不動産取得税|非課税・軽減と令和8年度の改正
不動産取得税を地方税法の条文で整理します。令和8年4月1日施行で免税点が16万円・66万円・34万円に引き上げられ、住宅の床面積要件が一律40平方メートル以上に変わった点まで扱います。
目次
本記事の役割 — 不動産取得税を、地方税法の条文にあたって要件ごとに整理します。保有段階の税は固定資産税、登記と文書への課税は登録免許税と印紙税、税目全体の見取り図は不動産にかかる税金の全体像にあります。
ここは取得という一時点への課税を担当します。計算の型は税金の計算問題を攻略を参照してください。
先に結論を三つ述べます。
第一に、不動産取得税は都道府県が課す税で、取得の時点に一度だけかかります。毎年課される固定資産税が市町村税であるのと、課税主体も課税のタイミングも対になっています。
第二に、令和8年4月1日から免税点が引き上げられました。土地10万円・建築に係る家屋23万円・その他の家屋12万円という数字は、2026年4月1日時点の条文とは一致しません。現在は土地16万円・建築に係る家屋66万円・その他の家屋34万円です。
第三に、住宅の課税標準の特例の床面積要件も同日に変わりました。「50平方メートル以上240平方メートル以下(貸家は40平方メートル以上)」という整理は現行条文と一致せず、現在は貸家かどうかを問わず一律40平方メートル以上240平方メートル以下です。
この二つはいずれも2026年4月1日ちょうどの施行なので、令和8年度試験の出題範囲に入ります。市販の教材やインターネット上の解説はまだ旧数字のものが大半なので、独立の節で扱います。
なお、本記事の条文はすべて2026年4月1日時点で施行されている版によっています。地方税法は 325AC0000000226_20260401_508AC0000000002、地方税法施行令は 325CO0000000245_20260401_508CO0000000083 です。
課税主体と課税客体
課税するのは都道府県
地方税法4条2項4号が、道府県が普通税として不動産取得税を課するものと定めています。「課することができる」ではなく「課するものとする」で、道府県に課税が義務づけられている税目です。
固定資産税が市町村税(5条2項2号)であるのと対になります。同じ不動産に関する地方税でも課税主体が違うという点は、最も基本的な出題事項です。
課税されるのは「不動産の取得」
73条の2第1項は「不動産取得税は、不動産の取得に対し、当該不動産所在の道府県において、当該不動産の取得者に課する」と定めています。
短い条文ですが、三つの要素が入っています。課税の対象は不動産の取得という行為であること。課税するのは不動産が所在する道府県であること。納税義務者は取得者であることです。
ここでいう「不動産」は73条1号により土地および家屋の総称で、償却資産は含まれません。固定資産税が土地・家屋・償却資産の三つを対象とするのと違います。
登記の有無を問わない
条文が課税の対象としているのは「取得」という事実であって、登記ではありません。したがって、登記をしていなくても現実に所有権を取得すれば課税されます。逆に、登記を先にしたからといって取得の時期が変わるわけでもありません。
登記に着目して課される税は登録免許税で、別の税目です。登録免許税と印紙税が整理しているとおり、不動産取得税が取得という行為への課税であるのに対し、登録免許税は登記という手続への課税、印紙税は文書の作成への課税です。同じ取引で三つが並んで発生しますが、課税の根拠が違います。
有償か無償かも問わない
条文は取得の原因を限定していません。売買、交換、贈与、新築、増築、改築のいずれも取得です。無償で取得しても課税されます。贈与が課税対象になるのはこのためです。
新築家屋には「みなし取得」がある
73条の2第2項が、家屋が新築された場合の特則を置いています。家屋が新築された場合には、当該家屋について最初の使用または譲渡が行われた日において家屋の取得があったものとみなし、その所有者または譲受人を取得者とみなして課税します。
ただし書が重要です。家屋が新築された日から6月を経過してもなお最初の使用または譲渡が行われない場合には、6月を経過した日において取得があったものとみなし、当該家屋の所有者を取得者とみなします。
なお附則10条の3第1項により、独立行政法人都市再生機構、地方住宅供給公社、または家屋を新築して譲渡することを業とする者で政令で定めるものが売り渡す新築住宅については、その新築が平成10年10月1日から令和13年3月31日までの間に行われたときに限り、この「6月」が「1年」に読み替えられます。分譲事業者が在庫として抱える期間を考慮した特例です。
改築も取得になる
73条の2第3項は、家屋を改築したことにより当該家屋の価格が増加した場合には、その改築をもって家屋の取得とみなして課税するとしています。
