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債権譲渡さいけんじょうと

権利関係 民法(債権・保証) 過去問で11肢

債権を、その内容を変えないまま、契約によって他人に移すことです(466条1項)。つまり、代金や貸金を受け取る権利を別の人に譲ることで、譲り受けた人が新しい債権者になります。

工務店Aが、施主Bに対する工事代金債権500万円を、支払期日より前に資金にするため、金融会社Cに譲る。これが債権譲渡です。Aを譲渡人、Cを譲受人といい、Bは債務者のままで、支払う相手がAからCに変わります。債権は、性質上許されないものを除き、債務者の承諾がなくても譲り渡すことができます(466条1項)。まだ発生していない将来の債権も譲渡でき、譲受人は発生した債権を当然に取得します(466条の6)。

債権を譲ると、債務者が支払う相手が、譲渡人から譲受人に変わる。
債権を譲ると、債務者が支払う相手が、譲渡人から譲受人に変わる。

譲渡制限の意思表示があっても、譲渡は有効です

AとBが「この債権は譲渡しない」と約束することを、譲渡制限の意思表示といいます。この約束に反して譲渡しても、債権譲渡の効力は妨げられず、譲受人が約束を知っていても債権は譲受人に移ります(466条2項)。ただし、譲渡制限の意思表示がされたことを知り、又は重大な過失によって知らなかった譲受人に対しては、債務者は履行を拒むことができ、譲渡人に弁済したことなどを対抗できます(466条3項)。預金や貯金の債権だけは例外で、譲渡制限の意思表示そのものを、知っていた譲受人や重大な過失によって知らなかった譲受人に対抗できます(466条の5第1項)。拒めるかどうかは、今請求している人が知っていたかどうかで決まり、最初の譲受人が知っていても、そこから更に譲り受けた人が知らず、重大な過失もなければ、債務者は拒めないと解されています。誰に払えばよいか迷う債務者は、譲渡制限の付いた金銭債権が譲渡されたときは、その全額を供託することができます(466条の2第1項)。

譲渡制限を知っていた譲受人には、債務者は支払を拒める。
譲渡制限を知っていた譲受人には、債務者は支払を拒める。

債務者に対抗するには、譲渡人の通知か債務者の承諾が要ります

債権が譲渡されたことを債務者が知らなければ、債務者は元の債権者に支払ってしまいます。そこで、譲渡人が債務者に通知をするか、債務者が承諾をしなければ、譲受人は債務者に「私に支払ってください」と主張できません(467条1項)。通知は譲渡人がするもので、譲受人が自分で通知しても対抗要件になりません。通知と承諾はどちらか一方があれば足り、通知が債務者に届いていなくても、債務者が譲渡を承諾していれば、譲受人は債務者に対抗できます。

債務者以外の第三者には、確定日付のある証書で対抗します

Aが同じ債権をCにもDにも譲渡した場合や、Aの債権者が同じ債権を差し押さえた場合には、誰が優先するかを決めなければなりません。債務者以外の第三者に対抗するには、通知又は承諾を、確定日付のある証書によってする必要があります(467条2項)。確定日付のある証書とは、内容証明郵便や公正証書のように、その日付に作られたことを公に証明できる書面です。当事者が日付をさかのぼらせて、優先順位を作り変えることを防ぎます。

ほかの譲受人や差押債権者に対抗するには、確定日付のある証書による通知・承諾が要る。
ほかの譲受人や差押債権者に対抗するには、確定日付のある証書による通知・承諾が要る。

債務者は、譲渡人に言えたことを譲受人にも主張できます

債権は内容を変えないまま移るので、債務者は、対抗要件具備時(通知又は承諾の時)までに譲渡人に対して生じた事由を、譲受人にも主張できます(468条1項)。既に譲渡人に支払っていた、という主張がその例です。相殺も同じで、債務者は、対抗要件具備時より前に取得した譲渡人に対する債権による相殺を、譲受人に対抗できます(469条1項)。通知を受ける前から譲渡人に貸金債権を持っていた債務者は、通知の後に譲受人から請求されても、その貸金債権で相殺できます。

民法 467条

債権の譲渡(現に発生していない債権の譲渡を含む。)は、譲渡人が債務者に通知をし、又は債務者が承諾をしなければ、債務者その他の第三者に対抗することができない。 2 前項の通知又は承諾は、確定日付のある証書によってしなければ、債務者以外の第三者に対抗することができない。

試験ではこう問われる

  1. 譲渡制限の意思表示がされた債権でも譲渡は有効で、譲受人が悪意や重過失でも債権を取得する(466条2項)
  2. 悪意・重過失の譲受人に対しては、債務者は履行を拒み、譲渡人に対する弁済などを対抗できる(466条3項)。その譲受人からの転得者が善意で重過失もなければ、債務者は拒めない
  3. 譲渡制限の意思表示がされた金銭債権が譲渡されたとき、債務者は債権の全額に相当する金銭を供託できる(466条の2)
  4. 譲渡の時にまだ発生していない将来の債権の譲渡も有効で、譲受人は発生した債権を当然に取得する(466条の6)
  5. 債務者への対抗は譲渡人の通知又は債務者の承諾。債務者以外の第三者への対抗は、確定日付のある証書による通知又は承諾(467条)。通知が到達していなくても、債務者が承諾すれば債務者に対抗できる
  6. 債務者は、譲渡の通知を受ける前に取得していた譲渡人に対する債権による相殺を、譲受人に対抗できる(469条1項)
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