不在者の財産管理人ふざいしゃのざいさんかんりにん
従来の住所又は居所を去った者(不在者)の財産を管理する人です。不在者が管理人を置かなかったときは、家庭裁判所が利害関係人又は検察官の請求により選任し、その管理人は保存行為などはできますが、それを超える売却などには家庭裁判所の許可が要ります(民法25条・28条)。
親が家を出たまま連絡がつかなくなり、実家の土地と建物が放置されている。固定資産税の通知は届き、屋根は傷み、隣地との境界の話し合いも進まない。本人がいない以上、誰も財産に手を付けられず、本人にも周りにも損が広がります。そこで民法25条以下は、従来の住所又は居所を去った者を「不在者」と呼び、その財産を管理する仕組みを定めました。不在者が自分で管理人を置いていなければ、家庭裁判所が管理人を選ぶなど、財産の管理について必要な処分を命じます。

生死不明でなくても、家庭裁判所が管理人を選べます
25条1項の要件は、不在者がその財産の管理人を置かなかったことです。不在者が生きていることが分かっていても、生死が分からなくても、財産が放置されていれば管理の処分を求められ、7年といった期間の経過も要りません。請求できるのは利害関係人又は検察官で、選ぶのは家庭裁判所です。生死が7年間明らかでないことを要件とするのは失踪の宣告で、財産の管理とは別の制度です。
本人が置いた管理人も、生死不明なら改任できます
不在者が自分で管理人を置いていた場合は、本人が決めたことなので、原則として家庭裁判所は口を出しません。ただし、その不在者の生死が明らかでないときは、家庭裁判所は、利害関係人又は検察官の請求により、管理人を改任、つまり別の人に替えることができます(26条)。条文に理由は書いていませんが、生死も分からない本人には管理人を見張ることも替えることもできないからと考えられます。
保存行為はでき、売却などには家庭裁判所の許可が要ります
家庭裁判所が選んだ管理人の権限は、103条の権限、つまり保存行為と、財産の性質を変えない範囲の利用・改良に限られます(28条)。建物の修理は保存行為なので単独ででき、建物の売却は財産の性質を変える処分なので、家庭裁判所の許可を得て行います。判例は、不在者を被告とする建物収去土地明渡しの判決に控訴することは、財産を守る保存行為に当たり、許可は要らないとしています。管理人は財産の目録を作り(27条1項)、家庭裁判所は不在者の財産から管理人に相当な報酬を与えることができます(29条2項)。

民法 28条管理人は、第百三条に規定する権限を超える行為を必要とするときは、家庭裁判所の許可を得て、その行為をすることができる。不在者の生死が明らかでない場合において、その管理人が不在者が定めた権限を超える行為を必要とするときも、同様とする。
試験ではこう問われる
- 不在者が管理人を置かなかったときの財産管理の処分に、生死が7年間明らかでないことは要らない。「7年間明らかでない場合に限り」は誤り
- 不在者が置いた管理人も、不在者の生死が明らかでないときは、利害関係人又は検察官の請求により家庭裁判所が改任できる
- 家庭裁判所が選任した管理人は、保存行為として自宅を修理でき、家庭裁判所の許可を得れば売却もできる
- 不在者を被告とする建物収去土地明渡請求を認容した判決への控訴は保存行為で、家庭裁判所の許可は要らない
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