宅建士の1日のスケジュール|法が決める業務の期限
宅建士の1日は、宅建業法の期限規制がそのまま形にしたものです。帳簿の当日記載から媒介契約の報告頻度、広告開始時期の制限まで、業務の時間割を条文に対応させて解説します。
目次
この記事は、宅地建物取引士の1日の業務を、宅地建物取引業法が定める期限と順序の規制に対応させて読み解くものです。宅建士がそもそも何をする資格なのか、独占業務とは何かという役割の側は宅建士の仕事内容にまとめてあります。この記事はそれを前提に、その業務が「いつ」行われるのかという時間の側だけを扱います。
先に結論を述べます。宅建士の1日を形づくっているのは、勤務先の就業規則ではなく宅地建物取引業法です。何時に出社して何時に退社するかは会社によって違いますが、その日のうちに帳簿へ記載すること、媒介契約を結んだら7日以内に登録すること、専任媒介なら2週間に1回以上報告すること、許可が下りるまで広告を出せないことは、どの会社でも同じです。法が定めているのは業務の内容だけではなく、業務の締切と順序でもあります。
この視点は実務の理解に役立つだけでなく、試験対策として直接効きます。宅建業法で問われる数字の多くは期間の数字であり、それらは条文の一覧としてではなく、業務のどの場面でいつ発生するかという形で覚えたほうが定着します。以下では、宅建業法の期限規制を「その都度」「日単位」「繰り返し」「単発の届出」という時間の階層に並べ直し、それぞれが1日と1週間のどこに現れるかを追っていきます。
1日の形を決めているのは会社ではなく法律である
「何時に出社するか」は業務の説明にならない
宅建士の1日を紹介する記述は、たいてい時刻と業務を並べたものになります。9時に出社してメールを確認し、10時に物件調査に出て、13時に書類を作成する、という形です。
この形式の問題は、書かれている内容がその会社の運用でしかないことです。出社時刻も昼休みの取り方も会社ごとに違い、しかも違っていて構いません。そこに法的な必然性がないからです。読者が知りたいのが「宅建士とはどういう仕事か」であるなら、会社ごとに変わる部分を並べても答えになりません。
一方で、変わらない部分があります。それが宅地建物取引業法の期限規制です。取引があった日にその日のうちに帳簿へ記載しなければならないという義務は、どの会社に勤めていても同じように発生します。この種の義務が、実際には1日の終わり方を決めています。
宅建業法の期限規制は四つの階層に分かれる
宅建業法が定めている期限は、性質によって四つに分けられます。この分類が、この記事の骨格になります。
第一が、その都度・遅滞なく型です。特定の出来事が起きたら、間を置かずに処理しなければならないものです。帳簿の記載、取引態様の明示、媒介契約書の交付、37条書面の交付がここに入ります。これらは1日の中で発生し、1日の中で片付ける必要があります。
第二が、日数を区切る型です。何日以内、何日前までという形で数えられるものです。指定流通機構への登録期限、案内所等の届出、専任の宅建士が欠けたときの措置期間がここに入ります。これらはカレンダーに書き込む対象になります。
第三が、繰り返し型です。一定の間隔で繰り返し発生する義務で、専任媒介契約と専属専任媒介契約の業務処理状況の報告がこれにあたります。この型だけが、週単位のスケジュールを直接規定します。
第四が、順序を定める型です。日数ではなく、ある処分が先で業務が後という順番を定めるものです。広告開始時期の制限と契約締結時期の制限がここに入ります。これらは「まだやってはいけないこと」を作るので、業務の並べ替えを強制します。
時間軸で並べ直すと、条文が業務の順に並ぶ
以下では、この四つの階層に沿って条文を並べ直していきます。宅建業法を条番号順に読むと、免許、宅建士、営業保証金、業務、監督という体系で並んでいますが、業務の時間順に並べ替えると別の姿が見えます。
具体的には、問い合わせを受けて取引態様を明示し(34条)、媒介契約を締結して書面を交付し(34条の2)、指定流通機構に登録し、物件を調査し、広告を出し(32条・33条・34条)、重要事項を説明し(35条)、契約を締結して37条書面を交付し(37条)、帳簿に記載する(49条)。この順序が、そのまま業務の順序です。
なお、この記事では業種ごとの年収には触れません。宅建士の年収を示す統計が存在せず、示せる根拠がないためです。その理由と、資格が賃金に反映される経路については宅建士の年収にまとめてあります。
その日のうちに終わらせなければならないこと
まず、1日の中で完結させる必要がある義務を押さえます。ここが「1日」という単位を法が要求している部分です。
帳簿は「取引のあったつど」記載する
宅地建物取引業法49条は、宅地建物取引業者は事務所ごとに業務に関する帳簿を備え、宅地建物取引業に関し取引のあったつど、その年月日、取引に係る宅地または建物の所在および面積その他国土交通省令で定める事項を記載しなければならないと定めています。
この「取引のあったつど」という文言が重要です。月末にまとめて記載する、週に一度整理する、という運用は条文の要求を満たしません。取引が発生した日に記載することを法が求めているわけです。1日の終わりに事務処理の時間が必要になる理由の一つがこれです。
帳簿は各事業年度の末日をもって閉鎖し、閉鎖後5年間保存しなければなりません。ただし、宅地建物取引業者が自ら売主となる新築住宅に係るものは10年間の保存が必要です(施行規則18条3項)。
帳簿と従業者名簿は別物で、保存期間も違う
