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物権的請求権ぶっけんてきせいきゅうけん

権利関係 民法(物権・抵当権) 過去問で1肢

物権の内容の実現が妨げられ、又は妨げられるおそれがあるときに、物権を持つ人が妨げている人に対して、その除去や予防を求める権利です。つまり、所有権などで支配している物を取り上げられたり邪魔されたりしたとき、元に戻すよう求める権利で、返還・妨害排除・妨害予防の三つがあります。

自分の空き地に、知らない人が勝手に車を何台も置いている。隣の家の古いブロック塀が、こちらの庭に倒れかかってきそうだ。こういうとき、土地の所有者は相手に「出ていってほしい」「どけてほしい」「倒れないようにしてほしい」と求めることができます。物権を持つ人が、その物の支配を邪魔されたときに、邪魔をしている人に対して元の状態に戻すよう求める権利を物権的請求権といいます。物権は物を直接に支配する権利なので、その支配を回復する手段が当然に付いていると考えられています。

自分の土地を勝手に使われたら、所有者は出ていくよう求められる。
自分の土地を勝手に使われたら、所有者は出ていくよう求められる。

返還・妨害排除・妨害予防の三つの請求があります

物を占有されて取り上げられているときは、返してもらう返還請求をします。不法占拠者に土地の明渡しを求めるのがこれに当たります。占有はされていないが邪魔をされているときは、邪魔を取り除いてもらう妨害排除請求をし、隣地から倒れてきた木の撤去を求めるのが例です。まだ邪魔はされていないがそのおそれがあるときは、妨害予防請求で、崩れそうな擁壁を補強するよう求めます。

取り上げられたら返還、邪魔されたら妨害排除、おそれがあれば妨害予防。
取り上げられたら返還、邪魔されたら妨害排除、おそれがあれば妨害予防。

条文に定めはありませんが、物権には当然に認められます

民法には、所有権などに基づく物権的請求権を正面から定めた条文はありません。占有権には、占有回収の訴え・占有保持の訴え・占有保全の訴えが定められていて(198条〜200条)、条文に理由は書いていませんが、事実上の支配である占有にさえ認められるのだから、本来の権利である所有権や地上権にも当然認められると解されています。所有権のほか、地上権などの物権を持つ人も請求できます。地上権者は、土地を不法占拠する人に対して、地上権に基づいて妨害の排除を求めることができます。

賃借権は債権ですが、対抗要件があれば妨害の停止を求められます

土地や建物の賃借権は、貸主に対して使わせるよう求める債権で、物権ではありません。それでも、登記などの対抗要件を備えた不動産の賃借人は、第三者が占有を妨害しているときは妨害の停止を、第三者が占有しているときは返還を、その第三者に請求できます(605条の4)。対抗要件を備えた賃借権は、物権に近い強さを持つと扱われているためと考えられます。

民法 605条の4

不動産の賃借人は、第六百五条の二第一項に規定する対抗要件を備えた場合において、次の各号に掲げるときは、それぞれ当該各号に定める請求をすることができる。一 その不動産の占有を第三者が妨害しているとき その第三者に対する妨害の停止の請求 二 その不動産を第三者が占有しているとき その第三者に対する返還の請求

試験ではこう問われる

  1. 何の権原もない不法占拠者に対しては、買主は所有権の移転登記を備えていなくても、所有権に基づいて明渡しを請求できる
  2. 地上権者は、土地を不法占拠する者に対して、地上権に基づく妨害排除請求権を行使できる
  3. 対抗要件を備えた不動産の賃借人も、不法占拠者に対して妨害の停止や返還を請求できる(605条の4)。「賃借権では妨害の排除を求められない」は誤り
  4. 地上権は物権なので、地上権者は土地所有者の承諾なしに譲渡でき、譲受人に土地所有者は明渡しを求められない。無断で譲渡された賃借権では、賃貸人は解除して明渡しを求められる
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