73条8号が「改築」を、家屋の壁、柱、床、はり、屋根、天井、基礎、昇降の設備その他家屋と一体となって効用を果たす設備で政令で定めるものについて行われた取替えまたは取付けで、その支出が資本的支出と認められるものと定義しています。
したがって、修繕にとどまるものは改築ではなく、また改築であっても価格が増加しなければ課税されません。
この節の要点
- 課税主体は都道府県(4条2項4号)。固定資産税の市町村と対。
- 対象は土地と家屋のみ。償却資産は含まない(73条1号)。
- 登記の有無、有償無償を問わない。取得という事実で課税される。
- 新築家屋は最初の使用または譲渡の日、なければ新築から6月(分譲事業者は1年)を経過した日に取得とみなす。
- 改築は価格が増加した場合に取得とみなす。
課税標準は台帳登録価格
73条の13第1項は「不動産取得税の課税標準は、不動産を取得した時における不動産の価格とする」と定めています。
この「価格」の意味は73条5号にあり、「適正な時価をいう」とされています。そして実務上は固定資産課税台帳に登録された価格が用いられます。
要点は、実際の取得価格ではないということです。3,000万円で買った土地でも、課税標準になるのは台帳登録価格であって売買代金ではありません。「売買契約書に記載された金額を課税標準とする」という肢は誤りになります。
73条の13第2項は、改築をもって家屋の取得とみなした場合の課税標準を「当該改築に因り増加した価格」としています。改築後の家屋全体の価格ではなく、増加分だけが課税標準です。
なお、固定資産税評価額がおおむね公示価格の7割の水準とされるのは運用上の目途であって、法令が比率を定めているわけではありません。四つの価格の関係は土地の価格4種類で扱っています。
非課税となる取得
相続は非課税、贈与は課税
73条の7は「形式的な所有権の移転等に対する不動産取得税の非課税」という見出しで、道府県が不動産取得税を課することができない場合を列挙しています。
その1号が「相続(包括遺贈及び被相続人から相続人に対してなされた遺贈を含む。)による不動産の取得」です。
括弧書きが決定的です。非課税になるのは、相続そのものに加えて、包括遺贈と、被相続人から相続人に対してなされた遺贈です。裏を返せば、相続人以外の者に対する特定遺贈は非課税になりません。「遺贈による取得は非課税」と一般化した肢は、この限定を落としています。
これに対し、贈与による取得は課税されます。同じ無償の取得でも、相続と贈与で扱いが分かれるのがこの論点の核心です。死因贈与も贈与契約である以上、73条の7第1号には当たらず課税されます。
理由づけとしては、相続が被相続人の地位をそのまま承継する形式的な移転であって、新たに担税力のある財産を取得したとは評価しにくい、という説明がされます。贈与税・相続税の側は贈与税と相続税、相続した不動産の扱いは相続した不動産の基礎にまとめています。
他の非課税事由
73条の7は1号以下に、実質的な移転を伴わない類型を並べています。2号が法人の合併または政令で定める分割による取得、2号の2が法人設立のための一定の現物出資による取得、2号の3が共有物の分割による取得(ただし分割前の持分の割合を超える部分の取得を除く)などです。
共有物の分割に括弧書きの限定が付いている点に注意してください。持分を超えて取得した部分には課税されます。形式的な移転にとどまる範囲でのみ非課税とする、という一貫した考え方です。
このほか、73条の3以下に国・地方公共団体等が取得する場合の非課税、73条の4に公共の用に供する施設等に関する非課税が置かれています。土地区画整理事業の換地についても、従前の土地に対応する部分は形式的移転として扱われます。区画整理そのものは土地区画整理法を参照してください。
免税点は令和8年度から引き上げられた
従来広く流通してきた数字
不動産取得税の免税点として、教材やインターネット上の解説の多くが「土地10万円、家屋の建築23万円、その他の家屋12万円」と記載しています。
この数字は、令和8年度試験の基準日である2026年4月1日時点の条文とは一致しません。
2026年4月1日時点の条文
73条の15の2第1項は、道府県は、不動産取得税の課税標準となるべき額が次の額に満たない場合には不動産取得税を課することができない、と定めています。
土地の取得にあっては16万円。
家屋の取得のうち建築に係るものにあっては一戸につき66万円。共同住宅等にあっては、居住の用に供するために独立的に区画された一の部分ごとに判定します。
その他のものにあっては一戸につき34万円。
改正前後の対比
2026年1月1日時点で施行されていた条文は、土地10万円、建築に係る家屋23万円、その他の家屋12万円でした。2026年4月1日施行の改正(令和8年法律第2号)により、それぞれ16万円、66万円、34万円に引き上げられています。
引上げ幅が一様でない点にも注意してください。土地が1.6倍、建築に係る家屋が約2.9倍、その他の家屋が約2.8倍です。三つの数字を「10・23・12」という組で覚えていた場合、まとめて置き換える必要があります。
