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宅建の教育訓練給付金|対象かどうかを確認する手順

試験対策・勉強法 読了 約26分

宅建講座で教育訓練給付金を使えるかを確認する手順を、厚生労働省とハローワークの一次情報で整理。三つの類型の違い、支給要件期間、受講開始前に必要な手続、申請期限を解説します。

目次

    本記事は、宅建の講座を受けるときに教育訓練給付金を使えるかどうかを、自分で確認するための手順を整理するものです。講座そのものの選び方は宅建の予備校の選び方、独学と組み合わせる場合の考え方は予備校と独学の併用で扱っています。

    最初に、この記事の姿勢を述べます。「宅建の講座なら給付金が出る」とは書けません。厚生労働大臣の指定を受けた講座に限られ、指定はコース単位で行われ、しかも年に2回入れ替わるからです。給付率も、必要な手続も、類型によって違います。

    そこで、この記事は金額の紹介ではなく、確認の手順として構成します。確認すべきことは三つです。

    第一に、自分が支給要件を満たすか。雇用保険の支給要件期間が足りているかどうかで、そもそも対象になるかが決まります。

    第二に、受けたい講座が指定されているか。事業者名ではなく、申し込む予定のコースそのものが指定されているかを確認します。

    第三に、それがどの類型か。ここが最も見落とされます。類型によっては、受講を開始してからでは間に合いません。受講開始日の2週間前までに手続が要るものがあるからです。

    この三つを順に確認する形なら、給付率が改正されても手順そのものは変わりません。

    なお、本記事に記載した制度の内容は、厚生労働省「教育訓練給付制度」のページおよびハローワークインターネットサービス「教育訓練給付金」、ならびに同サービスが公開しているリーフレット「一般教育訓練の教育訓練給付金の支給申請手続について」で2026年8月30日に確認したものです。制度は改正されることがあるため、申し込み前に必ず最新の案内を確認してください。

    この記事が扱うのは公的給付だけである

    会社の制度と公的給付は原資が違う

    宅建の受験費用や講座費用を軽くする仕組みには、性質の異なる二つがあります。

    一つは会社の制度です。資格手当、受験料の補助、講座費用の負担。これらは会社が就業規則や社内規程で任意に定めるもので、法律上の義務ではありません。したがって、あるかないかも、金額も、条件も、会社ごとに違います。仕組みと確認すべき点は宅建の資格手当に、賃金への反映経路の全体像は宅建士の年収にまとめています。

    もう一つが教育訓練給付金です。こちらは雇用保険から支給される公的給付で、要件を満たせば会社の判断とは関係なく支給されます。原資が雇用保険である以上、雇用保険の被保険者であったことが前提になります。この一点が、会社の制度との最大の違いです。

    二つは併存するが、単純に足し算にはならない

    両方が使える人もいます。ただし、そのまま合算されるわけではありません。

    ハローワークのリーフレットは、教育訓練経費について次のように定めています。「事業主などが申請者に対して教育訓練の受講に伴い手当などを支給する場合、その手当のうち入学料または受講料に充てられる額については、教育訓練経費から差し引いて申請しなければなりません」。

    つまり、会社が受講料の一部を負担してくれた場合、その分は給付金の計算対象から外れます。自分が実際に負担した額に対して給付率がかかるという設計です。

    この点は、次のような形で問題になります。会社の補助を受けたことを申告せずに、講座の定価をそのまま申請してしまう。これは正しくない申請です。同じ趣旨で、割引制度が適用された場合は割引後の額が教育訓練経費になりますし、事業者から後日一定額の還付が予定されている場合(現金だけでなくパソコンなどの無償提供を含む)は、その還付予定額を差し引いて申告する必要があります。

    「原資が違うから両方もらえる」ではなく、「原資が違うから、公的給付は自己負担の実額にかかる」と理解してください。

    制度の骨格 — 三つの類型がある

    三種類あり、給付率も手続も違う

    ハローワークインターネットサービスによれば、給付の対象となる教育訓練は、そのレベルなどに応じて三種類あります。

    専門実践教育訓練は、特に労働者の中長期的なキャリア形成に資する教育訓練で、最大給付率は80パーセントです。

    特定一般教育訓練は、特に労働者の速やかな再就職および早期のキャリア形成に資する教育訓練で、最大給付率は50パーセントです。

    一般教育訓練は、その他の雇用の安定・就職の促進に資する教育訓練で、給付率は20パーセントです。

    一般教育訓練給付金

    受講者が教育訓練施設者に対して支払った教育訓練経費の20パーセントに相当する額が支給されます。ただし、その額が10万円を超える場合は10万円、4千円を超えない場合は支給されません

