条例による制限の付加じょうれいによるせいげんのふか
地方公共団体が、その地方の気候や風土の特殊性、特殊建築物の用途や規模のために建築基準法の規定だけでは安全、防火、衛生の目的を充分に達し難いと認める場合に、条例で、建築物の敷地、構造、建築設備に必要な制限を付け加えることです(40条)。つまり、全国共通の最低の基準に、地域の事情に合わせた上乗せをする仕組みです。
建築基準法は、北海道から沖縄まで同じ基準で建築物の安全を守っています。けれども、雪が何メートルも積もる町と、台風が毎年通る島と、がけの多い坂の町とでは、建物に必要な備えが違います。全国共通の基準はどの土地でも守るべき最低の線なので、土地ごとの事情までは書き込めません。そこで建築基準法は、足りない分を地方公共団体が条例で付け足すことを認めています。

付け足せるのは、地方公共団体が条例で定める制限です
40条は、地方公共団体は、条例で、建築物の敷地、構造又は建築設備に関して安全上、防火上又は衛生上必要な制限を附加することができる、と定めています。地方公共団体とは都道府県と市町村のことで、議会の議決を経た条例で定めます。建築確認をする建築主事や、許可をする特定行政庁が、その場の判断で制限を増やせるわけではありません。条例で付け加えた制限も建築基準法令の規定に含まれるので、建築確認では条例に合っているかどうかも審査されます。
理由は、気候や風土の特殊性と、特殊建築物の用途や規模です
条例で制限を付加できるのは、その地方の気候若しくは風土の特殊性、又は特殊建築物の用途若しくは規模のために、建築基準法の規定だけでは安全、防火又は衛生の目的を充分に達し難いと認める場合です。がけの多い地域で、がけに近い敷地に建てる建築物に擁壁の設置などを求める条例が、気候や風土の特殊性による付加に当たります。劇場や百貨店のように大勢が集まる特殊建築物について、出入口や敷地の空地に全国の基準より厳しい定めを置く条例は、用途や規模による付加に当たります。

災害危険区域や接道義務の付加も、条例で定めます
建築基準法には、ほかにも条例に委ねる規定があります。地方公共団体は、条例で、津波、高潮、出水等による危険の著しい区域を災害危険区域として指定し、住居の用に供する建築物の建築の禁止などの制限を定めることができます(39条)。特殊建築物、階数が3以上の建築物、延べ面積が1,000㎡をこえる建築物などについては、条例で、敷地が接しなければならない道路の幅員や接する部分の長さなどの制限を付加することができます(43条3項)。どれも全国共通の基準に上乗せをする規定で、40条と同じ考え方に立っています。

建築基準法 40条地方公共団体は、その地方の気候若しくは風土の特殊性又は特殊建築物の用途若しくは規模に因り、この章の規定又はこれに基く命令の規定のみによつては建築物の安全、防火又は衛生の目的を充分に達し難いと認める場合においては、条例で、建築物の敷地、構造又は建築設備に関して安全上、防火上又は衛生上必要な制限を附加することができる。
試験ではこう問われる
- 地方公共団体は、条例で、建築物の敷地、構造又は建築設備に関して安全上、防火上又は衛生上必要な制限を附加することができる(40条)
- 付加できるのは、その地方の気候・風土の特殊性、又は特殊建築物の用途・規模により、法律の規定だけでは目的を充分に達し難いと認める場合
- 地方公共団体は、条例で、津波、高潮、出水等による危険の著しい区域を災害危険区域として指定できる。住居の用に供する建築物の建築の禁止などの制限はその条例で定め、指定すれば一律に禁止されるわけではない(39条)
- 接道義務についても、特殊建築物、階数3以上の建築物、延べ面積1,000㎡超の建築物などは、条例で必要な制限を付加できる(43条3項)。袋路状道路にのみ接する延べ面積150㎡超の建築物も対象だが、一戸建ての住宅は除かれる
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