帳簿とよく混同されるのが従業者名簿です。48条3項は、宅地建物取引業者に対し、事務所ごとに従業者名簿を備えることを求めています。保存期間は最終の記載をした日から10年間です(施行規則17条の2第4項)。
二つの違いは三点あります。第一に、記載の契機が違います。帳簿は取引があったつど、従業者名簿は従業者の異動があったときです。第二に、保存期間が違います。帳簿は閉鎖後5年間(自ら売主の新築住宅は10年間)、従業者名簿は最終記載から10年間です。第三に、閲覧義務の有無が違います。48条4項により、宅地建物取引業者は取引の関係者から請求があったときは従業者名簿を閲覧させなければなりませんが、帳簿にはこの閲覧義務がありません。
この三点はそのまま出題対象です。名簿の記載事項は従業者名簿の記載事項で扱っています。
「遅滞なく」が付く場面を数える
期限の表現として、宅建業法は「遅滞なく」を多用します。これは日数を明示しないかわりに、正当な理由なく遅らせてはならないという趣旨です。業務の中では、実質的に当日か翌営業日の処理を意味します。
「遅滞なく」が付く主な場面は次のとおりです。第一に、注文を受けたときの取引態様の明示(34条2項)。第二に、媒介契約を締結したときの書面の作成・交付(34条の2第1項)。第三に、指定流通機構に登録したあとの、登録を証する書面の依頼者への引渡し。第四に、売買または交換の契約が成立したときの、指定流通機構への通知。第五に、契約が成立したときの37条書面の交付(37条1項・2項)。第六に、宅建士の登録事項に変更があったときの変更の登録の申請(20条)。
これらはいずれも、翌日に持ち越さない前提で組まれています。1日の後半に事務処理の時間が確保されるのは、この積み重ねがあるからです。
従業者証明書は毎日携帯する
48条1項は、宅地建物取引業者は従業者に従業者証明書を携帯させなければ、その者を業務に従事させてはならないと定めています。対象は従業者全員で、宅建士かどうかは関係ありません。そして48条2項により、従業者は取引の関係者から請求があったときに提示しなければなりません。
ここで注意すべきなのは、携帯義務があるのは従業者証明書であって、宅建士証ではないという点です。宅建士証の携帯そのものを義務づける条文はありません。宅建士証には、重要事項説明の際に請求がなくても提示する義務(35条4項)と、取引の関係者から請求があったときに提示する義務(22条の4)があるだけです。
実務上は結果として両方を持ち歩くことになりますが、根拠となる条文が違います。この区別は繰り返し問われます。
事務所に備えておくもの
1日の業務が始まる前提として、事務所には備えておくべきものが決まっています。宅建業法が事務所ごとに要求しているのは、標識の掲示(50条1項)、報酬額の掲示(46条4項)、従業者名簿(48条3項)、帳簿(49条)、そして成年者である専任の宅地建物取引士(31条の3第1項)です。
このうち報酬額の掲示は、公衆の見やすい場所に国土交通大臣が定めた報酬の額を掲示するもので、事務所にのみ求められます。標識は事務所以外の案内所等にも必要です。どれが事務所だけのもので、どれが案内所等にも及ぶのかを分けて覚える必要があります。事務所の要件そのものは事務所の設置要件にまとめてあります。
物件調査は35条各号の裏返しである
日中の業務量の中心を占めるのが物件調査です。ここには「何日以内」という条文上の期限はありませんが、別の形で時間の制約がかかります。
調査義務は独立した条文ではなく、説明義務の前提として存在する
宅建業法には「調査しなければならない」という一般的な条文がありません。しかし35条が説明義務を課しており、47条1号が重要な事実の不告知や不実告知を禁じている以上、調査を怠れば説明義務違反や禁止行為に直結します。調査は独立した義務としてではなく、他の義務を果たすための前提として組み込まれています。
したがって、調査項目のリストは35条1項各号の説明事項の裏返しになります。何を説明しなければならないかが決まっているので、何を調べなければならないかも決まる、という構造です。調査の手順そのものは不動産の物件調査の方法で扱っています。
窓口の開いている時間が調査を午前に押し出す
ここが時間軸の話です。調査の主要な部分は、法務局と市区町村の窓口で行われます。これらの窓口には開庁時間があり、平日の日中しか開いていません。
この事実が、1日の組み立てを規定します。調査は窓口が開いている時間帯にしか進められず、書類の作成や顧客対応はそれ以外の時間に回る。物件調査が午前中に配置されることが多いのは、担当者の好みではなく、窓口の営業時間と、調査結果を持ち帰って午後に書面化するという工程順によります。
登記事項証明書はオンラインでも取得できますが、公図や地積測量図の確認、都市計画課や建築指導課での聞き取りは、窓口でしか完結しない部分が残ります。特に道路の判定や過去の建築確認の履歴は、担当者に確認しなければ分からないことがあります。
法務局で確認すること
登記された権利の種類および内容ならびに登記名義人等は、35条1項1号の説明事項です。法務局で登記事項証明書を取得し、所有者が誰か、抵当権や根抵当権が設定されていないか、差押えや仮処分の登記がないか、賃借権や地役権が設定されていないかを確認します。
あわせて公図、地積測量図、建物図面を取得し、登記されている面積と現地の状況、隣地との境界を突き合わせます。登記記録上の地目と現況が異なることは珍しくありません。
市区町村で確認すること
