その他の法令の許可・届出そのたのほうれいのきょか・とどけで
都市計画法や建築基準法のほかにも、災害の防止や公共の施設の保全、景観や自然の保護のために、区域を定めてその中の工事や建築に許可や届出を求める法律があり、その許可をする者や届出の相手を整理したものです。つまり、土地の利用を制限する法律ごとに、誰の許可が要るのか、誰に届け出るのかを確かめる項目です。
川のそばの土地に物置を建てたい、海沿いの土地を掘りたい、景色のよい町で家の外壁を塗り替えたい。こうした場面では、都市計画法や建築基準法とは別の法律が、工事の前に許可や届出を求めていることがあります。法律の数は多いのですが、仕組みは似ています。守りたいものがある区域を定め、その中で一定の行為をしようとする人に、決まった相手の許可を受けさせるか、届出をさせます。相手が誰になるかは、その法律が何を守ろうとしているかで決まります。

許可をするのは都道府県知事が原則で、例外があります
がけ崩れや地すべりのおそれがある土地で工事をすると、周りの広い範囲に被害が及びます。こうした区域の行為の制限は、都道府県知事の許可とするのが原則です。地すべり防止区域内で地下水を増加させる行為などをしようとする者、急傾斜地崩壊危険区域内で制限された行為をしようとする者、土砂災害特別警戒区域内で特定開発行為をしようとする者は、いずれも都道府県知事の許可を受けます。これに対し、河川区域内の工作物の新築は河川管理者、海岸保全区域内の行為は海岸管理者、重要文化財の現状の変更は文化庁長官、国立公園の特別地域内の行為は環境大臣、生産緑地地区内の建築や宅地の造成は市町村長の許可です。都道府県知事を原則として、守るものに応じて施設の管理者、国の機関、市町村長が相手になります。
施設を守るための区域では、その施設の管理者が許可します
道路、河川、堤防のような施設には、それを管理する者が決まっています。施設を傷める行為かどうかをいちばんよく判断できるのは管理者なので、施設を守るための区域では、管理者が許可をします。津波防護施設区域内の土地で、他の施設の新築や改築、土地の掘削、盛土又は切土をしようとする者は、津波防護施設管理者の許可を受けなければなりません。道路の区域が決定された後、道路の供用が開始されるまでの間は、道路管理者が土地の権原を取得する前であっても、道路管理者の許可を受けなければ、その区域内で土地の形質の変更や工作物の新築などをしてはなりません。

景観計画区域内の建築等は、許可ではなく事前の届出です
景観法は、良好な景観を守るために景観計画区域を定めます。この区域内で、建築物の新築、増築、改築若しくは移転、外観を変更することとなる修繕や模様替、色彩の変更などをしようとする者は、あらかじめ、行為の種類、場所、設計又は施行方法、着手予定日などを景観行政団体の長に届け出なければなりません。景観行政団体とは、指定都市の区域では指定都市、中核市の区域では中核市、その他の区域では都道府県で、景観行政の事務を処理する市町村の区域ではその市町村です。届出をした者は、景観行政団体が届出を受理した日から30日を経過した後でなければ、原則として行為に着手できません。この30日の間に、景観行政団体の長が設計を見て、必要なら変更を勧告するためです。

国の機関や市町村長が相手になる法律もあります
守るものが国全体の財産であるときは、国の機関が相手になります。重要文化財の現状を変更しようとするときは文化庁長官の許可が要ります。国立公園の特別地域内の行為は環境大臣の許可で、国定公園の特別地域内の行為は都道府県知事の許可です。逆に、町の中の身近な農地を守る生産緑地地区では、建築物の新築や宅地の造成に市町村長の許可が要ります。国、都道府県、市町村、施設の管理者のうち、守るものにいちばん近い者が相手になっています。
津波防災地域づくりに関する法律 23条1項津波防護施設区域内の土地において、次に掲げる行為をしようとする者は、国土交通省令で定めるところにより、津波防護施設管理者の許可を受けなければならない。ただし、津波防護施設の保全に支障を及ぼすおそれがないものとして政令で定める行為については、この限りでない。
一 津波防護施設以外の施設又は工作物(以下この章において「他の施設等」という。)の新築又は改築
二 土地の掘削、盛土又は切土
三 前二号に掲げるもののほか、津波防護施設の保全に支障を及ぼすおそれがあるものとして政令で定める行為
試験ではこう問われる
- 津波防災地域づくりに関する法律:津波防護施設区域内において土地の掘削をしようとする者は、一定の場合を除き、津波防護施設管理者の許可を受けなければならない(23条1項)
- 景観法:景観計画区域内において建築物の新築、増築、改築又は移転をしようとする者は、あらかじめ、景観行政団体の長に届け出なければならない(16条1項)。「工事着手後30日以内に届け出る」は誤り
- 景観法:届出をした者は、景観行政団体が届出を受理した日から30日を経過した後でなければ、原則として行為に着手してはならない(18条1項)
- 道路法:道路の区域が決定された後、道路の供用が開始されるまでの間は、道路管理者が土地に関する権原を取得する前でも、道路管理者の許可を受けなければ、区域内で工作物の新築などをしてはならない(91条1項)。「権原を取得する前であれば許可を受けずに新築できる」は誤り
- 生産緑地法:生産緑地地区内で建築物の新築、宅地の造成などをするには、市町村長の許可を受けなければならない(8条1項)
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