    4千円を超えないと支給されないということは、教育訓練経費が2万円ちょうどのときに支給額が4千円となり、これは「4千円を超えない」ため支給されない、ということです。低価格帯の講座では制度が働かない場面があります。

    この類型には、受講開始前の手続が定められていません。後述するとおり、ここが他の二つとの決定的な違いです。

    特定一般教育訓練給付金

    教育訓練経費の40パーセントに相当する額が支給され、上限は20万円です。4千円を超えない場合に支給されない点は一般と同じです。

    さらに、受講修了後に、その訓練が目標としている資格取得などをして、修了日の翌日から1年以内に一般被保険者等として雇用された場合、または雇用されたまま資格取得などをした場合は、50パーセント(上限25万円)に当たる支給が受けられます。既に支給を受けた額との差額が追加で支給される形です。

    この追加支給は、令和6年10月1日以降に受講を開始した場合に限られます。それより前に受講を開始している場合、追加支給はありません。

    専門実践教育訓練給付金

    教育訓練経費の50パーセント(年間上限40万円)が、訓練受講中に6か月ごとに支給されます。

    受講修了後に資格取得などをして修了日の翌日から1年以内に雇用された場合などは、70パーセント(年間上限56万円)。さらにその要件を満たしたうえで、訓練修了後の賃金が受講開始前と比較して5パーセント以上上昇した場合は、80パーセント(年間上限64万円)になります。この賃金上昇による追加支給も、令和6年10月1日以降に受講を開始した場合に限られます。

    給付は最大3年間受けることができ、その場合の上限は192万円です。

    なお、失業状態にある方が初めて専門実践教育訓練(通信制、夜間制を除く)を受講する場合で、受講開始時に45歳未満であるなど一定の要件を満たすときは、別途教育訓練支援給付金が支給されます。雇用保険の基本手当の日額の60パーセントに相当する額で、令和8年度末までの暫定措置です。令和7年4月1日より前に受講を開始している場合は80パーセントに相当する額となります。

    どの類型に指定されているかは講座ごとに違う

    三つの類型は、講座の性質に応じて厚生労働大臣が指定するものです。受講者が選べるものではありません。

    したがって、「宅建の講座は一般教育訓練だ」と一律に言うことはできません。申し込もうとしているコースがどの類型で指定されているのかは、後述する検索システムで個別に確認する必要があります。類型が違えば、受講前にやるべきことが変わります。

    確認ステップ1 — 自分が支給要件を満たすか

    支給要件期間とは何か

    要件の中心にあるのが支給要件期間という概念です。ハローワークのリーフレットは、これを「受講開始日までの間に同一事業主に引き続いて被保険者等(一般被保険者、高年齢被保険者または短期雇用特例被保険者)として雇用された期間」と定義しています。

    そして通算のルールがあります。「その被保険者等として雇用された期間の前に、他の事業主に被保険者等として雇用された期間があり、その空白期間が1年以内の場合、両方の雇用期間を通算します」。転職していても、間が1年以内であればつながる、ということです。

    原則は3年、初めてなら1年

    一般教育訓練給付金の支給対象者は、次のいずれかに該当する方です。

    被保険者の場合は、受講開始日において支給要件期間が3年以上あること。

    被保険者であった方(離職者)の場合は、被保険者資格を喪失した日(離職日の翌日)以降、受講開始日までが1年以内で、かつ支給要件期間が3年以上あること。

    そして重要な例外があります。「上記のいずれも、初めて教育訓練給付金の支給を受けようとする方については、当面の間、支給要件期間が1年以上あれば支給対象者となります」。

    特定一般教育訓練も同じく、初回は1年以上です。しかし専門実践教育訓練だけは、初回でも2年以上が必要です。ここは三つで唯一そろっていない箇所なので、注意してください。

