スタディング宅建講座の公表情報|スマホ完結の評価軸
スタディング宅建士講座について公式サイトが公表しているコース構成・価格・学習機能・合格お祝い制度を2026年8月時点の情報で整理し、スマホ完結型の講座をどう評価するかを解説します。
目次
この記事は、スタディングの宅建士講座について公式サイトが公表している事実を整理し、あわせてスマートフォン中心のオンライン完結型講座をどう評価するかを扱うものです。講座全体の比較は「宅建通信講座の比較」、オンライン学習全般の進め方は「宅建のオンライン学習」で扱っています。
この記事の立場を先に書きます。ここに書くのは、事業者が公式サイトで公表している内容と、その読み方だけです。受講した感想や、出所を示せない評判は書きません。良い講座か悪い講座かを断定することもしません。判断の材料になる事実と、その事実の読み方を示すところまでが役割です。
この記事の情報源と時点
以下に示すコース構成、価格、機能、制度の条件は、2026年8月28日時点でスタディングの公式サイトに掲載されていた内容にもとづきます。
オンライン講座の価格とコース構成は、合格目標年度の切り替わりやキャンペーンによって変わります。実際に申し込む際は、必ずその時点の公式サイトで確認してください。この記事の数字は判断の目安であって、申込時の条件そのものではありません。
宅建試験の合格率については、一般財団法人不動産適正取引推進機構の公表値を用います。令和7年度は18.7%、令和6年度は18.6%です。
公表されているコース構成と価格
三つのコースと二つの版
2026年8月28日時点で、宅建士合格コースとして2026年と2027年の両年度に対応するコースが案内されており、ミニマム、スタンダード、コンプリートの三段階に分かれています。さらに、スタンダードとコンプリートには冊子付版とペーパーレス版の二つの版があります。
税込価格は、ミニマムのペーパーレス版が14,960円、スタンダードが冊子付版24,800円・ペーパーレス版19,800円、コンプリートが冊子付版29,800円・ペーパーレス版24,800円と表示されています。分割払いの案内もあり、コンプリートの冊子付版であれば月々2,727円からと表示されています。
つまり、価格差は二つの軸で生じます。コースの段階による差と、紙の教材が付くかどうかによる差です。この二軸を分けて考えないと、何にいくら払っているのかが分からなくなります。
全コースに共通して含まれるもの
公表されている内容によれば、すべてのコースに短期合格セミナー、超入門講座、基本講座、WEBテキストが含まれます。
つまり、最も安いミニマムでも、講義とテキストによるインプットは一通りそろっています。逆にいえば、ミニマムに含まれないのは演習の部分です。
上位コースで増えるもの
上位のコースでは、一問一答形式のスマート問題集、過去問集、模試、そして質問に使うQAチケットが加わると案内されています。コンプリートにはQAチケットが10枚分付属し、追加購入は1枚1,500円からとされています。
ここから読み取れるのは、価格帯の差が主に演習量と質問の枠で構成されているということです。講義を聞く部分は共通で、問題を解く部分と人に聞く部分が上位コースの内容になっています。
この構造は、自分に必要なものを判断するうえで役立ちます。演習の素材を市販の問題集や過去問で用意できるなら下位コースで足り、そろえる手間を省きたいなら上位コースが合う、という切り分けになります。過去問の使い方は「過去問の活用法」で扱っています。
更新版という価格帯
再受講者向けに更新版が用意されており、ミニマム7,480円、スタンダード9,500円から、コンプリート11,900円からという価格が表示されています。
一度受講した人が翌年度も継続する場合の価格が別に設定されている、という点は、複数年での受験を想定するときの判断材料になります。年度をまたぐ可能性がある人は、初年度の価格だけでなく、この継続時の価格まで見て総額を考えてください。
冊子付版とペーパーレス版の差をどう見るか
スタンダードで比べると、冊子付版とペーパーレス版の差は5,000円です。この差額で紙のテキストが付くかどうかが決まります。
判断の仕方は単純です。市販の基本テキストを一冊買うといくらかかるかと比べて、それより高いか安いかを見ます。ただし、市販テキストと講座のテキストは内容が別なので、講義と対応しているという利点は市販テキストにはありません。講義を聞きながら同じ紙面を追えるかどうかに価値を感じるなら冊子付版、紙は自分で選びたいならペーパーレス版に市販テキストを足す、という選び方になります。市販教材の選び方は「おすすめテキスト」で扱っています。