35条1項2号は、都市計画法、建築基準法その他の法令に基づく制限で政令に定めるものの概要について説明を求めています。用途地域、建蔽率、容積率、防火地域や準防火地域の指定、高さ制限、日影規制、都市計画道路の計画線がかかっていないか、市街化調整区域ではないか。これらは都市計画課で確認します。
建築指導課では道路を確認します。前面道路が建築基準法上のどの道路に当たるか、幅員はいくつか、42条2項道路であればセットバックの範囲はどこまでか。接道義務を満たしていなければ再建築ができないため、この確認は物件の価値そのものに直結します。
私道、インフラ、災害情報
35条1項3号は私道に関する負担について定めており、建物の貸借の場合を除いて説明事項となります。35条1項4号は、飲用水、電気およびガスの供給ならびに排水のための施設の整備状況について説明を求めています。整備されていない場合は、整備の見通しと特別の負担に関する事項も説明します。
災害関連では、造成宅地防災区域内か、土砂災害警戒区域内か、津波災害警戒区域内か、そして水防法に基づく水害ハザードマップにおける物件の所在地が説明事項になっています。市区町村がハザードマップを作成している場合は、これを提示して所在地を示さなければなりません。
これらはいずれも施行規則で定められた説明事項で、法改正のたびに追加されてきた領域です。35条の説明事項全体の整理は35条書面の完全整理を参照してください。
調査が終わらないまま説明日が来る場合
調査を尽くしても確定しない事項は必ず残ります。境界が確定していない、越境物の処理について隣地所有者の意向が不明、土壌汚染の有無が未調査。
このとき、日程の都合で断定してしまうのが最も危険です。分からないことを分からないまま伝え、調査の範囲と限界を明示したうえで、必要なら追加の調査を提案する。これが正しい処理です。時間の制約は、説明内容を歪めてよい理由になりません。
広告を出す前に確認する順序
広告の作成と掲載は日々の業務ですが、ここには「まだ出してはいけない」という順序の規制がかかります。日数ではなく順番を定める規制なので、性質が他と違います。
33条は「まだ広告できない物件」を作る
宅建業法33条は広告開始時期の制限を定めています。宅地の造成または建物の建築に関する工事の完了前においては、当該工事に必要な都市計画法29条1項・2項の開発許可、建築基準法6条1項の確認その他法令に基づく許可等の処分で政令で定めるものがあった後でなければ、当該工事に係る宅地または建物の売買その他の業務に関する広告をしてはならないとされています。
この規制の実務上の意味は大きいものがあります。未完成物件については、許可が下りるまで広告を出せない。したがって、いつ許可が下りるかによって広告開始日が決まり、販売開始日も決まります。担当者が広告を作成できる時期は、行政の処分のタイミングに従属しています。
許可の申請中であることを明示すれば広告してよい、という例外はありません。「開発許可申請中」と書いた広告も33条違反です。
33条と36条で貸借の扱いが違う
33条とセットで押さえるべきなのが36条の契約締結時期の制限です。36条も同じく、工事完了前は許可等の処分があった後でなければならないと定めていますが、対象となる行為の範囲が違います。
33条が禁止するのは広告であり、売買、交換、貸借のすべてについて広告が禁止されます。これに対し36条が禁止するのは、自ら当事者として、または当事者を代理して売買もしくは交換の契約を締結すること、および売買もしくは交換の媒介をすることです。貸借の代理・媒介は36条の対象外であり、許可前でも貸借の契約はできます。
整理すると、未完成物件について、貸借の広告はできないが貸借の契約はできる、という結論になります。この非対称は毎年のように問われます。理由から理解しておくと迷いません。広告は不特定多数に向けて期待を生じさせるので範囲が広く、契約締結の制限は取引の安全という別の観点から売買・交換に絞られている、という整理です。
32条の誇大広告は注文がなくても成立する
32条は誇大広告等の禁止を定めています。著しく事実に相違する表示や、実際のものよりも著しく優良であり、もしくは有利であると人を誤認させるような表示を禁じるものです。対象となる事項は、所在、規模、形質、現在もしくは将来の利用の制限、環境、交通その他の利便、代金や借賃等の対価の額と支払方法、代金または交換差金に関する金銭の貸借のあっせんです。
ここでの出題の急所は、違反の成立に実害を要しないという点です。広告を見て問い合わせた人がいなくても、契約に至らなくても、誤認させる広告をした時点で32条違反が成立します。実際には存在しない物件や取引する意思のない物件を広告する、いわゆるおとり広告もこの規制に含まれます。
日々の業務としては、ポータルサイトへの掲載内容を更新する作業がこれに直結します。成約済みの物件を掲載し続ければ、おとり広告になり得ます。物件情報の更新が日課になっているのは、営業上の理由だけでなく、この規制があるためです。広告規制の全体像は広告に関する規制にまとめてあります。
取引態様の明示は2回ある
34条は取引態様の明示義務を定めています。押さえるべきは、明示すべき場面が2回あるという点です。
第一に、広告をするときです(34条1項)。自己が売主となるのか、代理なのか、媒介なのかを広告に明示します。第二に、注文を受けたときです(34条2項)。この場合は遅滞なく明示しなければなりません。
広告で明示していても、注文を受けた際に改めて明示する必要があります。「広告に書いてあるから省略できる」という選択肢は誤りです。この義務は宅建士の独占業務ではありませんが、報酬の受け取り方も8種制限が適用されるかどうかも態様によって変わるため、実務の出発点になります。詳細は取引態様の明示義務を参照してください。