「その他のもの」とは何か
条文が「家屋の取得のうち建築に係るもの」と「その他のもの」を分けている点を確認しておいてください。
建築に係るものとは、新築、増築、改築による取得です。その他のものとは、売買、交換、贈与など、既存の家屋を承継的に取得する場合を指します。新築などで取得するほうが免税点が高く設定されているという関係になります。
隣接地・一構の家屋は合算する
73条の15の2第2項は、土地を取得した者がその取得の日から1年以内に当該土地に隣接する土地を取得した場合、または家屋を取得した者がその取得の日から1年以内に当該家屋と一構となるべき家屋を取得した場合には、前後の取得をもって一の土地の取得または一戸の家屋の取得とみなして1項を適用するとしています。
小刻みに取得して免税点を潜り抜けることを防ぐ規定です。1年以内という期間と、土地なら隣接、家屋なら一構という要件をセットで押さえます。
固定資産税の免税点は変わっていない
紛らわしいので確認しておきます。固定資産税の免税点(351条)は改正されていません。土地30万円、家屋20万円、償却資産150万円のままです。
今回引き上げられたのは不動産取得税の免税点だけです。二つの税の免税点はもともと金額がまったく違いましたが、改正によって差はさらに広がりました。固定資産税側とあわせて、別々に覚えてください。
税率
標準税率は100分の4
73条の15は「不動産取得税の標準税率は、100分の4とする」と定めています。標準税率なので、道府県は条例でこれと異なる税率を定めることができます。
住宅と土地は100分の3
ただし、実際に適用されるのは附則の特例です。附則11条の2第1項は、平成18年4月1日から令和9年3月31日までの間に住宅または土地の取得が行われた場合における不動産取得税の標準税率は、73条の15の規定にかかわらず100分の3とすると定めています。
条文が対象としているのは「住宅または土地」です。したがって、住宅以外の家屋、すなわち店舗、事務所、工場、倉庫などは、この特例の対象外で100分の4のままです。
「土地は用途を問わず3パーセント、家屋は住宅なら3パーセント・住宅以外なら4パーセント」という整理になります。土地には用途による区別がない点が見落とされやすいところです。
なお73条4号は「住宅」を、人の居住の用に供する家屋または家屋のうち人の居住の用に供する部分で政令で定めるものと定義しています。
適用期限は令和9年3月31日
附則に置かれた期限つきの特例なので、期限そのものが問われうると考えてください。現行の期限は令和9年3月31日です。これまで繰り返し延長されてきた経緯があります。
宅地評価土地の課税標準の特例
附則11条の5第1項は、宅地評価土地を取得した場合の課税標準について、73条の13第1項の規定にかかわらず、当該取得が平成18年1月1日から令和9年3月31日までの間に行われた場合に限り、当該土地の価格の2分の1の額とすると定めています。
「宅地評価土地」とは、宅地および宅地比準土地をいいます。宅地比準土地とは、宅地以外の土地で、その課税標準となるべき価格が、状況が類似する宅地の価格に比準する価格により決定されるものです。宅地そのものでなくても、宅地並みに評価される土地であればこの特例の対象になります。
ここでも適用期限が令和9年3月31日で、税率の特例と同じ日です。二つの土地関係の特例が同じ期限で切られていると覚えると整理できます。
固定資産税の住宅用地の特例(6分の1・3分の1)と混同しないでください。あちらは住宅の敷地であることが要件で割合が二段階、こちらは宅地評価土地であれば用途を問わず一律2分の1です。
新築住宅の課税標準の特例
一戸につき1,200万円を控除
73条の14第1項は、住宅の建築(新築された住宅でまだ人の居住の用に供されたことのないものの購入を含み、政令で定めるものに限る)をした場合における課税標準の算定について、一戸につき1,200万円を価格から控除するものと定めています。
共同住宅等については、居住の用に供するために独立的に区画された一の部分ごとに1,200万円を控除します。マンションであれば住戸ごとに控除される、ということです。
新築未使用の住宅を購入した場合も「住宅の建築」に含まれる点が条文に明記されています。自分で建てた場合に限られません。
認定長期優良住宅は1,300万円
認定長期優良住宅については、附則の特例により控除額が1,300万円とされています。一般の新築住宅より100万円多い、という関係で覚えます。
申告が適用要件
73条の14第4項は、1項および3項の規定は、住宅の取得者から、道府県の条例で定めるところにより、これらの規定の適用があるべき旨の申告がなされた場合に限り適用すると定めています。
ただし5項に救済があり、道府県は、申告がなかった場合においても、当該住宅の取得が1項または3項に規定する要件に該当すると認められるときは、4項にかかわらずこれらの規定を適用することができるとしています。