学習機能は何をしているのか
スタディングの案内には、AI問題復習、AI実力スコア、学習レポート、勉強仲間機能といった機能が挙げられています。こうした機能を評価するときは、効果を数値で語るのではなく、仕組みとして何をしているのかを見てください。
AI問題復習
これは、解いた問題を一定の間隔をおいて再び出題する仕組みです。いつ再出題するかを、学習履歴にもとづいて自動的に決めます。
この機能が肩代わりしているのは、何をいつ復習するかという判断です。独学では、間違えた問題を記録し、一定期間後に解き直す作業を自分で管理することになります。その管理を仕組みに任せられる、というのが提供されている価値です。
一方で、この機能があれば覚えられるということではありません。出題された問題を実際に解くのは自分です。復習の設計そのものについては「宅建の暗記術」で扱っています。仕組みを使うにしても、なぜ間隔をあけて解き直すのかを理解していたほうが、出題された問題への向き合い方が変わります。
AI実力スコア
学習の履歴から、現時点の実力を数値として示す機能として案内されています。
この種の指標を見るときに大切なのは、その数値が何から計算されているかです。講座内で解いた問題の正答率にもとづく数値であれば、それは講座内の問題に対する到達度であって、本試験の得点を予測するものとは限りません。数値の上下を目安として使うのは有効ですが、合格の可能性そのものを示すものとして受け取らないでください。
自分の位置を確かめる手段としては、時間を計って過去問や模試を解くほうが直接的です。模試の使い方は「模試の活用法」、採点後の扱い方は「自己採点と復習」で扱っています。
学習レポート
学習した時間や進捗を記録し、グラフなどで表示する機能です。提供しているのは記録と可視化であって、学習そのものではありません。
それでも意味はあります。学習が続かない原因の一つは、どれだけやったかが見えないことにあるからです。記録が残れば、先週より進んでいるのか止まっているのかが判断できます。ただし、記録を眺める時間が学習時間を圧迫しては本末転倒です。確認は週に一度で足ります。
勉強仲間機能
同じ資格を目指す人の学習状況が見える機能として案内されています。他人の進み具合が見えることが励みになる人と、比較して消耗する人がいます。
自分がどちらかは、使ってみないと分かりません。合わないと感じたら使わなければよい機能なので、これを理由に講座を選ぶ必要はありません。
機能は仕組みで評価する
四つの機能に共通して言えるのは、いずれも学習を代替するものではなく、管理や記録を肩代わりするものだということです。
講座を比較するとき、機能名の多さで判断すると実態を見誤ります。その機能が何を肩代わりしているのか、自分はその作業を苦にしているのか、という順で考えてください。復習の管理が面倒で続かなかった人にとっては価値があり、自分で記録を作れる人にとっては重複します。
質問はチケット制
学習中の疑問については、学習Q&Aサービスとして講師が対応する仕組みが案内されています。利用にはQAチケットが必要で、コンプリートには10枚分が付属し、追加購入は1枚1,500円からとされています。
ここは講座選びで確認すべき項目の一つです。質問できるかどうかだけでなく、何回できるのか、追加にいくらかかるのかまで含めて、自分の学習に足りるかを考えてください。
法律の学習が初めてで、権利関係の理解に不安がある場合、質問の枠は多いほうが安心です。一方、独学で一度受験した経験があり、つまずく箇所が限られているなら、少ない枠でも足ります。質問の枠が価格差の一部を構成している以上、自分に必要な枠数から逆算してコースを選ぶのが合理的です。
合格お祝い制度の条件
公表されている合格お祝い制度は、対象コースを購入し、宅建試験に合格した人にデジタルギフト3,000円分を進呈するというものです。ギフトはAmazonギフトカードなどから選べると案内されています。
条件として挙げられているのは、対象コースの購入、対象年度の試験への合格、アンケートおよび合格体験談の記入、そして合格年度に応じた期限までに連絡することです。合格体験談については、同社のウェブサイト、パンフレット、広告、SNS、書籍その他の媒体に掲載される場合があると記載されています。法人申込みや法人クーポンの利用は対象外とされています。
対象コースは、ミニマムを含む複数のコースと更新版が列挙されており、上位コースに限定される設計にはなっていません。