    一度受給すると、期間の計算がリセットされる

    見落とされやすい規定が二つあります。

    一つめ。「過去に教育訓練給付金を受けた場合、その時の受講開始日より前の被保険者等として雇用された期間は通算しません。このため、過去の受講開始日以降の支給要件期間が3年以上ないと、新たな受給資格は得られません」。

    二つめ。「今回の受講開始日の前日から3年以内に教育訓練給付金を受けたことがあるときは、支給されません」。

    つまり二回目以降は、前回から3年空けること、かつ前回の受講開始日以降に3年以上の支給要件期間があること、の両方が必要です。「2回目以降は3年以上加入していればよい」という理解は、片方を落としています。

    また、同時に複数の教育訓練講座について支給申請を行うことはできません。

    離職している場合の1年と、その延長

    離職者の場合、被保険者資格の喪失日の翌日から1年以内に受講を開始する必要があります。

    ただし延長の仕組みがあります。「その期間(適用対象期間)に妊娠、出産、育児、疾病、負傷などにより教育訓練の受講が困難である期間が30日以上継続した場合、ハローワークに申し出ることにより、その受講が困難である期間、適用対象期間を延長(最大19年)することができます」。原則の1年と合わせて、最大20年以内ということになります。

    延長には「教育訓練給付金適用対象期間延長申請書」の提出が必要です。提出は、受講が困難となった期間が30日以上継続した日の翌日以降に早期に行うのが原則ですが、延長後の適用対象期間の最後の日までの間であれば可能とされています。

    支給要件照会という手続がある

    自分が要件を満たすか判断がつかない場合、支給要件照会という制度があります。

    リーフレットは「受講開始(予定)日現在で、被保険者資格の喪失日から1年以内か、支給要件期間が3年(初回の方については1年)あるか明らかでない方は、あらかじめのご確認をお勧めします」としています。

    方法は、「教育訓練給付金支給要件照会票」に必要事項を記入し、本人または代理人の来所、電子申請、郵送のいずれかによって、本人の住所を管轄するハローワークに提出します。本人確認書類の提示・添付が必要で、代理人による手続きの場合は委任状が要ります。照会結果は「教育訓練給付金支給要件回答書」で通知されます。

    注意すべき点が三つあります。

    一つめ。「トラブル防止や個人情報の適切な管理のため、お電話での照会は受け付けていません」。電話一本で済ませることはできません。

    二つめ。「支給要件照会の有無にかかわらず、教育訓練給付金を受給するためには、支給申請が必要です」。照会は申請ではありません。

    三つめ。「支給要件照会を行った際の受講開始(予定)日と実際の受講開始日が異なる場合や、受講開始(予定)日を将来の日付で照会した後に、離職等によって支給要件期間等に変動がある場合は、照会結果のとおりにならない場合があります」。照会結果は予定日を前提とした回答であって、確約ではありません。

    確認ステップ2 — その講座が指定されているか

    検索システムで調べる

    厚生労働大臣の指定を受けている講座は、厚生労働省の教育訓練講座検索システムhttps://www.kyufu.mhlw.go.jp/kensaku/)で検索できます。

    事業者名で検索して一覧を見れば、その事業者のどのコースが指定されているかが分かります。確認すべきなのは事業者名ではなく、申し込む予定のコースそのものです。

    指定はコース単位で、しかも年に2回入れ替わる

    ここが最も誤解される部分です。同じ事業者の講座でも、コースや開講月によって対象と対象外が分かれます。

    さらに、厚生労働省のページによれば、厚生労働大臣の指定の申請は年に2回受け付けられています。4月1日からの指定分は前年の10月上旬から11月上旬に、10月1日からの指定分は同年の4月上旬から5月上旬に申請受付が行われます。

    つまり指定講座の一覧は年2回更新されます。去年対象だったコースが今年も対象とは限りませんし、逆に新たに指定されるコースもあります。過去の情報を参照して判断してはいけません。

    支給要件照会でも講座の指定を確認できる

    前述の支給要件照会は、受給資格の有無だけでなく、受講を希望する教育訓練講座が厚生労働大臣の指定を受けているかもあわせて照会できます。

    ステップ1とステップ2を一度に片づけられる、ということです。要件も講座も自信がないなら、照会票を一枚出すのが最短になります。

    事業者の公表情報の読み方

    事業者のウェブサイトに「教育訓練給付制度対象」と書かれていることがあります。その表示自体は手がかりになりますが、表示だけを根拠に判断しないでください。表示が古いことも、対象外のオプションが含まれていることもあります。