原則は申告が要件だが、要件に該当すると認められれば申告がなくても適用できるという二段構えです。「申告がなければ一切適用されない」という肢は5項を落としています。
1年以内の増築等は合算
73条の14第2項は、共同住宅等以外の住宅の建築をした者が、その建築後1年以内にその住宅と一構となるべき住宅を新築し、またはその住宅に増築した場合には、前後の建築をもって一戸の住宅の建築とみなして1項を適用するとしています。
免税点の合算規定(73条の15の2第2項)と同じく、分割して控除を重ねて受けることを防ぐ趣旨です。
床面積要件は令和8年度から変わっている
従来の整理
新築住宅の課税標準の特例の床面積要件として、多くの教材が「50平方メートル以上240平方メートル以下、ただし貸家住宅は40平方メートル以上」と記載しています。
この整理は、2026年4月1日時点の条文とは一致しません。
2026年4月1日時点の条文
床面積の要件は、地方税法施行令37条の16が定めています。同条は73条の14第1項の「政令で定める住宅」を次のように区分しています。
1号(共同住宅等以外の住宅の建築)は、住宅の床面積が40平方メートル以上240平方メートル以下であるものです。
2号(共同住宅等の住宅の建築)は、居住の用に供するために独立的に区画された一の部分のいずれかの床面積が40平方メートル以上240平方メートル以下であるものです。
区分所有される住宅については、居住の用に供する専有部分の床面積に、共用部分の床面積を専有部分の床面積の割合で按分した面積を算入して判定します。
何が変わったか
2026年1月1日時点の条文は、下限を50平方メートルとし、括弧書きで「当該専有部分が貸家の用に供されるものである場合にあつては、四十平方メートル」としていました。
2026年4月1日施行の改正(令和8年政令第83号)により、下限が一律40平方メートルに引き下げられ、貸家についての括弧書きが削除されました。上限240平方メートルは変わっていません。
したがって現在は、貸家かどうかを区別する必要がありません。「自己居住用は50平方メートル以上、貸家は40平方メートル以上」という覚え方は、区別そのものが条文から消えています。
固定資産税の改正と同じ方向
この改正は、固定資産税の新築住宅の減額措置の床面積要件が「50平方メートル以上280平方メートル以下」から「40平方メートル以上240平方メートル以下」に変わったのと同じ日の、同じ方向の改正です。
結果として、不動産取得税と固定資産税の床面積要件が40平方メートル以上240平方メートル以下で一致しました。従来は不動産取得税240平方メートル・固定資産税280平方メートルという違いを対比で覚える整理がされてきましたが、現在この対比は成り立ちません。
二つの税で違うのは面積ではなく、特例の効き方です。不動産取得税は課税標準から1,200万円を控除する課税標準の特例、固定資産税は税額を2分の1にする税額の減額です。計算のどの段階で効くかが違います。固定資産税側は固定資産税にまとめています。
既存住宅の課税標準の特例
73条の14第3項は、個人が自己の居住の用に供する耐震基準適合既存住宅を取得した場合の課税標準について、一戸につき、当該住宅が新築された時において施行されていた73条の14第1項の規定により控除するものとされていた額を価格から控除するものと定めています。
条文の書き方が特徴的です。控除額が一律ではなく、その住宅が新築された当時の控除額を使います。1,200万円という現在の額が適用されるとは限らず、古い住宅ほど控除額が小さくなる仕組みです。
要件を三つ確認してください。第一に、取得者が個人であること。法人が取得した場合は適用がありません。第二に、自己の居住の用に供すること。賃貸に出す目的の取得は対象外です。新築住宅の特例(1項)に居住要件がないのと対照的です。第三に、耐震基準適合既存住宅であること。地震に対する安全性に係る基準として政令で定める基準に適合するものに限られます。
新築住宅の特例が「誰が取得しても、居住しなくても適用される」のに対し、既存住宅の特例は「個人が自分で住む場合に限られる」。この非対称が出題されます。
なお3項も4項の申告要件の対象で、5項の救済も及びます。
住宅用土地の減額
課税標準ではなく税額から引く
73条の24は、住宅の用に供する土地の取得について、税額から一定額を減額する制度です。ここまで見てきた73条の14や附則11条の5が課税標準を圧縮するものであるのに対し、こちらは算出された税額から直接引きます。効く段階が違うという点をまず押さえてください。
減額される額
73条の24第1項は、減額される額を次のように定めています。
150万円、ただし、当該土地に係る課税標準となるべき価格を土地の面積の平方メートルで表した数値で除して得た額に、当該土地の上に新築した特例適用住宅一戸についてその床面積の2倍の面積の平方メートルで表した数値(その数値が200を超える場合には200)を乗じて得た金額が150万円を超えるときは当該乗じて得た金額。この額に税率を乗じて得た額を減額します。