条件の読み方は、他社の特典と同じです。金額の大きさではなく、求められる行為を自分が実行できるかで判断します。体験談が広告等に掲載される可能性を受け入れられるかどうかは、事前に考えておいてください。特典の条件の読み方をより詳しく扱ったものとして「アガルート宅建講座の公表情報」もあります。
公表されている合格者数の読み方
1,230名という数字が何を数えているか
スタディングの公式サイトには、2025年試験の合格者数として1,230名、累計で3,388名という数字が掲載されています。
重要なのは、この数字の説明として、宅建合格コースを受講し、合格体験記を提出した人の人数にもとづくと明記されている点です。つまり、この1,230名は、合格した受講生の全員ではなく、合格したうえで体験記を提出した人の数です。
合格率としては計算できない
ここから合格率を出すことはできません。合格率を出すには分母、つまり受講生が何人いたのかが必要ですが、その数は公表されていません。
そして、この記事では自前の計算で合格率を導くことはしません。仮に受講者数の推定値を使って割り算をすれば数字は出ますが、それは推定にもとづく数値であって、事実ではないからです。
むしろ、合格者数という形で公表していること自体は、分母のない数字を合格率として示すよりも、扱いとしては明確です。読む側は、これが実数の下限を示す数字であること、すなわち体験記を出さなかった合格者は含まれていないことを理解して受け取ればよいことになります。
累計の数字の扱い
累計3,388名という数字は、複数年度の合計です。単年度の数字と並べて比べることはできません。
事業者の実績を見るときは、単年度の数字なのか累計なのかを必ず確認してください。累計は年数を重ねるほど大きくなるため、規模の比較には使えても、その年の成果を示すものではありません。
全国の合格率という基準
比較の基準になる全国の合格率は、不動産適正取引推進機構が毎年公表しています。令和7年度は受験者245,462人に対して合格者45,821人で18.7%、令和6年度は18.6%でした。年度ごとの推移は「宅建試験の合格率推移」で扱っています。
事業者間で比較できない理由
通信講座の実績は、事業者ごとに公表の形式が違います。合格者数を出すところ、合格率を出すところ、どちらも出さないところがあります。合格率を出している場合も、分母を受講生全員とするのか、受験した人だけとするのか、アンケートに回答した人だけとするのかで数値は大きく変わります。
したがって、事業者Aの合格率と事業者Bの合格者数を並べて優劣を論じることはできません。この記事で他社との比較表を作っていないのは、この理由によります。数値を見るときは、大きさではなく、何を数えたものかという定義を見てください。同じ観点からフォーサイトの公表値を扱ったものとして「フォーサイト宅建講座の公表情報」があります。
スマホ完結型の講座をどう評価するか
ここからは、スタディングに限らず、スマートフォン中心のオンライン完結型講座を検討するときの視点を整理します。
学習が起きる場所から考える
最初に決めるべきなのは、自分の学習が実際にどこで起きるかです。机に向かう時間が一日一時間取れる人と、移動中の細切れの時間しか取れない人では、必要な形式が違います。
スマホ完結型が効くのは、まとまった時間が取りにくく、移動や待ち時間が学習時間の中心になる場合です。紙のテキストは移動中に開きにくく、開けても書き込めません。この条件では、端末一つで完結する形式に明確な利点があります。細切れ時間の使い方は「スキマ時間の勉強法」で扱っています。
逆に、家で机に向かう時間が確保できるなら、スマホ完結であることの利点は小さくなります。その場合、価格の安さと引き換えに紙がないことの不便を引き受けるかどうか、という判断になります。
一覧性という弱点
デジタル教材の弱点として現実的なのが、一覧性です。紙であれば、見開きで全体を見渡し、前後のページを行き来しながら比較できます。画面では表示できる範囲が限られ、行き来にも操作が要ります。
これが効くのは、複数の制度を並べて比較する場面です。35条書面と37条書面の違い、営業保証金と弁済業務保証金の違い、開発許可と届出の面積要件。こうした比較は、並べて見られるかどうかで理解の速度が変わります。
対策は、比較が必要な箇所だけを自分で紙に書き出すことです。教材全体を紙にする必要はなく、混ざる論点だけを一枚にまとめれば足ります。この作業の進め方は「宅建でノートは必要か」で扱っています。
手を動かす場面をどう作るか
