37条書面の任意的記載事項さんじゅうななじょうしょめんのにんいてききさいじこう
37条書面に、契約にその定めがあるときに限って記載する事項で、代金以外の金銭の授受、契約の解除、損害賠償額の予定・違約金、金銭の貸借のあっせんが成立しないときの措置、天災その他不可抗力による損害の負担、契約不適合を担保すべき責任、租税その他の公課の負担です(37条1項6号〜12号)。つまり、当事者が特に取り決めた約束を、取り決めたときだけ書き残す事項です。
家の売買契約書を見ると、「手付金は契約時に300万円」「引渡し前に地震で家が壊れたら売主の負担」「固定資産税は引渡し日で日割り精算」といった取決めが並んでいます。こうした取決めは、どの契約にも必ずあるとは限らず、当事者が特に定めたときにだけ生まれます。37条書面の任意的記載事項は、こうした「定めがあるときは」と条文に書かれた事項で、定めたなら書面に書き、定めていなければ書かなくてよい事項です。任意的とは、書くかどうかが自由という意味ではなく、定めの有無によって書くかどうかが決まるという意味です。定めをしたのに書かないことは許されません。

定めがあるときに書き、定めがなければ書きません
37条1項は、6号の代金及び交換差金以外の金銭の授受、7号の契約の解除、8号の損害賠償額の予定又は違約金、10号の天災その他不可抗力による損害の負担、11号の契約不適合を担保すべき責任とその履行に関する保証保険契約などの措置、12号の租税その他の公課の負担について、いずれも「定めがあるときは」と書いています。9号の金銭の貸借のあっせんも「定めがある場合においては」、そのあっせんに係る金銭の貸借が成立しないときの措置を記載します。定めがない場合に「定めがない」と書く義務はありません。住宅ローンが通らなかったら買主は無条件で解除できる、という取決めは、業者があっせんを予定していなくても、契約の解除に関する定めとして記載します。
定めがあれば、相手が業者でも、額が小さくても書きます
定めがあるときに記載する義務には、相手方が業者かどうかによる例外がありません。業者間の売買では担保責任の特約を自由に定められますが、定めた特約の内容は37条書面に記載します。損害賠償額の予定が代金の10分の2以内で制限に収まっていても、定めた以上は記載しますし、手付金の額が代金の5%未満でも、授受の時期まで記載します。重要事項説明で説明した事項でも、37条書面の事項に当たれば重ねて書きます。

重要事項説明の事項と、少しずつ中身が違います
任意的記載事項の多くは重要事項説明にも出てきますが、書く中身が少しずつ違います。代金以外に授受される金銭は、重要事項説明では額と授受の目的を説明し、37条書面ではそれに授受の時期を加えます。天災その他不可抗力による損害の負担と租税その他の公課の負担は37条書面だけの事項で、重要事項説明の事項ではありません。反対に、手付金等の保全措置の概要は重要事項説明の事項で、37条書面の記載事項にはなっていません。貸借の書面では、解除、損害賠償額の予定・違約金、不可抗力による損害の負担と、借賃以外の金銭の額・授受の時期・目的を、定めがあるときに記載し、あっせん、担保責任、租税公課は記載事項にありません(37条2項)。

宅地建物取引業法 37条1項(抜粋)六 代金及び交換差金以外の金銭の授受に関する定めがあるときは、その額並びに当該金銭の授受の時期及び目的 七 契約の解除に関する定めがあるときは、その内容 八 損害賠償額の予定又は違約金に関する定めがあるときは、その内容 … 十 天災その他不可抗力による損害の負担に関する定めがあるときは、その内容 … 十二 当該宅地又は建物に係る租税その他の公課の負担に関する定めがあるときは、その内容
試験ではこう問われる
- 天災その他不可抗力による損害の負担に関する定めがあるときは、その内容を37条書面に記載する。定めがないときに「定めがない旨」を記載する必要はない
- 不可抗力による損害の負担は重要事項説明の事項ではない。自ら売主でも媒介でも説明は不要
- 損害賠償額の予定が代金の10分の2以内でも、定めがあれば記載する。業者間で担保責任の特約を定めたときも記載する
- 代金以外の金銭は、37条書面では額・授受の時期・授受の目的を記載する。手付金が代金の5%未満でも授受の時期は省けない
- あっせんに係る金銭の貸借が成立しないときの措置は、あっせんの定めがあれば記載する。自ら売主の宅地の売買でも省けない
- 租税その他の公課の負担に関する定めは、売買の媒介でも記載する。手付金等の保全措置の内容、抵当権の内容、ペットの飼育禁止の規約は37条書面の記載事項ではない
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