    たとえば当メディアで個別の講座の公表情報を整理したフォーサイトの宅建講座アガルートの宅建講座では、どちらについても、公表情報を確認したうえで「最終的には検索システムで確認すること」という結論に至っています。事業者の表示は出発点であって、確認の終点ではありません。

    確認ステップ3 — 類型によって、受講前の手続が変わる

    ここを間違えると受給できない

    この記事で最も実用的なのが、この節です。

    一般教育訓練給付金には、受講開始前の手続がありません。指定講座を受講し、修了して、修了日の翌日から1か月以内に申請すれば足ります。

    しかし特定一般教育訓練と専門実践教育訓練は違います。ハローワークインターネットサービスは、どちらについても次のように述べています。「訓練対応キャリアコンサルタントによる訓練前キャリアコンサルティングを受けて、就業の目標、職業能力の開発・向上に関する事項を記載したジョブ・カードの交付を受け、受講開始日の2週間前までにハローワークで受給資格確認の手続きを行う必要があります」。

    受講を始めてから気づいても間に合いません。2週間前という期限は受講開始日を基準に決まるため、後から遡ることができないからです。

    受講開始日がいつかを確定させる

    そこで、受講開始日がいつなのかを正確に押さえる必要があります。リーフレットの定義はこうです。

    「受講開始日とは、通学制の場合は教育訓練の所定の開講日(必ずしも本人の出席第1日目とならないことがあります。)、通信制の場合は教材などの発送日であって、いずれも指定教育訓練実施者が証明する日」。

    通信制の受講開始日は、自分が勉強を始めた日ではなく、教材が発送された日です。申し込んでから教材が届くまでの日数を考えると、「申し込んでからキャリアコンサルティングを受けよう」では2週間前に間に合わない可能性があります。

    リーフレットも「受給資格の可否を決める重要な日付です。十分注意を払い、受講の申込みは余裕をもって行ってください」と注意を促しています。

    手順を時系列で固定する

    以上を踏まえると、確認と手続の順序は次のようになります。

    まず類型を調べる。検索システムで、申し込む予定のコースが一般・特定一般・専門実践のどれで指定されているかを確認します。

    特定一般または専門実践なら、キャリアコンサルティングの予約を先に取る。そのうえで受給資格確認の手続を、受講開始日の2週間前までに済ませます。

    一般なら、受講前の手続は不要。ただし要件が不安なら支給要件照会をしておきます。

    そして受講、修了、申請。この順序です。

    教育訓練経費に何が含まれるか

    入学料と受講料が基本

    給付率がかかる対象は、講座の定価ではなく教育訓練経費です。リーフレットの定義はこうです。「受講者が教育訓練実施者に対して支払った入学料および受講料(最大1年分)の合計」。

    含まれないものが列挙されている

    そして、含まれないものが具体的に挙げられています。検定試験の受講料、受講にあたって必ずしも必要とされない補助教材費、教育訓練の補講費、教育訓練実施者が行う各種行事参加費用、学債などの将来受講者に対して現金還付が予定されている費用、交通費、パソコンなどの器材の費用、クレジット会社に対する手数料、支給申請時点での未納の額です。

    宅建の講座で問題になりやすいのは、検定試験の受講料(試験の受験手数料は対象外)、必須でない補助教材費(追加のオプション教材)、そして器材の費用(タブレットなどが付属する場合)でしょう。オプションを足すほど、給付の対象外部分が増えることになります。

    キャリアコンサルティングの費用は加えられる

    逆に、加算できるものが一つあります。「受講開始日前1年以内にキャリアコンサルタント(職業能力開発促進法第30条の3に規定するキャリアコンサルタント)が行うキャリアコンサルティングを受けた場合は、その費用を、2万円を上限として教育訓練経費に加えることができます」。

    この費用を対象経費に含める場合、その領収書に加えて「キャリアコンサルティングの記録」および「キャリアコンサルティング実施証明書」の提出が必要になります。

    割引と補助は差し引く

    前述のとおり、各種割引制度が適用された場合は割引後の額が教育訓練経費です。事業主などから受講に伴い手当が支給され、それが入学料または受講料に充てられる場合は、その額を差し引いて申請しなければなりません。事業者や販売代理店、事業所から一定額の還付が予定される場合も同様です。