権利関係の事例問題は、登場人物と権利の向きを図にすると処理が速くなります。この作業は、画面上より紙のほうが速いことが多いものです。
スマホ完結型を選ぶ場合でも、白紙とペンは手元に置いてください。教材が紙かどうかと、自分が手を動かすかどうかは別の問題です。図を描く習慣がないまま権利関係に入ると、画面を見つめる時間だけが増えます。
本番は紙で行われる
見落とされやすい点として、宅建試験は紙の問題用紙とマークシートで実施されます。画面上で選択肢をタップして解答する形式に慣れきっていると、本番の形式との差が残ります。
差が出るのは、問題文への書き込み、選択肢の消し込み、時間配分の感覚です。少なくとも直前期には、時間を計って紙で解く機会を作ってください。当日の運用については「試験当日ガイド」で扱っています。
通信環境と端末の条件
オンライン完結型は、動画の視聴や問題の利用に通信環境が必要です。ダウンロード機能の有無、オフラインで使える範囲は、講座ごとに違います。
通信量の上限がある契約で動画を見続けると、月末に使えなくなることがあります。学習の中心を移動中に置くつもりなら、契約している通信量と、講座のオフライン対応を先に確認してください。端末の画面の大きさも実際に効きます。タブレットを使う場合の環境については宅建のオンライン学習で扱っています。
可処分時間の形を見る
結論として、スマホ完結型が向くかどうかは、価格ではなく可処分時間の形で決まります。細切れの時間が中心なら向き、まとまった時間が取れるなら他の形式も選べます。
自分の時間の形を把握していないまま価格で選ぶと、安く買った講座を開かないまま終わります。必要な学習量の見込みは「宅建の勉強時間の目安」で確認できます。
オンライン完結型で学習が止まるとき
価格や機能の比較とは別に、実際に使い始めてから止まる原因も知っておく価値があります。スマホ完結型には、この形式に特有の止まり方があります。
動画を見ただけで進んだ気になる
最も多い形が、講義を視聴した時間を学習時間として数えてしまうことです。学習レポートに視聴時間が積み上がるため、進んでいる感覚は得られます。しかし試験で問われるのは、四つの選択肢の正誤を判定できるかどうかです。
読んで分かった状態、聞いて分かった状態と、何も見ずに要件を挙げられる状態は別物です。視聴のあとに必ず問題を解く順序を固定してください。一つの講義を見たら、その範囲の問題をその場で解く。この往復が入っていない学習は、時間だけが積み上がります。一問一答形式の使い方は「一問一答アプリの使い方」で扱っています。
アプリを開かない日が続く
紙の教材と違い、デジタルの教材は視界に入りません。机の上に開いたままのテキストは目に入りますが、閉じた端末の中の講座は、意識して開かない限り存在しないのと同じです。
対策は、開く時刻か場面を決めてしまうことです。乗り換えの電車に座ったら開く、昼食の後に開く、というように、行動と紐づけると起動の判断が要らなくなります。学習を続ける仕組みの作り方は「学習アプリを使う理由」でも扱っています。
通知と他のアプリに流れる
端末で学習する以上、同じ端末に他のアプリがあります。問題を解いている途中に通知が入れば、そこで途切れます。
これは意志の問題として処理しないほうが確実です。学習の時間帯だけ通知を切る、通信を切ってオフラインで使える範囲を先に確保しておく、といった設定で対処してください。設定で防げるものを、集中力で防ごうとしないことです。
演習に入るのが遅れる
下位のコースを選んだ場合、講義とテキストは手元にありますが、問題が付いていません。演習教材を別に用意する必要があるのに、講義を見進めているうちに時間が過ぎ、演習に入るのが直前になる、という順序の崩れが起こります。
安いコースを選ぶ判断そのものは合理的です。ただし、演習の素材をいつ用意するかを、申込みと同時に決めておいてください。市販の過去問集を先に買っておけば、この崩れは防げます。
無料で試せる範囲があるなら先に試す
多くのオンライン講座では、購入前に一部の講義や問題を試せる仕組みが用意されています。用意されている場合は、必ず先に試してください。確認すべきなのは、内容の善し悪しではなく、自分の環境で使えるかどうかです。
見るべき点は四つあります。第一に、講義の速度と話し方が自分に合うか。倍速で聞くつもりなら、倍速でも聞き取れるかまで確認します。第二に、問題を解く画面の操作感です。選択肢の選び方、解説の表示、間違えた問題の記録の仕方は、毎日何十回も繰り返す操作なので、わずかな使いにくさが積み重なります。