媒介契約が週のリズムを作る
宅建業法の期限規制のうち、週単位のスケジュールを直接規定しているのが媒介契約に関する規定です。ここが「1日」ではなく「1週間」の話になる部分です。
三つの類型で義務が変わる
媒介契約には一般媒介契約、専任媒介契約、専属専任媒介契約の三類型があります。依頼者を拘束する度合いが強い類型ほど、宅地建物取引業者が負う義務も重くなる、という設計です。
一般媒介契約は、依頼者が複数の業者に重ねて依頼でき、自ら発見した相手方と直接契約することもできます。専任媒介契約は、他の業者に重ねて依頼することができません。専属専任媒介契約は、それに加えて自ら発見した相手方と直接契約することもできません。
依頼者の選択肢を狭めるかわりに、業者側に報告義務と登録義務を課す。この対応関係が、以下の数字の根拠になります。類型ごとの規制は媒介契約の3類型で詳しく扱っています。
業務処理状況の報告は2週間に1回以上と1週間に1回以上
34条の2は、専任媒介契約を締結した宅地建物取引業者に対し、業務の処理状況を2週間に1回以上依頼者に報告することを義務づけています。専属専任媒介契約の場合は1週間に1回以上です。一般媒介契約には、この報告義務がありません。
この義務が、実際に週のスケジュールを作ります。専属専任媒介の案件を複数抱えていれば、毎週それぞれについて報告する作業が発生します。「今週はこの案件の報告日だ」という形で、カレンダーに繰り返しの予定が入ることになります。
出題上の急所が二つあります。第一に、この報告は書面に限られません。口頭でも電子メールでも構いません。「書面で報告しなければならない」という選択肢は誤りです。第二に、頻度は「以上」であり、これより多く報告することは何ら問題ありません。
指定流通機構への登録は7日以内と5日以内、休業日を除く
34条の2は、専任媒介契約を締結した宅地建物取引業者に対し、目的物件について指定流通機構に登録することを義務づけています。その期限は施行規則15条の10が定めており、専任媒介契約では契約締結の日から7日、専属専任媒介契約では5日です。そして同条は、これらの期間の計算について宅地建物取引業者の休業日数を算入しないと定めています。
この「休業日を算入しない」という扱いが付いているのは、宅建業法の期間の中でもこの登録期限だけです。他の期間には付いていません。したがって、この特徴は判別の手がかりになります。
登録したあとは、指定流通機構が発行する登録を証する書面を、遅滞なく依頼者に引き渡さなければなりません。さらに、登録した物件について売買または交換の契約が成立したときは、遅滞なく指定流通機構に通知する必要があります。通知する内容は、登録番号、取引価格、契約成立年月日です。指定流通機構の仕組みはレインズとはで扱っています。
有効期間は3か月、自動更新はできない
34条の2第3項は、専任媒介契約の有効期間は3か月を超えることができないと定めています。3か月を超える期間を定めたときは、その期間は3か月に短縮されます。契約全体が無効になるのではなく、期間だけが短縮される点が特徴です。
更新については、依頼者の申出があるときに限って可能で、更新後の期間も3か月を超えることができません。依頼者からの申出が必要なので、自動更新の特約は無効です。「更新について特約がなければ自動的に更新される」という選択肢は誤りになります。
なお、一般媒介契約には有効期間の制限がありません。3か月という制限は専任媒介契約と専属専任媒介契約にかかるものです。
媒介契約書に記名するのは業者である
34条の2第1項により、宅地建物取引業者は媒介契約を締結したときは遅滞なく所定の事項を記載した書面を作成し、記名して依頼者に交付しなければなりません。
ここで押さえるべきは、記名するのは宅地建物取引業者であって、宅地建物取引士ではないという点です。宅建士の記名が必要なのは35条書面と37条書面であり、媒介契約書は含まれません。三つの書面のうちどれが業者の記名でどれが宅建士の記名かを取り違えさせる出題が定番です。
なお、令和4年5月18日施行の改正により、これらの書面の押印義務は廃止され、記名のみで足りることになりました。
説明から決済までの時間割
取引の終盤には、条文が時期を直接指定する義務が集中します。説明の場は、1日の中でも最も日程調整の制約を受ける業務です。
「契約が成立するまでの間に」という時間指定
35条1項は、宅地建物取引業者に対し、宅地建物の取得者または借主となろうとする者に対して、契約が成立するまでの間に、宅地建物取引士をして重要事項を記載した書面を交付して説明をさせなければならないと定めています。
この時期の指定が、日程を規定します。契約と同時では要件を満たさず、契約後では当然に違反です。したがって、説明の日程は契約日より前に確保しなければなりません。実務上、説明と契約を同じ日に連続して行う運用は広く行われていますが、その場合でも順序は説明が先です。
説明する相手は取得者または借主となろうとする者であり、売主や貸主に対する説明義務ではありません。この点も日程の組み方に影響します。買主側にだけ説明の時間を取ればよい、ということです。要件の詳細は重要事項説明の基本にまとめてあります。
宅建士証の提示は請求を要しない
35条4項は、宅建士は重要事項の説明をするときは、説明の相手方に対し宅建士証を提示しなければならないと定めています。相手方からの請求は不要で、自分から提示する義務があります。
