権利の申告けんりのしんこく
施行地区内の宅地について所有権以外の権利で登記のないものを有する者が、書面でその権利の種類と内容を施行者に申告しなければならない義務です。つまり、登記簿に載っていない借地権などを施行者に知らせて、換地に引き継いでもらうための届出です。
家を建てるために土地を借りている人(借地権者)でも、借地権の登記をしていないことは珍しくありません。区画整理では、施行者が地区内の土地の権利を一つずつ換地に移し替えるので、登記簿に載らない権利があると、施行者は誰の権利を守ればよいか分かりません。そこで、登記のない借地権などを持つ人は、自分から「この宅地にこういう権利がある」と書面で施行者に申告する決まりになっています。申告のない権利は、施行者が無いものとみなして換地計画や換地処分を進めることができます。借地権者にとって、申告は自分の権利を換地に引き継いでもらうための入口です。

申告先は施行者で、連署か証拠の書類を添えます
申告の相手は施行者です。組合施行なら組合に、公的施行なら都道府県や市町村に申告します。本人の言い分だけでは権利があるかどうか確かめられないので、その宅地の所有者(借地権なら地主)と連署するか、権利を証する書類を添えます。申告した権利に移転・変更・消滅があったときも、同じ形で施行者に届け出ます。個人施行者の事業は除かれます。個人施行は地区内の宅地の所有者と借地権者の全員の同意を得て始めるので、施行者が知らない権利者がいるという事態が起きないからです。
組合設立の前は、公告から1月以内に市町村長へ申告します
組合を作るには、地区内の宅地の所有者と借地権者のそれぞれ3分の2以上の同意が要ります。同意の割合を数えるには、未登記の借地権者が誰かを先に知らなければなりませんが、このときはまだ組合がありません。そこで、設立を準備する者が市町村長に施行地区となるべき区域の公告を申請し、公告があった日から1月以内に、未登記の借地権者は市町村長へ申告します。申告のない借地権は、期間が過ぎた後は同意の計算で存しないものとみなされ、組合員の資格でも同じ扱いです。組合ができた後は、この申告が施行者への申告とみなされ、もう一度申告する必要はありません。

申告のない権利は、無いものとみなして手続を進められます
個人施行者以外の施行者は、申告しなければならない権利で申告のないものを、申告がない限り存しないものとみなして、換地計画の決定、仮換地の指定、換地処分などをすることができます。申告した権利でも、その後の移転・変更・消滅の届出がなければ、変わっていないものとして扱えます。施行者が知らない権利のために手続を止めていては事業が進まないので、申告した人の権利を守るという線を引いています。換地計画で受け皿となる宅地を定めてもらえなかった権利は、換地処分の公告の日が終わった時に消滅するので、申告をしないと権利そのものを失うことになります。

土地区画整理法 85条1項施行地区(個人施行者の施行する土地区画整理事業に係るものを除く。)内の宅地についての所有権以外の権利で登記のないものを有し、又は有することとなつた者は、当該権利の存する宅地の所有者若しくは当該権利の目的である権利を有する者と連署し、又は当該権利を証する書類を添えて、国土交通省令で定めるところにより、書面をもつてその権利の種類及び内容を施行者に申告しなければならない。
試験ではこう問われる
- 組合の設立の前は、施行地区となるべき区域の公告があった日から「1月以内」に「市町村長」へ、宅地の所有者と連署するか借地権を証する書面を添えて申告する(19条3項)
- 申告のない未登記の借地権は、設立の同意の割合の計算では無いものとみなす(19条4項)。裏返すと、申告した未登記の借地権者は同意を得る相手に入るので、「未登記の借地権を有する者の同意を得る必要はない」と言い切る肢は誤り
- 事業が始まった後は、所有権以外の権利で登記のないものを「施行者」に申告する(85条1項)。個人施行者の事業は除く
- 個人施行者以外の施行者は、申告のない権利を無いものとみなして換地計画の決定・仮換地の指定・換地処分などができる(85条5項)
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