整理すると、次の二つのうち大きいほうに税率を乗じた額が減額されます。
一つ目が150万円。税率3パーセントを乗じると4万5,000円になります。よく「4万5,000円」と説明されるのはこの計算結果で、条文が定めているのは150万円という金額のほうです。
二つ目が、1平方メートルあたりの価格 × 住宅の床面積の2倍(200平方メートルを限度)。これに税率を乗じます。
宅地評価土地なら1平方メートルあたりの価格も半分
附則11条の5第2項が読み替えを置いています。同条1項の2分の1の特例が適用される土地について73条の24を適用する場合、これらの規定中「価格」とあるのは「価格の2分の1に相当する額」とする、というものです。
したがって宅地であれば、1平方メートルあたりの価格を出す段階ですでに2分の1になっています。課税標準を2分の1にしたうえで、減額の計算にも2分の1後の価格を使う、という二重の関係です。計算問題ではここを飛ばすと答えが倍になります。
三つの適用場面
73条の24第1項は、新築の特例適用住宅について三つの号を置いています。
1号は、土地を取得した日から2年以内に当該土地の上に特例適用住宅が新築された場合です。ただし、取得者が新築の時まで引き続き土地を所有している場合、または新築が取得者から土地を取得した者により行われる場合に限られます。
2号は、土地を取得した者が、その取得の日前1年の期間内に当該土地の上に特例適用住宅を新築していた場合です。建物が先、土地が後という順序です。
3号は、新築された特例適用住宅でまだ人の居住の用に供されたことのないものと、その敷地を、当該住宅が新築された日から1年以内に取得した場合です。建売住宅を土地建物セットで買う場面が該当します。
1号の「2年」は3年に読み替えられる
ここが条文だけを読むと誤る箇所です。附則10条の3第2項が、土地の取得が平成16年4月1日から令和13年3月31日までの間に行われたときに限り、73条の24第1項1号中の「二年」を「三年」と読み替えると定めています。さらに、3年以内に特例適用住宅が新築されることが困難である場合として政令で定める場合には「四年」となります。
したがって実務上は「土地の取得から3年以内」が基準です。本則の2年だけを覚えていると、附則の読み替えを落とします。
隣接地の合算
73条の24第4項は、土地を取得した者がその取得の日から1年以内に隣接する土地を取得した場合には、前後の取得をもって一の土地の取得と、最初に土地を取得した日をもってこれらの土地を取得した日とみなすとしています。起算点が最初の取得日になる点まで含めて押さえてください。
特例適用住宅の床面積も40平方メートル以上
「特例適用住宅」の定義は施行令39条の2の4にあり、共同住宅等以外の住宅は床面積が40平方メートル以上240平方メートル以下、共同住宅等は独立的に区画された一の部分のいずれかの床面積が同じ範囲にあるものとされています。
ここでも下限は40平方メートルで、貸家かどうかの区別はありません。前述の施行令37条の16と同じ改正が及んでいます。
申告が要件
73条の24第5項は、1項から3項までの規定は、徴収猶予がなされた場合その他政令で定める場合を除き、土地の取得者から申告がなされた場合に限り適用するとしています。住宅の特例(73条の14第4項)と同じ構造です。
徴収の方法と申告
普通徴収
73条の17第1項は「不動産取得税の徴収については、普通徴収の方法によらなければならない」と定めています。
普通徴収とは、地方団体が納税通知書を交付して徴収する方式です。納税者が自分で税額を計算して申告納付するのではありません。申告納税方式の贈与税・相続税・所得税とは、納め方が根本的に違います。
2項は、納税通知書は遅くともその納期限前10日までに納税者に交付しなければならないとしています。
申告義務はあるが、登記をすれば不要になる
普通徴収であっても、道府県が取得の事実を把握する必要があるため、73条の18第1項が申告・報告義務を課しています。不動産を取得した者は、道府県の条例で定めるところにより、条例で定める期間内に、取得の事実その他の事項を申告し、または報告しなければなりません。
ただし書が重要です。当該不動産の取得について、その期間内に不動産登記法18条の規定により表示に関する登記または所有権の登記の申請をした場合(同法25条により却下された場合を除く)は、この限りでないとされています。
つまり、期間内に登記の申請をしていれば申告は不要です。登記の情報が道府県に伝わるので、重ねて申告させる必要がないという趣旨です。
なお2項により、この場合でも道府県知事は必要があると認めるときは申告・報告をさせることができます。
申告は市町村長を経由する
73条の18第3項は、申告または報告は文書をもってし、当該不動産の所在地の市町村長を経由しなければならないと定めています。道府県税でありながら、窓口は市町村長です。