第三に、自分の端末での見え方です。テキストの文字の大きさ、図の見やすさは画面のサイズで変わります。普段使う端末で確認してください。第四に、通信量です。数本の講義を視聴して、どれくらい消費するかを見ておくと、月間の見込みが立ちます。
この四点は、公式サイトの説明を読んでも分かりません。実際に触って初めて分かる部分なので、試せる仕組みがあるなら、比較の最後にこの確認を置いてください。
低価格と、含まれないものの関係
何を省いて価格が下がっているか
価格が低い講座を検討するときに考えるべきなのは、なぜ安いのかです。多くの場合、答えは省いているものにあります。
公表されている内容から分かる範囲では、紙の教材が標準では付かないこと(ペーパーレス版)、質問がチケット制で回数が限られること、下位コースには演習教材が含まれないことが、価格の構成に関わっています。添削指導や個別の学習相談といった、人手のかかるサービスの案内も確認できませんでした。
これは欠点という意味ではありません。人手のかかる部分を減らせば価格は下がるという、当然の対応関係です。問題は、省かれた部分を自分で埋められるかどうかです。
省かれた分を自分で埋められるか
紙が必要なら、市販テキストを買うか冊子付版を選ぶ。演習量が必要なら、過去問集を別に買うか上位コースを選ぶ。質問先が必要なら、チケットを追加購入するか、質問の枠が広い講座を検討する。
いずれも埋められますが、埋めるには費用か手間がかかります。安さだけを見て選び、後から不足を埋めていった結果、上位コースや他社の講座と同じ金額になることがあります。
追加費用を足した総額で比べる
したがって、比較するときは、コース価格そのものではなく、自分が必要とするものをそろえた総額で比べてください。
たとえば、紙のテキストと過去問集と質問の枠が必要だと分かっているなら、それらを含む構成での価格を出して、他社の同等の構成と比べます。この作業をしないまま最安の価格だけを並べると、比較になりません。講座ごとの費用感は「宅建の予備校の選び方」で扱っています。
なお、支出を抑えることが目的なら、講座を使わない選択肢も比較の対象に入ります。無料で使える範囲は「宅建の無料教材まとめ」、独学の進め方は「宅建に独学で合格するための完全ガイド」で扱っています。
複数年度に対応する設計をどう考えるか
現在案内されているコースは、2026年と2027年の両年度の合格を目標とする形になっています。この設計をどう受け取るかは、受験の計画に直結します。
二年分あることの利点
利点は明確で、今年度に間に合わなかった場合の受け皿が最初から用意されていることです。宅建試験は年に一度しかありません。仕事や家庭の事情で学習が止まると、そこから翌年まで待つことになります。次年度も使える設計であれば、その期間の教材費を追加で払わずに済みます。
再受講者向けの更新版が別に用意されていることも合わせて考えると、複数年での受験を想定した価格設計になっていると読めます。
二年あると考えないほうがよい理由
一方で、二年使えることを前提に計画を立てるのは勧めません。期限が遠いほど、着手が遅れるからです。
宅建試験は10月の第3日曜日に実施されます。今年度に受けると決めたなら、その日から逆算して計画を立て、二年目は使わずに済ませることを目標にしてください。二年目は保険であって、計画の前提ではありません。必要な学習量の目安は勉強時間の記事で確認できます。
年度をまたぐときに確認すること
実際に二年目に持ち越す場合、確認すべきなのは教材が翌年度の法改正に対応しているかどうかです。宅建試験は、その年度に定められた基準日の時点で施行されている法令にもとづいて出題されます。前年度の内容のまま学習すると、改正部分をそのまま覚えてしまいます。
統計の数字も毎年更新されます。二年目に使うときは、法改正情報と統計がどう提供されるかを確認し、提供されないのであれば自分で公表資料から補う必要があります。
一年で決める場合の考え方
一年で決めるつもりなら、複数年度対応であることは判断材料になりません。その場合に見るべきなのは、今年度の試験日までに何をどこまで進められるかです。
申込みの時期が試験に近いほど、含まれる教材を消化しきれない可能性が高くなります。残り期間が短い状態で上位コースを買っても、演習まで手が回らなければ支払った分が使われません。残り期間に対して現実的な構成かどうかで選んでください。
確認できなかったこと
この記事を書くにあたって公式サイトを確認しましたが、次の点については記載を確認できませんでした。推測で補うことはしないので、必要な人は申込前に事業者へ直接確認してください。
