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宅建の難易度と合格率|公表値で読む他資格比較

試験対策・勉強法 読了 約23分

宅建試験の合格率と合格判定基準を令和7年度の公表値で確認し、行政書士・マンション管理士・管理業務主任者の公表値と並べたうえで、合格率だけでは難易度を比較できない理由を解説します。

目次

    この記事は、宅建試験の難易度を、実施機関が公表している数値にもとづいて確認するものです。あわせて、合格率という数字を他資格と並べるときに何に注意すべきかを整理します。年度ごとの推移そのものは「宅建試験の合格率推移」、受験者層のデータは「宅建試験の受験者データ」で扱っています。

    先に結論を書きます。合格率の数字だけを並べても、試験の難しさを比べることはできません。受験資格の有無、受験者の数と属性、絶対評価か相対評価か、出題形式が択一だけかどうか。これらが違えば、同じ「合格率15%」でも意味がまったく違います。この記事では、まず宅建の数値を公表資料で確認し、次に一次情報に到達できた資格の数値を並べたうえで、なぜ単純比較が成り立たないのかを説明します。

    この記事で使う数値の出どころ

    宅建試験の数値は、一般財団法人不動産適正取引推進機構が公表した「令和7年度宅地建物取引士資格試験結果の概要」(令和7年11月26日公表)によります。

    他資格については、それぞれの実施機関が公表している資料に当たったものだけを扱います。行政書士は一般財団法人行政書士試験研究センター、マンション管理士は公益財団法人マンション管理センター、管理業務主任者は一般社団法人マンション管理業協会の公表値です。

    一次情報に到達できなかった資格については、数値を書きません。また、学習時間の相場や、資格の難易度を偏差値で表した指標については、公表された調査の裏づけを示せないため、この記事では扱いません。数字を出す以上、どこの何年度の数字かを言えることを条件にしています。

    令和7年度の宅建試験の結果

    申込みから合格までの人数

    令和7年度の宅建試験は、申込者数306,099人、受験者数245,462人、合格者数45,821人でした。合格率は18.7%です。合格者の平均年齢は36.2歳と公表されています。

    まず押さえたいのは規模です。受験者245,462人という数は、国内の資格試験の中でも最大級です。この規模の大きさが、後述する母集団の話に直結します。

    合格判定基準

    令和7年度の合格判定基準は、50問中33問以上の正解でした。登録講習修了者、いわゆる5問免除の対象者については、45問中28問以上です。

    免除者の基準が5問分そのまま下がるのではなく、33問から28問へと5問分下がっている点は、免除された5問を全員が正解したものとして扱うのではなく、45問での判定に置き換えていることを示しています。免除制度の中身は「5問免除の仕組み」で扱っています。

    受験率という数字

    見落とされがちなのが受験率です。令和7年度の受験率は80.2%でした。申し込んだ306,099人のうち、実際に受験したのは245,462人です。差し引き約6万人が、申し込んだのに受験していません。

    この数字は、宅建試験の受験者層を考えるうえで重要な手がかりになります。受験料を払ったにもかかわらず当日に来ない人が2割いるということは、学習が間に合わなかった人が相当数いることを示唆します。逆にいえば、試験会場にたどり着いた245,462人の中には、直前まで学習を続けた人の割合が高いということでもあります。

    登録講習修了者の合格率

    令和7年度は、登録講習修了者の合格率が24.2%と公表されています。全体の18.7%より高い数字です。

    この差を、免除される5問の分だけ有利だから、と説明するのは一面的です。登録講習を受けられるのは宅地建物取引業に従事している人に限られるため、この区分はほぼ業界内の人を指します。日常業務で条文に触れている人が中心の集団であることが、この差に表れていると考えるほうが自然です。ここでも、数値の差は母集団の差である、という見方が効いてきます。

