土地の保全義務と勧告とちのほぜんぎむとかんこく
宅地造成等工事規制区域内の土地の所有者、管理者又は占有者が、宅地造成等に伴う災害が生じないよう、その土地を常時安全な状態に維持するように努める義務と、都道府県知事が災害の防止のため必要な措置をとるよう求める勧告です(22条)。つまり、工事が終わった後の土地を今持っている人、使っている人に安全を保たせる仕組みです。
30年前に山を削って造られた住宅地を、中古で買ったとします。擁壁を造ったのは昔の造成会社ですが、その擁壁にひびが入って崩れれば、下の家や道路に被害が出ます。盛土規制法は、工事をした人が誰であっても、今その土地を持っている人や使っている人に、土地を安全に保つよう努めることを求めています。危ないと分かれば、都道府県知事が手当てをするよう勧告します。

努力義務を負うのは、土地の所有者、管理者、占有者です
22条1項は、宅地造成等工事規制区域内の土地の所有者、管理者又は占有者は、宅地造成等に伴う災害が生じないよう、その土地を常時安全な状態に維持するように努めなければならないと定めています。管理者とは所有者から管理を任された人、占有者とは借主など現にその土地を使っている人のことです。工事主(工事の注文者など)や工事施行者(工事を請け負った者など)は、ここに入っていません。工事が終わって土地が人手に渡れば、日々その土地の様子を見て手入れができるのは、今の所有者や使っている人だからです。

区域の指定前に行われた造成の土地も、対象になります
22条1項の宅地造成等には、宅地造成等工事規制区域の指定前に行われたものも含まれます。規制区域が指定される何十年も前に造成された土地でも、今その区域の中にあれば、所有者は安全に保つよう努めなければなりません。古い造成地ほど擁壁や排水の傷みが進んでいることが多く、指定の後の工事だけを対象にしたのでは災害を防げないからです。「努めなければならない」という定めなので、守らなかったことそのものに罰則はありません。
知事の勧告は、工事主や工事施行者にも向けられます
22条2項は、都道府県知事は、宅地造成等に伴う災害の防止のため必要があると認める場合には、その土地の所有者、管理者、占有者、工事主又は工事施行者に対し、擁壁等の設置又は改造その他必要な措置をとることを勧告することができると定めています。勧告とは、こうしてくださいと行政が求めることで、従う義務までは生じません。相手に工事主と工事施行者が加わるのは、工事のやり方に原因があるときは、工事をした側に直させるのが筋だからです。放置すれば災害の発生のおそれが大きい土地には、勧告より強い改善命令(23条)が用意されています。

宅地造成及び特定盛土等規制法 22条宅地造成等工事規制区域内の土地の所有者、管理者又は占有者は、宅地造成等(宅地造成等工事規制区域の指定前に行われたものを含む。次項及び次条第一項において同じ。)に伴う災害が生じないよう、その土地を常時安全な状態に維持するように努めなければならない。
2 都道府県知事は、宅地造成等工事規制区域内の土地について、宅地造成等に伴う災害の防止のため必要があると認める場合においては、その土地の所有者、管理者、占有者、工事主又は工事施行者に対し、擁壁等の設置又は改造その他宅地造成等に伴う災害の防止のため必要な措置をとることを勧告することができる。
試験ではこう問われる
- 宅地造成等工事規制区域内の土地の所有者、管理者又は占有者は、宅地造成等に伴う災害が生じないよう、その土地を常時安全な状態に維持するように努めなければならない(22条1項)
- 保全の努力義務を負う者に、工事主と工事施行者は入っていない。「工事主又は工事施行者は、常時安全な状態に維持するように努めなければならない」は誤り
- 過去に工事が行われ、現在は工事主とは異なる者が所有している土地でも、現在の所有者が努力義務を負う。区域の指定前に行われた宅地造成等も含む
- 都道府県知事は、災害の防止のため必要があると認める場合、土地の所有者、管理者、占有者、工事主又は工事施行者に対し、擁壁等の設置等の措置をとることを勧告することができる(22条2項)
- 特定盛土等規制区域内の土地にも、同じ保全の努力義務と勧告がある(41条)
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