    なお、リーフレットは「受講者への還付金などについては、後日ハローワークで調査を行うことがあります」としています。申告した額は事後に確認されうるということです。

    申請の期限と、必要な書類

    期限は類型によって違う

    一般教育訓練と特定一般教育訓練は、訓練修了日の翌日から起算して1か月以内に申請します。郵送の場合も1か月以内(消印有効)です。

    専門実践教育訓練は形が違い、年2回、半期ごとに申請します。具体的には、受講開始日から6か月ごとの期間の末日から起算して1か月以内(訓練修了日のある期間については修了日の翌日から起算して1か月以内)です。

    特定一般で資格取得・就職による50パーセントの適用を受ける場合は、訓練修了後、資格取得または就職した日のいずれか遅い日から起算して1か月以内に、別途申請が必要です。専門実践の70パーセントも同じく1か月以内、80パーセントは1年以内とされています。

    提出先と方法

    申請先は、原則として本人の住所を管轄するハローワークです。方法は、本人または代理人の来所、電子申請、郵送のいずれかです。

    一般教育訓練の必要書類

    リーフレットが挙げているのは次のとおりです。

    支給申請書(様式第33号の2)。教育訓練修了証明書(指定教育訓練実施者が、その施設の修了認定基準に基づいて教育訓練を修了した場合に発行)。教育訓練経費に係る領収書(クレジットカード払いの場合はクレジット契約証明書など)。教育訓練経費等確認書本人・住居所確認書類個人番号確認書類身元(実在)確認書類返還金明細書(領収書発行後に経費の一部が還付された場合)。払渡希望金融機関の通帳またはキャッシュカード。代理人による手続きの場合は委任状

    払渡希望金融機関については、他の雇用保険の手続きで既に「払渡希望金融機関指定届」を提出している場合や、マイナポータルに登録している公金受取口座を指定する場合(ハローワークにマイナンバーの登録が必要)は不要とされています。

    宅建の日程との関係で気をつけること

    宅建試験は10月の第3日曜日に実施されます。試験対策の講座は、その前後に修了時期が設定されていることが多いはずです。

    修了日の翌日から1か月以内という期限は、試験直後の時期と重なります。試験が終わって気が抜けている時期、あるいは合否が気になっている時期です。修了証明書と領収書をいつどう受け取るのかを、修了する前に確認しておくと安全です。試験日程の確認は宅建試験の日程を参照してください。

    支給の条件は「修了」であって「合格」ではない

    不合格でも支給され、修了要件を欠けば支給されない

    制度の設計として重要な点です。給付金の支給要件は講座の修了であり、試験の合否は要件ではありません。

    したがって、宅建試験に不合格でも、講座を修了していれば支給されます。逆に、試験に合格していても、講座の修了要件を満たしていなければ支給されません。

    修了認定基準は施設ごとに定められている

    修了証明書は「指定教育訓練実施者が、その施設の修了認定基準に基づいて教育訓練を修了した場合に発行」されます。基準は制度が一律に定めているのではなく、講座ごとに違います。

    課題の提出率、確認テストの得点、視聴率といった条件が設定されているのが通例です。「動画は見たが課題を出していない」という状態では要件を満たしません。申し込む前に、その講座の修了認定基準が何なのかを確認しておいてください。基準が厳しい講座では、修了そのものが学習のペースメーカーとして働く一方、仕事が立て込むと達成できなくなるリスクもあります。

    途中でやめた場合、給付金は支給されず、費用は全額自己負担になります。受講費用を層に分けて考える方法は予備校と独学の併用に、通信講座を比較する際の観点は宅建の通信講座の選び方に、費用をかけずに始める選択肢は宅建の無料教材宅建試験に独学で合格する方法にまとめています。

    基本手当を受けている場合の注意

    離職中で雇用保険の基本手当を受けている場合、リーフレットが一点注意を挙げています。「失業の認定日は、教育訓練講座(昼間の通学制の場合など)の受講日と重なった場合でも、受講日の変更が困難である場合以外は、他の日に変更されません」。

