価格形成要因かかくけいせいよういん
不動産の効用及び相対的稀少性並びに不動産に対する有効需要の三者に影響を与える要因で、一般的要因、地域要因及び個別的要因に分けられます(不動産鑑定評価基準 総論第3章)。つまり、不動産の値段を動かす事情のことで、社会全体の事情、その地域の事情、その不動産だけの事情の三つに分けて考えます。
同じ広さの住宅地でも、駅から徒歩5分の南向きの角地と、駅から遠く北側が崖になっている土地とでは、値段が違います。金利が下がって住宅ローンが借りやすくなれば、町じゅうの土地の値段が上がることもあります。このように不動産の価格を動かす事情を、不動産鑑定評価基準は価格形成要因と呼び、不動産の効用、相対的稀少性、有効需要の三つに影響を与える要因と定めています。効用は使って得られる便利さ、相対的稀少性は欲しい人の数に比べて物が少ないこと、有効需要は実際にお金を出して買える人の需要のことです。基準は、価格形成要因を一般的要因、地域要因、個別的要因の三つに分けています。

一般的要因は、社会全体の値段の水準を動かします
一般的要因とは、一般経済社会における不動産のあり方及びその価格の水準に影響を与える要因をいい、自然的要因、社会的要因、経済的要因及び行政的要因に大別されます(総論第3章第1節)。地盤や気象の状態は自然的要因、人口や家族構成の状態は社会的要因、金融や物価、税負担の状態は経済的要因、土地利用の計画や規制、不動産の税制の状態は行政的要因の例です。特定の土地の話ではなく、社会全体の不動産の値段の高さに効いてくる事情です。
地域要因は、その地域の不動産の値段に全体として効きます
地域要因とは、一般的要因の相関結合によって規模、構成の内容、機能等にわたる各地域の特性を形成し、その地域に属する不動産の価格の形成に全般的な影響を与える要因をいいます(同第2節)。相関結合とは、社会全体の事情が組み合わさって、その地域ならではの性格ができあがることを指します。住宅地域では、都心との距離と交通施設の状態、商業施設の配置、上下水道やガスの整備、洪水や地すべりなどの災害の危険性、街並みの状態などが例示されています。商業地域では繁華性の程度や顧客の質と量、工業地域では輸送施設の整備の状況など、地域の種類ごとに特有の要因が加わります。

個別的要因は、その不動産だけの個性を生みます
個別的要因とは、不動産に個別性を生じさせ、その価格を個別的に形成する要因をいい、土地、建物、建物及びその敷地の区分に応じて分けられます(同第3節)。住宅地なら、間口・奥行・地積・形状、角地かどうかといった接面街路との関係、日照や通風、土壌汚染の有無、公法上・私法上の規制などが例示されています。同じ地域で隣り合う土地でも、この要因の違いで値段が分かれます。鑑定評価では、地域要因を地域分析で、個別的要因を個別分析で調べ、個別分析によってその不動産の最有効使用を判定します。
不動産鑑定評価基準 総論第3章不動産の価格を形成する要因(以下「価格形成要因」という。)とは、不動産の効用及び相対的稀少性並びに不動産に対する有効需要の三者に影響を与える要因をいう。…価格形成要因は、一般的要因、地域要因及び個別的要因に分けられる。
試験ではこう問われる
- 一般経済社会における不動産のあり方及びその価格の水準に影響を与える要因は一般的要因。これを「個別的要因」とするのは誤り
- 一般的要因は、自然的要因、社会的要因、経済的要因及び行政的要因に大別される
- 依頼目的に応じ、対象不動産に係る価格形成要因のうち地域要因又は個別的要因について想定上の条件を設定する場合がある
- 通常の調査の範囲では事実の確認が困難な特定の価格形成要因があるときは、鑑定評価書の利用者の利益を害するおそれがないと判断される場合に限り、調査範囲等条件を設定できる
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