これに対し22条の4は、取引の関係者から請求があったときの提示義務を定めています。両者の違いは罰則にも表れます。86条は、35条4項の規定に違反した者を10万円以下の過料に処すると定めていますが、22条の4はこの条文に挙げられておらず、過料の定めがありません。
「請求がなくても提示」と「過料あり」がセットになっているのが35条4項だと覚えると整理できます。宅建士の側から見れば、説明の場に入る前に宅建士証を手元に用意しておく、という日常的な準備がここから発生します。
説明する宅建士は専任でなくてよい
35条1項が求めているのは「宅地建物取引士をして」説明させることであり、専任の宅建士である必要はありません。事務所に置くべきなのが専任の宅建士(31条の3第1項)であるのとは別の話です。
このことは日程の組み方に直結します。専任の宅建士1人しかいない事務所でも、他に宅建士がいれば説明を分担できます。逆に、説明できる宅建士の人数が説明の場を設けられる件数の上限になります。専任の宅建士の要件は専任の宅建士とはを参照してください。
業者間取引では説明を省略できるが、交付は省略できない
宅地建物取引業者相互間の取引では、重要事項の説明を省略できます。ただし、書面の交付そのものを省略できるわけではありません。35条書面は交付しなければならず、宅建士の記名も必要です。
この区別は日程にも効きます。業者間取引であれば説明の時間を確保する必要がありませんが、書面を作成して交付する工程は残ります。
IT重説が外したのは時間と場所の制約
テレビ会議システム等を用いて重要事項説明を行うIT重説は、賃貸取引について平成29年10月から、売買取引について令和3年3月から本格運用が始まりました。宅建士証は画面上で提示し、相手方が記載事項を確認できる状態を確保したうえで説明を行います。
スケジュールの観点から見ると、この制度が外したのは移動時間です。遠隔地の当事者と説明の日程を合わせる際、双方の移動を織り込む必要がなくなりました。ただし、説明すべき内容も、宅建士が説明すること自体も変わっていません。変わったのは場所と移動時間だけで、義務の中身は同じです。要件はIT重説の実務と出題、電子化全体の整理はIT重説と書面電子化で扱っています。
37条書面は遅滞なく、両当事者へ、説明なし
契約が成立したら、遅滞なく37条書面を交付します。宅建士が記名した書面を、契約の各当事者、つまり売主と買主の双方に交付します。
35条書面との違いは三点です。交付の時期が契約後であること、説明義務がないこと、交付先が両当事者であること。記名が宅建士であることだけが両者に共通しています。この対比は35条書面と37条書面の横断整理、記載事項は37条書面の記載事項で確認してください。
実務では、売買契約書に37条書面としての記載事項をすべて盛り込み、契約書そのものを37条書面として兼用する形が一般的です。この場合、契約の場で契約書に署名し、そのまま37条書面として交付することになるため、「遅滞なく」は事実上その場で満たされます。
クーリング・オフの8日は「告げられた日から起算」
宅地建物取引業者が自ら売主となり、買主が宅地建物取引業者でない場合、事務所等以外の場所でした買受けの申込みや売買契約については、37条の2によりクーリング・オフができます。
期間の起算点が出題の急所です。クーリング・オフができる旨およびその方法について書面で告げられた日から起算して8日を経過したときに、解除できなくなります。契約した日から8日ではなく、告げられた日から起算して8日です。そして、書面で告げられていなければ、いつまでも経過しません。
もう一つの終期が、宅地または建物の引渡しを受け、かつ、その代金の全部を支払ったときです。引渡しだけでも、代金支払だけでも足りず、両方がそろって初めて解除できなくなります。
解除は書面により行い、その書面を発した時に効力を生じます。到達時ではなく発信時である点も問われます。制度の全体像はクーリング・オフにまとめてあります。
決済日は動かせない前提で逆算する
決済の場では、代金の授受、鍵の引渡し、所有権移転登記の申請を同時に進めます。この日は買主の住宅ローン実行日と結びついており、金融機関の都合が絡むため、当事者の都合だけでは動かせません。
したがって、決済日から逆算して工程を組むことになります。必要書類がそろっているか、抵当権の抹消手続きが整っているかを事前に確認するのは仲介業者の役割で、ここで不備が判明すると決済が延期になり、買主の引越しの予定にまで影響します。取引全体の流れは不動産売買の流れで扱っています。
報酬が発生するのは契約が成立したとき
報酬は、宅地建物取引業法46条により、国土交通大臣が定める額を超えて受領することが禁じられています。ここで時間の観点から重要なのは、報酬を受け取れるのは原則として契約が成立したときである点です。
調査に何日かけても、契約に至らなければ報酬は発生しません。この構造が、仲介という業務の時間の使い方を規定しています。報酬とは別に受領できるのは、依頼者の依頼によって行う広告の料金など、限られた場合だけです。計算方法と例外は報酬額の制限にまとめてあります。
日々ではないが、落とすと重い期限
最後に、毎日は発生しないものの、期限を過ぎると監督処分に直結する届出関係を整理します。
案内所等の届出は業務開始の10日前まで
50条2項は、事務所以外の場所で契約を締結し、または契約の申込みを受けるものについて、当該場所において業務を開始する日の10日前までに、免許を受けた国土交通大臣または都道府県知事、およびその所在地を管轄する都道府県知事に届け出なければならないと定めています。
