません

催告は履行の機会を与えるためのものなので、機会を与えても意味がない場合には要りません。542条1項は、債務の全部の履行が不能であるとき、債務者が債務の全部の履行を拒絶する意思を明確に表示したとき、特定の日時や一定の期間内に履行しなければ契約をした目的を達することができない場合にその時期を経過したとき、などを挙げています。これらの場合、債権者は催告をすることなく、直ちに契約を解除できます。一部だけが不能な場合でも、残りの部分だけでは契約をした目的を達することができないときは、契約の全部を解除できます。

解除に、債務者の帰責事由は要りません

損害賠償の請求と違って、解除は、債務者の責めに帰すべき事由がなくてもできます。2020年4月施行の改正で、解除は債務者の責任を問う制度ではなく、履行を受けられない債権者を契約の拘束から解放する制度として整理されたためです。売った建物が引渡し前に落雷で焼失した場合、売主に落ち度がなくても、買主は契約を解除できます。逆に、債務の不履行が債権者の責めに帰すべき事由によるときは、債権者は解除できません(543条)。

解除すると、互いに受け取ったものを返します

解除権が行使されると、各当事者は相手方を原状に復させる義務、つまり契約前の状態に戻す義務を負います(545条1項本文)。受け取った代金を返すときは受領の時からの利息を付け、物を返すときは受領の時以後に生じた果実も返します(545条2項・3項)。双方の返還は同時履行の関係に立ちます(546条)。解除しても、損害が残っていれば、その賠償を請求できます(545条4項)。解除によって第三者の権利を害することはできません(545条1項ただし書)。不動産の売買では、第三者が保護されるには登記を備えていることが必要と解されています。

解除すると、代金も物も、互いに受け取ったものを返し合う。
解除すると、代金も物も、互いに受け取ったものを返し合う。
民法 541条

当事者の一方がその債務を履行しない場合において、相手方が相当の期間を定めてその履行の催告をし、その期間内に履行がないときは、相手方は、契約の解除をすることができる。ただし、その期間を経過した時における債務の不履行がその契約及び取引上の社会通念に照らして軽微であるときは、この限りでない。

試験ではこう問われる

  1. 相当の期間を定めて催告し、期間内に履行がなければ解除できる。ただし、期間を経過した時の不履行が契約及び取引上の社会通念に照らして軽微なら解除できない(541条)
  2. 債務者が債務の全部の履行を拒絶する意思を明確に表示したときは、催告をすることなく直ちに解除できる(542条1項2号)
  3. 解除に債務者の帰責事由は要らない。「債務者に帰責事由がなければ解除できない」は誤り
  4. 契約の主たる目的の達成に必須でない付随的義務の不履行だけでは、特段の事情がない限り解除できない
  5. 引き渡された物に契約不適合があっても、修理が可能なら、まず追完を催告するのが原則で、直ちに解除できるとは限らない。不適合が軽微なら解除できない
  6. 解除権は一身に専属する権利ではなく、売主が死亡すれば相続人が解除権を行使できる
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