担保責任の特約の制限たんぽせきにんのとくやくのせいげん
宅地建物取引業者が自ら売主となる売買で、目的物が種類・品質について契約の内容に適合しない場合の担保責任について、民法566条の通知期間を引渡しの日から2年以上とする特約を除き、民法より買主に不利な特約をしてはならないという制限です(40条)。つまり、業者は自分の責任を特約で軽くできず、期間を「引渡しから2年以上」に定めることだけが許されます。
業者から買った建物に、住み始めてから雨漏りが見つかった。売った物が契約の内容に合っていなければ、売主は修理や代金の減額、損害賠償などの責任を負います。これが担保責任で、民法566条は、買主が不適合を知った時から1年以内に売主へ通知すれば追及できるとしています。ところが契約書を用意する業者が「責任は一切負わない」「引渡しから半年まで」と書けば、買主の保護は骨抜きになります。そこで宅地建物取引業法は、業者が自ら売主となる売買では、通知の期間を引渡しの日から2年以上とする特約だけを許し、それ以外の民法より買主に不利な特約を無効としました。買主が業者なら適用されません(78条2項)。

不利な特約で許されるのは、引渡しから2年以上の通知期間だけです
40条1項は、民法566条に規定する期間について「目的物の引渡しの日から2年以上となる特約をする場合を除き」、民法より買主に不利な特約をしてはならないと定めています。2年や3年と定めるのは許され、1年や6か月と定めるのは許されません。期間以外の点、責任の中身を狭めたり、責任そのものを負わないとしたりする特約も、民法より不利なので許されません。制限されるのは買主に不利な特約なので、通知期間を民法より長くするなど買主に有利な特約は自由に定められます。
不利な特約は無効になり、民法の「知った時から1年」に戻ります
民法566条の期間は、買主が不適合を「知った時」から1年です。起算点が知った時なので、引渡しから何年たっても知らなければ期間は進みません。引渡しから2年という期間は、この民法の期間を買主に不利に変えるものですが、40条がこれだけを例外として許しています。引渡しから1年という特約は許されないので40条2項で無効になり、契約に期間の定めが無い状態、つまり民法566条の知った時から1年に戻ります。無効になった特約が引渡しから2年に読み替えられるのではありません。

2年の起算点は引渡しの日で、契約の日ではありません
40条1項は「その目的物の引渡しの日から2年以上」と、起算点を引渡しの日に固定しています。新築の建物では、契約してから完成して引き渡すまでに1年近く空くことがあります。契約の日から2年と定めると、引渡しから数えれば1年ほどしか残らず、引渡しの日から2年に足りないので、不利な特約として無効です。買主が実際に物を受け取って調べられるようになる日を出発点にしていると読めます。

宅地建物取引業法 40条宅地建物取引業者は、自ら売主となる宅地又は建物の売買契約において、その目的物が種類又は品質に関して契約の内容に適合しない場合におけるその不適合を担保すべき責任に関し、民法(明治二十九年法律第八十九号)第五百六十六条に規定する期間についてその目的物の引渡しの日から二年以上となる特約をする場合を除き、同条に規定するものより買主に不利となる特約をしてはならない。/前項の規定に反する特約は、無効とする。
試験ではこう問われる
- 民法より買主に不利な特約は無効で、買主に有利な特約は定められる。不利な特約のうち例外として許されるのは、通知期間を引渡しの日から2年以上とする特約だけ。「引渡しの日から1年とする特約を有効に定められる」は誤り
- 不利な特約は無効になり、民法566条の「知った時から1年」に戻る。「無効になると引渡しから2年になる」ではない
- 起算点は引渡しの日。「契約の日から2年」は引渡しから2年に足りず無効
- 期間以外でも、責任を一切負わない、損害賠償はするが解除は認めない、といった責任の範囲を狭める特約は民法より不利で無効
- 買主が宅建業者なら適用されない(78条2項)。業者間なら責任を負わない特約も有効
- 定めがあれば37条書面に記載(37条1項11号)、保証保険等の措置を講ずるかどうかは重要事項説明(35条1項13号)
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