    合格率が一定に保たれるということ

    令和6年度と令和7年度を並べる

    宅建試験の性質が最もよく見えるのは、二つの年度を並べたときです。

    令和6年度は受験者241,436人で合格率18.6%、合格点は37点でした。令和7年度は受験者245,462人で合格率18.7%、合格判定基準は33問以上です。

    合格に必要な点数が4点下がっているのに、合格率はほぼ同じです。これは、その年の問題が難しかったために受験者全体の得点が下がり、それに応じて基準が引き下げられた結果だと読めます。逆に問題が易しい年は、基準が上がります。

    上位の一定割合が合格する

    この動き方が意味しているのは、宅建試験が「何点取れば合格」という絶対的な線を事前に決めている試験ではない、ということです。実際の運用として、受験者全体の得点分布を見たうえで基準が決まり、結果として合格率がおおむね一定の範囲に収まります。

    したがって、受験者にとっての目標は「何点取るか」ではなく「上位のどこに入るか」になります。問題が難しければ周りも点を落とすので、自分の点数が低いこと自体は不利になりません。逆に、問題が易しい年に平均的な点数を取っても、順位は上がりません。合格ラインの考え方は「宅建の合格ライン」で扱っています。

    目標点をどう置くか

    基準が年度によって動く以上、ぎりぎりを狙う計画は成り立ちません。令和6年度の37点と令和7年度の33問という幅を見れば、上振れした年度に対応できる水準を目標に置く必要があることが分かります。

    具体的な配点の置き方は「宅建の科目別攻略法」で扱っていますが、考え方としては、宅建業法で取りこぼさないことを前提に、権利関係で落とす分を他科目で吸収できる構成を作ることになります。

    合格率だけでは難易度を比べられない

    ここからが本題です。資格ごとの合格率を並べた一覧は多く出回っていますが、その数字を横に並べて難しさを比較することはできません。理由を四つ挙げます。

    母集団の規模が違う

    宅建の受験者は令和7年度で245,462人です。後述するマンション管理士は10,984人、管理業務主任者は14,850人、行政書士は50,163人でした。桁が違います。

    規模が大きい試験ほど、学習量にばらつきのある人が母集団に含まれます。会社から受験を指示された人、とりあえず申し込んだ人、十分に準備した人が同じ母集団にいます。規模の小さい試験は、そもそも受けようと思う時点で動機が明確な人に絞られている傾向があります。

    同じ合格率でも、前者のほうが「準備した人にとっての実質的な競争率」は低くなります。

    受験資格の有無が母集団を変える

    宅建試験には受験資格がありません。年齢も学歴も実務経験も問われず、誰でも申し込めます。これは受験のハードルを下げると同時に、母集団の幅を広げます。

    これに対し、受験資格が定められている試験では、その要件を満たす人しか受験できません。たとえば社会保険労務士試験には、学歴や実務経験等の受験資格が法律で定められています(社会保険労務士法8条)。要件を満たすために一定の学歴や職歴を経ている人だけが母集団に入るため、同じ合格率でも競争の中身が違います。

    つまり、受験資格のない試験の合格率は構造的に低く出やすく、受験資格のある試験の合格率は構造的に高く出やすい、という偏りがあります。この偏りを補正せずに数字だけを比べることはできません。

    受験動機の分布が違う

    業務上の必要から受ける人が中心の試験と、個人の関心で受ける人が多い試験では、準備の水準が変わります。

    宅建の場合、令和7年度の合格者の職業別構成比は不動産業33.2%、金融業8.1%、建設業8.7%、他業種27.9%、学生10.9%、その他11.3%と公表されています。業界内外の双方から受験されていることが分かります。受験者層の詳細は受験者データの記事で扱っています。

    絶対評価と相対評価の違い

    宅建は前述のとおり、基準点が年度によって動きます。これに対し、行政書士試験は合格基準が事前に定められている絶対評価の試験です。得点が基準に届いた人は全員合格し、届かなければ全員不合格になります。