    昼間の通学制を選ぶときは、認定日と受講日が衝突しないかを事前に見ておく必要があります。

    宅建まわりの「講習」は四つあり、全部別物である

    厚生労働大臣の指定と、国土交通大臣の登録は別の話

    ここで整理しておきたい混同があります。宅建の周辺には「講習」「講座」と呼ばれるものが四つあり、根拠法も、所管も、目的も違います。

    第一に、教育訓練給付の指定講座。厚生労働大臣が指定するもので、根拠は雇用保険法です。目的は受講費用の一部支給であり、内容としては受験対策の講座がこれに当たります。

    第二に、登録講習。宅建業法16条3項が「国土交通大臣の登録を受けた者(登録講習機関)が行う講習の課程を修了した者については、試験の一部を免除する」と定めるもので、いわゆる5問免除です。宅建業に従事している人が対象で、受験費用の補助とは何の関係もありません。制度の詳細は5問免除(登録講習)制度、免除を前提とした戦略は5問免除の攻略にあります。

    第三に、登録実務講習。試験合格後、宅地建物取引に関する実務経験が2年に満たない場合に、登録を受けるために必要となるものです。詳細は登録実務講習にあります。

    第四に、法定講習。宅建業法22条の2第2項が定めるもので、宅地建物取引士証の交付を受けようとする者は、登録をしている都道府県知事が指定する講習で交付の申請前6月以内に行われるものを受講しなければなりません。ただし、試験に合格した日から1年以内に交付を受けようとする者は不要です。宅建士証の有効期間は5年(同条3項)なので、更新のたびにこの講習が必要になります。合格後の手続の流れは宅建合格後にやること、登録の要件は宅建士の登録にまとめています。

    「講習」という同じ語で呼ばれていても、厚生労働省の話と国土交通省の話が混ざっています。教育訓練給付の対象になるのは第一のものであって、第二から第四のものではありません。

    試験での出題ポイント

    教育訓練給付金そのものは宅建試験の出題範囲ではありません。ここでは、この記事が触れた宅建業法上の制度について、実際に問われる形を挙げます。

    法定講習の要否を、期間で入れ替える

    宅建業法22条の2第2項は、宅地建物取引士証の交付を受けようとする者に、交付の申請前6月以内に行われる知事指定の講習の受講を義務づけ、ただし書で試験に合格した日から1年以内に交付を受けようとする者を除外しています。

    6月と1年という二つの期間が別の役割で登場するので、入れ替えた肢が作られます。「合格の日から6月以内なら講習は不要」「申請前1年以内の講習を受ければよい」はいずれも誤りです。

    宅建士証の有効期間と登録の有効期間を混ぜる

    宅建士証の有効期間は5年です(22条の2第3項)。一方、資格登録そのものには有効期間がありません。「登録は5年ごとに更新しなければならない」という肢は誤りです。

    登録の移転があったときの宅建士証

    22条の2第4項は、宅地建物取引士証が交付された後に登録の移転があったときは、当該宅地建物取引士証はその効力を失うと定めます。そして5項が、登録の移転の申請とともに交付の申請があったときは、移転後の知事は従前の有効期間が経過するまでの期間を有効期間とする宅建士証を交付しなければならないとします。

    移転で有効期間が5年に振り出しに戻るわけではありません。ここは誤りを作りやすい箇所です。

    登録講習の効果を「全部免除」と書く

    宅建業法16条3項が定める登録講習の効果は、試験の一部の免除です。全部免除ではありませんし、登録実務講習と混同させる肢も作られます。登録講習は受験前の制度、登録実務講習は合格後の制度という時系列で区別してください。

    実務経験の年数

    登録を受けるには、宅地建物取引に関し2年以上の実務の経験を有すること、またはこれと同等以上の能力を有すると認められることが必要です。この2年という数字は、賃貸住宅管理業法の業務管理者の要件(管理業務に関し2年以上の実務の経験)と同じ数字なので、別の制度の数字と取り違えないよう、どちらの2年かを意識しておいてください。業務管理者側の要件は賃貸住宅管理業法の全体像に、管理会社にかかる規制の全体像は不動産管理会社と宅建にあります。

    覚え方・整理の仕方

    三つのステップの順序で持つ

    制度の細目を覚えるのではなく、確認の順序を覚えてください。要件、講座、類型。この三語の順です。

    要件は自分の側の話(雇用保険の支給要件期間)、講座は相手の側の話(指定されているか)、類型は手続の話(受講前に何が要るか)。三つとも別々の情報源で確認することになるので、順序を決めておくと迷いません。