4項は、市町村長は申告書・報告書を受け取った場合、または自ら取得の事実を発見した場合には、その日から10日以内に道府県知事に送付し、または通知するものとしています。
賦課期日という概念がない
固定資産税には1月1日という賦課期日がありますが、不動産取得税には賦課期日がありません。取得という事実が発生した時点で納税義務が成立します。
これは、固定資産税が保有という継続的な状態への課税であるのに対し、不動産取得税が取得という一回限りの行為への課税だからです。「不動産取得税の賦課期日は1月1日である」という肢は、税の性格を取り違えています。
四つの税を課税の契機で並べる
宅建試験に出る不動産関係の税は、何をきっかけに課されるかで整理すると混ざりません。
取得という行為に課されるのが不動産取得税です。都道府県税で、取得の時点に一度だけ。課税標準は台帳登録価格、標準税率4パーセント(住宅と土地は附則で3パーセント)。
登記という手続に課されるのが登録免許税です。国税で、登記のたびに。課税標準はやはり台帳登録価格を基礎とし、税率は登記の原因によって違います。相続による取得は不動産取得税が非課税でも、登録免許税は課されます。非課税と軽減は別のことです。
文書の作成に課されるのが印紙税です。国税で、課税文書を作成するたびに。売買契約書が課税文書にあたります。詳細は登録免許税と印紙税にまとめています。
保有という状態に課されるのが固定資産税と都市計画税です。市町村税で、毎年1月1日現在の所有者に。
この四つは同じ取引の場面で並んで発生しますが、課税の契機も課税主体も違います。取引の時系列に沿った手続の流れは不動産売買の流れ、税目全体の横断整理は宅建試験の税金を横断整理を参照してください。
試験での出題ポイント
課税主体を市町村にする
不動産取得税は都道府県、固定資産税は市町村。最も基本的な入れ替えです。「不動産取得税は不動産の所在する市町村が課する」という肢は誤りになります。
相続と遺贈をひとまとめにする
非課税なのは相続、包括遺贈、および被相続人から相続人に対してなされた遺贈です(73条の7第1号)。相続人以外への特定遺贈は課税されます。また贈与は課税で、死因贈与も同様です。
課税標準を取得価格にする
課税標準は取得した時における不動産の価格、すなわち台帳登録価格です(73条の13第1項、73条5号)。売買代金や建築工事費ではありません。改築の場合は増加した価格だけが課税標準です。
免税点を旧数字で出す
2026年4月1日時点の免税点は、土地16万円、建築に係る家屋66万円、その他の家屋34万円です。「10万円・23万円・12万円」は改正前の数字です。あわせて、固定資産税の免税点(30万円・20万円・150万円)は変わっていないので、両者を混ぜないでください。
床面積要件を旧要件で出す
新築住宅の課税標準の特例の床面積要件は、2026年4月1日時点で40平方メートル以上240平方メートル以下です。「50平方メートル以上」も「貸家は40平方メートル以上」も改正前の整理で、現在は貸家の区別そのものがありません。
税率の適用対象をずらす
附則11条の2の3パーセントの対象は「住宅または土地」です。土地は用途を問わず3パーセント、家屋は住宅なら3パーセント・住宅以外なら4パーセント。「店舗用の家屋の取得にも3パーセントが適用される」という肢は誤りです。
課税標準の特例と税額の減額を混ぜる
73条の14の1,200万円と附則11条の5の2分の1は課税標準を圧縮するもの、73条の24の150万円は税額から引くものです。「住宅用土地を取得した場合、課税標準から150万円が控除される」という肢は、効く段階を取り違えています。
既存住宅の特例に居住要件を落とす
73条の14第3項は「個人が自己の居住の用に供する耐震基準適合既存住宅を取得した場合」に限っています。新築住宅の特例(1項)にこの限定がないのと対比してください。
徴収方法を申告納付にする
不動産取得税は普通徴収です(73条の17第1項)。申告義務は別にありますが(73条の18第1項)、税額を自分で計算して納めるのではありません。しかも期間内に表示に関する登記または所有権の登記の申請をしていれば申告は不要になります。
覚え方・整理の仕方
「取得の税は都道府県、保有の税は市町村」
課税主体の対比を一言で固定します。取得は一度きりだから都道府県、保有は毎年だから住民に近い市町村、という理解を添えておくと逆になりません。
非課税は「形式的な移転かどうか」
73条の7の見出しが「形式的な所有権の移転等に対する不動産取得税の非課税」です。相続、法人の合併、共有物の分割(持分の範囲内)が並んでいるのは、いずれも実質的な移転がないからです。贈与は実質的な移転なので課税される、と理由から導けば取り違えません。
数字を三つの層に分ける
免税点が16万円・66万円・34万円。課税標準の特例が1,200万円(認定長期優良住宅1,300万円)と2分の1。税額の減額が150万円。層が違う数字なので、混ぜて覚えないでください。層を先に言ってから数字を言う練習をすると定着します。