    この違いは、合格率の意味を根本的に変えます。絶対評価の試験では、その年の受験者の実力次第で合格率が大きく動きます。相対評価に近い運用の試験では、実力の分布が変わっても合格率は動きにくくなります。したがって、両者の合格率を並べても、比べているものが違います。

    出題形式の違い

    宅建は50問すべてが四肢択一のマークシート方式です。記述も論文も口述もありません。分からない問題でも選択肢の中から選べば得点の可能性が残ります。

    一方、記述式や論述式を含む試験では、書けなければ得点はゼロです。同じ「合格率15%」でも、択一だけの試験と記述を含む試験では、必要な習熟の質が違います。

    分母を受験者に取るか申込者に取るか

    もう一つ、合格率という数字そのものの定義にも注意が必要です。ここまで挙げてきた合格率は、いずれも受験者数を分母とした値です。

    しかし、申込者を分母に取ることもできます。宅建の令和7年度でいえば、申込者306,099人に対して合格者45,821人ですから、この取り方をすれば数値は受験者ベースより低くなります。どちらが正しいという話ではなく、実施機関が公表しているのが受験者ベースの値だというだけのことです。

    この記事では、実施機関が公表した数値をそのまま扱い、自前で別の割り算をすることはしません。ただし、資格の難易度をまとめた記事の中には、分母の取り方を明示しないまま数値を並べているものがあります。同じ試験でも分母次第で数字が変わることを知っておくと、そうした情報を読むときに慎重になれます。

    受験率という共通の現象

    分母の話に関連して、四つの試験に共通する現象があります。申し込んだ人の全員が受験するわけではない、ということです。

    令和7年度の宅建の受験率は80.2%、同年度のマンション管理士は83.9%、令和6年度の管理業務主任者は83.5%、令和7年度の行政書士は78.57%でした。いずれも2割前後が、受験料を払ったうえで当日に来ていません。

    この共通性は、資格試験の母集団の性質を示しています。申し込んだ時点では受けるつもりだったが、学習が間に合わずに諦めた人が一定数いる、という構図です。逆にいえば、試験会場にいる人はその段階を通過した集団だということでもあります。

    合格率を「受験者のうち何割が受かるか」として読むとき、この前段の脱落が既に起きていることは意識しておく価値があります。

    一次情報に当たれた資格の公表値

    以上を踏まえたうえで、実施機関の公表値を確認します。並べる目的は優劣をつけることではなく、数字の背景を見るためです。

    行政書士

    一般財団法人行政書士試験研究センターの公表によれば、令和7年度の行政書士試験は、受験申込者数63,845人、受験者数50,163人、合格者数7,292人で、合格率は14.54%でした。受験率は78.57%です。令和6年度は、受験申込者数59,832人、受験者数47,785人、合格者数6,165人、合格率12.90%でした。

    注目すべきは、合格率が12.90%から14.54%へ1.6ポイント動いている点です。宅建が18.6%から18.7%とほとんど動かなかったのと対照的で、これは行政書士試験が絶対評価であることの表れと読めます。基準が固定されていれば、その年の受験者の出来がそのまま合格率に反映されます。

    出題形式も違います。行政書士試験には記述式の問題が含まれ、択一だけでは完結しません。宅建との比較は「宅建と行政書士の比較」で扱っています。

    マンション管理士

    公益財団法人マンション管理センターの公表によれば、令和7年度のマンション管理士試験は、受験申込者数13,098人、受験者数10,984人、受験率83.9%、合格者数1,210人で、合格率は11.0%でした。合格最低点は50問中42問以上(試験の一部免除者は45問中37問以上)です。令和6年度は、受験申込者数13,124人、受験者数10,955人、受験率83.5%、合格者数1,389人、合格率12.7%でした。合格者の平均年齢は48.4歳と公表されています。