届出先が二つある点、そして「10日前まで」という前倒しの期限である点が特徴です。期限の多くが「何日以内」という事後の期限であるのに対し、これは事前の期限です。したがって、分譲の現地販売所を設けるといった計画は、開設の10日以上前から準備しなければなりません。
なお、案内所等には標識の掲示が必要で、契約の締結や申込みの受付を行う場合には専任の宅建士を1人以上置く必要があります。契約や申込みの受付を行わない案内所には、専任の宅建士の設置義務がありません。
業者の変更の届出は30日以内、宅建士の変更の登録は遅滞なく
期限の対比として重要なのが、業者側と宅建士側で表現が違うことです。
宅地建物取引業者は、商号または名称、事務所の名称および所在地、政令で定める使用人、専任の宅建士の氏名といった事項に変更があった場合、その日から30日以内に免許権者へ届け出なければなりません(9条)。
これに対し、宅地建物取引士の登録を受けている者は、氏名、住所、勤務先の宅建業者の商号等に変更があったときは、遅滞なく変更の登録を申請しなければなりません(20条)。
業者は「30日以内の届出」、宅建士は「遅滞なくの登録」。この対比を入れ替えた選択肢が出ます。用語も「届出」と「登録」で違う点をあわせて押さえてください。
専任の宅建士が欠けたら2週間以内
31条の3第3項は、既存の事務所等が同条1項の規定に抵触するに至ったときは、2週間以内に必要な措置を執らなければならないと定めています。
退職や異動によって専任の宅建士が業務従事者5人につき1人以上という基準を下回った場合、2週間以内に補充するか、従業者の数を減らすかして適合させなければなりません。措置を執らずに放置すれば監督処分の対象になり得ます。
この2週間という期間は、専任媒介契約の報告頻度(2週間に1回以上)と数字が同じであるため、混同されやすい部分です。片方は是正の猶予期間、もう片方は繰り返しの頻度で、性質がまったく違います。監督処分の体系は監督処分の整理で扱っています。
業態によって、支配する期限が違う
同じ宅建士でも、勤務先の業態によってどの期限が日々効いてくるかが変わります。業務内容そのものの違いは宅建士の仕事内容で扱っているので、ここでは時間の制約という観点だけを見ます。
売買仲介
調査の工程が長く、媒介契約の期限が効く業態です。窓口の開庁時間に縛られる調査、専任媒介・専属専任媒介の報告と登録の期限、そして決済日という動かせない締切。この三つが日程を作ります。
契約から決済まで1か月から2か月かかることが多く、その間の進行管理が業務に含まれます。複数の案件が異なる段階で並行するため、案件ごとにどの期限が次に来るかを管理する必要があります。
賃貸仲介
一件あたりの期間が短く、来店から契約までが即日または数日で完結することがある業態です。ここでは「遅滞なく」型の義務が集中的に発生します。
未完成物件の貸借について、広告は33条により許可等の後でなければできない一方、契約は36条の対象外なので許可前でも可能である、という非対称がそのまま実務に現れる場面でもあります。実務の全体像は賃貸仲介の仕組みを参照してください。
賃貸管理
賃貸住宅の管理を受託する業務は、宅建業法ではなく賃貸住宅の管理業務等の適正化に関する法律の規律を受けます。管理戸数が一定数以上の事業者は国土交通大臣の登録を受ける必要があり、営業所または事務所ごとに業務管理者を置かなければなりません。
したがって、日々効いてくる期限も宅建業法のものとは別系統になります。宅建士資格は業務管理者の要件の一つとして接続していますが、業務そのものを規律する法律が違うという点を押さえておいてください。管理会社の業務は不動産管理会社の仕事内容、管理業の比較は賃貸管理会社の比較で扱っています。
デベロッパー
自社で開発した物件を自ら売主として販売する立場では、8種制限が適用されます。買主が宅建業者でない場合、クーリング・オフ、手付の額の制限、手付金等の保全措置、契約不適合責任の特約の制限などがすべてかかります。
時間の観点で特に効くのは、33条の広告開始時期の制限と36条の契約締結時期の制限です。開発許可や建築確認が下りる日が、広告開始日と販売開始日を決めます。行政の処分スケジュールが事業計画に直結する立場だということです。8種制限の全体像は8種制限とはにまとめてあります。
試験での出題ポイント
期間に関する規定は、宅建業法の中でも出題頻度が高い領域です。狙われ方には型があります。
数字をそのまま入れ替える
最も単純な型が、期間の数字を別の数字に置き換えるものです。専任媒介の報告を「1か月に1回以上」、指定流通機構への登録を「10日以内」、専任の宅建士が欠けたときの措置を「30日以内」、案内所等の届出を「5日前まで」といった形です。
対策は、数字を単独で覚えず、対になっている数字とセットで覚えることです。専任は2週間に1回と7日以内、専属専任は1週間に1回と5日以内。報告の頻度が短いほうが登録の期限も短いという対応関係を押さえておけば、片方を思い出せばもう片方も出てきます。宅建業法の数字は宅建業法の数字まとめで横断的に整理しています。
「休業日を除く」を別の期間に付ける
指定流通機構への登録期限には、休業日数を算入しないという扱いがあります(施行規則15条の10)。この扱いが付いているのはこの期限だけです。
出題では、これを別の期間に付け替えます。「専任の宅建士が欠けたときは、休業日を除いて2週間以内に措置を執らなければならない」といった形です。休業日を除くのは登録期限だけと覚えておけば判別できます。
33条と36条で貸借の扱いを入れ替える