    「受講開始日」を軸に置く

    日付が複数出てきて混乱しますが、基準になる日は一つだけです。受講開始日。

    支給要件期間はこの日で判定します。離職からの1年もこの日で判定します。前回受給から3年以内かどうかもこの日の前日から数えます。特定一般・専門実践の受給資格確認の2週間前も、この日が起点です。

    そして通信制の受講開始日は教材の発送日です。この定義を知らないまま計画すると、2週間前の期限を外します。

    「20・40・50」と「10・20・40」で持つ

    給付率は20、40、50(一般、特定一般、専門実践の基本形)。上限は10万円、20万円、年40万円

    そのうえで、特定一般と専門実践だけに上乗せがあります。資格取得と就職で特定一般が50パーセント・25万円、専門実践が70パーセント・年56万円。専門実践はさらに賃金5パーセント上昇で80パーセント・年64万円。上乗せは令和6年10月1日以降に受講を開始した場合に限られます。

    「初回は緩い、ただし専門実践だけ2年」

    支給要件期間は原則3年以上、初めて受給する場合は1年以上。ただし専門実践だけは初回でも2年以上。

    三つのうち二つがそろっていて一つだけ違う、という形なので、「専門実践だけ2年」と例外の側を覚えるのが確実です。

    「照会は申請ではない」

    支給要件照会をしても、それで受給できるわけではありません。照会は事前確認、申請は事後手続。この二つは別物で、照会をした人も修了後に申請する必要があります。

    そして照会は電話ではできません。照会票を書いて、来所・電子申請・郵送のいずれかで出します。

    「修了であって合格ではない」

    支給の条件は講座の修了です。試験に落ちても修了していれば支給され、試験に受かっても修了要件を欠けば支給されません。修了認定基準は講座ごとに違うので、申し込む前に確認します。

    理解度チェッククイズ

    制度に関する問題を2問、宅建試験の知識に関する問題を3問、あわせて5問です。

    Q1:特定一般教育訓練給付金の支給を受けるには、訓練前キャリアコンサルティングを受けたうえで、受講開始日の2週間前までにハローワークで受給資格確認の手続を行う必要があるが、一般教育訓練給付金にはこの手続がない。

    答えを見る **○(正しい)** **受講開始日の2週間前までの受給資格確認が必要なのは、特定一般教育訓練と専門実践教育訓練です。** ハローワークインターネットサービスは、この二つについて「訓練対応キャリアコンサルタントによる訓練前キャリアコンサルティングを受けて、就業の目標、職業能力の開発・向上に関する事項を記載したジョブ・カードの交付を受け、受講開始日の2週間前までにハローワークで受給資格確認の手続きを行う必要があります」としています。 **一般教育訓練にはこの手続がありません。**修了後、訓練修了日の翌日から起算して1か月以内に申請すれば足ります。 この違いが実害を生むのは、**受講を開始してからでは手続が間に合わない**からです。2週間前という期限は受講開始日を基準に決まるため、遡ることができません。しかも通信制の受講開始日は自分が勉強を始めた日ではなく**教材などの発送日**なので、申込みから逆算する必要があります。

    Q2:教育訓練給付金の対象となる教育訓練経費には、受講にあたって割引が適用された場合であっても割引前の受講料の額が用いられる。

    答えを見る **×(誤り)** ハローワークのリーフレットは「**各種割引制度などが適用された場合は、割引後の額が教育訓練経費となります**」と明記しています。給付率がかかるのは、実際に支払った額です。 同じ趣旨の規定が三つ並んでいます。事業主などが受講に伴い手当を支給し、それが入学料または受講料に充てられる場合は、その額を**差し引いて申請しなければなりません**。事業者や販売代理店などから一定額の還付が予定される場合(現金だけでなくパソコンなどの無償提供を含む)も、還付予定額を差し引いて申告します。そして支給申請時点での未納の額は含まれません。 **会社の補助と公的給付は原資が違いますが、単純に足し算にはならない**ということです。なお、教育訓練経費に含まれないものとしては、ほかに検定試験の受講料、必ずしも必要とされない補助教材費、交通費、パソコンなどの器材の費用、クレジット会社に対する手数料が挙げられています。