    宅建と同じ50問の択一式でありながら、合格最低点が42問というのは、8問しか落とせないということです。宅建の令和7年度が33問だったのと比べると、要求される正確さの水準が違います。合格率11.0%という数字は、この基準の高さと、受験者数が1万人規模であることの両方を反映しています。

    合格者の平均年齢が48.4歳である点も、母集団の性質を示しています。宅建の36.2歳と比べて10歳以上高く、実務経験を積んだ層が中心であることがうかがえます。詳しくは「マンション管理士と宅建」で扱っています。

    管理業務主任者

    一般社団法人マンション管理業協会の公表によれば、令和6年度の管理業務主任者試験は、申込者17,775人、受験者14,850人、受験率83.5%、合格者3,159人で、合格率は21.3%でした。合格基準点は50問中38問(試験の一部免除者は45問中33問)です。合格者の平均年齢は43.1歳でした。令和5年度は受験者14,652人、合格者3,208人、合格率21.9%です。

    合格率だけを見れば宅建の18.7%より高い数字です。しかし合格基準点は38問で、宅建の33問より5問高くなっています。合格率が高いことと、要求される得点水準が低いことは別だ、という典型例です。

    この試験も宅建と同じ50問の四肢択一で、試験範囲にも重なりがあります。両者の関係は「宅建と管理業務主任者の比較」で扱っています。

    並べたときに見えること

    四つの数値を並べると、合格率の高低と、合格に必要な得点水準が対応していないことが分かります。宅建は合格率18.7%で基準33問、管理業務主任者は合格率21.3%で基準38問、マンション管理士は合格率11.0%で基準42問です。

    合格率は母集団の実力分布によって決まり、基準点はその年の問題の難易度と評価方式によって決まります。両者は別の指標なので、どちらか片方だけを見て難易度を語ることはできません。

    一次情報に到達できなかった資格

    司法書士や社会保険労務士など、この記事で数値を扱わなかった資格があります。実施機関の公表資料を確認できなかったためで、難易度が低いという意味ではありません。

    数値を知りたい場合は、司法書士試験であれば法務省、社会保険労務士試験であれば厚生労働省など、それぞれの実施機関の公表資料に当たってください。他所のまとめ記事で見かける数値は、年度が古かったり、出典が示されていなかったりすることがあります。

    なお、この記事で扱わなかったからといって、それらの資格の難易度を宅建より低く見積もる根拠にはなりません。分かっているのは、この記事の執筆時点で公表資料を確認できなかったという事実だけです。

    合格者の年齢から見える母集団の違い

    公表値の中で、母集団の違いが最も分かりやすく表れるのが合格者の平均年齢です。

    宅建の令和7年度は36.2歳、管理業務主任者の令和6年度は43.1歳、マンション管理士の令和7年度は48.4歳と公表されています。10歳以上の開きがあります。

    この差は、それぞれの資格が受験される段階の違いを示しています。宅建は就職や転職の前後、あるいは業界に入って早い時期に受ける人が多く、学生の合格者も一定の割合を占めます。マンション管理士は、管理組合への助言を担う立場を想定した資格で、実務経験を積んだ層が中心になります。管理業務主任者はその中間に位置します。

    ここから分かるのは、同じ不動産関連の資格でも、競う相手の顔ぶれが違うということです。マンション管理士の合格率11.0%という数字は、実務経験を積んだ層が中心の集団の中で上位1割に入るという意味であり、宅建の18.7%とは競争の中身が異なります。

    さらに、マンション管理士の令和7年度の公表資料には年齢別の合格率も示されており、29歳以下13.7%、30代13.9%、40代12.0%、50代11.2%、60歳以上8.2%となっています。若い層のほうが合格率が高い一方、受験者数では50代と60歳以上が全体の半数以上を占めています。母集団の年齢構成が全体の合格率を押し下げている面がある、という読み方ができます。

    このように、合格率という一つの数字の背後には、必ず母集団の構成があります。数字を見たら、誰が受けている試験なのかを確認してください。関連資格の位置づけは「宅建と組み合わせる資格一覧」で扱っています。