面積は「40から240」で三か所そろった
新築住宅の課税標準の特例(施行令37条の16)、特例適用住宅(施行令39条の2の4)、そして固定資産税の新築住宅の減額措置。この三つがいずれも40平方メートル以上240平方メートル以下になりました。以前は50や280が混ざっていましたが、現在は揃っています。揃ったこと自体を覚えるのが、旧数字に引きずられない一番の方法です。
なお、住宅用土地の減額で出てくる「床面積の2倍、200平方メートル限度」は面積の要件ではなく計算式の一部なので、別枠で持ちます。
期限は「令和9年3月31日」と「令和13年3月31日」
税率の3パーセント(附則11条の2)と宅地評価土地の2分の1(附則11条の5)が令和9年3月31日まで。新築家屋のみなし取得の1年読み替えと、住宅用土地の減額の2年から3年への読み替え(附則10条の3)が令和13年3月31日まで。取引に直結する二つが令和9年、みなし規定の二つが令和13年という束ね方ができます。
申告が要件になるものを揃える
73条の14第4項(住宅の課税標準の特例)と73条の24第5項(住宅用土地の減額)が、いずれも申告を適用要件としています。ただし73条の14第5項には、要件に該当すると認められれば申告がなくても適用できるという救済があります。原則は申告、ただし救済ありと覚えます。
登記との関係を二方向で持つ
課税の場面では登記の有無を問わない(取得の事実で課税される)。申告の場面では登記の申請をしていれば申告が不要(73条の18第1項ただし書)。同じ登記が、課税では無関係、手続では免除事由として働きます。方向が違うので、それぞれ別に覚えてください。
理解度チェッククイズ
次の記述の正誤を判定してください。
問1. 不動産取得税の免税点は、土地の取得にあっては10万円、家屋の取得のうち建築に係るものにあっては一戸につき23万円、その他のものにあっては一戸につき12万円である。
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答えは誤りです。これは改正前の数字です。2026年4月1日に施行された改正(令和8年法律第2号)により、地方税法73条の15の2第1項の免税点は、土地の取得にあっては**16万円**、家屋の取得のうち建築に係るものにあっては一戸につき**66万円**、その他のものにあっては一戸につき**34万円**に引き上げられました。2026年1月1日時点では10万円・23万円・12万円でしたが、令和8年度試験の基準日である4月1日時点では新しい数字が施行されています。なお**固定資産税の免税点(351条)は変わっておらず**、土地30万円、家屋20万円、償却資産150万円のままです。二つの税の免税点を混同しないでください。問2. 被相続人から相続人以外の者に対してなされた特定遺贈により不動産を取得した場合、不動産取得税は課されない。
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答えは誤りです。地方税法73条の7第1号が非課税としているのは「相続(**包括遺贈及び被相続人から相続人に対してなされた遺贈を含む。**)による不動産の取得」です。非課税になるのは、相続、包括遺贈、そして被相続人から**相続人に対して**なされた遺贈に限られます。相続人以外の者に対する特定遺贈はこの括弧書きに含まれないため課税されます。同様に、贈与による取得も課税され、死因贈与も贈与契約である以上非課税にはなりません。同条の見出しが「形式的な所有権の移転等に対する不動産取得税の非課税」であることから、実質的な移転を伴うものは課税されるという整理で理解できます。問3. 新築住宅に係る不動産取得税の課税標準の特例は、床面積が50平方メートル以上240平方メートル以下(貸家住宅にあっては40平方メートル以上240平方メートル以下)である住宅について適用される。
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答えは誤りです。これも改正前の整理です。2026年4月1日に施行された改正(令和8年政令第83号)により、地方税法施行令37条の16は、共同住宅等以外の住宅・共同住宅等のいずれについても床面積を**40平方メートル以上240平方メートル以下**と定めており、**貸家かどうかによる区別は削除されました**。改正前は下限を50平方メートルとしたうえで、括弧書きで貸家の用に供されるものを40平方メートルとしていました。なお、この改正により不動産取得税と固定資産税の新築住宅に関する床面積要件がいずれも40平方メートル以上240平方メートル以下で一致しています。問4. 店舗用の家屋を取得した場合、不動産取得税の標準税率は100分の3である。