    Q3:宅地建物取引士資格試験に合格した日から1年を超えた後に宅地建物取引士証の交付を申請する場合、申請前6月以内に行われる知事指定の講習を受講しなければならない。

    答えを見る **○(正しい)** 宅建業法22条の2第2項は「宅地建物取引士証の交付を受けようとする者は、登録をしている都道府県知事が国土交通省令の定めるところにより指定する講習で**交付の申請前六月以内**に行われるものを受講しなければならない」と定め、ただし書で「**試験に合格した日から一年以内**に宅地建物取引士証の交付を受けようとする者……については、この限りでない」としています。 したがって、合格から1年以内に交付を受ければ講習は不要、1年を超えれば申請前6月以内の講習が必要、という関係になります。 **6月と1年という二つの期間が別の役割で登場する点に注意してください。**「合格の日から6月以内なら不要」「申請前1年以内の講習でよい」はいずれも誤りです。 なお、宅建士証の有効期間は5年です(同条3項)。更新のたびにこの講習が必要になります。

    Q4:宅地建物取引士証の交付を受けた後に登録の移転があった場合、従前の宅地建物取引士証は効力を失い、移転後の都道府県知事が交付する宅地建物取引士証の有効期間は、交付の日から新たに5年となる。

    答えを見る **×(誤り)** 前半は正しく、後半が誤りです。 宅建業法22条の2第4項は、宅地建物取引士証が交付された後に登録の移転があったときは「**当該宅地建物取引士証は、その効力を失う**」と定めます。ここまでは設問のとおりです。 しかし同条5項は、登録の移転の申請とともに宅地建物取引士証の交付の申請があったときは、移転後の都道府県知事は「**前項の宅地建物取引士証の有効期間が経過するまでの期間を有効期間とする**宅地建物取引士証を交付しなければならない」としています。 **従前の有効期間を引き継ぐのであって、5年に戻るわけではありません。**残りが1年なら、新しい宅建士証の有効期間も1年です。「移転すれば5年に更新される」という肢は誤りになります。

    Q5:登録講習機関が行う登録講習の課程を修了した者は、宅地建物取引士資格試験の全部を免除される。

    答えを見る **×(誤り)** 宅建業法16条3項は「第十七条の三から第十七条の五までの規定により国土交通大臣の登録を受けた者(登録講習機関)が国土交通省令で定めるところにより行う講習(登録講習)の課程を修了した者については、国土交通省令で定めるところにより、**試験の一部を免除する**」と定めています。**全部免除ではありません。** 免除されるのは問46から問50までの5問で、免除を受けた場合は45問を1時間50分で解答します。 あわせて、名前の似た制度を時系列で区別しておいてください。**登録講習は受験前の制度**(宅建業に従事している人が5問免除を受けるためのもの)、**登録実務講習は合格後の制度**(実務経験が2年に満たない場合に登録を受けるためのもの)、**法定講習は宅建士証の交付・更新の制度**です。そしてこれらはいずれも国土交通大臣または知事が関わる制度であり、厚生労働大臣が指定する教育訓練給付の対象講座とは別のものです。

    まとめ

    1. 確認すべきことは三つあり、順序がある。自分の支給要件期間、コースが指定されているか、そしてどの類型か。類型の確認を後回しにすると取り返しがつきません。特定一般教育訓練と専門実践教育訓練は、訓練前キャリアコンサルティングを受け、受講開始日の2週間前までに受給資格確認を済ませる必要があるからです。一般教育訓練にこの手続はありません。
    2. 基準になる日付は「受講開始日」の一つだけ。支給要件期間も、離職からの1年も、前回受給から3年以内かどうかも、2週間前の起算も、すべてこの日を基準に判定します。そして通信制の受講開始日は教材などの発送日であって、自分が学習を始めた日ではありません。
    3. 給付率がかかるのは定価ではなく、実際に負担した教育訓練経費。割引後の額が対象になり、会社から受講料に充てる手当をもらっていればその分は差し引きます。検定試験の受講料、必須でない補助教材費、交通費、器材の費用、クレジット手数料は含まれません。そして支給の条件は修了であって合格ではなく、修了認定基準は講座ごとに違います。

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