    受験者数が増えていることの意味

    宅建の受験者数は、令和6年度が241,436人、令和7年度が245,462人です。年度をまたいで増えています。

    受験者が増えれば競争が激しくなる、と考えたくなりますが、合格率が一定の範囲に収まる仕組みである以上、そうはなりません。受験者が増えれば合格者も増えます。実際、令和7年度の合格者は45,821人でした。

    つまり、受験者数の増減は競争の厳しさをほとんど変えません。変わるのは、自分が上位2割弱に入れるかどうかだけです。母集団が大きくなっても、その中での自分の位置は自分の準備で決まります。

    同じ理由で、「今年は受験者が多いから難しい」という判断も成り立ちません。判断すべきなのは、自分が過去問や模試でどの水準にいるかです。

    難易度を測るなら何を見るか

    ここまでの話をまとめると、資格の難易度を見るときに確認すべき項目は、合格率以外に四つあります。

    第一に、合格に必要な得点水準です。宅建は令和7年度が50問中33問、管理業務主任者は令和6年度が50問中38問、マンション管理士は令和7年度が50問中42問でした。同じ50問の択一式でも、許される失点数がまったく違います。

    第二に、評価の方式です。基準が事前に決まっている絶対評価か、受験者の分布に応じて動く方式か。行政書士の合格率が年度によって1.6ポイント動いたのに対し、宅建がほぼ動かなかったのはこの違いによります。

    第三に、出題形式です。択一だけで完結するか、記述や論述を含むか。書く形式が含まれれば、あいまいな知識は得点になりません。

    第四に、受験資格と母集団です。誰でも受けられるのか、要件があるのか。受験者は何人規模で、どういう属性の人が中心か。

    この四つを確認したうえで合格率を見れば、数字の意味が読めます。逆に、この四つを見ずに合格率だけを並べた比較は、順位づけとしては成立していません。

    合格率を自分の得点計画に翻訳する

    上位2割弱に入る、という目標は、そのままでは行動になりません。得点の形に置き換える必要があります。

    宅建の出題構成は、権利関係14問、法令上の制限8問、税その他3問、宅建業法20問、免除科目5問の計50問です。このうち最も比重が大きいのが宅建業法で、20問は全体の4割にあたります。

    この構成から言えるのは、宅建業法を落とすと取り返しがつかないということです。条文と数字の知識が得点に直結する範囲なので、学習量が最も素直に反映されます。逆に権利関係は、年度によって難易度の幅が大きく、全問を取りにいく設計は現実的ではありません。

    したがって、計画の立て方は、宅建業法で取りこぼさないことを土台に、法令上の制限の数字を固め、権利関係は頻出の範囲に絞る、という順序になります。免除科目の5問は、統計を除けば内容が安定しており、一般の受験者にとっては取りにいく5問です。科目ごとの目標点の置き方は得点目標の記事で扱っています。

    合格判定基準が令和6年度37点、令和7年度33問と動いたことを踏まえれば、上振れした年度でも届く水準を目標にしておく必要があります。基準ぎりぎりを狙う計画は、難易度が下振れした年度に対応できません。

    誰と競っているのかを具体的に考える

    令和7年度の宅建試験の合格者について、職業別構成比は不動産業33.2%、金融業8.1%、建設業8.7%、他業種27.9%、学生10.9%、その他11.3%と公表されています。

    この内訳から読めるのは、受験者が特定の業界に偏っていないということです。不動産業が最大の区分ではありますが3分の1で、他業種と学生を合わせれば4割近くになります。業界の外から受ける人が珍しくない試験だ、ということです。

    同時に、業界内の受験者には登録講習による5問免除という手段があり、その区分の合格率は24.2%でした。免除者は受験者全体の一部ですが、母集団の中に条件の違う集団が混ざっていることは事実です。