第一に、受講期限です。購入したコースをいつまで利用できるのか、2026年と2027年の両年度に対応するという案内が具体的に何を意味するのかは、確認した範囲のページからは読み取れませんでした。
第二に、教育訓練給付制度の対象かどうかです。対象講座は厚生労働省の教育訓練講座検索システムで調べられます。制度の概要は「教育訓練給付制度の使い方」で扱っています。
第三に、QAチケット1枚で何回質問できるのか、回答までにどれくらいかかるのかといった運用の細部です。
試験での出題ポイント
講座選びと直接つながる、出題側の事情を三つ挙げます。
法改正の基準日
宅建試験は、その年度について定められた基準日の時点で施行されている法令にもとづいて出題されます。令和8年度の試験では、令和8年4月1日現在施行されている法令が根拠とされています。
複数年度に対応するコースや更新版を選ぶ場合、教材が受験する年度の改正に対応しているかを確認してください。年度をまたいで同じ教材を使う場合、この点が最も影響します。
統計は毎年更新される
免除科目に含まれる統計の問題は、最新の公表値が問われます。前年度の教材の数字はそのままでは使えません。
複数年度対応のコースを使う場合、統計部分の更新がどう提供されるかは確認する価値があります。自分で公表資料を見て補うこともできます。統計の対策は「統計問題の対策」で扱っています。
5問免除は誰でも使えるわけではない
問46から問50までの免除は、宅地建物取引業に従事し従業者証明書の交付を受けている人が登録講習を修了した場合に利用できる制度です。一般の受験者は対象外で、50問すべてを解くことになります。
講座の案内で免除に触れている場合、自分が対象かどうかを先に確認してください。
覚え方・整理の仕方
比較は軸を固定して書き出す
複数の講座を見比べるときは、先に軸を決めて同じ順で書き取ってください。支払う金額、含まれるもの、紙の教材の有無、質問の回数と追加費用、模試の有無、法改正への対応、特典の条件、受講期限の八つで足ります。
軸を決めずにサイトを見て回ると、目立つ機能の印象だけが残ります。
機能名ではなく肩代わりされる作業で書く
学習機能を比較の欄に書くときは、機能名ではなく、それが何を肩代わりするかを書いてください。復習の管理、記録、実力の目安。この形にすると、自分に必要かどうかを判断できます。
機能名のまま並べると、数の多さで優劣を判断してしまいます。
総額は自分の構成で計算する
価格の欄には、コースの表示価格ではなく、自分が必要なものをそろえた場合の総額を書いてください。冊子が必要なら冊子付版の価格、質問枠を増やすなら追加分、市販教材を買うならその費用を足します。
この数字で比べて初めて、価格の比較が意味を持ちます。
確認した日付を残す
価格も条件も改定されます。メモには必ず確認日を書いてください。この記事に2026年8月28日時点と明記しているのも同じ理由です。時点のない情報は、後から使えません。
理解度チェッククイズ
Q1. スタディングが公表している2025年試験の合格者数1,230名から、受講生の合格率を計算できる(○か×か)
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×:合格率を出すには分母となる受講者数が必要ですが、公表されていません。また、この1,230名という数字は、公式サイトの説明によれば宅建合格コースを受講し合格体験記を提出した人の人数にもとづくもので、合格した受講生の全員を数えたものではありません。推定値を使って自前で割り算をすることも、事実にもとづく数値にはなりません。
Q2. スタディングの合格お祝い制度は、対象コースを購入して合格しさえすればデジタルギフトを受け取れる(○か×か)
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×:公表されている条件では、対象コースの購入と合格に加えて、アンケートおよび合格体験談の記入と、合格年度に応じた期限までの連絡が必要とされています。体験談は同社のウェブサイトや広告等に掲載される場合があると記載されており、法人申込みや法人クーポンの利用は対象外とされています。
Q3. スタディングの宅建士合格コースは、どのコースを選んでも紙の冊子テキストが付属する(○か×か)
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×:2026年8月28日時点の案内では、冊子テキストが付くのはスタンダードとコンプリートの冊子付版で、ペーパーレス版には付属しません。スタンダードで比べると冊子付版24,800円とペーパーレス版19,800円の差があり、紙の有無が価格差の一部を構成しています。
