賃借物の一部滅失と賃料の減額ちんしゃくぶつのいちぶめっしつとちんりょうのげんがく
賃借物の一部が滅失その他の事由により使用及び収益をすることができなくなり、それが賃借人の責めに帰することができない事由によるとき、使えなくなった部分の割合に応じて賃料が減額されることです(611条1項)。つまり、借主のせいでなく一部が使えなくなれば、請求しなくても家賃はその分だけ減ります。
借りている店舗に、よそのトラックが突っ込んで、建物の3分の1が使えなくなった。借主は残りの部分で細々と営業を続けるしかないのに、家賃は満額のまま、というのでは割に合いません。そこで民法は、賃借物の一部が滅失その他の事由で使えなくなり、それが賃借人の責めに帰することができない事由によるときは、使えなくなった部分の割合に応じて賃料が減額されると定めました(611条1項)。賃借人の責めに帰することができないとは、借主のせいではない、という意味です。残った部分だけでは借りた目的を果たせないときは、借主は契約を解除できます(同条2項)。

賃料は、請求しなくても当然に減額されます
611条1項は「減額される」と定めていて、借主が減額を請求する必要はありません。使えなくなった時点から、その部分の割合に応じて、賃料は当然に減ります。賃料は物を使わせてもらう対価なので、使えない部分の対価まで払う理由はないためと考えられます。令和2年4月施行の改正前は、借主が減額を請求できると定められていて、請求して初めて減る仕組みでした。滅失に限らず、雨漏りで一室が使えなくなったような「その他の事由」も含まれます。
借主のせいで使えなくなったときは、賃料は減りません
減額されるのは、使えなくなったことが賃借人の責めに帰することができない事由によるときに限られます。借主の火の不始末で一部が焼けたような場合には、賃料は減らず、借主は貸主に対して損害を賠償する責任を負うことにもなります。借主以外の第三者が起こした事故や地震のように、借主に落ち度がない場合は、当然に減額されます。
残りで目的を達せなければ、借主は解除できます
一部が使えなくなり、残った部分だけでは借りた目的を達することができないときは、賃借人は契約を解除できます(611条2項)。この解除には、賃借人の責めに帰することができない事由という条件が付いていないので、借主に落ち度がある場合でも解除できます。ただし、その場合でも借主の損害賠償の責任は残ります。全部が使えなくなったときは、解除するまでもなく、賃貸借はそれによって終了します(616条の2)。

民法 611条1項賃借物の一部が滅失その他の事由により使用及び収益をすることができなくなった場合において、それが賃借人の責めに帰することができない事由によるものであるときは、賃料は、その使用及び収益をすることができなくなった部分の割合に応じて、減額される。
試験ではこう問われる
- 賃借物の一部が賃借人の責めによらずに使えなくなったときは、賃料はその部分の割合に応じて当然に減額される。減額の請求は要らない
- 第三者の事故で賃借建物の一部が損壊した場合も、賃借人に帰責事由がなければ賃料は当然に減額される
- 残存部分だけでは賃借の目的を達することができないときは、賃借人は契約を解除できる(611条2項)
用語で読んだ論点を、解説つきの肢別演習で確かめられます。無料プランは月300肢まで。