    ここから導かれる実際的な結論は単純です。母集団の内訳を気にしても、自分の得点は変わりません。分かるのは、業界外から受けても不利になる構造ではないということと、免除を使えない立場なら50問すべてを解く前提で計画を立てる必要がある、ということだけです。

    宅建が難しいと言われる理由

    数値の話から離れて、実際にどこが難所になるのかを整理します。

    出題範囲が広い

    権利関係14問には民法、借地借家法、区分所有法、不動産登記法が含まれます。法令上の制限8問には都市計画法、建築基準法、国土利用計画法、農地法、盛土規制法、土地区画整理法などが含まれます。税その他と宅建業法を合わせると、扱う法律は十を超えます。

    一つひとつは深く問われませんが、抜けがあるとその分だけ確実に失点します。範囲の広さは、理解の難しさではなく、管理の難しさとして効いてきます。科目ごとの配分は「科目別の攻略法」で扱っています。

    権利関係は暗記だけでは処理できない

    権利関係の事例問題は、登場人物が三人以上になり、誰が誰に何を主張できるかを判定させます。条文を覚えているだけでは足りず、事案に当てはめる作業が必要です。

    法律の学習経験がない人にとって、この当てはめの作業に慣れるまでが最初の壁になります。分野の全体像は「権利関係の全体像」で扱っています。

    数字が多く、しかも似ている

    開発許可の面積要件、国土利用計画法の届出面積、建蔽率と容積率、各種の期間。数字そのものは覚えれば済みますが、似た数字が別の制度に散らばっているため、混同が起きます。

    対策は、単独で覚えず、必ず対になる数字と並べて記憶することです。整理の仕方は「法令上の制限の暗記法」で扱っています。

    誤り肢が作り込まれている

    四肢択一である以上、誤りの肢は意図的に作られます。数字の入れ替え、主語のすり替え、例外の適用場面をずらす、原則と例外を逆にする。いずれも、知識があいまいな状態では見分けられません。

    読んで分かった状態と、選択肢の正誤を判定できる状態は別物です。ここを埋めるのが演習の役割になります。

    宅建が取り組みやすいと言われる理由

    一方で、この試験には受験しやすい条件がそろっています。

    すべて択一式である

    50問すべてが四肢択一のマークシート方式です。記述も論述も口述もありません。判断がつかない問題でも、選択肢を絞れば正解の可能性が残ります。書けなければゼロになる形式と比べて、部分的な知識が得点に変わりやすい構造です。

    受験資格がない

    年齢、学歴、国籍、実務経験のいずれも問われません。思い立った年に受けられます。前述のとおり、これは合格率が低く出る要因でもありますが、受験する側にとっては明確な利点です。

    出題数と時間が固定されている

    50問を2時間で解く形式が定着しており、科目ごとの出題数もほぼ一定です。何を何問取るかという計画が立てやすく、対策の設計がしやすい試験だといえます。得点計画の立て方は「宅建の合格戦略」で扱っています。

    教材が多い

    受験者が24万人規模である以上、市販の教材も講座も数がそろっています。選択肢が多いことは迷いの原因にもなりますが、自分に合うものを選べる余地があるという意味では利点です。独学の進め方は「宅建に独学で合格するための完全ガイド」で扱っています。

    なお、合格に必要な学習時間として300時間から400時間という数字がよく挙げられますが、これは公表された調査にもとづく数値ではなく、目安として語られている相場です。出発点の知識量によって必要な時間は大きく変わるため、数字を鵜呑みにせず、自分の進み具合で判断してください。学習量の考え方は「宅建の勉強時間の目安」で扱っています。

    試験での出題ポイント

    合格率や合格基準の話は、統計の問題としても関係します。

    統計問題は最新の公表値が問われる

    免除科目に含まれる統計の問題では、地価公示、住宅着工戸数、宅地建物取引業者数といった項目の最新の数値と、増減の傾向が問われます。前年度の教材の数字はそのまま使えません。

