改善命令かいぜんめいれい
災害の防止のため必要な擁壁等が設置されておらず、又は極めて不完全であるために、放置すると災害の発生のおそれが大きいと認められる土地について、都道府県知事が土地又は擁壁等の所有者・管理者・占有者に対し、相当の猶予期限を付けて擁壁等の設置などの工事を命ずることです。つまり、今ある危ない造成地を、今の持ち主に期限付きで直させる命令です。
20年前に造成された住宅地の裏に、擁壁のないむき出しの崖が残っているとします。工事はとうに終わり、当時の工事主はもういません。それでも大雨で崩れれば下の家に土砂が流れ込むので、知事は今の土地の持ち主に「期限までに擁壁を造りなさい」と命ずることができます。これが改善命令で、工事の途中で工事主を止める監督処分とは相手も場面も違います。宅地造成等工事規制区域、特定盛土等規制区域、造成宅地防災区域のそれぞれに条文があります。

要件は、擁壁等が無く放置すると災害のおそれが大きいことです
命令できるのは、災害の防止のため必要な擁壁等が設置されておらず、若しくは極めて不完全であり、又は土石の堆積に伴う災害の防止のため必要な措置がとられておらず、若しくは極めて不十分であるために、放置すると災害の発生のおそれが大きいと認められる土地です。区域の指定前に行われた宅地造成等でできた土地も含みます。いつ造られたかではなく、今どれだけ危ないかで判断する制度です。
相手は今の所有者・管理者・占有者で、猶予期限が付きます
命令の相手は、土地又は擁壁等の所有者、管理者又は占有者です。所有者だけでなく、借りて管理している人や実際に使っている人にも命じられます。命令には相当の猶予期限を付け、内容は災害の防止のため必要であり、かつ土地の利用状況その他の状況からみて相当と認められる限度にとどめます。命ずる工事は、擁壁等の設置若しくは改造、地形若しくは盛土の改良、又は土石の除却です。
原因を作った第三者に命ずることもできます
危険の原因が、今の持ち主ではなく他人の不完全な工事その他の行為にあることが明らかな場合があります。その行為をした者に工事をさせることが相当で、かつ今の持ち主に異議がないときは、知事はその行為をした者に工事の全部又は一部を命ずることができます。原因が隣地の盛土や土石の堆積なら、その隣地の所有者も含みます。命じた工事が期限までに行われないときは、知事が自ら措置を講じ、費用を負担させることができます。

三つの区域のどれにもあり、その前段階に勧告があります
改善命令は宅地造成等工事規制区域だけの制度ではなく、特定盛土等規制区域と造成宅地防災区域にも同じ命令があります。造成宅地防災区域の命令は、宅地で行われた宅地造成又は特定盛土等に関するものに限られ、土石の除却は含みません。命令の手前には、知事が擁壁等の設置や改造などの措置をとるよう勧告する制度が三つの区域それぞれにあります。命令に違反すると、1年以下の拘禁刑又は300万円以下の罰金です。
宅地造成及び特定盛土等規制法 23条1項都道府県知事は、宅地造成等工事規制区域内の土地で、宅地造成若しくは特定盛土等に伴う災害の防止のため必要な擁壁等が設置されておらず、若しくは極めて不完全であり、…これを放置するときは、宅地造成等に伴う災害の発生のおそれが大きいと認められるものがある場合においては、…当該宅地造成等工事規制区域内の土地又は擁壁等の所有者、管理者又は占有者…に対して、相当の猶予期限を付けて、擁壁等の設置若しくは改造、地形若しくは盛土の改良又は土石の除却のための工事を行うことを命ずることができる。
試験ではこう問われる
- 宅地造成等工事規制区域内の土地の所有者・管理者・占有者は、宅地造成等に伴う災害が生じないよう、土地を常時安全な状態に維持するように努める(22条1項)。工事主と別人である現在の所有者も、区域の指定前に造成された土地の所有者も負う
- この努力義務の主体を「工事主又は工事施行者」とした肢は誤り
- 知事は、災害の防止のため必要があるときは、所有者・管理者・占有者・工事主・工事施行者に、擁壁等の設置などの措置を「勧告することができる」(22条2項)
- 改善命令は、擁壁等が設置されておらず、又は極めて不完全で、放置すると災害の発生のおそれが大きい場合に、土地又は擁壁等の所有者・管理者・占有者に、相当の猶予期限を付けて出す(23条1項)
- 保全の努力義務・勧告・改善命令は、特定盛土等規制区域(41条・42条)と造成宅地防災区域(46条・47条)にもある
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