公示価格こうじかかく
土地鑑定委員会が6条の規定により官報で公示した標準地の価格です(8条)。つまり、毎年公表される標準地の1平方メートル当たりの正常な価格で、一般の土地取引には指標を与え、不動産鑑定士の鑑定評価と公共事業の土地の取得価格では規準とされます。
毎年3月、新聞やニュースで「地価公示」として、全国の地点ごとの土地の値段が報じられます。土地鑑定委員会が標準地の正常な価格を判定し、官報で公示したものが公示価格です。家を買う人が「この辺りは1平方メートルいくらか」を知る目安になり、不動産鑑定士が土地を評価するときの土台になり、道路や学校を造るために土地を買い取る役所の値段の根拠にもなります。同じ一つの価格が、使う人によって「指標」になったり「規準」になったりします。

目的は指標を与えて、適正な地価の形成に寄与することです
1条は、都市及びその周辺の地域等において標準地を選定してその正常な価格を公示することにより、一般の土地の取引価格に対して指標を与え、公共の利益となる事業の用に供する土地に対する適正な補償金の額の算定等に資し、もって適正な地価の形成に寄与することを目的とする、と定めています。土地は一つひとつ違い、売り手も買い手も相場が分かりにくいので、公的な目安を示して値段のばらつきを抑えます。公共事業の補償金も、公的な目安があれば地主ごとに不公平が出にくくなります。締めくくりの語は「適正な地価の形成」で、取引を促すことでも土地利用を確保することでもありません。
土地の取引を行う者は、指標として努めます
1条の2は、都市及びその周辺の地域等において土地の取引を行う者は、取引の対象土地に類似する利用価値を有すると認められる標準地について公示された価格を指標として取引を行うよう努めなければならない、と定めています。一般の売り手と買い手に求められるのは「指標」にする「努力」で、公示価格で取引しなければならないわけではありません。私人の取引の自由を縛らないためです。指標にする標準地も、単に近い標準地ではなく、利用価値が似た標準地です。

鑑定士と収用できる事業者は、規準としなければなりません
8条は、不動産鑑定士が公示区域内の土地について鑑定評価を行い、その土地の正常な価格を求めるときは、公示価格を規準としなければならない、と定めています。9条は、土地収用法その他の法律によって土地を収用することができる事業を行う者が、公示区域内の土地を事業の用に供するために取得するとき、取得価格を定めるにあたって公示価格を規準としなければならない、と定め、地上権などの権利を消滅させる対価も含めています。どちらも「努める」ではなく「しなければならない」で、法律上の義務です。専門家の評価と公金で買う値段には、公的な目安との整合を義務づけているのです。規準とするとは何かは11条にあり、規準の頁で説明しています。
収用の補償金では、規準として算定した価格を考慮します
10条は、土地収用法71条により、公示区域内の土地について事業の認定の告示の時における相当な価格を算定するときは、公示価格を規準として算定した当該土地の価格を考慮しなければならない、と定めています。9条の取得価格は公示価格を直接「規準とする」のに対し、10条の補償金は「規準として算定した価格を考慮する」と一段離れた書き方です。土地収用法の補償金は、告示の時の価格に物価変動の修正率を掛けて決めるので、公示価格を規準にした価格をその材料の一つとして使うからです。

地価公示法 8条不動産鑑定士は、公示区域内の土地について鑑定評価を行う場合において、当該土地の正常な価格(第二条第二項に規定する正常な価格をいう。)を求めるときは、第六条の規定により公示された標準地の価格(以下「公示価格」という。)を規準としなければならない。
試験ではこう問われる
- 土地の取引を行う者は、公示価格を「指標として」取引を行うよう「努めなければならない」(1条の2)。「公示価格により取引を行う義務を有する」は誤り
- 指標とするのは、対象土地に類似する利用価値を有する標準地の公示価格。「最も近傍の標準地」は誤り
- 不動産鑑定士は、公示区域内の土地について正常な価格を求めるとき、公示価格を「規準としなければならない」(8条)
- 規準の義務は不動産鑑定士だけではない。土地を収用できる事業を行う者が公示区域内の土地の取得価格を定めるときにも及ぶ(9条)
- 目的は、一般の土地の取引価格に指標を与え、公共事業用地の適正な補償金の額の算定等に資し、「適正な地価の形成に寄与」すること(1条)
- 公示されるのは標準地の単位面積当たりの価格。前回の公示価格からの変化率は公示事項ではない
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