取引時確認とりひきじかくにん
犯罪による収益の移転防止に関する法律で特定事業者とされる宅地建物取引業者が、宅地建物の売買契約の締結やその代理・媒介をするに際し、顧客の本人特定事項、取引を行う目的、職業などを確認することです(同法4条)。つまり、犯罪で得たお金が不動産の売買を通じて洗浄されないよう、取引の入口で相手を確かめる義務です。
不動産は値段が大きく、現金で買えば一度にまとまったお金を別の形の財産に変えられます。そのため、犯罪で得たお金の出どころを隠す手段に使われやすいとされ、犯罪による収益の移転防止に関する法律(犯罪収益移転防止法)は、宅地建物取引業者を銀行などと並ぶ特定事業者に定めました(2条2項42号)。業者は、宅地建物の売買契約を結ぶとき、その代理や媒介をするときに、相手が誰で、何のために取引し、どんな職業の人かを確かめます。これが取引時確認で、確認したことの記録の保存と、疑わしい取引の届出がセットで義務づけられています。

確認するのは、本人特定事項、取引の目的、職業です
相手が自然人なら、本人特定事項として氏名、住居、生年月日を確認し、あわせて取引を行う目的と職業を確認します(4条1項1号〜3号)。相手が法人なら、本人特定事項は名称と本店又は主たる事務所の所在地で、職業の代わりに事業の内容を確認します(同項1号・3号)。本人特定事項は、運転免許証などの本人確認書類の提示を受けるといった、主務省令が定める方法で確かめます(施行規則6条・7条)。
対象は売買とその代理・媒介で、貸借は入りません
宅地建物取引業者の特定業務は、宅地建物取引業のうち宅地又は建物の売買又はその代理・媒介に係るもので、取引時確認をする特定取引は、宅地又は建物の売買契約の締結又はその代理・媒介です(別表、施行令7条1項5号)。賃貸の媒介や代理は、この対象に入っていません。条文に理由は書いていませんが、まとまった財産が一度に動く売買のほうが、犯罪で得たお金を移す手段に使われやすいと考えられているためです。
確認記録と取引記録は、7年間保存します
取引時確認をしたら、直ちに、確認した事項や確認のためにとった措置などを記録した確認記録を作り、契約が終了した日などから7年間保存します(6条)。特定業務に係る取引を行ったときは、直ちに、確認記録を検索するための事項、取引の期日と内容などを記録した取引記録を作り、取引の行われた日から7年間保存します(7条1項・3項)。宅地建物取引業法の帳簿の保存期間とは別の決まりで、5年たったからといって廃棄することはできません。

疑わしい取引は、速やかに免許権者へ届け出ます
特定業務に係る取引で収受した財産が犯罪による収益である疑いがあると認められるときは、速やかに、所定の事項を行政庁に届け出ます(8条1項)。宅地建物取引業者にとっての行政庁は、免許をした国土交通大臣又は都道府県知事です(22条1項16号)。業者は、確認した情報を最新の内容に保つ措置を講じるほか、使用人の教育訓練や社内規程の作成などに努めます(11条)。

犯罪による収益の移転防止に関する法律 4条1項(抜粋)特定事業者(…)は、顧客等との間で、別表の上欄に掲げる特定事業者の区分に応じそれぞれ同表の中欄に定める業務(以下「特定業務」という。)のうち同表の下欄に定める取引(…)を行うに際しては、主務省令で定める方法により、当該顧客等について、次に掲げる事項の確認を行わなければならない。一 本人特定事項(自然人にあっては氏名、住居(…)及び生年月日をいい、法人にあっては名称及び本店又は主たる事務所の所在地をいう。以下同じ。)二 取引を行う目的 三 当該顧客等が自然人である場合にあっては職業、当該顧客等が法人である場合にあっては事業の内容
試験ではこう問われる
- 相手が自然人なら、氏名・住居・生年月日、取引を行う目的、職業を確認する
- 取引記録は、取引の行われた日から7年間保存する。5年で廃棄すれば違反。確認記録も契約が終了した日などから7年間保存する
- 収受した代金が犯罪による収益である疑いがあるときは、速やかに所定の事項を行政庁に届け出る
- 取引時確認等を的確に行うため、使用人に教育訓練を実施するよう努める
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