    対策としては、直前期に最新の公表資料で数字を確認するだけで済みます。範囲が狭く、確実に取れる1問です。最新の数値は「統計問題の最新データ」で扱っています。

    問われるのは数値そのものより増減

    統計の問題で問われるのは、正確な数値の暗記よりも、前年と比べて増えたか減ったかという方向であることが多くなります。したがって、覚えるべきは桁と方向です。

    数字は必ず対で覚える

    これは統計に限らず全科目に共通します。宅建業法の営業保証金1,000万円と500万円、分担金60万円と30万円。法令上の制限の開発許可1,000平方メートルと3,000平方メートルと10,000平方メートル。単独で覚えた数字は、似た数字に引きずられます。

    覚え方・整理の仕方

    合格率は「上位何割か」に読み替える

    合格率18.7%という数字を、そのまま難易度の指標として覚えないでください。読み替えるべきは、受験者のおおむね上位2割弱に入れば合格する、という形です。

    この読み替えができていると、目標が「何点取る」から「どの層に入る」に変わります。問題が難しい年に点数が伸びなくても動揺しにくくなります。

    合格率と基準点は別の指標として持つ

    合格率が高い試験ほど基準点が低い、という関係は成り立ちません。この記事で並べた三つの資格がその例です。合格率は母集団の実力分布、基準点は問題の難易度と評価方式によって決まる、と分けて覚えてください。

    他資格の数字を見たら年度と出典を確認する

    資格の難易度を比較した情報を見かけたら、その数値がいつの年度のものか、どこが公表したものかを確認する習慣をつけてください。年度の記載がない数値、出典の示されていない数値、偏差値のような出所不明の指標は、判断の材料になりません。

    自分の位置は模試で測る

    合格率から自分の位置を推し量ることはできません。上位2割に入っているかどうかは、時間を計って過去問や模試を解いた結果で測るしかありません。直前期の使い方は「直前期の勉強法」で扱っています。

    理解度チェッククイズ

    Q1. 令和7年度の宅建試験の合格判定基準は、50問中33問以上の正解であった(○か×か)


    答えを見る
    ○:不動産適正取引推進機構の公表(令和7年度宅地建物取引士資格試験結果の概要)によれば、令和7年度の合格判定基準は50問中33問以上、登録講習修了者は45問中28問以上でした。同年度の受験者数は245,462人、合格者数45,821人、合格率18.7%です。

    Q2. 令和6年度と令和7年度を比べると、合格に必要な点数が下がったぶん合格率も下がった(○か×か)


    答えを見る
    ×:令和6年度は合格点37点で合格率18.6%、令和7年度は50問中33問以上で合格率18.7%でした。基準が4点下がったにもかかわらず、合格率はほぼ同じです。これは、その年の問題の難易度に応じて基準が調整され、結果として合格率が一定の範囲に収まる仕組みを示しています。

    Q3. 合格率が高い試験ほど、合格に必要な得点水準も低い(○か×か)


    答えを見る
    ×:令和6年度の管理業務主任者試験は合格率21.3%で合格基準点は50問中38問、令和7年度の宅建試験は合格率18.7%で基準は33問でした。合格率が高いほうが基準点も高くなっています。合格率は母集団の実力分布、基準点は問題の難易度と評価方式で決まるため、両者は対応しません。

    Q4. 受験資格の有無は、合格率の高さに影響しない(○か×か)


    答えを見る
    ×:受験資格がない試験は、学習量にばらつきのある人まで母集団に含まれるため、合格率が構造的に低く出やすくなります。宅建には年齢・学歴・実務経験等の受験資格がなく、令和7年度は受験率80.2%で、申し込んだ約6万人が受験していません。一方、社会保険労務士試験のように受験資格が法律で定められている試験(社会保険労務士法8条)では、母集団の性質が異なります。