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答えは誤りです。地方税法73条の15が定める標準税率は**100分の4**で、これを100分の3とする附則11条の2第1項の特例は、平成18年4月1日から**令和9年3月31日**までの間に「**住宅又は土地**」の取得が行われた場合に限られます。店舗用の家屋は住宅ではないため特例の対象外で、100分の4が適用されます。整理すると、土地は用途を問わず3パーセント、家屋は住宅なら3パーセント・住宅以外なら4パーセントです。土地には用途による区別がない点もあわせて押さえてください。問5. 住宅用土地を取得した場合の不動産取得税の軽減は、課税標準から150万円を控除するものである。
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答えは誤りです。効く段階が違います。地方税法73条の24第1項は、**当該税額から**一定額を**減額する**と定めています。減額される額は、150万円と、1平方メートルあたりの価格に特例適用住宅の床面積の2倍(200を超える場合は200)を乗じて得た金額とのうち大きいほうに、**税率を乗じて得た額**です。税率3パーセントを乗じるので、150万円のほうが適用される場合は4万5,000円が減額されます。これに対し、新築住宅の1,200万円控除(73条の14第1項)と宅地評価土地の2分の1(附則11条の5第1項)は**課税標準**を圧縮するものです。課税標準の特例と税額の減額を混同しないでください。問6. 不動産を取得した者は、取得の日から一定期間内に道府県知事に申告しなければならず、登記の申請をした場合であってもこの申告義務は免除されない。
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答えは誤りです。地方税法73条の18第1項ただし書は、当該不動産の取得について、条例で定める期間内に**不動産登記法18条の規定により表示に関する登記または所有権の登記の申請をした場合**(同法25条により却下された場合を除く)には、申告・報告義務を課さないとしています。登記の情報が道府県に伝わるため、重ねて申告させる必要がないという趣旨です。なお、申告先も正確には知事ではなく、同条3項により**当該不動産の所在地の市町村長を経由**して行います。市町村長は受け取った日から10日以内に知事に送付します(同条4項)。徴収方法は普通徴収です(73条の17第1項)。まとめ
不動産取得税は都道府県が課す、取得という一時点への税です(地方税法4条2項4号、73条の2第1項)。対象は土地と家屋のみで償却資産を含まず、登記の有無も有償無償も問いません。課税標準は取得した時における不動産の価格、すなわち台帳登録価格であって取得価格ではありません(73条の13第1項、73条5号)。新築家屋については最初の使用または譲渡の日、それがなければ新築から6月(分譲事業者が売り渡すものは令和13年3月31日までの新築に限り1年)を経過した日に取得とみなされます。
非課税の基準は「形式的な移転か」です。73条の7第1号により、相続、包括遺贈、被相続人から相続人に対してなされた遺贈は非課税ですが、相続人以外への特定遺贈と贈与は課税されます。法人の合併や、持分の範囲内での共有物の分割も非課税です。
令和8年4月1日から二つの数字が変わりました。免税点は土地10万円・建築に係る家屋23万円・その他12万円から、土地16万円・建築に係る家屋66万円・その他34万円に引き上げられました(73条の15の2、令和8年法律第2号)。新築住宅の課税標準の特例の床面積要件は「50平方メートル以上、貸家は40平方メートル以上」から、貸家の区別なく一律40平方メートル以上240平方メートル以下になりました(施行令37条の16、令和8年政令第83号)。特例適用住宅の要件(施行令39条の2の4)も同じです。固定資産税の免税点は変わっていません。
数字は三つの層に分かれます。免税点が16万円・66万円・34万円。課税標準の特例が新築住宅の1,200万円(認定長期優良住宅1,300万円)と宅地評価土地の2分の1。税額の減額が150万円(税率を乗じて4万5,000円)。課税標準を圧縮するものと税額から引くものを混ぜないことが、計算問題でも正誤判定でも要になります。
附則の期限を持っておいてください。税率を100分の3とする特例(附則11条の2)と宅地評価土地の2分の1(附則11条の5)が令和9年3月31日まで。新築家屋のみなし取得の1年読み替えと、住宅用土地の減額における「2年」を「3年」とする読み替え(附則10条の3)が令和13年3月31日まで。税法の特例は附則に置かれた期限つきのものが多く、毎年度の改正で動きます。
宅建試験AIブートラボのアプリでは、不動産取得税の肢を課税要件・非課税・課税標準の特例・税額の減額の別に絞って演習でき、層を取り違えた箇所だけを繰り返せます。
税と価格の評定は毎年ほぼ同じ形で出ます。出題パターンを肢別で押さえれば取りこぼしません。