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時効の完成猶予・更新じこうのかんせいゆうよ・こうしん

権利関係 民法(意思表示・代理・時効) 過去問で5肢

完成猶予は、裁判上の請求や催告などの事由がある間、時効が完成しないことで、更新は、それまでに進んだ期間が効力を失い、時効が新たに進行を始めることです(147条以下)。つまり、完成猶予は時効の完成を先に延ばすだけで、更新は期間を数え直します。

貸したお金の時効が来月で完成してしまう。債権者は、時効が完成する前に手を打たなければなりません。訴えを起こす、内容証明郵便で支払を求める、債務者に「払います」と認めてもらう、といった方法があります。こうした事由があったときに、時効の完成を先に延ばすのが完成猶予で、期間を最初から数え直すのが更新です。2020年4月より前の民法では「中断」「停止」と呼ばれていましたが、効果が分かりやすいように今の言葉に改められました。

完成猶予は完成を先に延ばし、更新は期間を数え直す。
完成猶予は完成を先に延ばし、更新は期間を数え直す。

裁判上の請求は、まず完成猶予で、権利が確定すると更新です

訴えを起こすと(裁判上の請求)、その手続が終わるまでの間、時効は完成しません(147条1項)。そして、確定判決又は確定判決と同一の効力を有するものによって権利が確定したときに、時効は新たに進行を始めます(147条2項)。裁判上の和解は確定判決と同一の効力を持つので、和解が成立すれば更新されます。訴えを取り下げた場合や、訴えを却下する判決が確定した場合は、権利が確定していないので更新されず、手続が終わった時から6か月間、完成が猶予されるだけです。請求を棄却する判決が確定した場合も、権利があるとは認められていないので、更新は生じません。

訴えを起こすと完成が猶予され、判決や和解で権利が確定すると更新される。
訴えを起こすと完成が猶予され、判決や和解で権利が確定すると更新される。

催告は、6か月だけ完成を猶予します

催告とは、裁判を使わずに債務者に支払を求めることで、内容証明郵便で請求するのが典型です。催告があると、その時から6か月を経過するまでの間、時効は完成しません(150条1項)。催告には更新の効果がないので、6か月の間に訴えを起こすなどの手続をとらなければ、時効は完成してしまいます。猶予されている間にもう一度催告しても、さらに延びることはありません(150条2項)。権利について協議を行う旨の合意が書面でされたときも、合意の時から1年を経過した時などまで、時効の完成が猶予されます(151条1項)。

権利の承認があると、その時から新たに進行します

時効は、権利の承認があったときは、その時から新たに進行を始めます(152条1項)。承認とは、債務者が「たしかに借りています」と権利があることを認めることです。借金の一部を返すことや、支払を待ってほしいと頼むことも、権利があることを前提にした行動なので、承認に当たると解されています。債務者自身が認めているのだから、権利があるかどうかの証拠がはっきりし、債権者も急いで裁判を起こす必要がなくなるからです。

債務者が権利を認めると、時効はその時から数え直しになる。
債務者が権利を認めると、時効はその時から数え直しになる。

効力が及ぶのは、当事者とその承継人の間だけです

完成猶予や更新は、その事由が生じた当事者及びその承継人の間においてのみ、効力を有します(153条)。3人が連帯して債務を負っている場合に、債権者がそのうちの1人だけを訴えても、ほかの2人の時効には影響しません(441条)。時効を止めたい相手ごとに、手続をとる必要があります。例外として、主たる債務者に対する履行の請求などによる完成猶予と更新は、保証人に対しても効力を生じます(457条1項)。

民法 147条

次に掲げる事由がある場合には、その事由が終了する(確定判決又は確定判決と同一の効力を有するものによって権利が確定することなくその事由が終了した場合にあっては、その終了の時から六箇月を経過する)までの間は、時効は、完成しない。一 裁判上の請求 二 支払督促 … 2 前項の場合において、確定判決又は確定判決と同一の効力を有するものによって権利が確定したときは、時効は、同項各号に掲げる事由が終了した時から新たにその進行を始める。

試験ではこう問われる

  1. 訴えの提起後に訴えが取り下げられた場合、時効の更新の効力は生じない(147条)
  2. 訴えの却下の判決が確定した場合も、請求棄却の判決が確定した場合も、時効の更新の効力は生じない
  3. 訴えの提起後に裁判上の和解が成立した場合は、確定判決と同一の効力を有するものによって権利が確定するので、時効は更新される(147条2項)
  4. 権利についての協議を行う旨の合意が書面でされたときは、その合意があった時から1年を経過した時などまで、時効は完成しない(151条1項)。2020年4月施行の改正で新設された規定
  5. 債権者が連帯債務者の一人に裁判上の請求をしても、特段の合意がなければ、他の連帯債務者の消滅時効の完成には影響しない(441条)
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