Q4. AI問題復習のような機能は、復習する対象とタイミングを決める作業を肩代わりする仕組みである(○か×か)
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○:解いた問題を学習履歴にもとづいて再出題する仕組みで、何をいつ復習するかという判断を自動化しています。ただし、出題された問題を解くのは受講者自身であり、機能があること自体が定着を保証するものではありません。機能を評価するときは、効果を数値で語るのではなく、何を肩代わりしているかで見てください。
Q5. 全国の宅建試験の合格率は、令和7年度が18.7%、令和6年度が18.6%であった(○か×か)
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○:不動産適正取引推進機構の公表によれば、令和7年度は受験者245,462人に対し合格者45,821人で18.7%、令和6年度は18.6%でした。これは全受験者を分母とした値です。事業者が公表する合格者数や合格率とは、数えている対象が異なります。
よくある質問
Q. この記事の価格や条件は今も同じですか。
A. 2026年8月28日時点で公式サイトに掲載されていた内容です。オンライン講座は年度の切り替わりやキャンペーンで条件が変わります。申し込む前に、その時点の公式サイトで確認してください。
Q. 紙のテキストがなくても合格できますか。
A. 一般化して答えられる問いではありません。判断できるのは、自分の学習がどこで起きるかです。移動中が中心ならデジタルの利点が大きく、机に向かう時間が取れるなら紙の一覧性が効きます。ペーパーレス版に市販テキストを足す、冊子付版を選ぶ、という選択肢もあります。
Q. 安いコースを選んで後から足すのと、最初から上位コースを選ぶのはどちらがよいですか。
A. 必要なものが分かっているなら、それを含む構成の総額で比べてください。演習教材や質問の枠を後から足すと、結果として上位コースと同額かそれ以上になることがあります。逆に、市販の過去問集で足りると判断できるなら、下位コースを選ぶ理由になります。
Q. AIの機能があれば独学より有利ですか。
A. その比較はできません。機能が肩代わりしているのは復習の管理や記録であって、理解や記憶そのものではありません。自分で記録と復習を管理できる人にとっては重複しますし、そこが続かなかった人には価値があります。
Q. 質問は何回できますか。
A. 学習Q&Aサービスはチケット制で、コンプリートには10枚分が付属し、追加購入は1枚1,500円からと案内されています。1枚で何回のやり取りができるか、回答までの日数といった運用の細部は、確認した範囲では読み取れませんでした。必要な人は事業者に直接確認してください。
まとめ
要点を三つに整理します。
第一に、公表されている事実として、2026年8月28日時点の宅建士合格コースは三段階の構成で、税込価格はミニマムのペーパーレス版14,960円、スタンダードが冊子付版24,800円・ペーパーレス版19,800円、コンプリートが冊子付版29,800円・ペーパーレス版24,800円です。全コースに講義とWEBテキストが含まれ、上位コースで問題集・過去問集・模試・QAチケットが加わります。再受講者向けの更新版はミニマム7,480円からと案内されています。
第二に、公表されている合格者数は合格率ではありません。2025年試験1,230名、累計3,388名という数字は、合格体験記を提出した受講生の人数にもとづくと明記されており、分母が公表されていないため合格率としては計算できません。全国の合格率は令和7年度18.7%、令和6年度18.6%(不動産適正取引推進機構の公表値)で、これは全受験者を分母とした値です。
第三に、スマホ完結型が向くかどうかは価格ではなく、自分の可処分時間の形で決まります。細切れの時間が中心なら利点が大きく、まとまった時間が取れるなら紙の一覧性も選択肢に入ります。いずれにせよ、比較は表示価格ではなく、自分に必要なものをそろえた総額で行ってください。
宅建試験AIブートラボでは肢別トレーニングと年度別過去問演習を用意しています。どの講座を使う場合でも演習量は自分で積むことになるので、その場として使ってください。
肢別演習と年度別演習で、立てた学習計画をそのまま実行に移せます。間違えた肢だけを繰り返す復習にも対応しています。