未完成物件について、広告の制限(33条)は売買・交換・貸借のすべてに及び、契約締結の制限(36条)は売買・交換に限られて貸借の代理・媒介には及びません。
出題では、この非対称を逆にします。「未完成物件については、許可等の処分前は貸借の媒介契約を締結してはならない」という選択肢は誤りです。逆に「未完成物件でも貸借であれば広告できる」という選択肢も誤りです。広告は全部だめ、契約は貸借だけよいと覚えてください。
起算点を操作する
クーリング・オフの8日間は、書面で告げられた日から起算します。出題では、これを「契約を締結した日から8日」「申込みをした日から8日」に置き換えます。
また、書面で告げられていない場合には期間が進行しない点も狙われます。「口頭で説明を受けたので8日を経過して解除できなくなった」という選択肢は誤りです。起算点と、起算が始まる条件の両方を確認してください。
「遅滞なく」と日数を入れ替える
宅建士の変更の登録は遅滞なく(20条)、業者の変更の届出は30日以内(9条)。この二つを入れ替える選択肢が出ます。
同様に、37条書面の交付は「契約成立後遅滞なく」であり、「契約成立後7日以内」ではありません。媒介契約書の交付も「遅滞なく」です。日数が明示されている場面と、遅滞なくとされている場面を区別して覚える必要があります。
書面性を要求していない義務に書面を要求する
専任媒介契約の業務処理状況の報告は、書面に限られません。口頭でも構いません。出題では「書面で報告しなければならない」として誤りにします。
宅建業法には書面を要求する規定が多いため、すべてが書面だと思い込みやすい部分です。書面が要求されているのは、媒介契約書、35条書面、37条書面、クーリング・オフの告知と解除の意思表示などであり、報告はそこに含まれません。
覚え方・整理の仕方
期限を四段に並べる
条文の順ではなく、時間の長さの順に並べ直します。
その都度・遅滞なく型が、帳簿の記載、取引態様の明示、媒介契約書の交付、37条書面の交付、宅建士の変更の登録。日単位が、専属専任5日、専任7日(いずれも休業日を除く)、案内所等の届出10日前まで。週単位の繰り返しが、専属専任1週間に1回以上、専任2週間に1回以上。月単位以上が、専任の宅建士が欠けたときの2週間以内、業者の変更の届出30日以内、媒介契約の有効期間3か月、宅建士証と免許の有効期間5年。
この四段の並びを一度作っておけば、数字を問われたときにどの段の話かで探す範囲が絞れます。
専任と専属専任は「縛りが強いほうが短い」
5日と7日、1週間と2週間。どちらが専属専任でどちらが専任かは、依頼者を縛る度合いで決まると考えてください。
専属専任媒介契約は、依頼者が自ら発見した相手方とも契約できないため、最も強く縛ります。強く縛るぶん、業者側の義務も重くなる。だから報告は頻繁に、登録は早く、という対応になります。縛りが強いほうが業者の期限も短いという理屈で覚えれば、数字を取り違えません。
「業者は届出、宅建士は登録」
変更があったときの手続は、業者側が「届出」で30日以内、宅建士側が「登録」で遅滞なくです。用語と期間がセットで違います。
免許は業者に与えられ、登録は宅建士個人に与えられる。この対応を押さえておくと、どちらの話をしているかで用語も期間も決まります。
保存期間は名簿10年、帳簿5年
従業者名簿は最終の記載をした日から10年間、帳簿は閉鎖後5年間(自ら売主の新築住宅は10年間)。
覚え方としては、人に関する記録のほうが長いと押さえます。従業者名簿は誰が在籍していたかの記録で、後から責任の所在を追う必要があるため長く残す。帳簿は取引の記録で、事業年度ごとに区切って5年。閲覧義務があるのが名簿だけである点も、名簿のほうが外部に対して意味を持つ書類だという理解と整合します。
順序規制は「処分が先、業務が後」
33条と36条は、日数ではなく順番の規制です。開発許可や建築確認という行政の処分が先にあり、広告や契約はその後、という構造です。
この一文を持っておけば、「申請中であれば広告できる」「近日中に許可が下りる見込みなら契約できる」といった選択肢を、内容を細かく検討せずに落とせます。見込みや申請中は処分ではないからです。
独占業務の時期を三点で押さえる
宅建士が関与する三つの場面を、時期で並べます。重要事項の説明は契約成立前、35条書面への記名も契約成立前、37条書面への記名は契約成立後。
契約成立という一点を境に、前が2つ、後が1つ。そして説明があるのは前だけ。この配置で覚えると、時期と説明義務の有無が同時に思い出せます。独占業務そのものの整理は宅建士の独占業務を参照してください。
理解度チェッククイズ
Q1. 宅地建物取引業者は、その事務所ごとに業務に関する帳簿を備え、各事業年度の末日までに、その期間中の取引をまとめて記載しなければならない。(○か×か)
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×:49条は「宅地建物取引業に関し取引のあつたつど」記載することを求めています。まとめて記載する運用は認められません。なお帳簿は各事業年度の末日をもって閉鎖し、閉鎖後5年間(宅地建物取引業者が自ら売主となる新築住宅に係るものは10年間)保存する必要があります(施行規則18条3項)。従業者名簿の保存期間が最終の記載をした日から10年間であるのと混同しないでください。また、取引の関係者から請求があったときに閲覧させる義務があるのは従業者名簿(48条4項)であって、帳簿にはこの義務がありません。Q2. 専任媒介契約を締結した宅地建物取引業者は、契約の相手方を探索するため、当該契約の締結の日から休業日を除いて7日以内に、当該物件を指定流通機構に登録しなければならない。(○か×か)