    Q5. 令和7年度の宅建試験では、登録講習修了者の合格率が全体より高かった(○か×か)


    答えを見る
    ○:公表値によれば、登録講習修了者の合格率は24.2%で、全体の18.7%を上回りました。ただしこれを免除される5問の効果だけで説明するのは一面的です。登録講習を受けられるのは宅地建物取引業に従事している人に限られるため、この区分の合格率の高さには母集団の違いも反映されています。

    よくある質問

    Q. 宅建は独学で受かる難易度ですか。
    A. 一般化して答えられる問いではありません。制度上の事実として言えるのは、出題が50問すべて四肢択一であること、受験資格がないこと、市販教材が多いことです。判断の分かれ目は、教材を自分で選べるか、進度を管理できるか、分からない箇所を調べられるかにあります。

    Q. 何点を目標にすればよいですか。
    A. 基準は年度によって動きます。令和6年度は37点、令和7年度は50問中33問以上でした。上振れした年度に対応できる水準を目標に置く必要があるため、ぎりぎりを狙う計画は勧められません。

    Q. 他資格と比べて難易度はどのくらいですか。
    A. 合格率の数字を並べて順位づけることはできません。受験資格の有無、母集団の規模、評価方式、出題形式が違うためです。この記事では公表値を並べたうえで、その背景の違いを示しています。順位ではなく、自分が受ける試験の基準と母集団を理解してください。

    Q. 難化しているのですか。
    A. 二つの年度を比べる限り、合格率はほぼ変わっていません(令和6年度18.6%、令和7年度18.7%)。一方で基準点は37点から33問へ動いています。問題の難易度は年度によって変動しますが、合格率が一定の範囲に収まる以上、競争の厳しさ自体が急に変わるわけではありません。年度ごとの推移は推移の記事で確認できます。

    Q. 5問免除を使えないと不利ですか。
    A. 令和7年度の公表値では、登録講習修了者の合格率が24.2%で全体の18.7%を上回っています。ただし、この差は免除される5問だけでなく、登録講習を受けられるのが宅地建物取引業に従事している人に限られるという母集団の違いも反映しています。免除を使えない場合は、50問すべてを解く前提で計画を立てることになります。免除される問46から問50までは範囲が狭く、統計を除けば内容も安定しているため、取りにいく5問として計算に入れられます。

    Q. 合格率が高い年に受けたほうが有利ですか。
    A. その考え方は成り立ちません。合格率は事後的に決まる結果であり、受験前に選べるものではないからです。難易度の年度差については「宅建は簡単になったのか」でも扱っています。

    まとめ

    要点を三つに整理します。

    第一に、令和7年度の宅建試験は、申込者306,099人、受験者245,462人、合格者45,821人、合格率18.7%、合格判定基準は50問中33問以上(登録講習修了者は45問中28問以上)でした。登録講習修了者の合格率は24.2%、合格者の平均年齢は36.2歳です(不動産適正取引推進機構の公表値)。

    第二に、合格率は一定の範囲に収まります。令和6年度は合格点37点で18.6%、令和7年度は33問以上で18.7%。基準が4点動いても合格率がほぼ変わらないという事実が、この試験の性質を最もよく示しています。目標は「何点取るか」ではなく「上位のどこに入るか」です。

    第三に、合格率だけで他資格と難易度を比べることはできません。行政書士は令和7年度14.54%(絶対評価、記述式を含む)、マンション管理士は令和7年度11.0%で合格最低点42問、管理業務主任者は令和6年度21.3%で基準点38問。合格率の高低と必要な得点水準は対応しておらず、受験資格の有無と母集団の規模がそれぞれ違います。数値を見るときは、年度と出典と、何を数えた数字なのかを確認してください。

    宅建試験AIブートラボでは肢別トレーニングと年度別過去問演習を用意しています。上位のどこに入っているかは演習でしか測れないので、時間を計って解く場として使ってください。

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