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○:施行規則15条の10が、専任媒介契約については契約締結の日から7日、専属専任媒介契約については5日と定め、これらの期間の計算について宅地建物取引業者の休業日数を算入しないとしています。宅建業法の期間の中で「休業日を除く」という扱いが付いているのはこの登録期限だけなので、他の期間にこの文言が付いていれば誤りを疑ってください。あわせて、業務処理状況の報告は専任媒介が2週間に1回以上、専属専任媒介が1週間に1回以上で、依頼者を強く縛る類型ほど業者の期限も短いという対応になっています。Q3. 宅地建物取引業者は、建築確認を受けていない建築工事完了前の建物について、貸借の媒介として広告をすることはできないが、貸借の媒介として契約を締結することはできる。(○か×か)
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○:33条の広告開始時期の制限は「売買その他の業務に関する広告」を禁じており、売買・交換・貸借のすべての広告が対象になります。これに対し36条の契約締結時期の制限は、自ら当事者としてもしくは当事者を代理して売買・交換の契約を締結すること、および売買・交換の媒介をすることを禁じるもので、貸借の代理・媒介は対象外です。したがって、未完成物件について貸借の広告はできないが貸借の契約はできる、という結論になります。この非対称を逆にした選択肢が頻出です。「広告は全部だめ、契約は貸借だけよい」と覚えてください。Q4. 専任媒介契約における業務の処理状況の報告は、2週間に1回以上、書面を交付して行わなければならない。(○か×か)
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×:頻度は正しく、専任媒介契約では2週間に1回以上(専属専任媒介契約では1週間に1回以上)です。しかし、この報告の方法は書面に限られません。口頭でも電子メールでも構いません。宅建業法には書面を要求する規定が多いため、すべてが書面だと思い込みやすい部分です。書面が要求されているのは媒介契約書、35条書面、37条書面、クーリング・オフの告知と解除の意思表示などであり、業務処理状況の報告はここに含まれません。なお、一般媒介契約にはそもそも報告義務がありません。Q5. 宅地建物取引士は、氏名または住所に変更があったときは、その日から30日以内に、登録をしている都道府県知事に変更の登録を申請しなければならない。(○か×か)
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×:宅建士の変更の登録は「遅滞なく」申請しなければなりません(20条)。30日以内とされているのは、宅地建物取引業者が商号または名称、事務所の名称および所在地、専任の宅建士の氏名などに変更があった場合の免許権者への届出です(9条)。業者側は「30日以内の届出」、宅建士側は「遅滞なくの登録」で、期間だけでなく手続の名称も違います。免許は業者に、登録は宅建士個人に与えられるという対応で押さえると取り違えません。まとめ
宅建士の1日を決めているのは、勤務先の就業規則ではなく宅地建物取引業法の期限規制です。出社時刻や休憩の取り方は会社ごとに違いますが、いつまでに何をしなければならないかは法律が定めており、どこに勤めても同じように発生します。
期限は四つの階層に分かれます。その都度・遅滞なく型が、帳簿の記載(49条の「取引のあつたつど」)、取引態様の明示(34条2項)、媒介契約書の交付(34条の2第1項)、37条書面の交付(37条)、宅建士の変更の登録(20条)。日単位が、指定流通機構への登録で専属専任5日・専任7日(いずれも休業日を算入しない、施行規則15条の10)と、案内所等の届出の10日前まで(50条2項)。繰り返し型が、業務処理状況の報告で専属専任1週間に1回以上・専任2週間に1回以上(34条の2)。月単位以上が、専任の宅建士が欠けたときの2週間以内(31条の3第3項)、業者の変更の届出30日以内(9条)、専任媒介契約の有効期間3か月(34条の2第3項)、宅建士証の有効期間5年(22条の2第3項)です。
これとは別に、日数ではなく順序を定める規制があります。33条の広告開始時期の制限と36条の契約締結時期の制限で、開発許可や建築確認といった処分が先、業務が後という構造です。33条は売買・交換・貸借のすべての広告を禁じるのに対し、36条は貸借の代理・媒介を対象外とするため、未完成物件について貸借の広告はできないが契約はできる、という非対称が生じます。
日中の業務量の中心を占める物件調査には条文上の期限がありませんが、別の形で時間の制約を受けます。調査項目は35条1項各号の説明事項の裏返しであり、その多くは法務局と市区町村の窓口でしか完結しません。窓口の開庁時間が調査を平日の日中に押し込め、結果として書面化と顧客対応がそれ以外の時間に回ります。
そして重要事項説明は「契約が成立するまでの間に」という時期の指定を受けます(35条1項)。説明する宅建士は専任である必要がなく、宅建士証は請求がなくても提示しなければならず(35条4項、違反は86条の10万円以下の過料)、業者間取引では説明を省略できても交付は省略できません。
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